演奏

ジョージ・クリントン&PARLIAMENT/FUNKADELIC来日記念前夜祭!【WE WANT THE FUNK!!】

TEXT:ワタナベヨーコ PHOTO:万年平男

衆議院選挙で世間が湧いていた2009年8月30日(日)、選挙以上に盛り上がったと思われるイベント、『ジョージ・クリントン&PARLIAMENT/FUNKADELIC来日記念前夜祭!【WE WANT THE FUNK!!】』が吉祥寺の曼荼羅で開催されました。
このイベントはその名のとおりファンクミュージックを牽引するジョージ・クリントンの9月の来日に先立って、勝手に盛り上がっておこう!というまさにファンキーなトリビュート・ライブ。今回のオーガナイザーは、日本を代表するP-ファンクバンドFREEFUNK艦長!彼の指揮のもとバカ騒ぎするのに選りすぐりのバンドが集められました。

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台風が近づいていることもあり、あいにくの小雨模様の天気。しかし開場前からライブハウスの前には人が並び、オープンするとフロアに投票を終えた(?)人たちが続々と入場。DJたかりん選曲のサウンドがゆったりと流れるフロアで、観客一同ライブが始まるのを待っていると、薄暗いステージになにやらキラキラした人たちが登場。しばらくすると、スペーシーなキーボードの音がそっとフロアに流れてきて会場をぐるぐるとまわり出しました。そしてそれにベースとドラムが加わって激しいビートになったころ、教祖様のような衣装に身を包んだヴォーカルのCaptain Lazyがステージに現れ「Under the Sun」でギャラクシーダイナマイツのライブがスタート。

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ギャラクシーダイナマイツは「宇宙を平和に、地球にやさしく」をモットーに活動するファンクバンドですが、なんといってもまずは見た目にやられます。ピカピカした衣装にばっちり合った、個性的なメンバーたち。そのインパクトに気を取られているうちに、気づけばゆったりとしたテンポに引きずり込まれていました。ミドルテンポのリズムに程よく濃厚なベース、そして低音と高音がうまくミックスされたコーラスは、地球にも体にもとてもやさしく響き、さすが銀河系と思わされます。

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途中、Captain Lazyが「私たちは宇宙からやってきました、何で来たか分かるかな?」と問いかける場面があり、観客が場の雰囲気に飲まれて答えられないでいると、「お友達になりたいからです!なってくれるかな?」とリクエスト。我に返った観客はみんな大きな声で「Yeah!」と叫ぶとバンドと観客の距離は一気に縮まり、その勢いで「Never Tears Again」へ突入。2本の激しいギターとトランペットで思いっきり盛り上がり、最後の曲、「Let get it on people」が終わるころにはみんな銀河系の外へ完全に連れていかれました。

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ジョージ・クリントンが日本に上陸する前に、ひと足先に発車しないか?吉祥寺!」ヴォーカル・イーケンの掛け声とともに、電車を歌った曲「ドデスカデン」で次のバンド、ジャングル5のステージが始まりました。電車の動くようなパフォーマンスと共にぐりぐりとしたベースに乗せられるこの曲は、すぐに激しいギターで盛り上がり、あっというまに曲が終わると間髪いれずにイーケンと観客の掛け合いがはじまります。

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イーケン「お父さんを愛しているか!?」
観客一同「Yeah!」
イーケン「お母さんを愛しているか!?」
観客一同「Yeah!」
イーケン「今日選挙に行ってきたか!?」
観客一同「Yeah!」
イーケン「うそつけ!」
観客A 「いや、ほんとに行きましたよ」
イーケン「え、ほんま?ごめん、ごめん」
掛け合いからスタートした「ほのぼの家族」は、テンポ良くグイグイ観客を引きこんでいった上、本日の最後に登場するバンド、FREEFUNKのサックス・Shibakenが飛び入り参加し、いきなり見せ場をつくって会場はさらに盛り上がっていきました。

