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TEXT:児玉圭一 PHOTO:KOJI
2010年8月1日、午後5時。米軍横田基地の近くにあるライヴハウス「福生UZU」の入口前には長い行列が出来ています。激しいチケット争奪戦を勝ち抜き、電車をいくつか乗り継いで、真夏の暑さを熱気で吹き飛ばしてくれるようなライヴを観るために福生まで駆けつけた、幸運な100人のファンたち。どうしても観たかった!そんな空気がいっぱいです。なんといっても、森重樹一のソロライヴなのですから。 森重樹一。今年結成26年目を迎えた至上のR&RバンドZIGGYのフロントマン/メインソングライターであると同時に、ソロアーティスト、The DUST’N’ BONEZ・THE PRODIGAL SONSのヴォーカリストとしても精力的に活動を行っている、まさに日本を代表するロックンローラー。神からもらった天才的な才能と歌声は、同業のミュージシャンからもリスペクトされています。
午後6時40分、闇に包まれたフロアーにMick Jaggerの「Just another night」が流れ、歓声とざわめきの中、バンドメンバーの神田和幸(Guitar:exマジック・カーペットライド・exティラノサウルス)、津田正(Bass:ex SHADY DOLLS)、満園英二(Drums:ex SADS,etc)が現れ、最後に舞台袖の化粧室の扉がゆっくりと開き、森重樹一の登場。金色に染めた髪、白いタンクトップ、タイトなデザイナー・ジーンズ姿は正にセクシーなロックンロール・ヒーロー。
「来てくれて有難う!……ソロアルバムを作ろうと思っていて…それで、凄い良いモノが出来ちゃったよ…久しぶりに自分がセンターで音楽を作ってみて凄く楽しかった……やっぱり俺はソロをやって行きたいという気持ちが凄くあって…出来た曲を歌う場所が欲しいし、この4人で演ったら凄く気持ち良いしね…今日は大阪のライヴ帰りで、声が良い感じにTOM WAITSになっていますけど、精一杯この声で歌って帰りますので、最後まで本当に楽しんでください!…この4人でやるバンドは、LOVE A SOULという名前でやって行こうと思っています!」
「……やるべきことは決まっているんだ、音楽だ。ロックンロールを演って行くんだ。バッチリやるよ…OK、ついてきてくれるかい!」熱いアジテーションにオーディエンスは歓声と拍手で応え、バンドはスリージーなコードカッティングが印象的な新曲「正直者」を披露。「福生UZU」のフロアーは、もはや狂熱状態。暑い。いや、熱い!
ライヴは遂に怒涛のクライマックスへ突入。バンドはギアをトップに入れ、身体中の血をたぎらせるアッパーチューン「根無し草」が炸裂。再び森重樹一がイントロ・ピアノを弾く盟友バンド愚息のカバー「転石」は、ひたすらエキサイティング!続いての名曲「Rock & Roll シンガー」では、ステージ上の森重樹一のアクションに呼応して、小刻みに身体を揺さぶるファンたちの熱気と歓声は沸点までに高まり、バンドのアドレナリンの量もリミット寸前まで上昇していくのを感じます。
アフリカン・パーカッションの調べのような盛大なアンコールの手拍子と歓声に乗って、LOVE A SOULが再び登場。森重樹一の「俺の心のお母さんを」というMCと共にステージに呼ばれたのは「福生UZU」のエリコオーナー。そして、もう1人ステージに招かれたスペシャルゲストは……「満園英二のドラムで宗仁が弾いたら最高に面白いなって思って呼んでみたら、ふたつ返事で、大阪帰りで疲れているのに来てくれました…松尾宗仁!」
そして曲が終わり、ライトが森重樹一を照らし出すと、孤高のロックンロール・シンガーはオーディエンスと「福生UZU」に対して厚い感謝の言葉を述べ、今夜最後の曲名を告げました。「俺、やっぱりセカンドアルバムが好きなんだよな…『HEART OF GOLD』……ええっと、Blowin’ Free!」神田和幸がスペーシーな美しい音色を響かせる「Blowin’ Free」は、津田正と満園英二のリズム隊がソリッドなリズムを繰り出し、縦横無尽にうねるバンドサウンドの中、エンジン全開で燃え上がるように自在に歌う森重樹一。LOVE A SOULは鳴り止まない拍手と歓声の中、記念すべき初陣を締めくくりました。 「真夏の夢のような濃密な情感を孕んだステージ……肩を怒らせる力みも焦燥感もなく、全てを知り尽くした切なさを狂おしくリアルに歌う、タフで知的なロックンロール・シンガー…」デビューから約四半世紀を経て、音楽的ルーツと言うべき場所に帰って来た森重樹一のホーム・カミング・ライヴを間近で観て、僕はそんな風に感じました。そして夢や希望を持つことが難しい、厄介な今の時代を生き抜いていく為の最高の武器は「自分の手の中にある絆」であるということを再認識させてくれた一夜でもありました。2010年代、森重樹一は、蓄えたエネルギーのすべてを放つことでしょう。 「やるべきことは決まっているんだ、音楽だ。ロックンロールを演って行くんだ!」毅然とした口調で観客に言った言葉が、今も僕の脳裏に焼き付いています。
■森重樹一 公式サイト
http://www.morishigejuichi.jp/ ■インフォメーション ■インフォメーション2 3年ぶりのオリジナルアルバム Release!! 《収録曲》 KILLER TUNE DDCZ-1715 ¥3,000(税込)
■セットリスト
M01. マイフレンド M02. どんな花より美しい M03. LOOKING FOR MY PARADICE M04. がんじがらめ M05. 正直者 M06. AIR BACEで M07. STRENGTH M08. Till The End M09. 根無し草 M10. 転石(愚息) M11. Rock & Roll シンガー M12. Rusty Voice – encore – M13. Honky tonk women(THE ROLLING STONES) M14. Blowin’ Free
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