特集

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TEXT:羽月えり PHOTO:岩崎優

Photo昨年で5年目となり、今ではすっかり毎年秋の恒例となったVAMPS主宰のハロウィンライヴ「HALLOWEEN PARTY 2012」の東京公演が千葉・幕張メッセで行われた。
 
昨年はHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAも結成され、10月には豪華な共演アーティストとその本格的な仮装で話題を集めたハロウィンソング「HALLOWEEN PARTY」がリリースされた、年々進化していくHALLOWEEN PARTYの3日間の模様をたっぷりとお届けしたい。
 
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~1日目~  2012.10.26(Fri.)

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会場の海浜幕張駅に到着すると、「さすが!」と思わせる気合いの入った仮装の観客が目を引く。それもそのはず、会場で”イケてる仮装の人”はメンバーと同じステージの花道を歩くことができるのだ!大好きなメンバーに自分をアピールできるチャンスとくれば、それはもう凝りに凝った格好になって当然だろう。ちなみに朝からファッションショーとカラオケコンテストの予選が行われ、通過者が選ばれる。
 
ハロウィンなだけにホラー系はもちろんのこと、セクシー系、キュート系、お笑い系と様々な仮装でパーティのスタートを心待ちにしている人々。そんな素顔もわからないような観客たちを尻目に会場内へ到着すると、びっくり、何とスタッフも総出で仮装しているではないか!機材席に座っているスタッフも白塗りをしていたり、被り物をしていたり。ここまで徹底しているとは流石だ。作り手の気合いが感じられスタート前なのにワクワクさせられる。
 
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「みんな元気に死んでますか?」と語りかけるジャックオランタンは、なんとドラえもんの声優として知られる大山のぶ代だ。その声に導かれ、刀を振りかざしながらトップバッターで登場したのはBREAKERZDAIGO(vocal)が緋村剣心、AKIHIDE(Guitar)が斎藤一、SHINPEI(Guitar)が相楽左之助と「るろうに剣心」に扮したメンバーは、次々と刺客を切り倒していく。「”るろうにBREAKERZ“としてやってきました。今回のリハーサルは殺陣の練習しかしてません」と言うだけあって、本格的で見事な殺陣には会場も大喝采。「トップバッターは例え命果てようとも盛り上げなきゃいけない!」と「Everlasting Luv」、「Miss Mystery」を次々と披露し言葉通り大いに盛り上げる。HYDEから誕生日にもらったという白いグローブをマイクスタンドに被せ、まるで神棚のように崇めるDAIGOの姿には観客も大爆笑。そしてポップで爽やかなキラーチューン「SUMMER PARTY」へと続けて広いステージを勢いよく駆け回りながら会場を沸かせる。「次がラストです。タオルでもハンカチでもティッシュでも布でも何でも構いません。振りまくれ!」とスタートしたのは「灼熱」。うねるようなギターにあわせてタオルを振るDAIGO。そして観客も思い思いのものを振り回しながらラストソングを楽しんだ。最後は会場も一緒に「ういっしゅ」で決めさせ、大いに盛り上げてステージを後にした。
 
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続いて英語のインフォメーションと共に登場したのはTommy heavenly6!赤と黒のゴシック風でアリスのようなワンピースに身を包みステージへ登場すると「トミーかわいい!」と絶賛の嵐。囚人服姿やゾンビ姿のバックバンドやダンサーを従え、サビがポップな「Never Ending Party Night」やハードな「CALL ME PRINCESS」を独特な甘い声で披露。中でも「Lollipop Candy ♥BAD♥girl」はメロディの転調が多く不思議でいながらもサビの盛り上がりが力強くインパクトの強い曲。途中でチアリーダーの眼帯ガールズや白いひげの小人がでてきてホラーな童話のような世界観を魅せつける。「みんなと心を1つにできればと思いを込めて歌います」とラストソング「I’M YOUR DEVIL-Halloween Remix-」を甘く力強く歌いきった。全体的に激しいハードなナンバーをMCも少なく淡々とどこか冷めたような感じに甘い歌声で歌いきる。その独特の存在感がハロウィンらしさを更に盛り上げていた。
 
