特集

TEXT & PHOTO:桂伸也

活きの良さこそロックの醍醐味!「当然これからロック界を背負って立つ人材も、若者に大きく注目していかなくては!」と、いつも気張らないにしても、ロックの楽しみを覚え、ロックが人に与える影響を考える上で、若年者とロックの関係には常に注目すべきと考えるBEEASTは、これまでも連載や特集で多くの若者の、ロックにおいての活動を取り上げてきた。そして今回も、新たな世代に向けての一活動として開催された、若者の為のイベントを取り上げてみたい。
 
千葉県柏市で行われた、その名も「高校生バンドフェスティバル」。なんと今回14回を数える、歴史のあるイベントだ。一般的なバンドコンテストやイベントともまた異なり、高校生のバンドにターゲットを絞っているところにポイントがある。他校のライバルバンドと共に常日頃から切磋琢磨した成果を見せるイベントとして、画期的なフェスティバルといえよう。そんな会場の様子から、若者とバンドという関係、そしてそれらに注目する社会を考察していきたいと思う。
 
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今回のイベント主催は、「さわやかちば県民プラザ」という千葉県教育委員会の教育機関だ。一昔前では水と油くらいの関係とも見えたバンド、ロックと教育という繋がりを、教育に従事する方より歩み寄るという積極的なアプローチは、近年はありそうで、実際に公に行っている活動もあまり耳にすることは無いのではないだろうか?そんな意味で、このポイントに対して14回というキャリアを積んでいるこのイベントは、大きな意味のあるイベントと言えるだろう。この日は、さすがによくあるロックイベントとは違い熱狂的なファンの姿こそ見られないが、それでも大人数が収容できるホールの座席は、開演前には多くの観衆で埋められた。
 
会場の挨拶に続いて、司会者の前置きへ。司会者はこのイベントのOB,OGにて行われる。このポイントは、単に主催者側が手を伸ばし、何でも手配し行うという一方的なやり方ではなく、参加する高校生と主催者側が互いに手を差し伸べあって進めていくという姿勢が感じられ、単純にイベントを続けていくという状況だけではなくD.I.Y.的なもの、若者が作り上げていくものという有意義な意向が見られる。

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更に司会の挨拶が終わり、最初のバンドが紹介されると、いきなり大人数の若者がステージ前に集まる。通常、このようなホールでのイベントは、多くの人々が席に座ったまま演奏を楽しむというスタイルが多いが、この光景からは更に“観衆とイベント実施側が一緒になって場を盛り上げていく”という様子にも見られた。
 


 
この日登場した13組のバンドの、ステージの模様と、楽屋裏でのコメントを取材。質問のテーマを、「今、高校生としてバンド/ロックを好きでいることに対して良かった事、逆に辛いこと」に絞って、様々なコメントを語ってもらった。それぞれの価値観やバックグラウンドより、単にロックに対する思いだけでなく、今の若者が普段考えていることの一端が垣間見れるだろう。
 

1.SMILE FLY

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華やかな女の子4人組SMILE FLYの、軽快なサウンドでスタートしたイベント。中ノ森バンドGo!Go!7188のコピーをベースに、オープニングというプレッシャーもものともせず、明るく元気なイメージを前面に打ち出した、楽しいステージを展開。
 

 
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「仲がいいみんなと一緒にやっているからいい息抜きにもなるだけじゃなくて、音楽の楽しさが、この4人だからこそわかるところもあって、そういう繋がりから私生活の中で悩みなんかも相談できるし、バンド活動ってそういういいところがあります。練習はお喋りが多くなっちゃって進まないところもあるけど(笑)進路はみんなバラバラだけど、出来れば続けたいですね。オリジナルも作ってみたいし。」

 

2.GRAVIET

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先程のSMILE FLYとは対照的に、男っぽさで勝負のGRAVIENT。2校の混合バンドで、全曲オリジナルという実力派だ。イケメンヴォーカリスト山崎くんのパフォーマンスに、場内は大盛り上がり。
 

