演奏

lead_gbn

TEXT:長澤智典 PHOTO:万年平男
Girls Band Next Generation
2016.11.18 @渋谷TSUTAYA O-WEST

11月18日(金)にTSUTAYA O-WESTを舞台に行われた『Girls Band Next Generation』。これからのガールズバンドシーンを担う、気鋭の新人バンドたちを集めたこのイベント。出演したのが、Disqualia/LOVEBITES/矢嶋舞依/Honey Revolt(O.A)。この日の模様を、ここにお伝えしよう。

Honey Revolt

1-11-2
1-31-4
1-61-51-7
1-81-9

ヴォーカル、ウテナの長期療養のため、この日のライブで無期限活動停止となったHoney Revolt。その意志を示すためか?!彼女らが最初に持ってきたのが「END」。冒頭から彼女たちはフロントへ踊り出て観客たち煽っていた。ズクズクと攻めたてる音の上で、ウテナが朗々と歌を場内へ響かせてゆく。攻める?むしろ、悔いや後悔を残さないように戦いを挑んでたと言ったほうが正解だ。腰にズンと響く音を突き付けてゆく演奏陣。でも歌声には、まだ何処か戸惑いの表情も滲み出ていた。
 
そんな言葉は杞憂だったか?開放的でメロディアスなミッドナンバー「Days」では、これまでの日々を思い返すように、込み上げる想いを演奏に乗せ、ウテナは堂々と歌いあげていた。何も後悔を残さないというよりも、この場へ生きてる証を刻み、観客たちへ知らしめるように彼女は歌っていた。
 
胸中様々な想いだったろう。「今日でHoney Revoltは無期限活動休止になります。今回のことでメンバー一人一人が改めて音楽へ向き合い、そして前向きな決断を下しました。また絶対に戻ってきます」。嗚咽まじりに語ったウテナの言葉。きっと、まだまだ心の中にはいろんな感情が渦巻いていたに違いない。でも最後にぶつけた「世界中のペテン師共へ」では、メンバーも観客たちも、ただただ目の前の姿と音楽を、力強く前向きに受け止めていた。後悔?あるからこそ彼女たちはまた戻ってくると宣言をした。だったら帰ってきたとき、今度は嬉し涙と笑顔で受け止めてやろうじゃないか。最後はワイルドに、挑発した姿勢を持ってHoney Revoltは攻めていった。

1-101-11
1-121-13
1-131-14
1-151-16

◆Official Website
https://www.honey-revolt.net/
 
◆Setlist
M01. END
M02. Days
M03. 世界中のペテン師共へ
◆Honey Revolt
ウテナ(Vocals)
らい(Guitar)
響輝(Bass)
咲月(Drums)
Ma-T(磯貝真由)(Support Guitar)

矢嶋舞依

2-1s
2-22-3
2-42-5
2-62-7

シンフォニックな音色からの幕開け。演奏が轟き出すと同時に、矢嶋舞依のハイトーンな歌声が身体へグサグサと突き刺さってきた。とても攻撃的でスケールあふれた楽曲だ。その上で挑発するように歌う矢嶋舞依の存在が鮮烈に瞼へ焼きついた。シンフニックハードな「覚醒JINX」を通し観客たちを覚醒させる……というよりも、みずからのフィールドへ場内の人たちを彼女はガッと引き込みだした。熱気と熱狂は加速を上げてゆく。ゴシック/ラウド/シンフォニック、何より挑発的な刹那ヴォイスにハートをガッとつかまれた。「Vampire Maiden」、なんて暗鬱で激しくて痛い、でも感情を恍惚な刺激に変えてゆく楽曲だ。闇の女王となった矢嶋舞依へ跪く意識に心は染まりながらも、沸き上がる高揚を拳に変え振り翳さずにいれなかった。たとえ心は灰になっても。
 
