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【NEWS】映画『あっちゃん』インタビュー(ニューロティカ結成30周年記念ドキュメンタリー)

2015年04月03日

ATSUSHI(アツシ:Vocals)、KATARU(カタル:Bass)、NABO(ナボ:Drums)、
ナリオ監督 インタビュー

 

 
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TEXT & PHOTO:株本和美  

4月18日(土)より渋谷HUMAXシネマシネマート心斎橋ほかにて公開する、映画『あっちゃん』。同作品は、パンクバンド、ニューロティカの結成30周年と、そのフロントマンでボーカルを務める“あっちゃん” ことイノウエアツシの生誕50歳を記念して制作されたドキュメンタリー映画だ。
 
2014年に結成30周年を迎えたニューロティカは、バンドブーム全盛の‘84年に結成、‘90年にメジャーデビュー。THE BLUE HEARTSJUN SKY WALKER(S)と並び“90年代ロック御三家”と称されており、氣志團175Rなどに影響を与え続けてきた伝説のバンド。
 
ライブがない日はお菓子屋の若旦那。そしてライブになるとピエロに変身してオーディエンスに愛と感動を届ける、ロッキンピエロ“あっちゃん”の、30年に及ぶバンド活動を追いつつ、80~90年代バンドブームの真相を浮き彫りにする。また、本作の制作資金はクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で全額が集められ、当初の目標金額を大幅に超える940万3669円が全国の支援者から集められた。これは、日本のクラウドファンディング史上、自主制作映画では過去最高の資金調達額となった。
 
どこにでもあるお菓子屋さんに生まれた男の、どこにもない生き方を描いた本作。主人公のあっちゃんとナリオ監督、そしてバンドメンバーのナボとカタル、4名にインタビューをする機会に恵まれ、映画にまつわるエピソードをうかがった。


a—クラウドファンディングサイトCAMPFIREでの支援者を招待して、完成試写会を終えましたが、ご感想を聞かせてください。
 
ナボ:おおむね感触良好でホッとしました。内心は皆さんどう思ってるかわかりませんけど(笑)。
 
カタル:僕は毎回、ラストで泣いてます(笑)。いろんな方に観ていただけて嬉しいです。
 
ナリオ監督:ダイレクトに笑いがおきたり、すすり泣く声が聞こえてきたり、意図した所でお客様が楽しんでいただけているなぁと実感できて、ホッとしました。
 
あっちゃん:恥ずかしいですよね。ようやくこれで皆さんに映画をお見せできるな、という気持ちが大きいです。
 
—皆に愛されているあっちゃんの姿が、映っていましたね。
 
あっちゃん:褒められるのが苦手……。でも、色んな人から素敵なコメントをいただいたので、気が引き締まりました。
 
—あっちゃんは、完成披露試写まで一度も映像を観なかったそうですが、それはなぜですか?
 
あっちゃん:ニューロティカはお客さん目線でやっていて、僕らのライブは演者だけで100%成立するわけではなく、お客さんと僕らがライブハウスでぶつかりあってはじめて100%の“ニューロティカ”になるんです。だからあえて、初日にお客さんと一緒に観たいなと思いました。
 
—あっちゃんは、この撮影について最初はあまりノリ気でなかったと会見でおっしゃっていました。説得はどのように?
 
ナボ:バンドが30周年で、本人が50歳という機会を逃したら、この先、こんな映画を作るきっかけなんてそうそうないよ? と説得をしたら、渋々家の中を見せてくれたんです(笑)。
 
カタル:私生活や家の中を見せるのが恥ずかしいとかじゃなくて、自分がスポットライトを浴びることが恥ずかしいんだよね。
 
ナボ:でも、恥ずかしいながらも、俺がボーカリストだっていう自負はどこかにあって、ドラムやベースより“一番モテる”って気持ちは持っているから(笑)、恥ずかしいとか言っていても大丈夫だって思いました。
 
あっちゃん:(笑)
 
ナボ:この映画を公開することで、あっちゃんに彼女ができたらいいね。
 
k—ナリオ監督は、この映画のオファーを受けて、どう思いましたか?
 
ナリオ監督:もともと、ニューロティカのPVやライブDVDなどの制作には携わっていたので、メンバーたちとは近い位置にいましたから、「この映画を僕が撮らずして、誰が撮るんだ?」って思いました。
 
—プレッシャーなどはありましたか?
 
