演奏

人間椅子『春のにほひは涅槃のかをり』ツアー

TEXT:八神灰児 PHOTO:曲香-mageshang-

大阪担当のライター八神が、2010年4月13日(火)ESAKA MUSEにておこなわれた『春のにほひは涅槃のかをり』ツアーの大阪公演をレポートします!「春はひとつの匂いを持っています。それは、遠く彼岸から漂ってくる涅槃の薫りです。今春、春の薫りとともに人間椅子が東名阪を回ります。(公式blogより引用)」とのコンセプトに基づいた“東名阪横断ツアー”、いったいどのような春のライブを展開してくれるのでしょうか。

ハードロックが大好きながら、まだまだ造詣も浅く、人間椅子のライブ初見の私は喜び勇んで会場入り!入るなり会場には人・人・人の人だかり!こんなに「大阪ESAKA MUSE」が狭く感じられたのは久しぶりです。すごい!男女問わず、20代からアラフォーまで様々な世代のオーディエンスが会場狭しと溢れかえっています。長年メジャーで活躍している人間椅子のファン層の広さを感じます。

人間椅子は1987年に結成された後、何度かメンバーチェンジをし、現メンバーは和嶋慎治(以下和嶋:Vocal & Guitar)、鈴木研一(以下鈴木:Vocal & Bass)、ナカジマノブ(以下ノブ:Vocal & Drums)の3人。ハードロックやヘヴィーメタルのサウンドを基調としながらも、和嶋鈴木の出身地である青森の“津軽三味線由来の旋律”をからめたり、津軽弁を意識した歌い方や独創的で文学的な歌詞など、唯一無二のバンドとして、ファンの心を長年つかんで離しません。

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時が来て会場が暗くなると、ステージが淡い照明に包まれ、いよいよメンバーの登場!ノブは和と洋が融合したスタイル。和嶋はファンにはすでに馴染みとなっている昭和の文豪を彷彿とさせる和服に身を包み、手にはもちろん伝家の宝刀とも言える赤いSG。同じく馴染みとなっている鈴木は袈裟姿での登場!白化粧をほどこし、さながらその姿は純潔な琵琶法師のよう。今か今かと待つファン達の息遣いの中、ノブのカウントが響きスタート!

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会場は一気にマックスボルテージ!1stアルバムから「鉄格子黙示録」。昨年発売されたベスト盤にも新録が入った往年のファンにとっても新規ファンにとっても必聴のナンバー。待ちわびていたオーディエンスから、これでもか!と拳が上がります。THIS IS HARD ROCK!!!THIS IS 人間椅子!!!オーディエンスは身も心も激しく揺らして、リズムにサウンドにすべてを委ねています。

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たたみかけるように「怪人二十面相」へ。2000年に発表されたアルバムのタイトルナンバー!月日をまったく感じさせない気鋭のサウンドは、人間椅子の真髄であると実感!なんの約束事もなく上がる拳と激しいヘッドバンギング!会場を染めるライトに身を照らされたオーディエンスの姿、そのうねりはさながら二十面相のマントの様!ノブが叩く力強いドラムビートに、叫びにも似た鈴木の声が重なり、オーディエンスの体に染みこんでいきます。

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自らが温故知新と称し、久しぶりのプレイとのMCで始まったのは「九相図のスキャット」。オーディエンスは懐かしさに歓喜!続いて、読経の様な鈴木のボーカルが印象的な「月下に捧ぐ舞踏曲」。ドゥーミーでヘビーな力強さの中に、何ともいえない儚さが印象的。激しさの中の刹那にある狂気と混沌。気がつくと、人間椅子の魅力に私も一気に持って行かれ、レポート用にメモすることも忘れて身を揺らします!

