演奏

Yone-Kuma Session

TEXT:岡田真理 PHOTO:山口聡

クリスマスイブを翌日に控えた2009年12月23日。横浜駅周辺は家族連れやカップル、そしてサンタクロースのコスチュームを着た売り子たちで大いに賑わっています。続いていた冬の寒さが弱まった暖かなその日、横浜駅に程近いLive & Dining 横浜Hey-JOEにて『Yone-Kuma Session』のライブが行われました。

この『Yone-Kuma Session』は、ギタリストの米川英之(以下米川)とドラマーの熊丸久徳(以下熊丸)によるライブセッション。80年代から現在に至るまで第一線で活躍する二人に加え、今回はこのセッションのオリジナルメンバーであるベーシストの村井研次郎(以下村井)とキーボードの岩瀬聡志(以下岩瀬)が登場します。会場の外には、ドアオープン前から長蛇の列が。オープンするやいなや、フロアはオーディエンスの熱気で溢れ返りました。今夜は一足早く、華やかなクリスマスの夜が楽しめそうな予感です!

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会場には様々な年代の女性ファンの中に、男性の姿もちらほら。ゆっくりとワインやビールを飲みながら、開演までのひとときを過ごしています。やがて照明が落ちると、大きな拍手。バンドメンバーが、オーディエンスの間を歩いて登場です。まずは熊丸によるメンバー紹介から。「7か月ぶりに帰って来てくれました!」と紹介されたのは、ベースの村井。そして岩瀬米川の名前がコールされ、最後に米川熊丸を紹介。会場は再び大きな拍手に包まれます。レギュラーメンバーで行うのは今年最後ということで、「今日はいつもより曲が多いですよ!」とアナウンスされると、オーディエンスからワーッと歓声が。

米川の曲「Cruisin」から、いよいよライブがスタート。曲が始まると、オーディエンスはリズムに乗って肩を揺らし出します。ギターの甘い音に、そこにいる誰もが一瞬にして酔いしれている様子。続いてシンバルの音とキーボードから始まったのは、村井の曲「ミチルツキヒルノツキ」。オーディエンスの取るリズムが、徐々に大きくなっていきます。次曲David Fosterのカバー「Gazebo」では、ハンドベルのような鮮やかなキーボードのサウンドが響き渡り、会場が一気にクリスマスカラーに。「想い出に変わる季節」では、米川のしっとりとした歌声が会場を優しく包みこみます。

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次に会場の雰囲気をガラリと変えたのは、「Re:Birth」。前曲とは一転して、今度は力強いシャウトを響かせる米川。激しいサウンドに、オーディエンスは大きくリズムを取りながらついていきます。轟くドラムビートに、会場にはより一層大きな熱気が。そのテンションに更に火をつけたのは、「Fox On The Run」。70年代にヒットした、Sweetのナンバーです!オーディエンスはドラムビートに合わせ、全身でリズムを取り始めます。この曲では、ボーカルが次々と交代。まずは米川ブライアン・コノリーばりのシャウトを響かせ、会場を圧倒。今度は岩瀬が拡声器を使って歌うと、オーディエンスはますますヒートアップ。村井も他のメンバーに負けじと力強い声を張り上げ、熊丸は激しくドラムを叩きながら渾身の叫びをマイクにぶつけます。「Fox On The Run!」とそれぞれのシャウトが重なって華やかなハーモニーを奏でると、オーディエンスもそれに合わせて手を振り上げ、いつのまにかフロアは大合唱に!

