演奏

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TEXT:MASASHI YODA PHOTO:岡田祐貴子

EARTHSHAKER 35th Anniversary Tour【THE STORY GOES ON】
35th Anniversary Tourのタイトルでもある『THE STORY GOES ON』は、単に新作アルバムタイトルから冠したものだけではないことは、ファンの方々には察しのことだろう。「俺達、そしてみんなの物語はまだまだ続いていくぜ!」というステージからファンに向けてのEARTHSHAKERの決意表明でもあるのだ。その決意表明を何度もステージで叫んだ西田“MARCY”昌史(Vocal)[以下:MARCY]。35th Anniversary Tour では、35年間に培った自負と永川“TOSHI”敏郎(Keyboards)[以下:TOSHI]を迎え入れて更にパワーアップさせたという自信に満ちたパフォーマンスが繰り広げられているのである。
 
今回私は、2018年11月22日から24日までの京都、奈良、名古屋の3日間を密着させてもらった。このツアーは、年末まで続き、また第二弾ツアーとして来年3月から全国各地で開催されるので、セットリストやライブ詳細を書き記すことは控えるが、その密着した様子を京都・磔磔公演を中心にレポートしていきたい。
 
尚メンバー自らがツアーのトピックスを、BEEASTコラムで発信しているので、併せて読んでもらいたい。
※EARTHSHAKERコラム「report goes on」
http://www.beeast69.com/column/earthshaker

■2018年11月22日木曜日 京都・磔磔■
 
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EARTHSHAKERで京都、といえば磔磔である。1999年の磔磔25周年イベントとして、メンバー4人が磔磔に再び結集し、その後のEARTHSHAKER再結成に繋がったことは、ファンの間では有名な逸話である。そのイベントに招聘するため、磔磔側からメンバー4人に直筆の手紙を渡し、4人が心を動かされて再会が実現したのだ。また私事で恐縮だが、私が初めてEARTHSHAKERを観たのも、デビュー前の磔磔ライヴだった。デビュー前とはいえ、既に貫禄充分で躍動感溢れる姿に、高校生だった私は衝撃を受けた。まさかその30数年後に同じ場所でのライヴ・レポートを書くことになるとは、当時は想像もつかなかったことだ。そんな感慨に浸っていたなか、場内が暗転しフロア後方の2階から入場するメンバー5人。昔は観客に揉みくちゃにされながら入場していたが、今や観客の皆さんも大人になり、スムーズに入場できるのである。プレゼントされた35本の薔薇が飾られたステージに登場し、ライブがスタートした!
 
オープニングから新作『THE STORY GOES ON』のナンバーを立て続けに演奏していく。まだライブで馴染みのない曲達ではあるが、殆どの観客が一緒に歌い、リズムに合わせて拳を振り上げている!そう、観客の皆がちゃんと新作を聴き込んでライブに臨んでいるのだ。今回のツアー開始前にMARCYに「やはり35周年ということで、これまでの代表曲を網羅した内容になるのですか?」と私が尋ねたところ、彼は「アルバムを制作したのだから、新曲をちゃんと演らないと意味はない」「今のEARTHSHAKERを見せる」とこれまで同様に新作に伴うツアーのスタイルを変えないことをきっぱりと語っていた。国内外問わずにベテランバンドともなると、新作を発表しても、ライヴでは殆ど演らない場合も多い。またそれを望んでいるファンも多いのが現実であり、新曲を演っているときだけ場内が静まり返るという光景を目にしてきた。しかしEARTHSHAKERのスタンスは違う。またそのスタンスに観客がしっかりと応えているという、バンドとファンの関係は素晴らしいと思う。
 
次々と披露されていく『THE STORY GOES ON』からの曲達・・・。石原“SHARA”愼一郎(Guitar)[以下:SHARA]は、TOSHIという強力なプレイヤーが加わったためか、バッキングをTOSHIに委ねたかのように、これまで以上に自由に激しくギターを掻き鳴らしているように感じた。甲斐“KAI”貴之(Bass)[以下:KAI]はEARTHSHAKER独自のグルーヴをしっかり支え、その堅実なプレイは相変わらずだ。また彼のハイトーンでのコーラスは今回のツアーでも健在である。ヘヴィな曲、ツーバス連打の曲、バラード曲、それらの曲々に合わせて色々な表情を見せながらパワフルで強烈なドラミングを展開する工藤“KUDO”義弘(Drums)[以下:KUDO]。そして24年ぶりに迎え入れられたTOSHI。彼の存在感は絶大で、特に新曲バラードでのキーボードソロのメロディと音色の美しさは鳥肌モノだ。SHARATOSHIのソロでの掛け合いやハモリの時に、MARCYは二人を指差し煽りながら満足げな表情を見せている。『THE STORY GOES ON』から立て続けに演奏したライブ前半は、ひとつのショーとして成立するほどの構成となっていたのである。
 