狂おしい嘆きのファンファーレが響きだした。妖艶に、でもつねに挑発する意識を途切れさせることなく、矢嶋舞依は身体を切り刻む重厚プレグロスな音の上で恍惚な笑みを浮かべ歌い踊っていた。「Carmilla」、なんて幻惑的な美しい闇の狂奏曲なんだろう。美しい薔薇には痛い刺があるのなら、美しい歌姫もまた小悪魔な毒を持つ。「矢嶋舞依の世界観をたっぷり楽しんでください」の言葉に続いて奏でたのが、ラウドでシンフォニックでゴシックロマンな「有罪」だ。黒く唸る演奏の上で彼女は朗々と、言葉のひと言ひと言を痛い音で綴れ織るように歌いあげていた。激しく暗鬱な演奏ですべての感情をガッと飲み込んでゆく。なんて罪なほどに恍惚な世界を彼女は与えてくれるんだ。激しい闇の舞踏会に酔い狂えということか?!その誘い、喜んでお受け致しましょう。何時しかドラマ描く世界に、大勢の人たちが魅了されていた。身体を揺らしながらも、その視線はずっと舞台上の矢嶋舞依を見つめていた。
 
煽りのやり取りから、ライブは次の楽曲へ。身体を切り刻む猛々しいリフビートの上で、荒々しく駆ける演奏に乗せ、矢嶋舞依は昂る感情を歌魂に変え次々とぶつけてきた。「鼓動」、その名の通り、激しく高鳴る胸の鼓動を抑えられない。いや、ハートアタックするくらいの意識でぶつかってこそ、ライブらしいバトルと言えようか。一変、美しい音色が場内を包みだした。その調べに勇ましい演奏が重なり出すと、その表情は「Masquerade」へ。爆走する激烈な演奏の上でさえ、彼女は凛々しく艶かしく歌っていた。みずからも荒れ狂う調べに陶酔し、恍惚へ酔うように。イケるなら、みんなでイッちまえばいい。壊れだした感情にルールなんてものは無用だ。
 
「さらに激しく舞い上がっていけますか!!」、マントを脱ぎ捨てた矢嶋舞依が突き付けたのは、演奏が進むごとにその身へ輝きを与えてゆく「Biohazard」。荒れ狂う演奏、彼女の歌にはパッションが漲っていた。弾ける感情をそのまま飛び散らすように、矢嶋舞依は黒い音の翼を羽ばたかせ、熱狂を引き連れ舞依上がっていた。もっともっとイカせてやるぞと言わんばかりに。最後は、これまで以上にダークでラウドでアグレッシブな演奏を叩きつけた「必要悪サバト」だ。この会場をみずからへ忠誠を尽くす儀式の場へ染め上げるように、矢嶋舞依は大勢の観客たちの熱狂の視線を全身で受け止め、痛く華やかな熱に変え、絶叫ハイトーンヴォイスと共にぶつけていた。間奏で一心不乱に頭を振り乱す観客たち。激しく気高く刺々しくも美しい女獣が導いたサバトに、大勢の人たちが熱狂という忠誠を誓いあっていた。

2-82-9
2-102-11
2-122-13
2-142-15

◆Setlist
M01. 覚醒JINX
M02. Vampire Maiden
M03. Carmilla
M04. 有罪
M05. 鼓動
M06. Masquerade
M07. Biohazard
M08. 必要悪サバト
◆Official Website
http://www.yajimamai.com/
 
◆矢嶋舞依
矢嶋舞依(Vocals)
シンディ(Support Guitar)
つよぽん(Support Bass)
カンちゃん(Support Drums)

LOVEBITES

3-33-1
3-83-5
3-43-2
3-103-7

DESTROSEのリズム隊を中心に誕生、この日が初ステージとなったLOVEBITES。舞台上から解き放つ音がズーンと腹の奥底へ響いてきた。ヴォーカルasamiのロングトーン、演奏陣の突き付けた音のなんて狂い咲いていたことか。アグレッシブとひと言で片づけるにはもったいない、メンバーらの荒ぶる感情がダイレクトに演奏や歌に反映されてると言ったほうが正しいだろう。リフを中心としたスラッシュ的なアプローチも見せた「The Hammer of Wrath」。いや、ここでは、今の彼女たちの姿勢が野獣のように感情剥き出しだったと言うべきか……。勢いを加速させながら、さらに挑発するように激しくリフビートをLOVEBITESは刻んでいた。先ほどの攻め一辺倒の表情とは異なり、「Don’t Bite the Dust」では歌やフレーズ面でメロティアスなアプローチも見せていた。荒々しさを持続させながらもハードロックな魅力も描き加えてきたLOVEBITES。それにしても、トリプルギターの迫力は圧巻だ。3人の演奏からは目が離せなかった。
 