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続いてお馴染みのXのライヴオープニングテーマと共に手をクロスにさせながら登場したのはAcid Black Cherry。大歓声に包まれながら、逆毛を立て革ジャンを素肌にまとったyasu(Vocal)は「Murder Licence」などハードなロックチューンを逆立てた髪を振り回しながら立て続けに熱唱。その後「みんなもこの曲を聴きたかったんじゃないかな?」とバラードソング「イエス」の綺麗なイントロが流れファンからは嬉しさのあまり黄色い歓声が起きる!そこから突然モンスターバンドのチェンジ。ファンの大合唱とヘドバンもすごいことになっている。大喝采のなかyasuが「3年連続モンスターバンドをやらせていただいています。神(=HYDEのこと)からのお告げで今年も再びやらせていただきました」と観客を笑わせモンスターバンドの代表曲を熱唱。観客も負けじと夢中になってライヴを盛り上げる。yasuの高く澄んだ声に全くぶれない演奏とここまでモンスターバンドを忠実に再現できるのは、もはや彼らしかいないだろう。最後は「少女の祈りⅢ」のハードでありながら切なさも残るナンバーを攻撃的に演奏し、観客が名残惜しむ熱い声援をあげる中ステージを去った。
 

Photo転換時にはHALLOWEEN COLLECTIONと題したファッションショーを開催。
AliMONORAL)らがゲスト出演したほか、「From KARAOKE to THE STAGE」のコーナーではyasuDAIGOが登場しクリスタルキングの「大都会」のデュエットを披露。
MCのやまだひさしが「自分たちの出番より活き活きしてるのはなぜなの?」と聞くほどに息のあった二人であった。
 

 
Photo遂にイベント主宰のVAMPSが登場だ。照明を落とし、妖しげなスモークで充満する会場。レーザー光線のような紫の光がユラユラとまるで生き物のようにうごめく。照らされている花道の先の大量の墓が恐ろしさを増長させる。その中からゾンビ姿のVAMPSメンバーが次々と登場!最後に現れたのは「バタリアン リターンズ」のヒロイン、ジュリーに扮したHYDE(Vocal)だ!鬼のように真っ赤な瞳で、体中に無数の傷を負い、ガラスの破片や釘が突き刺さっている。本当にこの世のものではないような姿に観客も一瞬凍りつく。
 
恐ろしくも美しいゾンビのHYDEは「MIDNIGHT CELEBRATION」を激しく歌いあげ観客を魅了する。続く「HALLOWEEN PARTY」はPUNK調にアレンジされ、K.A.Z(Guitar)のギターが炸裂。爆音でグルグル回しながら勢いよく演奏し会場をパーティ色全開にする。「ちょっと痛い思いしちゃった。こんな姿になっちゃったけど愛してくれるかしら?」と甘い声で可愛らしくHYDEが語りかけると場内はひときわ大歓声の渦に包まれる。「メイクさん4人に弄ばれて。特殊メイクっていうの?二時間半かかっちゃった。みんな元気に死んじまってくれ!」と始まったのは「Lucy in the Sky with Diamonds」。幻想的で曲も転調が多く、ステージでは月がくるくる周り照明も次々変化し、まるでダンスホールのよう。「一緒に死のうぜ」のセリフがここでは、ひときわ印象的。そして再び暗闇となった会場ではHYDEの赤く光る瞳だけが浮かび上がり、あまりの不気味さに観客もどよめく。もはや生き物ではないのでは?と思わせるその演出に背筋が一瞬ゾッとする。
 
PhotoHYDEの唱える呪文に合わせて墓場から次々とゾンビや亡霊、モンスターがステージに沸き上がり、さながらお化け屋敷のようだ。「TOROUBLE」が始まると、カッコよくもおどろおどろしいゴーストたちがうごめいている。会場では円陣を組んで楽しそうに踊っているファンの姿であふれる。そのまま「ANGEL TRIP」「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」とパーティナンバーが続き、最高潮の盛り上がりを見せる!
 