 
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「音楽って、僕らからすると歌詞が中心で、作曲するに当たっては日常の些細なことも認識しておかなけれいけないと思っていますが、このバンドを始めてからはそういうちょっとしたことにも気づけるようになったおかげで、毎日音楽から元気をもらえている、なんて感じています。何かを感じたときにそれを音楽ではいろんな形で表現することが出来るので、一回感動したことをもう一度自分で見つめなおすことが出来ていますしね。音楽って、小さいところでは学校や地域、大きなところでは国を超えるじゃないですか。それって人と人とがつながっていくものだと思っているんで、その音を聴いただけで繋がっていけるもの、その一部分に自分達がなれたら良いなって思っています。」

 

3.Sky Air

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また様相は変わり、男女混合の3ピースによるSky Airが登場。ちょっと危ないパンキッシュなバンド。ドラムの矢島くんは黒でバッチリとスタイルを決めながらも、ちょっとイカれたトークがイカしたナイスガイ。テクニックよりもハートと勢いで勝負!
 

 
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「もともと話もしたこと無い、知らない間柄だったんですが、学校のクラブ活動で一緒になりました。音楽初めて良かったなって思うのは、いろんなことに努力できるようになったこと。それと、これを始めたからこそ知らなかった世界を見ることが出来たこと。音楽なんて聴かなかったら、こんなライブなんて来ることも無かったでしょうね。問題なのは、練習し過ぎて勉強不足なことかな、あと、だんだん服装がおかしくなってきたことか(笑)」

 

4.migraine

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ハートを前面に出したmigraine。自分達の音をありのまま出すべく、全曲オリジナルで勝負。ヴォーカリスト上迫田くんの熱い思いは音だけでなく、その熱唱する姿でも観衆の気持ちを引き込んでいく。
 

 
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「音楽って、強制じゃなく“聴きたい”って思って聴くわけで、やっぱりこうイベントもそんな思いでお客さんは来てもらっているわけじゃないですか。そんなイベントに出させてもらえたことが嬉しくて、人との繋がりを大切にしたいな、とか思ってたりしています。人の気持ちの持ちようや繋がりの面を考えるようになりましたね。それは単純に音楽の場だけじゃなくて、私生活の中でも。CDを出させてもらった人や、あまり関わりのなかった人から『次のライブはいつ?』とか声をかけてもらって、そういう面から繋がりは大切なもの、っていう気がします。ただ、昔バンドっていいイメージを持たれてなかったころの風習みたいなものが、うっすらと残っているところもあって、『レールから外れた人』みたいな見方をされることがあります。僕たちは、自分の気持ちを伝えたいと思うからこういう活動しているだけなので、そういう見方は辛いところですね。そういう風に思われない活動をしていきたいと思います。」

 

5.RAGOUT

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紅一点のヴォーカルが光るRAGOUT。勢いだけではない、シューゲイザー的な激しさを持ったサウンドの中、詩的なメロディを、ヴォーカルの三浦さんが切々と歌い上げる。この日出演したバンドの中でも、楽曲の完成度と玄人好みのセンスは群を抜いており、今後が楽しみだ。
 

 
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「今週は火曜日から金曜日連続、そして昨日はリハーサルと6連チャンでした(笑)まだ結成一年くらいなんですけど。ロック好きな友達といると本当に楽しい。音楽がなかったら、多分、頭悪い一人の高校生かな、と(笑)取り柄があってよかったなって思っていますし、ライブすることでいろんな人と出会えるし、ためになることがあっていいですね。自分に自信ができたと思います。ただ、やり過ぎちゃって音楽を純粋に楽しめないとか、絶対に自分の好きな楽器の音を先に聴いちゃうとか、隔たることはありますね。後はお金が問題!高校生ですし(笑)」

 

6.Junky youth

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続いて登場したのは、Junk Youth。初っ端に9mm Parabellum Bulletのコピーを取り上げただけに、その衝動をそのまま音にしたようなサウンドは破壊力十分。「ロックを楽しんでいる」という様子がフロア側にも伝わってくるような、充実したステージを見せ、観衆を沸かせた。
 