野太いベース演奏からの幕開け。身体を切り刻むリフの数々が気持ちを「荒ぶれ」と焚きつけだした。「Panic Fuze」は英詞ナンバー。激しいノリを徹底して重視したように、終始彼女たちは挑発的に攻め続けていた。サビではメロティアスな面も見せるが、軸に据えているのは攻撃的な姿勢。このバンド、攻撃の手を一切緩めることはない。その剥き出しな姿こそLOVEBITESのスタンスと見た。それにしても、なんて洪水のような凄まい音なんだ。mi-yaの奏でる鍵盤の音色が流れだした。麗しいシンフォニックな歌と演奏からの幕開け。そこへ猛々しいドラムビートが加わるや、演奏は一気に激しさを増してゆく。でも、軸に据えているのはスケールあふれた雄大な音世界。「Just a liar」が触れた人たちを激しい音の気流に乗せ、恍惚な舞台へと巻き上げてゆく。そう,あとは、ドラマ描く激しい音のうねりの中へ心地好く身を預けていればいい。
 
中盤では、バンド名の由来ともなったHalestormの「LOVEBITES」をカバー。ここにもLOVEBITESらしい色と言うべきか、激しく切り刻むリフの数々で攻めゆく姿勢と朗々としたasamiの歌声との絡み合いという魅力が描き加えられていた。猛り狂うという言葉が相応しいほどの音の嵐が吹き荒れだした。拳を振り上げ絶叫する観客たち。「Bravehearted」か巻き起こした熱狂携えた攻撃的な演奏。どんな楽曲の上でも、伸びのあるハイトーンヴォイスを綺麗に這わせてゆくasamiの存在感に心に惹きつけられてゆく。間奏で見せたmidorimi-yaによるツインギターの音色の、なんて華やかだったことか。美しく激しく荒れ狂う衝動に、感情を開放せずにはいれなかった。
 
「これからも全部に全力でやっていく」。最後に披露したのが、LOVEBITESを作って一番最初に生まれた「Inspire」。ピアノの音色の上で朗々と歌うasami。やがて演奏はスケールあふれたドラマティックなハードロックワールドに変貌。スケールあふれたドラマを描くハードロックな世界観は、個々の姿勢を、何よりasamiの歌声を活かす上で似合う表情だ。LOVEBITESが示した激しく攻めたてるメタルな姿勢とオペラヴォーカルなasamiの歌声。彼女らの描き出した世界が、今後どんな嵐をシーンに巻き起こしてゆくのかに期待したい。

3-12s
3-153-11
3-143-9

◆Setlist
M01. The Hammer of Wrath
M02. Don’t Bite the Dust
M03. Panic Fuze
M04. Just a liar
M05. LOVEBITES(cover)
M06. Bravehearted
M07. Inspire
◆Official Website
http://lovebites.jp/
 
◆LOVEBITES
asami(Vocals)
midori(Guitar)
miho(Bass)
haruna(Drums)
Sena(Support Guitar)
mi-ya(Support Gutar & Keyboards)

