演奏

TEXT:桂伸也 PHOTO:桜坂秋太郎、桂伸也

新たなヒーローを渇望される日本のハード・ロック/ヘヴィ・メタル界、今回紹介するGALNERYUSは、その候補として筆頭格であることに、異論を唱えるものはまずいないだろう。名実ともにロック・ギター界のリーダーとして君臨するギタリストSyuを中心に、良質のビッグ・サウンドを作り出す唯一無二の孤高の存在として、今や多くのロックファンに絶大な支持を得ている。

メジャーデビュー10周年を目前にますます勢いを増している5人が、新たなステップに向けての決意を誓うべく行ったツアー『THE CAHIN OF STRENGTH TOUR 2012』の最終日、渋谷O-EASTで壮絶なファイナルを迎えた。その白熱のステージの模様をお送りしよう。

◆GALNERYUS is:
Syu (Guitar)、Masatoshi“SHO”Ono(以下、SHO:Vocal)、TAKA(Bass)、JUNICHI(Dr)、YUHKI(Key)

開場とともに、フロア最前列へ向かおうと駆け足のファン達。1000人も入れば満員の会場は、オープン後30分も経たないうちに最前列からフロア後方まで一杯になった。彼らのステージに対するファン達の関心が、いかに高いものだったかを改めて認識させられる。開場後ライブのスタートまで1時間、我先にとフロアへ走ったファン達にとって、そこまでの時間がどれほど長く感じられたことだろうか。「待った甲斐があった」と思わせてくれる最高のステージを、フロアを埋め埋め尽くした観衆の誰もが期待していた。
 
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いよいよステージの開始。突然会場は暗転し、会場にSEが流れる。やがて壁のスクリーンにバンドのロゴが映し出されると、彼らを呼び込むために、会場一杯に大きな歓声と手拍子が流れる。その声に応えるようにステージに登場した4人。やはりリーダーのSyuが登場すると、一際大きな歓声がフロアから上がる。そしてバンドの第一声が会場一杯に広がると、フロントマンのSHOが登場、いよいよ待ちに待ったオープニングナンバー「絆」でステージはスタートした。
 
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正統派のハードでワイルドなサウンドの中に、情感豊かなメロディを持ったGALNERYUS。その核となるメロディを司るSHOのヴォイスは、単にテクニックだけでは推し量れない魅力をふんだんに持った歌声を聴かせた。ヘヴィでラウドなインストゥルメンタルのサウンドに埋もれず、かつ個性を十二分に引き出す。ロック・ヴォーカリストにとっては至極当然のような命題であるが、実際にこの壁をクリアできるヴォーカリストがどれほどいることだろう。その意味ではSHOのヴォイスは完全に近い形でクリアできているといえるだろう。そして、彼の歌に絡み、その魅力をさらに倍増させるSyuのギター。そのソロ・ワークで、テクニカルな速弾きをたっぷり聴かせていった。
 
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Syuが奏でるフレーズには、余裕すら見られる。そのサウンドは、ヴォリューム感十分な上にスリリングなスピリッツを感じさせながらも、不思議にも聴く側にとって「too much」にならない。彼のギターならではのアピールポイントだ。この日のステージではその要素がより色濃く見え、ふと「ずっと聴いていたい」と錯覚させるほどの魅力を放っていた。「こんばんは、皆さん元気ですか?ありがとうございます!」SHOがツアーファイナルに対する礼を告げる。ハイテンションなプレイとは対照的に、非常に落ち着いたMC。その中でもフロアの観衆の声が聞こえるのだろうか、フロアから上がる観衆の冗談に反応しながらジョークを飛ばすSHOSyu。O-EASTという大きな会場の中で、まるで小さなライブハウスのような気安さ。このフロアとの親近感、そして演奏で見せる情熱、これもGALNERYUSの大きな魅力といえるだろう。
 
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インストナンバーである7曲目の「GRMETAAAL」では、このバンドがいかに凄腕揃いであるかをフロアに見せつけた。一見非常にリラックスしてさらっとプレイしているようだが、実際に耳に届いてくるサウンドは、これでもかといわんばかりの超絶フレーズの応酬。Syuのギターから始まる各人のソロフレーズ。ソロがYUHKIにバトンタッチされると、ギターソロの様に華麗なパッセージが披露される。その流れがとても自然にSyuのギターと絡み合い、‘あれ?Syuが弾いているのか?それともYUHKI?’と、見ている側にエキサイティングな浮遊感を与えてくれる。さらにサウンドには異常なほどの緊張感を滲ませ、フロアの観衆をさらに興奮させる4人。SyuYUHKIの壮絶なバトルの後は、堅実なリズム・グルーヴを作るTAKAのパート。あくまでボトムに徹する姿勢から一変、ここぞとばかりに超一級のベースソロををまるでなんでもないようにサラリと弾きこなす。そしてトリには、JUNICHIのドラムソロ。ツインペダルを絶え間なく鳴り響かせ、絶対的なリズムを支配していた彼が、ここぞとばかりに持ち味を発揮し、曲のクライマックスに向けての盛り上がりをしっかりと作り上げた。
 