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「みんな、FUNKという概念を知っているか?オレはこの間それを発見したんだ。これはオバマローマ法王くらいしかしらないトップシークレットだぜ」とイーケンオバマはともかくローマ法王はファンクを知っているのか?と心の中で突っ込んでいると、「ファンクの本当の意味は・・・」というMCの後、「あほでルーズでポジティブで!」と、定番のナンバー「だいたいおおよそ」が始まりました。

続いて新曲の「魅せつけろナイスボデー」の演奏もあり、ファンは大喜びで踊ります。この曲はそのすごい歌詞にも関わらず思わず聞き入ってしまうもので、ギターとベース、それにヤフオクで落札したというシンバルを携えたドラムの音がひとつになり、また味のあるパフォーマンスと共にステージを作り上げていきます。ラストナンバーの「ビリビリ電撃ショック」では、イーケンが激しいビートにのせて踊り出し、ついにはフロアにまで進出して観客にもビリビリ踊ることを要求します。そしてじっくりとフロアを一巡すると、ジャングル5の濃いステージは終わりました。

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そしていよいよ最後、トリを飾るFREEFUNKが登場、FREEFUNK艦長のギターですぐにヒートアップ、「Cosmic Slop」でステージが始まりました。最初からの激しいステージを展開し、オリジナルの「Free Funk Shuttle」に続くと、トランペットの見せ場で会場は一気に盛り上がります。FREEFUNK艦長の歌にMei-Meの高音のヴォーカルが気持ちよくのり、その熱気のまま引き続き新曲の「One Plus One is One」(現在ウェブサイトにて無料配信中!)が始まりました。先ほどジャングル5にも登場していたサックスのShibakenのアツい演奏の後、キリキリとした刻む音が気持ちいいキーボードのソロ。そして激しいドラムが鳴り響くと、もう観客がみんな前の方に流れてきて、そのままジャンプし始める始末。

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お客さんのノリやその場の雰囲気によって、一曲を長くしたり短くもしたりするというFREEFUNK艦長。この全員ジャンプの盛り上がりの中、もっと聞いていたい!ノっていたい!という気持ちに応えてくれるかのように、何度もサビを繰り返し、さらにぐいぐいと引き込んでくれます。それは本当に物足りなくもなくオーバーでもない、ちょうど良い心地よさをキープしてくれるような演奏でした。

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そしてラストナンバーの「Give up the Funk」がキーボードのメロディーで始まると、客席で見ていたCaptain Lazyイーケンがいてもたってもいられないといった様子でステージに参入!マイクを奪い、一緒に歌い出します。観客はさらに激しいジャンプになり、Mei-Meはフロアに降りて踊りまくり!観客とバンドが一体化すると、もう何がなんだか分からない状況に。テンションが最高潮に達し、気持ちの良いエンディングでライブは終わりました。

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【WE WANT THE FUNK!!】とにかくどのバンドも、とても楽しそうに演奏しているのが印象的でした。そのためフロアにいる観客にも自然にその楽しそうな雰囲気が伝わっていき、気がつくとみんな一緒にめちゃくちゃ楽しいハイテンション!になっています。でもファンクミュージックならではの適度なユルさもあるので、肩の力を抜いて楽しめる雰囲気もあって、私(ワタナベヨーコ)的には、気持ちの良い心地良さが続くライブでした。こんな風に楽しめるイベントはなかなか無い!と思いました。

最近何かが足りないなあと思っている方、ぜひファンクなイベントに行ってみてください。必ず満足できるはずです。今、あなたに足りないのはファンクかもしれません!

・・・ライブハウス「曼荼羅」では、ライブが終わった後もお酒を飲んだり秘伝のレシピで仕上げた人気の『カレー』を食べたりして、ゆっくり時間を過ごすことができます。なんと『カレー』を目的に食べにくるお客さんもいらっしゃるそうです。「曼荼羅」へお越しの際には是非『カレー』も味わってみてください。