演奏

アコギでモトリーナイト in ShiMa

TEXT&PHOTO:岡田真理

photo2009年8月1日、東京は大塚のFOOD & CAFE BAR SHiMa にて、開店3周年記念ライブ『アコギでモトリーナイト』が開催されました。FOOD & CAFE BAR SHiMa は、80年代にFLYING VISIONというガールズバンドでヴォーカルとして活躍し、現在は音女(おとな)ばんどで活動中のShimaさんが経営する、ロック好きの人々が集まるカフェバーです。今回のイベントはタイトルの通り、Mõtley Crüeのアコースティックライブ。出演するのはShimaさん他、お店で交流のあるバンドマンの仲間たちで、ヴォーカルが入れ替わり全15曲を披露します。Mõtley Crüeのアコースティックライブをやってみたいね、という雑談から実現した今回のライブは、お店の常連さんやミュージシャン仲間など、総勢30名以上のオーディエンスを迎え、夏まっさかりの土曜日、シックな大人の夜を演出してくれました。

photoビールの香りと熱気に包まれた会場にまず現れたのは、exMURBAS,ex16LEGSのスーパーギタリストにして、Mõtley CrüeのトリビュートバンドであるもっとリクルートOMMY(Guitar)。それからTAKE-SIXX(Bass)、たけぼーん(Percussion)の3人。続いて今夜最初のヴォーカルを務めるNIGHT BUZZ藤重が登場。アップテンポなリズムが流れると、1曲目の「Kickstart My Heart」が始まりました。高く、力強い藤重のシャウトが一気に会場を包み込み、オーディエンスは座りながらも体を揺らし始めます。次にスタンバイしている他のヴォーカルたちも、地声のコーラスで盛り上げていきます。2曲目の「Looks That Kill」に入ると、オーディエンスの揺れは一層強くなっていきました。まだ始まったばかりだというのに、ボルテージは滞ることなくどんどん上がっていきます。3曲目の「Louder Than Hell」で藤重の声はさらに高く、パワフルになっていきました。そしてたけぼーんのパーカッションが響き、藤重のラストソングとなる「Red Hot」へ。オーディエンスもヴォーカルに合わせて「Red Hot!」と叫びます。大きな拍手に包まれる中、藤重のステージは終了しました。

photo次のヴォーカルは、Mõtley Crüeを意識してピンクのヒョウ柄衣装に身を包んだShima。いつもはステージでお酒を飲まないという彼女ですが、今夜は特別にビールを持ってマイクの前へ。オーディエンスと乾杯を交わしたあと、1曲目の「Don’t Go Away Mad」がスタート。オーディエンスは手拍子でライブを盛り上げていきます。曲が終わり、「夏まっさかりで、しかも土曜日。海や山に行きたいのに、今夜ここへ来てくれてありがとう!」とShimaが笑顔で叫ぶと、オーディエンスは歓声でそれに応えました。続いては「Too Fast For Love」。Shimaのパワフルなシャウトに、オーディエンスも思わず手を振り上げ、「Too Fast, Too Fast For Love!」とコーラス部分を一緒に、思いきり叫びます。他のヴォーカルたちも負けずに、バックから声を張り上げます。それが終わると、TAKE-SIXXのベース音がじわりじわりと会場を這い、今度は「Saints Of Los Angeles」の始まりです。リズムに合わせて首を縦に横に振るオーディエンス。「Smokin’ In The Boys Room」は有名な曲とあって、誰もが一緒にリズムを取り、躊躇なくシャウト。盛り上がりが最高潮に達したところで、Shimaのステージは終了です。

photoすでに熱気で溢れ返る中、続いて登場したのはつばさ。1曲目の「Dr. Feelgood」が始まります。オーディエンスは座ったまま所狭しと肩を揺らします。つばさはハスキーな高い声を張り上げ、オーディエンスを魅了します。続く「Girls, Girls, Girls」でも、アコースティックとは思えないほどパワフルなパフォーマンスを見せつけます。次に、しっとりしたギターサウンドから始まったのは「Merry-Go-Round」。コーラス部分に差し掛かるにつれて、再びつばさの声が力強くなっていきます。オーディエンスは足でリズムを刻みながら、ひとときも彼から目を離しません。ここでもまた、他のヴォーカルたちが「Merry-Go-Round!」と後ろから負けずに叫びます。最後の曲は、「Same Ol’ Situation」。パーカッションが響き、ギターがそれに重なり、そして次に手拍子が会場を包むと、最後まで力を振り絞るようなつばさのシャウトが響きました。再び、オーディエンスがコーラスをシャウト。他のヴォーカルたちは綺麗なハモリを聴かせます。鳴りやまない拍手と歓声の中、つばさはステージを後にしました。

photoそして今夜、最後にステージに姿を見せたのは、exDANCER,exANTHEMなど、数々のバンドでヴォーカルを務め、現在はTYOのヴォーカルのTony。1曲目からテンションを上げ、「Live Wire」の始まりです。Tonyの勢いに、オーディエンスも肩を揺らし、手を振り上げてついていきます。続く2曲目は、OMMYのスローなギターソロから始まった「On With The Show」。オーディエンスはコーラスを静かに口ずさんでいました。そして最後は、「これを歌いたくてこのライブをやった」とTonyが語る、Mõtley Crüeの名曲中の名曲「Home Sweet Home」です。オーディエンスが皆、Tonyのスイートヴォイスと、OMMYのしっとりしたギターサウンドに酔いしれます。そこにいる全員がひとつになった頃、曲は終りを迎えました。ライブの終わりを惜しむ拍手はいつまでも止みません。

photoライブはこれで終了の予定でしたが、オーディエンスの拍手はしばらく止まず、アンコールへ。当初アンコールは想定していなかったため、バンドメンバーやオーディエンスの呼びかけで急きょ藤重が再度ステージに登場することになりました。少々困惑しながらも、OMMYTAKE-SIXXたけぼーんと相談して、アンコールの曲を「Shout At The Devil」に決定。自分の出番のあとすっかりお酒が入ってしまった藤重でしたが、そんな雰囲気は微塵も見せない、力のあるシャウトを最後の最後まで響かせてくれました。オーディエンスは膝でリズムを取り、手を叩き、肩を揺らして最後の瞬間を心行くまで堪能。そしてついに、ライブは終焉を迎えました。

普段から交流のある仲間とあって、MCでは冗談を言い合ったり、出だしを失敗してみせて笑いをとったりと、ライブは最後まで和気藹々とした、アットホームな雰囲気に包まれていました。今回ステージに登場したメンバーは、青春時代にMõtley Crüeを聴いていた世代。影響を受けたバンドのカヴァーだけに、演奏や歌唱にも魂が込められていました。FOOD & CAFE BAR ShiMaでは、「ブルースナイト」「沖縄ナイト」「ロックナイト」など、コンスタントにライブを行っているそうです。ライブハウスにはあまり足を運ばない方でも、こんなふうに少しオトナな雰囲気のライブなら、きっと楽しむことができるのではないでしょうか。

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<取材協力>
FOOD&CAFE BAR SHiMa

住所: 東京都豊島区南大塚2丁目42-7 水野ビルB1F
Tel: 03-3946-8281
最寄駅: JR山手線 大塚駅 南口より徒歩1分
営業時間: 18:30〜24:00
定休日: 日・月(貸切・イベントの際は営業)
URL: http://nadia.way-nifty.com/shima/