演奏

LA★69 presents“NEW BREED ROCK STARS Vol.1”

TEXT:桜坂秋太郎 PHOTO:万年平男

誰がネーミングしたのかわからないが“バッドボーイズロック”というのが根付いたのは80年代後半。ワイルドでケバくて華のあるバンド達は、多くの熱狂的ファンを生んだ。荒削りだけど皆で歌えるナンバーが多く、その優れたメロディセンスは、ジャンルを越えて認められている。代表格は世界の頂点に立ったGunsN’ Roses、そしてアーティストのリスペクト率ではNo.1といわれるMötley Crüe。日本でも同時期にZIGGYなどの素晴らしいバンドが大活躍し、経済的にも世の中が潤っている時代だった。

あれから20年と少々の時間が過ぎた2009年12月13日。新宿Wild Side Tokyoにて、LA★69主催のイベントが開催される。LA★69は“バッドボーイズロック”の正しい継承者であり、燃えている現役のバンドだ。80年代に活躍したオジサンバンドではなく、今まさに光り輝いている。そんなLA★69が企画したイベントとなれば、ワクワクしないわけがない。ワイルドでケバくて華のあるステージを展開してくれることだろう。

開演定刻になり、まずステージに登場したのは、THE 宇都宮 ROCK STARS。北関東極悪爆音楽団という彼らは、地元栃木はもちろん、関東や関西での活動も多い。ステージはエンターテイメントを意識した構成で、特にドラムのトップシンバル部にあるノコギリに眼が釘付けだ。シンバルスタンドにもチェーンが使われており、W.A.S.P.が大好きな私としては、これは見事にツボにはまった。演奏は荒削りなのかと思いきや、安定した実に一体感のあるプレイ。楽曲のメロディも歌詞とよくマッチしていて聴きやすい。

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メンバーは、Susumu(Vocal)・Akiyoshi(Guitar)・Satoshi(Bass)・Akira(Drums)の4人組。このバンドの良いところは、変にかっこつけないスタイル。肩肘張らないステージングは、ライヴの本数を多くこなしている余裕からくるのだろう。揃いのフォーメーションやステップも多く、見せることへのこだわりが伝わってくる。等身大の歌詞を上手にメロディに載せている。またビールの一気飲みを2回もやったり、想定外の演出もこのバンドの惹きつける要素となっているのかもしれない。

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【THE 宇都宮 ROCK STARS 公式サイト】
http://u-rockstars.com/
【セットリスト】

1.ギラギラしようゼ!
2.Generation Brebker
3.オラオラいこうゼ!
4.ロマンチストになりたい
5.悪さしようゼ!
6.X(ダメ)japan
7.センチメンタル栃木
8.いっき

続いて登場したのは、+桃尻東京テレビジョン+。スタートするなり会場は扇子の嵐。蘇る“ジュリアナ東京”ハイテンション状態。違いは服装がワンレン&ボディコンではなく、バンドもオーディエンスもロックファッションなこと。そしてドラム缶のお立ち台から、メンバーがオーディエンスをあおっている。驚いたことに、扇子をふるオーディエンスは全員が笑顔。それを見たバンドのテンションが上がらないわけがない。パンキッシュなナンバーを立て続けにプレイ。

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メンバーは、+アルプス+(Vocal)・+マサシ+(Guitar)・+ヨゴレ+(Bass)・+ケンタロー+(Drums)・+MGR-G100+(Keyboard)の5人組。+桃尻東京テレビジョン+は、オーディエンスとの一体感に秀でたバンド。なんとスタンディングの客席では、オーディエンスが輪になってグルグルと踊っている!これは凄い。オーディエンスの一体化は、コール&レスポンスではよくあること。しかしオーディエンス同士で一体となるのは、なかなか無い光景だと思う。このバンドのエンターテイメント底力を見せつけられた気がする。

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【+桃尻東京テレビジョン+ 公式サイト】
http://s-momo.net/

【インフォメーション】
2010年1月30日【大 阪】CLUB ALIVE
2010年1月31日【名古屋】MUSIC FARM
2010年2月08日【池 袋】手刀
2010年2月13日【岡 山】ペパーランド
2010年2月14日【心斎橋】キングコブラ
2010年2月21日【池 袋】LIVE INN ROSA
2010年2月25日【新 宿】JAM
2010年2月27日【難 波】ロケッツ

【セットリスト】

1.+桃尻東京+のテーマ
2.踊りたいあの娘
3.忍者ロック
4.不幸でも手をたたこう
5.SiCK GiRL
6.ムチムチソング
7.すべてが狂ってる
8.冷蔵庫はいらない!

この日の最後はもちろんLA★69。一見すると、そのワイルドなルックスから怖いイメージを持つかもしれない。バンド活動を離れた日常生活でも“バッドボーイズロック”している筋金入りだ。しかし彼らは実にフレンドリー。TATTOOやウイスキーが似合う“バッドボーイズロック”が心底大好きなのがすべてに表れているが、とても紳士的なアーティスト。どこを切っても『アメリカ西海岸』という金太郎飴のようだ。影響を受けた“バッドボーイズロック”なバンド達の良い面をすべて取り入れている。LA★69は本当にL.A.の香りがする。日本ではその香りを出すバンドは数少ない。

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メンバーは、MARK(Vocal)・JACK(Guitar)・キャプテンいえっち(Drums)。サポートにAKIRA(Bass)の4人組。元々は大阪で活動していたが、現在は東京を中心に活動している。LA★69の魅力の一つはステージパフォーマンスと言えるだろう。メンバー全員が迫り来るような迫力で、オーディエンスを圧倒する。フロントメンバーだけでなく、ドラムのキャプテンいえっちもキメのアクションを多用するので、どの角度からも華を感じる。MARKの歌はまるでリードギターのような印象で、ハイトーンがどこまでも良く伸び、JACKはバンドの司令塔として、頻繁にメンバーにアイコンタクトを送る。

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【LA★69 公式サイト】
http://la-69.com/

【インフォメーション】
2010年1月31日【新 宿】CLUB ACID
2010年2月26日【吉祥寺】CRESCENDO

【セットリスト】
1.SHOUT AT THE BASTARD
2.CHANGE MERRY-GO-ROUND
3.ROCK ROCK
4.That is my life
5.GENERATION ROCK STAR
6.RUN AWAY
7.Rock’n roll with I love you
8.SUNSHINE GIRL FRIEND
9.Julia

アンコール
10.★NEW BREED BAD BOY★
11.Anarchy in the U.K.(Mötley Crüe)


LA★69の演奏が終わるとアンコール。まずはLA★69が代表ナンバー「★NEW BREED BAD BOY★」をプレイし、今夜のイベントを盛り上げたTHE 宇都宮 ROCK STARS+桃尻東京テレビジョン+のメンバーをステージへ。最後はセッションで、Mötley Crüeバージョンの「Anarchy in the U.K.」をぶちかまし、全イベントメニューが終了した。今回のイベントは、LA★69が各地でライヴをした中で、過去に対バンしたインパクトあるバンドに声をかけたようだ。

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Vol.1ということで、イベント進行に不安があったかもしれないが、全体を通して“NEW BREED ROCK STARS”というお題目は、オーディエンスに焼きついたと思う。出演者のレベル・質は申し分なく、Vol.2以降がとても楽しみ。ワイルドでケバくて華のあるバンドを、酒を飲みながら観るのは最高だ。その勢いで、この苦しい不景気をぶっ飛ばして、あの“バッドボーイズロック”な時代を呼び戻してほしい!

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