KUDOのパワフル且つコミカルなドラム・ソロが盛り上がったところで、ライブは中盤に突入する。再結成から昨年までの20年弱の期間、4人のEARTHSHAKERで制作し発表してきた曲を「是非TOSHIを交えて演りたい」という意欲によってピックアップされた曲達を披露してくれた。オリジナル音源にはないキーボード(オルガン)ソロを組み込んでTOSHIをフィーチャーする等、4人のEARTHSHAKERの曲が5人のEARTHSHAKERの曲としてパワーアップして生まれ変わったのである。
 
いよいよライブも終盤となった。今度は逆にTOSHI在籍時の曲ではあるが、再結成後からは4人で演奏してきた大切な曲や名バラードを披露。「これまでも節目に演ってきた曲だけど、そういえばTOSHIとしばらく演っていないと気づいた(笑)」とMARCYTOSHIが戻ってきたくれたのだから、演らないわけにはいかないという衝動に駆られての演奏には感涙だ……。SHARAの骨太な音で咽び泣くギター、MARCYをしっかりサポートするKAIのボーカル、バラードを口ずさみながら感情を込めて叩くKUDO、美しいピアノの音色や重厚なサウンドを変幻自在に操る百戦錬磨のTOSHI・・・。これらの曲を5人で演れることの喜びを噛みしめるように伸びやかで気迫ある歌を聴かせるMARCY。まるで音の洪水だ・・・。
 
そして本編ラストに向かって、SHARAのあまりに有名なイントロが響き渡る・・・。このフレーズをコピーした元ギター・キッズが、この磔磔のフロアにも沢山いらっしゃるだろう。
ここで曲名を書いてもネタバレにすらないような気もするが、ラストスパートでは、フロアの観客全員が拳を振り上げ、大合唱となったことは言うまでもない。

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「アースシェイカー!」というシュプレヒコールを浴びながら、アンコールに応え再登場。このアンコール演奏前や本編のMCでは、磔磔について「俺達にとって大事な場所」「人気のある店なのでブッキングのタイミングが合わないこともあるが、絶対に外せない場所」であることをMARCYは熱く語り、現在も京都を代表する老舗ライヴハウスとして賑わっていることに目を細めている。
 
そしてステージ上が広く整備された磔磔がメンバー達にとっては初めてだったため、会場いじりがお得意なMARCYだけでなく、「今日はシンバル(のセッティング)が真っ直ぐや(笑)」「昔はワウ・ペダルを踏むときに捻挫しそうやったで」とKUDOSHARAまでもが、改装された磔磔をいじり倒していた。もちろんこれも磔磔への愛情表現なのである。
 
「40年近く前から磔磔で演っている曲でアンコールを始めたい!」とのMCでアンコールがスタート!私が磔磔で初めて観た時のオープニングがこの曲だっただけに我を忘れてしまいそうだ……。「さあ京都!みんなの声を聞かしてくれよ!」そんなMARCYの掛け声とともに観客と一体となれる名曲が続く。KAIのアクションが炸裂し更に場内がヒートアップしたなかで1回目のアンコールが終了した。
 
「THE STORY GOES ON!俺達の物語はまだまだ続いていくぜ!」と叫ぶMARCY。遂に最後の曲を迎えた。80年代に武道館ライブを成功させたが、その数年後にはまわりの音楽環境も変化しEARTHSHAKERにも苦しんだ時代があった。そんな時に作られた曲であり、ひとつずつ乗り越えて次の街に行けばみんなの笑顔に会える・・・というEARTHSHAKERのファンに対するメッセージが詰まった歌だ。35周年を迎えた今も、その想いは昔と変わらないのである。渦巻く観客の歌声……。ステージとフロアに溢れる笑顔……。まさにEARTHSHAKERライブの真骨頂である。
 
こうして大盛況によって終えた「京都・磔磔公演」。京都に磔磔が存在する限りEARTHSHAKERは元気に活動してくれるのではないか、またEARTHSHAKERが充実した活動をし続ける限り、磔磔も繁盛してくれるだろう・・・。そんな考えさえ思い浮かぶほど素晴らしいライブだった。しかしながら、このことは磔磔だけに限ったことではないのだ。全国各地には、EARTHSHAKERのメンバー達の想い入れのあるライブ会場は数多くあり、その地で待ってくれているファンが沢山いる。
 
「35周年を迎えたからといって終わるつもりはない」「これからも元気なうちは頑張りますよ!いや・・・這いずってでもやってやる!」とステージで力強く語ってくれたMARCY。そうEARTHSHAKERと私達の物語はまだまだ続くのである……!