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何から何までがGALNERIUSのペース。その中でもSHOのアピール性抜群のヴォーカルと、絶妙のタイミングで切り込んでくるSyuのリード・プレイ、さらに彼に絡むYUHKIのキーボードフレーズは、時に生ピアノの音色をブレイクで聴かせてみたり、ストリングス・サウンドでクラシカルなハーモニーを入れた上で、合間にキーボード・ソロをメロディックに聴かせたりと、全くブレイク・ポイントがない極上のロックサウンドを聴かせてくれる。ロック・フレーバー全開のサウンドに、さらに重厚さを増すシンセサイザーの調べ。非常にリッチで心地よい音が会場に充填される。ヘヴィ・バラード調の「終わりなき、この詩」では、アルペジオから16ビートをちりばめた8ビートのポリリズムに展開を見せるなど、全編に難解な構成が続くが、その先々は全く収まるべきに収まるという絶妙さ。しかもプレイの節々に不自然な緊張感など見られない全くリラックスしたプレイには、絶対的な自信すら感じられる。中盤最大の聴かせどころともなったプレイだ。
 
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いよいよクライマックスに向けラストスパートへ。ハード&ヘヴィなナンバーが続く。首が取れてしまいそうなほどに頭を振りながら、強力なギターをビシバシと決めるSyu。そんな彼に向かって、フロアの観衆が皆揃って腕、そして人差し指を向ける。サビを全員で大合唱し、会場中にその声が響き渡る。そしてSHOのコール。「ラスト!」その声に続いたラスト・ナンバー「BURN MY HEART」。そのタイトルの通りに、皆のハートを焼き尽くしてくれるような熱い音が展開する。その魂の音に、観衆達は揃って「どこにそこまでの元気が残っていたのか」と思える様な奮闘ぶりを見せる。そんな熱い気持ちは、終幕を迎えた彼らがステージを降りても消えず、彼らを呼び戻そうとした。
 
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アンコールを求める、気持ちのこもった拍手。どこからともなく上がる、彼らを呼ぶ声は、やがて一人、また一人と声を合わせて、その厚みを増していった。ファン同士の一体感が見られた光景だ。その気持ちに応えて再びステージに立つ彼ら。この日のステージに対する礼と、これからの抱負を告げながら、アンコールの「HUNTING FOR YOUR DREAM」「FUTURE NEVER DIES」をプレイする。そのサビを大合唱する様、コーラスの音の厚みは、いかにこの日このステージに集結したファン達が、筋金入りのGALNERYUSファンであるかを強く示していた。そのソロフレーズには、QUEENの名曲「Bohemian Rhapsody」に触発されたかのようなイメージがさり気なく聴こえる。完全にステージ上の5人が主導を握ったこの時、そんなプレイへの心憎いまでのこだわりが、観衆達の満足度を盛り上げていく。
 
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さらにアンコールを受け、Syuが一人で登場した。たった一人での強力なギターソロをいきなりフロアに披露し観衆をノックアウトした後で一言叫んだ。「あんたら、最高や!」もう“出来上がっている”というレベルはとっくに超えた会場の熱い空気の中で、皆が持つ名残惜しいと思える気持ちを吹き飛ばすかのように、SHOが叫ぶ。「最後に、この曲で果てましょう!」そして、ラストナンバーは、まさにこの日このステージの到達点ともいえる「DESTINY」。ストリングスのハーモニーが重圧なサウンドを演出する。SHOがサビを完全にフロアに任せると、そのコーラスはなにかを打ち破りそうなエネルギーとなり、ステージから放出されるものと共振してこの日一番の熱気を作り上げる。ステージはフロアと一体になり、この日のステージに見事な有終の美を飾った。
 
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◆ 公式サイト
http://galneryusyumacher.com/
◆セットリスト
M01.絆
M02.TEAR OFF YOUR CHAIN
M03.TIME AFTER TIME
M04.departure ! (English version)
M05.WINNING THE HONOR
M06.ACROSS THE RAINBOW
M07.GRMETAAAL
M08.終わりなき、この詩
M09.SEASONS CRY
M10.CARRY ON
M11.BASH OUT! .
M12.BURN MY HEART
Encore
EN1.HUNTING FOR YOUR DREAM
EN2.FUTURE NEVER DIES
Encore 2
EN3.DESTINY

卓越した演奏のテクニックを持ったミュージシャンは、世の中に数え切れないくらいいることだろう。GALNERYUSの個々のメンバーもしかりだ。しかし、彼らの作り出すサウンドは、彼ら5人が集まらなければ出来ない、誰か一人でも欠ければ、そこにGALNERYUSは成り立たない、そんな命題をしっかりと証明してくれるようなステージだった。

まるでパズルのピースが適所にはまるように、どのメンバーも必要な箇所での仕事をする。それが徹底して行き届いているからこそ、バンド・サウンドとしての完成度は目を見張るほどに高く、単に個々の“スーパープレイを行った”という印象とは違う衝撃がステージから放出されているかのようだった。先述の通りいよいよメジャーデビュー10周年を迎える彼ら。今後、彼らの動向からますます目が離せない。

 

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