ナリオ監督:最初はまったく感じませんでした。ただ、ニューロティカのメンバーは非常に仲がいいので、例えばバンドの危機とか確執とかいうドラマがなくて(笑)。非常にいい形でバンドが進んでいたので、“事件”を見つけるという作業が非常に困難でした。映画には、宮藤官九郎さんや怒髪天増子直純さんといった豪華な方々にも沢山出ていただいていて。毎回あっちゃんの悪いところやダークな部分を訪ねても、残念なことにみんな口をそろえて「ない」っていうんです……。「あっちゃんと会って嫌な気分になったことは一度もないし、いい人だ」って皆が皆そう言うので、本当にいい人なんだなって(笑)。
 
—撮影期間はどのくらいですか?
 
ナリオ監督:ドキュメンタリー映画には設計図がないので、1年半かけて撮影を行いましたが、撮影をすればするほど、誰からも愛されるキャラクターということがわかりました。イノウエアツシは本当にすごい男。皆さんも映画をご覧いただけたらそのように感じると思いますよ。
 
—メンバーから見て、ナリオ監督の動きはいかがでしたか?
 
ナボ:例えば、今回の企画の為に、誰か有名な監督にお願いしてとかになると、その監督とバンドの関係は他人行儀なものになってしまいますが、20年来の付き合いのあるナリオ監督なら密接な映像が撮れると思ったし、実際、違和感なしにPVを撮っている時とまったく変わらずに出来たな、と思いました。
 
n—あっちゃんは、途中経過や撮影したものもノーチェックだったんですよね?
 
ナリオ監督:はい。あっちゃんに、編集過程で「チェックしますか?」って何度も尋ねましたが、「観なくていいよ」って。そんな感じで、試写会の日を迎えました。でも、それはある意味、信頼してくれているからとも感じます。普通は、こういうところをカットしてくれとか、ここはこういう風に……、とか、何かしらオーダーがあったりするじゃないですか。でもあっちゃんは、「全面的に好きなように作っていいよ。出来あがったものを楽しみにしてる」と言ってくれて。それは本当に嬉しかったですね。
 
あっちゃん:あ! 映画を観て思ったのは、僕に「はっきり喋れ」と言ってほしかったなぁ。聞き取れない部分があったもん。
 
ナリオ監督:それは、ありのままじゃないですか(笑)。そうそう、あっちゃんはラジオが大好きで、撮影する側として、それは困りました。お店でも車の中でも、習慣でラジオをつけちゃうから、音声に入ってくるという(笑)。
 
あっちゃん:それは何度も「ラジオ消して」って言われたね。クセだからさぁ。
 
—お母様とのやりとりも自然に映し出されていました。
 
あっちゃん:恥ずかしい限りですよ。どこにでもいる馬鹿親子の感じだし。うちの母親はまだ映画を観てないからね……(笑)。
 
—映画から、あっちゃんの優しさがすごく伝わってきますが、なぜそんなに優しいのですか?
 
あっちゃん:(笑)そんな優しくないですよ? でも映画を撮っていてわかったのは、いい家族に恵まれたなというのはありますね。親には、小さいころから「挨拶をしろ」と言われて育ちました。「勉強しろよ」とかは言われたことはないんですけどね。うちは商売をしていたので、「近所の人がお菓子を買ってくれて自分たちは生活できているんだよ、だから挨拶は大事」と言われて育ちました。それが、今の俺を形成しているんだと思います。色んなところに挨拶してますからね~。
 
—映画を通じて知った、あっちゃんの新たな一面があれば教えてください。
 
ナボ:新たな一面は、ネギのことや冷えたトンカツの話ね(笑)。普段一緒にバンドをやっていますが、お菓子屋さんとしての顔は、全く知らなかったんです。本来なら知らなくても良いだろうけど、あんなにハードなスケジュールをこなすあっちゃんのことを知りたいし、皆にも知ってほしいなという思いもあって。この映画を企画したことで、知ることが出来ました。
 
カタル:朝早い仕入れとかね。そういうのは今まで全然知らなかった部分です。いつも、ツアー中、あっちゃんは早起きなんですよ。それは、習慣だったんだなぁってわかりました。
 
r—あっちゃんの若旦那としての仕事っぷりも見どころですね。仕入れの手際がすごく良いですが、お菓子のチョイスのポイントは?
 
あっちゃん:すべて直感です。パッケージの綺麗さ、かわいらしさと、おいしさ、この3つがポイント。自分が手に取りたくなるようなものは、お客さんも同じかな、と思って選んでいます。
 
あっちゃん:すごい! あっちゃんの“お菓子を選ぶ極意”なんて誰も知らないよ(笑)。
 
—グッズなどを担当されているカタルさんに対して、あっちゃんからパッケージのことや、並べ方などは何か注文があったりしますか?
 
カタル:言われたことないですね~。聞いたら、答えてくれるけど。
 
あっちゃん:それは、カタルの戦場だから。
 
ナボ:責任を負わないようにしてるんだね。バンドに対してもその才能発揮してよ(笑)。あっちゃんは、“我関せず”なところは「俺知らないよ~」ってね。
 
あっちゃん:でも、いいライブとってくるじゃん。「餅は餅屋」なんです、うちは。
 
—映画は一つの節目になったと思いますが、この経験で自身の中に芽生えた気持ちは?
 
