演奏

IN DA MUSIC II

TEXT & PHOTO:武田乃与太郎

日本列島梅雨真っ盛りの6月17日、東京都内高円寺にあるライブハウス「ShowBoat」にて入魂のイベント「IN DA MUSIC II.」が開催された。

今回の「IN DA MUSIC II.」はベーシストにスポットをあてたもので、この日は「満園庄太郎」をフィーチャー。なんと、彼が在籍する二つの3ピースバンド【Atomic Poodle】と【WILD FLAG】が対バンするという運びとなった。

言わずと知れた日本を代表するギタリストが率い、凄腕ミュージシャンが集うバンドの競演。まさにブッキングからしてサプライズを予感させるイベントとなった。

photo予定開演時間を10分ほど過ぎたところで客電が消え、一発目のバンド【Atomic Poodle】がステージに現れた。メンバーは、元【外道】の「加納秀人」(以下加納)〔Guitar&Vocal〕、【WILD FLAG】でプロデビュー後に【BOW WOW】や【B’z】でも活躍した「満園庄太郎」(以下庄太郎)〔Bass&Vocal〕、元【JUDY AND MARY】の「五十嵐公太」(以下五十嵐)〔Drum&Vocal〕。

自他共に認める『最強の新人バンド』だ。・・・って、結成していくら日が浅いと言っても、このバンドを『新人』として売り出すのはあまりにも反則的過ぎるだろ!と、一人突っ込みを入れていると、インストの“イン ザ ビギニング”でライブの幕が開けた。

のっけからソリッドなギターサウンドに質量十分なリズム隊が絡み、一気にオーディエンスを引き寄せると、続けざまにギターリフのしびれる“I Can Shout・・・”を演奏。あっという間にロックンロールの空気が会場を包み込んだ。

photoその後は短いMCをはさみ“君の瞳に映る世界・・・”“フライング・バード”“奇跡を起こせ”の三連発。そこから二回目のMCに突入すると、いきなり「庄太郎」からサプライズな発表が・・・。なんと、今日は「庄太郎」の39回目の誕生日だったのだ。39回目の誕生日にダブルヘッダーをかますベーシスト。ハッキリ言って格好良すぎます。

オーディエンスからも祝福の声が投げられ、会場は大盛り上がり!に。するとそれを見越していたかのように「加納」のギターが唸りを上げ、まさかの【ジミ ヘンドリックス】ナンバー“Voodoo Child”がスタート。おいおい、こんなのアリかよ!とニヤニヤしながらまたまた突っ込んでしまうことに。

photoその後はMCで一息つくも「五十嵐」がヴォーカルをつとめる“SUPER NICE DAY”から“Love is just a Memory”“パンキーパンク”“何!”まで怒濤の流れ。途中、各パートのソロでは凄腕ミュージシャンの技と感性をまざまざと見せつけられた。

そしてラストに演奏されたのは、バンドをそのまんま体現する“不良侍”。最後まで心地良く、熱いアンサンブルを響かせながら【Atomic Poodle】のステージが終了した。

photo短いセットチェンジを終え、いよいよ【WILD FLAG】の登場。もはや説明すら不要、【BOW WOW】の「山本恭司」(以下山本)〔Guitar&Vocal〕、本日ダブルヘッダーとなる「庄太郎」〔Bass&Vocal〕、そして「庄太郎」の実兄にして、【WILD FLAG】でプロデビュー後は【黒夢】や【Sads】でも活躍した「満園英二」(以下英二)〔Drum&Vocal〕からなる最強の3ピースバンドだ。

いきなり【ジミ ヘンドリックス】ナンバー“Purple Haze”でライブがスタートすると一気にオーディエンスもヒートアップ。そのテンションのまま“Freedom”へとつないだ。・・・と、ここでアクシデント発生。なんと、ベースアンプのスピーカーが飛んでしまったのだ!しかしそこは百戦錬磨のバンド、アンプ交換の間、ジャムセッションとMCで乗りきった。

「こんなのアクシデントのうちに入らないよ」と言ったところだろうか。しかも、MCの際に本人たちが『バンド絶好調宣言』をするだけあって、どのパートも最高の演奏。会場を盛り上げ、一気に“Wild Streets Corner”“Hunter”“I’m a boy”と突っ走った。

photo日本が誇るスーパーギタリスト「山本」のネームバリューで隠れがちだが、「庄太郎」と「英二」兄弟からなるリズム隊の凄さを、今夜は改めて見せつけられた。その後は爆笑のMCをはさみ、ライブバンドの神髄とも言える即興作曲“NEW SONG”、「庄太郎」ヴォーカルのまたまた【ジミ ヘンドリックス】ナンバー“FIRE”を披露。

う〜ん、今日は【Atomic Poodle】といい【WILD FLAG】といい【ジミ ヘンドリックス】祭りなのだろうか? カバーを演奏するとそのバンドの力量がよくわかると言うが、この凄腕レベルのバンドだと、完全に自分たちの曲にしており、もう凄すぎ!としか言いようがない。

そしてMCをはさみ、いよいよライブもクライマックスへ。“Wild Land”から“Going on”をつなぐと、ラストはお約束のBPM(※ビート パー ミニット:演奏のテンポを示す単位)速過ぎ“Count down”を演奏、大盛り上がりで【WILD FLAG】のライブが終演となった。

photoイベントの締めは【Atomic Poodle】と【WILD FLAG】のメンバー総出演によるカバーセッション。曲目こそ少なかったものの、【エディ コクラン】のナンバー“Summertime Blues”からラストソングとなる【ジミ ヘンドリックス】バージョンの“Wild Thing”まで、ステージ・フロアともノリノリの空気のままフィナーレを迎えた。まさにブッキングからすべてがサプライズなイベントだった。