そして次の曲では、米川熊丸に「今度は、まるごと歌ってみませんか?」と提案。「僕、歌っちゃいます!」と叫んだ熊丸のボーカルで始まったのは、熊丸が高校3年の時に出会った大好きなバンドAverage White Bandの「Whatcha Gonna Do For Me」。ダンサブルなサウンドにオーディエンスのテンションは最高潮。熊丸が満足げな表情を見せたところで、第一部が終了です。

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15分のブレイクのあと、メンバーが再び登場。米川村井は赤いサンタクロースの帽子、岩瀬はトナカイの帽子、そして熊丸はクリスマスツリーをあしらった帽子をそれぞれ被っての登場に、オーディエンスからは拍手と笑い声が。第二部は、「あの日のクリスマス」から。この曲は2年ほど前に米川が作ったクリスマスソングとあって、ファンには御馴染み。軽快なリズムに合わせてオーディエンスは陽気に手を叩き、会場は一層の盛り上がりを見せます。メンバーが帽子を外し、村井の曲「Zooma」へ。ベース音が響き、今度は打って変わってミステリアスな雰囲気。

ドラム、ベース、キーボード、ギターが一斉に轟いて始まったのは「永遠がはじまる」。力強くまっすぐな米川の歌声が、会場にいる一人一人をあっという間に虜にしていきます。続いては村井の曲「MONK」が、軽快なドラムビートからスタート。途中のドラムソロでは熊丸が激しいドラム捌きを披露し、オーディエンスから大きな拍手が。続くTOTOの「Goodbye Elenore」では一転して、会場は陽気なムードに。そしてここで、米川の強烈なタッピングプレイを交えたギターソロが始まります!このVAN HALENの「Eruption」は、ライブ最大の見どころ。静かな会場に、はるか遠くまで届きそうな、まっすぐなサウンドが響きます。米川の指遣いを、会場の誰もが真剣な眼差しで見守っています。続く曲はもちろん「You Really Got Me」!感激して目を潤ませたオーディエンスから大きな歓声と拍手の嵐!着席していたオーディエンスも興奮を抑えきれず、みんな総立ちになりました。

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ラストソングは、米川の曲「Broken Wings」。オーディエンスの中に、米川が演奏したまま歩いていきます。フロアのセンターでギターソロを披露する米川に、オーディエンスの興奮も頂点に。そして歓声が止まない中、大きな拍手を受けてライブは終了。メンバーはステージを後にしました。

アンコールの手拍子が続き、再び4人が登場。オーディエンスに笑顔が戻り、またもや割れんばかりの拍手が起こります。アンコールの曲は、「Shadow Of Your Smile」。今夜ラストの渾身のシャウトを、心を込めてオーディエンスに届ける米川。最後には手拍子がより一層大きくなり、やがてそれは大きな拍手となって、ライブはついに終焉を迎えました。

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その後、いつまでも止まない手拍子に再登場したメンバー。予定にはなかった再アンコールの一曲を急きょ披露するという、オーディエンスにとっては嬉しいハプニングもありました。華やかながらも、シックなオトナの夜を演出してくれた今夜のライブセッションでは、オーディエンスの誰もが常に笑顔を浮かべて曲に聴き入っている姿が非常に印象的でした。

さて、このセッションの主役の一人である米川は、2009年11月に行われた25th Anniversary LIVE のDVDが2月に発売!更に3月3日にはバースデーライブも控えているとのこと。(詳細は下記公式サイトを参照)その他にも1月からライブが目白押しのスケジュールとなっています。冬の夜、お酒を飲みながらしっとりとロックを聴きたい人にはぴったりのライブ。心の奥まで届くあのギターソロを、ぜひ堪能してみてください。

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【米川英之 公式サイト】
http://hwm7.gyao.ne.jp/h-yonekawa/

【熊丸久徳 公式サイト】
http://www.geocities.jp/okosika/

【セットリスト】
◆1st set
01. Cruisin(米川英之)
02. ミチルツキヒルノツキ(村井研次郎)
03. Gazebo(David Foster)
04. 想い出に変わる季節(米川英之)
05. Re:Birth(米川英之)
06. Fox On The Run(Sweet)
07. Whatcha Gonna Do For Me(Average White Band)
◆2nd set
08. あの日のクリスマス(米川英之)
09. Zooma(村井研次郎)
10. 永遠がはじまる(米川英之)
11. MONK(村井研次郎)
12. Goodbye Elenore(TOTO)
13. You Really Got Me(VAN HALEN)
14. Broken Wings(米川英之)
◆Encore1
15. Shadow Of Your Smile(米川英之)
◆Encore2
16. 真夜中へ8マイル(米川英之)