そしてイベントのラストを締めくくるのはHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAによるスペシャルセッション。公演ごとに異なるメンバーで構成されている。この日は出演者に加え、kyoD’ERLANGER)、ナイトメア)、分島花音AliBarakiが参加。「Penalty Waltz」では、ドSな指揮者に扮したHYDEが気ままな指揮で、わざと突然演奏を止めたりテンポを早くしたりして演奏者を振り回す。間違えた人にはスプレーで煙が噴きかけられる。続いてアフリカのリズムゲームという「Rhythm Game」を披露。このゲームでは出演者のリズム感覚を競うもので、リズムを乱した敗者にはカラオケの罰ゲームが科せられる。この日はまんまと間違えたHYDEが浮かない顔で花道へ赴き、棒立ちで一生懸命「X」を歌うと、滅多に見れない姿を見たファンは大喜び!そしてこの日はなんとD’ERANGERkyoHYDEによる「LA VIE EN ROSE」(D’ERANGER)でツインヴォーカルが披露されるという豪華な共演!最後は「HALLOWEEN PARTY」をHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA全員が歌いながらお菓子を配り、約4時間に及ぶHALLOWEEN PARTY 2012は初日の幕を閉じた。
 
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~2日目~  2012.10.27(Sat.)

2日目の出演アーティストはBREAKERZjealkbAcid Black CherryVAMPSだ。この日のチケットは完売しており1万7500人が会場へつめかけた。
 
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窓をカーテンで覆われたカボチャの馬車が会場後方からステージへと向かう。馬車が花道に到着すると、ももいろクローバーZの曲が流れだし、ざわめく観客の前に姿を見せたのは「ももいろブレイカーZ」に扮したBREAKERZだ!ミニスカートにウィッグを付けているメンバーにあっけにとられる観客たち。そんな会場の空気はよそに、そのまま1曲サポートメンバーも含めて歌って踊りきった。前日の殺陣に続き、これもかなり本気の踊りで練習の成果が見られる。メインステージではハードなナンバー「BAMBINO ~バンビーノ~」でスタート。DAIGOが「週末アダルトバンド、ももいろブレイカーZです。”ももブレ”やるために脇毛の処理をしてきました。盛り上げます!」と煽り、「SUMMER PARTY」「絶対! I LOVE YOU」と踊りたくなるようなノリのいい軽快なナンバーを続ける。時折DAIGOがミニスカートから太ももを見せると大歓声がわく!「私達ももいろブレーカーZは本日をもって解散します。これからはBREAKERZをよろしくお願いします」とDAIGOがどこかで聞いたことのあるような解散宣言をし、会場は大笑いしながら大きな声援を送った。
 
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続いての登場はjealkbhaderu(Vocal)ことロンドンブーツ1号2号田村淳を中心にお笑い芸人仲間により結成された5人組だ。
Photo「ナウシカ・レクイエム」に合わせて、魔女の宅急便のキキ、紅の豚、ホタルの墓の清太などジブリ作品の主人公に扮したメンバーが登場。観客が大爆笑のなか、最も目立っていたhaderuは、なんと「千と千尋の神隠し」のカオナシの仮装!「普通は曲からスタートしますが僕たちはMCから入ります。日本で一番腰の低いビジュアル系バンドを目指します」とhaderuは謙虚に話しながらも振付を面白おかしく講習。さすがは芸人さんと思わせる。全体的に聴きやすいキャッチーなサウンドにのせながら、「How much is your love」では観客にハートを作らせたり、ハードなナンバー「killss」では「VAMPSABCBREAKERZjealkb」と合いの手を入れさせたりととにかく盛り上げ方が上手い。「最後はひきこもりの人に作った曲です。「学校行け行け」コールをお願いします」とラストソング「shell」が始まった、と思ったら「ハイ止め止め。行け行けコール言わないと止めるよ。」と観客を笑わせ、「学校行け行け」コールで会場を大合唱させ最後まで楽しませた。
 