Disqualia

4-24-1
4-34-4+
4-54-64-7
4-84-9

演奏が轟くと同時に幕が開き、メンバーが姿を現した。「Lady Boy」の演奏へ導かれ、ヴォーカルのIBUKIが舞台に登場。さぁ、今宵の宴の始まりだ。攻撃的な姿勢のもと観客たちを挑発してゆく彼女たち。かなり野生味剥き出しなのに、図太いハード&メタルな姿勢にも関わらず、歌や演奏が心地好く身体に熱狂を注ぎ込んでゆく。無理にアクセルを吹かすのではない。気がついたら笑顔でアクセルをベタ踏みしていた。まさに、そんな気分で大勢の人たちが拳を振り上げていた。この日は、12月7日に発売する1stミニアニバム『right NOW』からの楽曲を数多く演奏。とはいえ、次は1stシングルの「Over the Destruction」を披露。凄まじい勢いで駆け狂うメタルな演奏。何よりIBUKIの挑発的な歌声に、身体中から熱したエナジーが沸き上がってゆく。激しさと雄大な表情とを次々様替えながら狂い咲くドラマを描きだしてゆくDisqualia。徹底して挑発してゆく姿勢と気迫こそ、彼女たちのエンブレムだ。
 
止まることを忘れた演奏、激しく煽るように挑発してゆくメンバーたち。「Shout it out」を通しIBUKIは、感情熱した観客たちを自身の懐へ飲み込んでゆく。演奏陣も終始アクセルを踏み続けていた。もっともっと狂えとばかりに。演奏が進むごとに理性が壊れてゆく。それこそが正解だ!!重厚な演奏のもと、ミッドグルーヴな音の唸りの中へDisqualiaは観客たちを連れ出した。「Mad Desire」が、艶かしくも妖しい刺を持った音の渦へ観客たちを飲み込んでゆく。深く深く堕ちてゆく感覚?!。こんな闇な世界も心地好い。まさに、感覚を妖しく狂わす恍惚な劇薬じゃないか。
 
「今が一番大事。そんな精一杯の今を聞いてください」。「right NOW」はIBUKIの人生や人生観を詰め込んだ楽曲。その内容に相応しく、楽曲も最初から激動のドラマを描くように突き進んでゆく。まさに、ドラマティックなハードロックスタイルの真骨頂とでも言うべき楽曲だ。感情と演奏がシンクロしてゆくからこそ、そこには興奮や高揚が生まれる。それを今、体感している気分だ。上気した勢いを加速させるように、Disqualiaはストレート&ハードエッジな「Engrave」を突き付けた。熱くなった感情へ、さらに熱狂の油を注がれらちゃ頭を振って暴れるしかないよな。何より、余計な感情をすべてイレースし、喧騒の中で声を張り上げ暴れ狂うことが最高の興奮なんだもの。その煽りに気持ちが止まることを忘れていた。
 
胸を熱く掻きむしるメロディアスなギターの旋律が響きだした。「SKY」は、Disqualia流のメロディアスなハードロックナンバー。歌心を重視し、一緒にシンガロングしていけるスタイルを追求。この手のポップで開放的な表情に熱さを抱けるのも、卓越した演奏力と歌唱力で描いているからこそ。ただのポップスに陥ることなく仕上がっているのも、激しくも心地好く駆け上がる演奏に、高揚したエナジーがたっぷり詰め込まれていたからだ。最後にDisqualiaは「the Destiny of Love」を奏で、激しく身体を突き上げる衝撃を何度も何度も突き付けながら、会場中の人たちを恍惚へと導いていった。疾走する音が連れ出した沸き上がる高揚、気持ちを笑顔に変えながらも熱狂のハンマーを振り降ろし続ける彼女たち。メタルという枠を超えたところで気持ちを燃えさせてくれる。だから、そのライブにまた触れたくなる。場内から沸き上がった観客たちの雄叫びが、何よりもの証拠だ。

4-104-11
4-124-13
4-144-15
4-164-17
 

4-184-19
4-204-21
4-224-23

◆Setlist
M01. Lady Boy
M02. Over the Destruction
M03. Shout it out
M04. Mad Desire
M05. right NOW
M06. Engrave
M07. SKY
M08. the Destiny of Love
◆Official Website
http://www.disqualia.net/
 
◆Disqualia
IBUKI(Vocals)
成美(Guitar)
葉月(Guitar)
MAI(Bass)
RISA☆RISA(Drums)
このシーンを賑わせてくれるであろう若手ガールズバンドたち。シーンは、観客たちは、何時だって新しい刺激に飢えている。その渇きを潤す存在に彼女たちが成長していくことを願おうではないか。