正統派ハードロック/ヘヴィメタルを奏でるConcerto Moonが、『関東5days』と題したショートツアーを実施。その最終日、2010年4月25日(日)の目黒鹿鳴館をレポートしたい。Concerto Moonといえば、スーパーギタリスト島紀史を中心に、骨太でドラマティックな楽曲とサウンドで90年代から活躍しているバンド。結成からコンスタントに作品をリリースしているが、その高クオリティな内容は、音楽雑誌から絶賛されるなど、大きな成果を残してきた。
五反田の山手通り側で打ち合わせをしていた私は、電車を使わず目黒へ向う。目黒川のあたりを通るのは久しぶりだ。権之助坂を坂下から上っていくと、見慣れない店が並んでいる。かなり入れ替わりがあったようで時代を感じてしまう。目黒の鹿鳴館といえば先日30周年の記念イベントがあったばかり。30年近く前も、このあたりにいた自分を思い起こし、遠い日の記憶をなぞる。…なぜか美しい思い出よりも、打ち上げで出入り禁止になった居酒屋など、ろくでもない記憶の方が蘇ってくる。
定刻、SEが流れオーディエンスが熱狂的な声援をステージに送る。いよいよだ。このライヴのスタートの瞬間の緊迫感が私は大好きだ。メンバーが登場する。このラインナップのConcerto Moonを観るのは初めて。メンバーは、井上貴史(Vocal)・島紀史(Guitar)・杉森俊幸(Bass)・長田昌之(Drums)。特に新加入の杉森俊幸に目がいく。いったいどんなプレイを魅せてくれるのだろうか。オープニングは「TIME TO DIE」。アルバム『RAIN FOREST』に収録された名曲だ!イントロのリフでオーディエンスの心を鷲づかみ!
「RUN TO THE SKY」からPVでおなじみの「LIES AND BETRAYL」へ。島紀史が投げるピックに、ライトが当たってダイヤのように輝きながら宙を舞う。オーディエンスの腕がその輝きを手にしようと大きく伸びる。私にはその風景がスローモーションのように映る。そしてニューアルバムのタイトルナンバー「ANGEL OF CHAOS」へ。初めて聴くナンバーでも、一発で覚えてしまうサビに、2コーラス目からは口ずさむオーディエンス。島紀史のマーシャルサウンドも最高だ。常に安定していて、いつ観てもハズレの無いプレイが島紀史の素晴らしさ。
ニューアルバムからもう一曲「LOST IN THE DARK」、そして「KING OF THE JUDAS」。この曲のキーボードレスを聴くのはどこか不安があったものの、まったくマイナスになっていない白熱プレイ。サビになるとオーディエンスは拳で歌いまくる!2Fの関係者ブースで私も思わず“KING OF THE JUDAS~!”まさに拳の大合唱!井上貴史は歌も上手いが、オーディエンスのあおりも上手い。続いて「TARGET IN THE SPIDER’S WEB」と「ALMIGHTY WINGS」。ハモンドの足鍵盤を巧みに操りながら、島紀史が魅せる!
「TO DIE FOR」が始まり、少しするとギターの単独ソロへ。島紀史のソロが悪いわけがない。食い入るようにオーディエンスはガン見状態。そのままドラムの単独ソロへ突入。長田昌之のパワフルなドラミングは、ハードロック系ドラマーの完成形のようなスタイル。2バスのフレーズはオーディエンスのアドレナリンを増加させる。まだConcerto Moonを体験していない方は、イケメン過ぎる長田昌之のルックスに目がいってしまうかもしれないが、一級品のドラムプレイを感じてほしい。Concerto Moonのパワー感は彼が作り出していると言っても過言ではない。
後半戦は、メロディアスなナンバー「SAVIOR IN GREED」、そして「IT’S NOT OVER」と「DREAM CHASER」。これでもか!というほど拳があがる。ここでオーディエンスの表情を見てみようと、2F席から乗り出してみると・・・素晴らしい笑顔。腕組みして、しかめっ面でステージにガン飛ばしているような人はゼロ!さすがConcerto Moon。良いファンに囲まれた幸せなバンド!あっという間にラストナンバーの「CHANGE MY HEART」。究極のメロディアスロック!それにしてもここまでのプレイで、長田昌之だけ休みが一度も無い。何と言うパワーと気合だろうか。
アンコール一発目は「SURRENDER」、そして「UNSTILL NIGHT」。この燃えずにいられない展開は何なんだ!オーディエンスはすでにクタクタのはず。それでも大きく拳を上げ、ヘッドバンギングを続ける。一瞬で終わってしまったアンコールへの不満からか、更なる“コンチェルトコール”。二度目のアンコールは私の好きな「FROM FATHER TO SON」から「TAKE YOU TO THE MOON」へ。かなり満足できるステージ展開に感激しながら、取材のメモをまとめていると、帰ろうとしないオーディエンスの声に導かれ、三度目のアンコールが!「CONCERTO MOON」だ。バンドの渾身のプレイに応えるように、最後の力を振り絞ってヘッドバンギングするオーディエンス。
終演後、ワンマンライヴを完全燃焼したオーディエンスは、すぐに帰ろうとしない。物販ブースに顔を出した島紀史と長田昌之は、汗だくのオーディエンスと楽しいコミュニケーションをしている。さて今日の最後のメモは杉森俊幸。いったいどんなプレイをしてくれるのか楽しみだった。杉森俊幸は5弦ベースを使用していたが、弦が増えればネックも太い。太いネックゆえフレットを自由自在に動く指がよく見えた。彼の5弦はロー側(低音側)に1本追加したタイプだが、4人編成となったConcerto Moonの音域の広がりに貢献していくだろう。今回のセットリストは加入以前の楽曲が多かったが、ニューアルバム『ANGEL OF CHAOS』を聴くのが楽しみになってきた。
最後に挨拶をするため楽屋訪問。そこで目に入ったのは、一心不乱に書き物をする杉森俊幸の姿。書いている内容はわからないが、時々顔を上げて思い出しながら書いている姿から想像するに、ライヴのアフターチェックではないかと思う。真面目な人柄に惚れそうだ。その反対側では井上貴史が、力を出し切った充実した表情で微笑んでいる。ステージで魅せる圧倒的な全開パワーとは裏腹に、男の優しさがにじみ出ている。キーボードレスに生まれ変わった新生Concerto Moon、この素晴らしきメンバー達が作るこれからの伝説に期待大!
http://www31.ocn.ne.jp/~n_shima/
■インフォメーション
2010年6月20日(日)【高円寺】Mission’s
2010年7月07日(水)【新譜リリース】ANGEL OF CHAOS
M01. TIME TO DIE
M02. RUN TO THE SKY
M03. LIES AND BETRAYL
M04. ANGEL OF CHAOS
M05. LOST IN THE DARK
M06. KING OF THE JUDAS
M07. TARGET IN THE SPIDER’S WEB
M08. ALMIGHTY WINGS
M09. TO DIE FOR
M10. SAVIOR IN GREED
M11. IT’S NOT OVER
M12. DREAM CHASER
M13. CHANGE MY HEART
– encore 1 –
M14. SURRENDER
M15. UNSTILL NIGHT
– encore 2 –
M16. FROM FATHER TO SON
M17. TAKE YOU TO THE MOON
– encore 3 –
M18. CONCERTO MOON
CONCERTO MOONのメンバー全員のサインを、抽選で1名様にプレゼント!(7/7締切)
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