演奏

SHEENA & THE ROKKETS

TEXT:桜坂秋太郎 PHOTO:万年平男

日本が誇るロックンロールバンドSHEENA & THE ROKKETSのワンマンライヴが、2009年8月21日に開催されました。夕方、会場となった「ROCK JOINT GB」には、皮ジャンをひっかけたロッカー達が続々と集結。SHEENA & THE ROKKETSは昨年活動30周年を超えたモンスター級バンド。これほどの長い年数を現役でロックしているバンド、世界的にもそう数はありません。まさにロックモンスターです。

そんなSHEENA & THE ROKKETSを、今夜スペシャルDJとしてサポートするのは、俳優の佐野史郎。開場直後から熱気があふれんばかり。ロックバンド活動もしている佐野史郎が繰り出すDJプレイは、その選曲がバラエティに富んでいて、何がかかるか予測不可能。CDとアナログレコードを交互にかけながらオーディエンスを盛り上げます。リハーサル中にお話を聞いてみると、「これは!と思う物(CD・レコード)を今日はたくさん持ってきています!」と気合の入ったコメント。

オープニングアクト登場の時間になると、SUPER BABY FACEが登場。SHEENA & THE ROKKETSを観にきたオーディエンスは、ポップでカラフルなステージを展開するSUPER BABY FACEをどう感じたのでしょうか。初めて観るバンド、キュートなレディースバンド。メロディアスでありながらパンチの効いたビートを展開するその姿に打たれ、曲が進むにつれて皮ジャンを脱いでは体を揺らし、声援が送られます。彼女達もその声援に応えるように、ARB「ダディシューズ」のカヴァーを披露。

SUPER BABY FACEはオープニングアクトの役目をエネルギッシュにこなし、オーディエンスは完全にロックモード。温まった会場の空気を引き継いで、バンド転換タイムは再び佐野史郎のDJプレイ。待ちきれないテンションのオーディエンスをさらに盛り上げ、SHEENA & THE ROKKETSの登場を演出。大勢のオーディエンスの鼓動が聞こえます。何かが爆発しそうな空気が会場に満ちています。

暗いステージにSHEENA & THE ROKKETSのメンバーが登場すると、テンションMAXなオーディエンスの大声援。ライトオンと同時に「バットマン」でスタート。「デッド・ギター」「ビールス・カプセル」そしてあっという間に「ホラフキイナズマ」へ。多くのオーディエンスが一緒に口ずさむ根強い人気のナンバーは、ライヴには欠かせません。

さらに1984年のシングル「スイート・インスピレーション」と1988年のシングル「ハッピー・ハウス」で大合唱の興奮状態。Sheena(Vocal)、鮎川誠(Guitar)、渡邊信之(Guitar)、浅田孟(Bass)、川嶋一秀(Drums)、5人のロックンローラーのオーラがキラキラと輝いて客席のオーディエンスを照らします。そこにはSHEENA & THE ROKKETSと共に生きてきたファン一人一人の一途なロックへの想いも輝いています。

30周年に発表した2008年のシングル「ジャパニック」へと繋いだ後は、「プラネット・ギター」「グローリー・オブ・ラブ」、そして糸井重里作詞の「ピンナップ・ベイビー・ブルース」で10曲目に突入。まったく勢いが衰えないままSHEENA & THE ROKKETSは、オーディエンスとコンタクトを取りながら「プロポーズ」「クライ・クライ・クライ」「レイジー・クレイジー・ブルース」と続けます。

「レモンティー」のリフが始まると、オーディエンスはリズムに合わせたトランス状態。この歌詞は、RCサクセションの「雨上がりの夜空に」と並んで、日本のロックシーンでトップクラスの『芸術的な歌詞』です。いつまでも色あせない素晴らしい深い歌詞に心打たれていると、ラストナンバー「ユー・メイ・ドリーム」へ。これは1979年のシングルで、SHEENA & THE ROKKETSの存在を日本全国に知らしめた大ヒットシングル。オーディエンスは拳を振り上げてラストナンバーを歌っています。

大声援の中、一度暗くなったステージ。もちろん鳴り止まないアンコールに応えて再登場するSHEENA & THE ROKKETS。そしてオープニングアクトのSUPER BABY FACEをステージに呼びます。アンコールは1978年のシングル「涙のハイウェイ」、そして鮎川誠のロック魂で歌い上げる名曲「マイウェイ」。実に17曲というセットリストをプレイしたSHEENA & THE ROKKETS。オーディエンスのみならず、会場のスタッフも、素晴らしいプロのロックンローラー達へ大きな拍手を送ります。

1978年のデビューから31年。数々の名曲と名演を残してきたSHEENA & THE ROKKETS。そしてその中心人物である鮎川誠は、昨年還暦を迎えられ、今年は61歳。信じられない驚異的なロックパワーに、ただひたすら圧倒されるステージでした。終演後、目頭を熱くしているオーディエンスも数多く、生きていることとロックンロールがイコールな空間がそこにはありました。

31年の間には、Sheenaが出産のため離れ、THE
ROKKETS
という形での活動時期はあったものの、骨の髄までロックンローラーな鮎川誠は立ち止まること知りません。1970年に結成された伝説のバンドサンハウスでメジャーデビューし、トレードマークの愛器ギブソンレスポールカスタムを抱えた男は、これからも走り続けることでしょう。転がる石のように。

Photo Gallery(写真をクリックすると拡大します)
Sheena、鮎川誠、渡邊信之、浅田孟、川嶋一秀