 
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「音楽やっていると、ものの見方は変わってきたと思います。例えばステージやっていると『こういうことすると盛り上がるんだ』みたいな。それは曲作りもそうですね。普段だったら受け流すことも、ちゃんと見ておかなきゃって思うようになりましたね。ステージでいろいろなことを試してカッコつけようと思っても、中々カッコつかないんだけど、プロの人たちが同じことをやってもカッコよく見えるのは何でだろう?って考えた時、それが彼らには『自然な動作だ』っていうのがわかって、それからは元の自分かカッコよくなるしかない!って感じるようになりました。高校生がバンドやるのは、寝不足やお金なんてシンドイっていうのはあるんですが(笑)でも、逆に音楽やるためとか目標ができて無駄遣いもしなくもなりました。」

 

7.Bit’s

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飾り気の無い、シンプルなサウンドに込めた歌が心情のBit’s。激しいアクションよりも、5人で作り出すハーモニーを重点に置いたそのステージは、とにかく気持ちを洗わしてくれた。
 

 
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「ロックとかやると楽しくて、仲間とつながれること、落ち込んだりしたときにロックを聴いていると気分がすっきりして晴れる、気持ちの支えになるところかなと思います。逆に集中しすぎて勉強が辛いところかな(笑)僕(Vo.川村くん)は生徒会長をやっているのですが、実は前任の生徒会長も軽音の先輩で。そういう繋がりって大きなところだと思います。」

 

8.M-047

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裸足のヴォーカリスト田中くんとグラサンのべーシスト峯岸君のインパクトが抜群のM-047。何とメンバー全員それぞれ在籍校が違うというスペシャルバンド。弾けるようなメロディアス・パンクで観衆を圧倒、ライブの良さを強く感じさせてくれた。
 

 
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「結成して2年になります。テレビ番組のライブなんかを見てると、ヴォーカルとギターだけじゃなく、ほかの音も聴けるようになっています、今は。ものを見る視野が広がってきているんじゃないかと思います。友達も増えましたね。今回は去年に続いて2回目の出演なんですけど。つながりもできたと思うし。まあ勉強やお金にはいつもヒーヒー言っていますが(笑)でも『意味のないものが存在できない世界は恐ろしい』って、好きな人が言っていたんですけど、そういう意味で音楽って大事なものだと思っています。」

 

9.jackass

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この日登場したバンドの中で唯一のヘヴィ・メタルバンドjackass。全員メタルTシャツをまとい“いかにも!”という風貌で激しいステージングを披露、フロアも思わずヘッドバンギングという激しい応酬。MetallicaChildren of Bodomのカバーで展開したゴリゴリのステージングは良い意味で高校生離れしていた。
 

 
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「結成して1年半くらいなんですが、実は今日が活動の最後でして...メタルTシャツとか着ていると『メタル好きなんですか!?』って人に声をかけられ、分かり合える部分があるんですよね(笑)日本のポップスとか聴いてると、どうしてもそればっかり聴いちゃうっていう閉鎖的な方向に陥りがちですが、メタルとかロックとか聴いていると何でも聴ける気がするんです。繋がりが広く持てるという意味で、メタルって良いと思います。メタルこそ自分の人生!(笑)ただ、日本だとまだ認知度が低いっていう気はします。ライブなんかやってもポカ~ンってされる時はありますし…」

 

10.Hum2nd

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様相はがらりと変わり、シンプルなロックサウンドを聴かせてくれたHum2nd。女の子のギター兼コーラスの田中さんが程よいアクセントになり、微妙な緊張感をかもし出す。全体的にバランスが良く、聴いたあとに清々しさを感じさせた。
 