ナボ:僕はね、あっちゃんの生き様を作品にしたおかげで、「あっちゃんを使って、飯を食おうとしているのでは?」という、変な錯覚に陥ってしまい(苦笑)。バンドを食い物にしている奴らみたいになってないかって……。この映画を、プロデューサーという立場で色々考えていると、興行としてもヒットしてほしいし、でも、あっちゃんのプライベートをさらけ出した作品として世に出すわけですから、自分の中で葛藤がありました。
 
カタル:今まではライブやレコーディングという活動が主でしたが、ここにきてそれ以外の活動をやりはじめているニューロティカ。大変な部分もありますけど、新しい経験だし、これはこれでとても楽しんでいます。
 
あっちゃん:「劇場で公開できる映画をニューロティカが作ったぞ」ということで、俺たち何でもできるよという証明になりました。映画を作るために、クラウドファンディングサイト“CAMPFIRE”で支援をいただいたくということもできました。今回の映画をきっかけに、こういう方法があるということを、いろんな方に知ってもらえたと思うし、そういう意味での「メッセンジャー」ということと、「ニューロティカは何でもできる」という2つを確信しました。
 
—ナリオ監督にとって映画『あっちゃん』はどんな作品ですか?
 
ナリオ監督:間違いなく僕の映像・監督人生の中で、代表作と言えるものになりました。「ドキュメンタリー映画」が出来たなという思いです。「ドキュメンタリー映画」というのは都合のいい言葉で、国内外いろんなミュージシャンの「ドキュメンタリー映画」と呼ばれているものがすごく増えていますが、僕はそれをひとまとめに「ドキュメンタリー映画」と呼ぶことにすごく疑問があって。例えば、ライブ映像をまとめたものなら「フィルムコンサート」ではないかとか……。やはり、“映画”と名がつくなら、そこにはストーリー性や、この後どうなるんだろうというような起承転結、監督の思いが入っていないと映画として成り立たないのではないかという思いがありました。そういう意味では、僕が思う「ドキュメンタリー映画」が完成した、という安堵感はあります。
 
—ずばり、ニューロティカはなぜ30年と長い間続けることが出来たのでしょう?
 
あっちゃん:3点ほど僕の中にあって、ライブに行くと……。
 
ナリオ監督:待って(笑)。なぜ続けているのかという理由は、映画の最後の最後で明かされます。撮影を続けていく中で、最後の最後に泥酔したあっちゃんが「この話はメンバーにも言ってない、家族にも言ってない、恋人にも言ってない、誰も知らない事があるんだ。それをこの映画で話そうと思う」って言ってくれて、それを撮影した時にこの映画は間違いないものになりました。
 
あっちゃん:言ってる? 俺(笑)。
 
—バンドは昨年30周年を迎え、ますますパワフルに。これからチャレンジしたいことはありますか?
 
ナボ:演劇界に進出!
 
あっちゃん:以前から、5月から始まるワンマンで、劇をやりたいって言っていたんですが、先に氣志團がやってて(笑)。
 
カタル:また、二番煎じって言われちゃう。
 
ナボ:でも、彼らは昔からそういうことをやっているからね。うちらはド素人だから、大変な事になっちゃうと思うけど、映画を作ったことだし、それにまつわる何かをライブで再現というか、ネタとしていじったら面白いんじゃないかなと考えています。
 
—最後に、映画の公開を楽しみにしている皆さんにメッセージを!
 
あっちゃん:ニューロティカと一緒に、ナリオ監督、出演いただいた皆さん、クラウドファンディングサイト“CAMPFIRE”でご支援をいただいた皆さんの協力があって出来た映画です。皆で作った映画を、楽しんで観ていただけたらと思います。


 
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映画『あっちゃん』 Official Website:
http://www.acchan-movie.com/
ニューロティカ Official Website:
http://newroteka.com/


 
Theaters Information:
【東京】
2015.04/18(土)~05/09(金)/渋谷HUMAXシネマ 
2015.05/23(土)~06/12(金)/ニュー八王子シネマ 
【愛知】
2015.05/02(金)~05/15(金)/名古屋シネマテーク
【京都】
上映日未定/立誠シネマ
【大阪】
2015.04/18(土)~05/01(金)/シネマート心斎橋
【広島】
上映日未定/横川シネマ
【福岡】
2015.05/09(土)~05/22(金)/中洲大洋映画劇場


※前売券の劇場窓口での販売は各劇場の公開初日前日までとなります。


 
 


 
 
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