続く3組目はAcid Black Cherry。馬車に乗って登場したメンバーは「FINAL FANTASY VII」のキャラクターに扮して登場。yasu(Vocal)の主人公クラウドはじめ、サポートメンバーのゲームからそっくり抜け出してきたようなクオリティの高いカッコ良い仮装には黄色い大歓声があがる。「1954 LOVE/HATE」からハードな攻めのロックナンバーをクールに次々と披露。中盤では打って変って「ハロウィンにあうカワユイ曲を」とオリジナルグッズのカチューシャをつけたyasuが歌い始めたのは「so…Good night」。左右に揺れながら甘いキャッチ―なポップなメロディを可愛く歌うyasu。ファンは大喜びで曲に酔いしれている。最後は激しいロックナンバー「ピストル」で会場をヘドバンで埋め尽くし、前日とはまた異なる一面を見せ観客を魅了した。
 
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4組目、VAMPSも馬車に乗って登場!前者2組とは違って中が見える馬車のため、会場は「HYDE~」「K.A.Z~」コールで熱気あふれる。しかしHYDEは馬車には乗っていない。降り立ったメンバーはゴスファッションで決めており、そのうちK.A.Z(Guitar)、Ju-ken(Bass)、Arimatsu(Drums)は伯爵のような出で立ち。 JIN(Keyboard) は派手なドラッグクィーン。そして曲と同時にHYDE(Vocal & Guitar)は水銀燈を思わせる美しい令嬢のゴスロリファッションで登場すると、会場はその艶やかさ、美しさに見とれて一瞬息をのみ静まり返り、その後大歓声が沸き起こる!黒くて長いベールを身に纏い、ドレス姿なのに軽やかにステージを歩くHYDEが囁くように「EUPHORIA」を歌い始めると観客はうっとりと魅了される。力強くも儚いHYDEの妖しく揺れる手の動きから目が離せない。一瞬でこの会場をVAMPSの世界に染める。続く「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」では変わってメンバーの激しい動きと演奏に会場は一気に熱を帯びていく。「今日はみんなゴスで決めてきたの。素敵でしょ?ちょっとクセになっちゃいそうだけど大丈夫かしら?」と甘く囁くようにHYDEが語りかけると会場からは「可愛い!」と黄色い大歓声があがる。そして「HALLOWEEN PARTY」はアップライトベースでボサノバ調にアレンジ。女装のHYDEが座って左右に可愛く揺れながら高音でしっとりと優しく歌いあげると、その幻想的な世界にまるで本当の女の子のように見えてくる。続いてライヴの定番曲「DEVIL SIDE」「ANGEL TRIP」で会場を盛り上げ、ラストは「MIDNIGHT CELEBRATION」と一気に攻め立て、観客も大熱狂!
 
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ラストのHALLOWEEN JUNKY ORCHESTRAには出演者4組のほか、Tommy february6逹瑯MUCC)、ナイトメア)、分島花音AliMONORAL)、Barakiが参加。可愛い格好ながらも前日に引き続きサディスティックなHYDEの指揮にメンバーは翻弄される。終盤、HYDEがサプライズで「僕、Acid Black Cherryの曲で好きなのがあるんだよね」と「シャングリラ」を替え歌混じりに披露。何も知らされていなかったyasuはこの手の込んだサプライズに驚きの表情を隠せず、あっけにとられている。満足気な表情を浮かべるHYDEyasuは「ありがとうございます。このイベント忙しかったはずなのに、こんなサプライズまでしていただいて」と感激を伝える。そして最後は全員が「HALLOWEEN PARTY」を熱唱し、賑やかに「HALLOWEEN PARTY 2012」2日目も幕を閉じた。
 

 

※本記事のステージ写真はオフィシャル提供(撮影:今元秀明、田中和子)によるものです。
 
◆BREAKERZ 公式サイト
http://breakerz-web.net
◆Tommy heavenly6 公式サイト
http://thebrilliantgreen.info/Tommyheavenly6/
◆Acid Black Cherry 公式サイト
http://www.acidblackcherry.com
◆jealkb 公式サイト
http://jealkb.laff.jp/
 
◆VAMPS 公式サイト
http://www.vampsxxx.com
◆HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA ホームページ
http://www.vamprose.com/halloweenparty/

 

◆HALLOWEEN PARTY 2012特設サイト
http://www.halloweenparty2012.com/index.html

 
3日目、ファッションショーのレポートはこちらへ!
http://www.beeast69.com/feature/52834/