 
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「ライブなんかも他校の合同ライブなんかに行ったり結構やっていて、バンド中心の生活になってきているんですが(笑)音楽を通じて顔が繋がったりします。先ほどのjackassは、他のライブなんかで知り合ったし。そのつながりでライブもいろいろ、この前は仙台の気仙沼でライブをやらせてもらって、地元新聞にも載ったりしました。逆に、自分がハイになるときが、ライブしているとき以外になくなったなって思うところかな。練習のときは結構詰まっちゃって、ライブのときしかバンドの雰囲気が良くならなかったりします(笑)」

 

11.MHS

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そのサウンドに一味違う個性を見せたMHS。真っ青なズボンが目を引くベースの岡部くんが弾き出すグルーヴィーなリズムに乗せて奏でられるサウンドは爽快そのもの。L’Arc~en~Ciel,RADWIMPSのカバーと共に、自信たっぷりのオリジナル曲と、分厚いコーラスで観客を沸かせた。
 

 
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「音楽好きな人って多いじゃないですか?だから人と話すときに話は広がりやすいかなって思います、バンドやっている人に限らず。広がりや繋がりがあるから、ライブに出させてもらえるっていう恩恵に与ったりしています。これが今後もいい循環になっていけばいいなぁって思っています。高校生だから勉強もしなきゃいけないし、時間がとにかく欲しいなぁって思う時あります。勉強しながら思わずギター弾いちゃったりすることもあるんですが(笑)」

 

12.ザ・しゅーくりーム

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前身黒でキメた、妖しいカッコよさを持つヴォーカルの田邊くんを中心としたザ・しゅーくりーム。その少しワルぶったスタイルのクールさとは裏腹に飛び出してくる凶器のようなサウンド。単なるステージングに留まらない彼らの芯の部分すら垣間見れ、その真剣なステージを皆目で追い続けていた。
 

 
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「もともとフルートをやっていたんですが、中学校のころThe Beatlesと出会って、高校に入ってバンドを始めたんです。音楽があるからっていう目標が自分にはあって、中学のころは何も思わなかったけど『音楽やるために?ああ、勉強だってやってやるよ!!』って励みになりましたね(笑)自分を向上させる方向に作用したと思います。まあ、『何かしなきゃいけない』っていう思いと、プラスで音楽やりたいっていう思い」は足枷ではあるんですが、音楽だけやって勉強しないっていうのも違うと思うし、なんらか伝えなきゃいけないと思うと、本だって読まなければいけないだろうし、勉強自体が『枷』になるものではないと思っています。バンドやる前は、少ない人数でワイワイやっていたんですが、ライブやるようになると人とのコミュニケーション力が良くなりました。表現することに壁なんて無いですよ。」

 

13.Underclass Heroes

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このイベントのトリを努めたのはUnderclass
Heroes
Sum 41を強くリスペクトする彼ららしい、荒削りながらも、熱いプレイを披露。ヴォーカリストの糸川くんは初っ端で起きたアクシデントにもめげず、その果敢な姿勢で熱唱を続け、観衆に深い共感を覚えさせた。
 

 
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「実は去年の夏に、音楽の専門学校に行くって決めたんです。それだけの覚悟で立ち向かっているんですが、そういう面で学校生活との間で音楽活動しているのは大変なところもあるんですが、逆にそんな局面だからこそ音楽って言う目標に向けてがんばらなきゃって思います。本当に何も残らないとダメで、『勉強はダメだけど音楽が無かったら生きていけねぇよ』っていう気合で頑張っています。」

 


 

主催担当インタビュー
今回のイベント開催担当である、「さわやかちば県民プラザ」の新井さんに話をうかがった。
 
— このイベントを始められた趣旨を教えてください
 
新井:高校生達に『発表の場』というものを与えたい、というのがきっかけでした。この施設ができたのが平成8年で、2年目よりイベント等を始めました。ここ(さわやかちば県民プラザ)は県の芸術文化センターでもありますので、高校生の文化的な活動についての支援もしていこうということ、高校生同士の交流の場にしていこう、というような発端ですね。で、特に高校生の軽音楽の子達って、発表の場というのは、学園祭やライブハウスなんかの小さなところが主で、これほど大きなホールで発表するというのは中々ないので、あくまで教育の場としてこういう場を作ってやってみたらどうだろう?ということで始めたんです。
 
— いろんなコンテスト等がある中で、これに皆積極的に参加されている要因として特徴的なものとは、どんなものでしょうか?
 