 
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■2018年11月23日金曜日 奈良・NEVERLAND■

「一週間で奈良に帰ってきました!」とMARCYも嬉しそうだ。このツアー初日となった奈良王寺ライヴから、なんと中5日で再び奈良に戻ってきたのである。「一週間で2回も奈良で演るハードロックバンドもそうはいない(笑)」のであるが、もちろんKUDOの故郷でもあり、奈良にも沢山の熱いファンが待っているからに他ならない。そんなKUDOも「王寺ライブから一週間後なので(集客が)大丈夫かなと思ったけど、沢山集まってくれて感動しています」と満員の観客を前に感極まった表情を見せていた。
 
奈良にあるスタジオへ毎週のように4人が集まって練習していたアマチュア時代の話(MARCYKUDOいじりはいつにも増して笑いを誘っていた)や、その奈良のスタジオでEARTHSHAKERを代表する沢山の曲が生まれたことなど、興味深く面白いエピソードを語ってくれて、アットホームな雰囲気に包まれていた。決して規模の大きなライブハウスではなかったが、音のバランスも良く、EARTHSHAKER、NEVERLANDスタッフ、そしてファンが一体となったライブであった。

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■2018年11月24日土曜日 名古屋・ElectricLadyLand■

ElectricLadyLand[以下:E.L.L.]は前々日の磔磔同様にEARTHSHAKERにとって想い入れのある会場である。開業40年を越えた名古屋を代表するライブハウスであるが、「EARTHSHAKERは1981年に初登場した」ことを開演前にオーナーから改めて知らされ、MARCYSHARAは記憶を辿るように、当時は地下1階のライブハウスだったE.L.L.での思い出話に花を咲かせていた。現在の場所に移転しコンサートホールのように生まれ変わったE.L.L.で、35周年を迎えてのライブができるというE.L.L.とファンへの感謝の気持ちで溢れたパフォーマンスだった。ライヴ終盤ではMARCYがマイクホルダーをへし折ってしまうハプニングもあり、「(E.L.L.なので)力が入り過ぎたのかな」と苦笑い・・。
 
会場規模の大小や設備によってEARTHSHAKERのライブの出来が変わるわけでは勿論ないが、「名古屋の皆さんはここで観れることは贅沢ですよね」とMARCYが言っていた通り、色とりどりの照明設備や余裕のあるステージのレイアウトはE.L.L.ならではだ。バラードのイントロでは各メンバーにライトのシャワーが降り注ぎ、会場のボルテージや曲毎の進行と連動させた眩いほどのライティングは見応えたっぷりだ。中部地区のファンには充分に堪能できるライブとなった。また後輩バンド(Flower Companyz)との共演で、来年の4月29日にE.L.L.へ戻ってくることをサプライズ発表してくれた。

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◆EARTHSHAKER Official Site
http://www.earthshaker.jp/
 
◆EARTHSHAKER
西田“MARCY”昌史(Vocal)
石原“SHARA”愼一郎(Guitar)
甲斐“KAI”貴之(Bass)
工藤“KUDO”義弘(Drums)
永川“TOSHI”敏郎(Keyboards)
 
 

 
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「待っているみんながいる限り、色んな街にどこへでも行き、めいっぱいライブをやる」というEARTHSHAKERのスタンスを目の当たりにできた3日間であった。冒頭に記述した「俺達、そしてみんなの物語は続く」という決意も、これまでのライブ活動やアルバム制作のなかでEARTHSHAKERの意志は充分に感じ取れていたわけではあるが、改めて35周年を迎えてEARTHSHAKERとファンが確認し合ったことなのかもしれない。しかし、やはりTOSHIという信頼と尊敬できるミュージシャンを再び迎えたことで、新たにその決意が強くなったことは間違いないだろう。
 
TOSHIが加わったことで、いくらでも演りたい曲がある」「5人のEARTHSHAKERはこれからもっともっと進んでいけるのではないかという想いが強くなった」とステージで語るMARCYには自信が漲っており、もちろん、SHARAKAIKUDOTOSHIも同じだ。
 
来年5月まで続く『35th Anniversary Tour【THE STORY GOES ON】』は必見だ。是非ライブ会場まで足を運び、EARTHSHAKERの新たな決意を体感してほしい。またこれからもツアー各地でメンバーそれぞれが色々なエピソードをBEEASTコラムに書いてくれるはずだ。そちらも是非楽しみにしてもらいたい。
※EARTHSHAKERコラム「report goes on」
http://www.beeast69.com/column/earthshaker

 

◆関連記事
【コラム】EARTHSHAKER「report goes on」
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【特集】大盛りレポ!ロック増量Vol.63 EARTHSHAKER 2017 LIVE TOUR 『5 Shakers tour ~Ties to the future~』
http://www.beeast69.com/feature/168421
 
 


 
 
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