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興奮冷めやらぬままMCへ。各メンバーの前世について語られ、中でもノブは、前世において大酒飲みの女好きであったと明かします。和嶋鈴木がそれを受けて「今も同じだよね」と言えば、会場は爆笑の渦に。こうしたMCも人間椅子のライブの醍醐味の一つ!独創的なサウンドを表現し続ける彼らの、人間性の一端をわずかばかりでも垣間見えるのはライブの特権。

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ファン垂涎のセットで中盤戦を駆け抜け、届けられた12曲目のレアナンバー「甲状腺上のマリア」。鈴木がベースをギターに持ち替え、和嶋とのツインギターで会場を虜に。鈴木の多才ぶりに感動。聞き惚れるとはまさにこのこと。しっとりと聞かせた後、静まり返った会場を再び戦場に呼び戻すかのごとく!ノブが吠える!「次は俺が歌わせてもらいます!」と「赤と黒」を熱唱!鈴木が軽くヘッドバンギングしながらベースを響かせ、和嶋のギターが重なり、突き抜けるようなノブのボーカル&ドラムプレイは最高!(余談ですが実はこの曲が聞きたくて、アルバム『未来浪漫派』を購入したのは何を隠そう私です)

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後光のようなライティングに照らされ、「転落の楽典」ではリズムに合わせてオーディエンスは再び上下に頭を揺らします。和嶋のギターソロは、誰もが酔いしれるように聴き入っているのが特徴的です。ラストナンバーは、イカ天時代からの彼らの代名詞とも言える「針の山」。Budgieの「Breadfan」に日本語の歌詞を乗せたこの名曲のドラムビートが激しく響くとオーディエンスは狂喜乱舞。人間椅子フィーバー!

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バンドの熱演に会場のボルテージもさらにヒートアップ!オーディエンスはこの夜の熱さをステージへ返したいとばかりに“声を拳を”振り上げます!曲が終わると、メンバーは何度もオーディエンスとハイタッチを繰り返し、ステージから去っていきます。当然興奮さめやらない会場からの拍手はそのままアンコールを求める手拍子に変わり、まもなくメンバーがステージに。

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「大阪では初めて、フルコーラスで歌わせていただきます!」と和嶋のMCとともに届けられたアンコール1曲目は「神経症 I LOVE YOU」。20年前に生み出されたレア中のレアとも言える楽曲ですが、CDには2番までの収録。今夜は3番までのフルで歌ってくれる!ということで、ファンは喜ばずにはいられません!そのまま「地獄風景」でアンコールが終了。と思いきや、オーディエンスはさらなる歓声と拍手でメンバーをダブルアンコール!メンバーはステージに戻ってきます。最後の最後のナンバーは「どっとはらい」。キメというキメに会場中が吠える!会場が一つになって熱い夜は幕を閉じます。

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独自の世界観を貫き、長年メジャーで活動を続ける実力を、余すところなくステージにて披露してくれた人間椅子。男女問わず、世代も問わず、ひとつになって酔いしれている様子はとても印象的でした。初めて観た今夜の衝撃は、きっと忘れないでしょう。人間椅子は7月にまた大阪にやってきてくれます。まだ人間椅子を観たことが無いという方!少しでもこの記事から伝わるものがあれば、ぜひ足を運んでください!私と同じように、その魅力に一発ノックアウトは間違いありません!7月はレポートではなく、一人のファンとして私も“声を拳を”振り上げに行きます!

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【セットリスト】
01. 鉄格子黙示録
02. 怪人二十面相
03. 九相図のスキャット
04. 蛇性の淫
05. 月下に捧ぐ舞踏曲
06. 白日夢
07. 見知らぬ世界
08. 冥土喫茶
09. 黒猫
10. サバス・スラッシュ・サバス ~ パラノイド
11. 深淵
12. 甲状腺上のマリア
13. 赤と黒
14. 塔の中の男
15. 転落の楽典
16. 針の山

En1-1. 神経症I LOVE YOU
En1-2. 地獄風景
En2-1. どっとはらい



Photo Gallery(写真をクリックすると拡大します)
  • 鈴木研一

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  • ナカジマノブ

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  • 和嶋慎治

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【人間椅子 公式サイト】
http://ningen-isu.com/

【公式ブログ】
http://ningenisu.exblog.jp/

和嶋慎治コラム「浪漫派宣言」好評連載中!

【Infomaion】
『疾風怒濤』
7月 4日(日) 千葉 LOOK
7月10日(土) 名古屋 ell. FITS ALL
7月11日(日) 大阪 Shinsaibashi MUSE
7月16日(金) 東京 Shibuya O-WEST