新井:まあ、出る、出ないは決めさせていただいていますが、コンテストではないので、優劣を決めるわけではないです。あとここでは、例えば受付や司会等も子供達にやらせています。受付は出場バンドが行い、司会はOBやOGに顧問の先生を通じてお願いしました。あとみんなリハーサルで始めて一同顔を合わせるのですが、それも個別に行うのではなく、お互いの音を聴き会えるようにみんな集まってみたり、『こういう盛り上げ方をしよう』とか意見を出し合ったり、みんなで盛り上げていくイベントです。
 
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— 新井さん自身も音楽をやられていた経験が?
 
新井:はい、やっていました(笑)今でもやっています。ちょうど4年目あたりから、私はこれに携わり始めました。
 
— バンド自体はどのように集められているのでしょうか?
 
新井:9月の頭くらい、夏休みの終わりくらいに、『出場者がここまで自力で来られる』というのを考慮して、千葉市より北西部あたりの高校すべてと報道機関等に募集要項を配っています。10月の30日くらいに選考会を開き、1曲演奏してもらって選んでいますね。
 
— このイベントに対する地域の方の反応を教えてください
 
新井:いつもアンケートを書いていただいて、その反応を見ているのですが、地域の若い方だけじゃなく、かなり年配の方もいらしてました。去年のアンケートを見ていると、『こんな元気な高校生を見ていると、日本も大丈夫だ!』みたいな(笑)非常にポジティブなメッセージや、「自分も高校のころやっていたんだけど、今の子供ってこんなに自由に音楽で来て幸せですね」なんてコメントも。
 
— 相対すると、やはりポジティヴに受け取っていただいていることでしょうか?
 
新井:そうですね。数ある県民プラザのイベントの中でも、とてもいいフェスティバルだと思っています。それは14年という歴史もありますし、年を追うごとにバンドの数も増えていますし、レベルも上がっています。ほとんどのバンドはライブハウスでも演奏しているくらいですからね。ここで結構知り合って、ほかのコンテストでまた一緒になったケースもよくあるようで、横の繋がりも強くなるようです。
 
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— 今後の抱負やメッセージをお願いします
 
新井:今後とも続けていくつもりでいますし、子供達のレベルもすごく上がっていますので、例えば落選した方でも非常に見る価値はあると思いますので、多くの方に見ていただきたいと思います。今はそうでもないかもしれないですが、かつては『エレキギター持っているだけで不良』っていう時代があったじゃないですか?そういうのがこのイベントで少しでも払拭できれば。聴きに来て下さるのも、若者のパワーに、エネルギーを貰えると思いますので、是非またおいで頂ければと思います。

 
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その演奏の模様は、学園祭、通常とフェスの、ちょうど中間のような存在にも見えた。同じ世代の若者がステージの前列を境に、御互いを見、楽しむ。そしてそれを見守る大人達。ロックを取り巻く状況も日々変化しつつあり、たとえバンドで将来を夢見る決意まではなくても、この日見せたロックの魅力と、これによって広がる繋がりは、ロックを人生の糧として胸に抱き続けることが認められてきていることを示しているようにも見える。
 
舞台裏では、今回顧問として参加された高校の教師達が、演奏を終えた生徒達に「良かったよ!」と激励のコメントを与えているのが印象的だった。そこには単なる義務としてのお付き合いではなく、教える側と、学生と言う関係の中でも立派にロックが存在する立ち居地を獲得した姿も見られた。流行の最先端を行くアーティストを追いかけていくことも重要だが、ロックを普段の生活の中で楽しむことを考える上でこの様な活動は非常に有意義とも思える。引き続いてこれらのムーブメントにも、BEEASTは注目していきたい。