特集

BEEAST密着取材_TSP

TEXT & PHOTO:桂伸也

【密着レポート第13弾:TSP】

昨年、奇跡の復活劇を遂げたTSP。オリジナル・メンバーのShu(Guitar)とHINA(Drums)が方々で語る【K】(Vocal)、you+(Bass)の魅力は、アルバムリリースやライブステージ前からファン達の興味を強く引き、東京でのステージを強く渇望されていた。そしていよいよミニアルバムをリリースし、これに合わせて東名阪のツアーを実施、関東方面ではTSP初のライブとなった。新メンバーでのライブということでも初だけに、大きな注目を集めたこの日のステージ。オリジナルメンバーであるShuHINAの、ようやくスタートラインに立った彼らの思いは、果たしてどの様に変化したのか?そして新メンバーである【K】、you+のお手並みやいかに?皆が大きな期待を寄せたこのステージの模様を、今回は追ってみた。

TSP is:
【K】(読み ケイ:Vocal)、Shu(Guitar)、you+(読み ユウ:Bass)、HINA(Drums)
hana
 

 

1.ライブ前(13:30~)

 
13:30~セッティング
 
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クルーと共にセッティングを進めるメンバー達。会場は全体的にアットホームな雰囲気だった。HINAは気軽に【K】you+に声を掛け、リラックスした空気を作り出していた。
セッティングを終えると、全般的にざっとサウンドチェックを行った後、リハーサルへ。「DEMON’S RIDE」を一通り流したところ、特に問題もなさそうだったように見えたが、気に掛かったところが合ったらしいShuは、「え~と…じゃあ、リクエストに応えて今の曲をもう一度!」軽いジョークを込めた言葉に、「誰もリクエストなんてしていないのに…」と、ズッコケる一堂。しかしこれぞShuのペースの作り方ということは、皆が理解しており、やれやれ、しょうがないとばかりに苦笑いしながらリハーサルを続ける。
you+は何かコメントが出ると、積極的に、かつ気さくに何か答えを見つけようとする、ムードメーカーだ。対照的に【K】は、この時ちょっと緊張気味にも見えたが、徐々に自分の求める姿を形にしているようで、モニターにもイメージを膨らませ細かい指示を出していた。ある意味バンドのあるべき姿を一番イメージできている人物であり、それに向けて自分が何をすべきかを考えている、新星TSPの重要なキーとなる人物だ。
 
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全般的には打ち込み音を利用したサンプラーの部分に注意が注がれ、その部分を何度か繰り返し最終確認をしていた。逆に各パートでの演奏にはある程度絶対的な自信すら見え、この部分はリハーサルではすらっと流された。しかし、間に入れたベースとドラムのバトルについては、本番さながらの緊張感が漂う、聴き応えのあるプレイを見せた。やがてTSPのリハーサルは終わり、オープニング・アクトのリハーサルも終了して、いよいよ会場準備へ。会場の隅に並べられた物販の一部には、HINAが直接作ったというアクセサリも並べられていた。
楽屋では、皆妙に気負いするわけでもなく、それぞれにやることは理解しているというような様子で、淡々とライブの準備に入っていた。会場はオープンから間もなくフロア最後列までびっちりと埋められた。
 
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2.ライブ(19:30~)

 
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オープニング・アクトのステージが終わり、いよいよスタンバイ完了。SEから登場するメンバーに掛けられる大きな歓声。大音量で流れるSEにもかき消せないほどの声が会場を覆う。you+、HINA、Shu、そして【K】。“俺が切り込み隊長”とばかりに、第一声をあげるようにShuがガツンとギターをかき鳴らすと、遂に【K】が登場。スタイリッシュな風貌と、鋭い眼光、そして荒々しく第一声をあげる。「Hey、代々木!盛り上がっていこうぜ!!」その声は、大きな力が感じられた。フロアの中には、TSPとしての【K】という存在以前に、「果たして【K】とは何者!?」と、全く予備知識を持たずに会場に現れたロックファンも居たかもしれない。しかし、そんな者でさえ、彼のそのセンセーショナルな登場の瞬間を見ただけで、【K】とこのバンドはとんでもないライブをやってくれる、そんな期待を確信したことだろう。

ステージは、「THE REASON」でスタートした。荒々しくも太い支えを作るギターのリフに、厚いボトムを形成しながらもうねるようなベースラインと、疾走するドラムが絡みつき、ワイルドで重量感たっぷりのサウンドを構成、その上を、獣のように凶暴な【K】のヴォイスが、聴くものに襲い掛かってくる。「どうした代々木!?そんなものか!?」「代々木!?まだまだいけるだろう!?」挑戦的な姿勢でフロアに立ち向かう【K】。その姿は、まさしく常に攻めの姿勢を崩さないTSPの姿を象徴しているようにも見えた。続いたダンサブルなリズムのナンバー「Desperate Angel」では、ファズの効いたベースによる極悪なラインがギター音の荒々しさを強調しているのに対し、HINAとのハーモニーを奏でるメイン・メロディが印象的。
 
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「皆さん、お待たせしましたTSPです!皆さん元気ですか!?声を聞かせてください!!」MCの第一声をあげた【K】。反応した観衆の歓声の大きさは、ここまでの流れに満足し、これからの展開に更なる期待を掛けているようにも見えた。そして、またも強烈な言葉を吐き出す【K】の合図で、けたたましい打ち込みリズム、そしてドラムの音が続く。正に新生TSPの新たな一歩を示しているとも言うべき「MAD CLUSTER!!」へと流れた。「おまえらの狂うところを見せてくれよ!!」【K】が囁いたその言葉に従うように波打つフロア。いくら暴れても「そんなものか?そうじゃねえだろう!?」とばかりにフロアをあおり続けながら、要所で強力なシャウトを繰り出し、背筋がぞっとするような気配すら感じさせる【K】HINAが叩き出すリズムにはグルーヴィーな要素がありながらも、Shuyou+が作り出す重量級のハーモニーと合致することで、結果的に全体として決して軽くならない、ヘヴィでラウドなサウンドを形成し、真にヘヴィなロックサウンドを求めるファンであれば唸らずにはいられないプレイを連発していく。
 
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完全にTSPのペースとなったこの後、Shuのコールに続き、HINAのドラムソロが始まる。静かなロールから、堅実なビートに変わり、そしてツインペダルを加えて徐々にスピードがあがると、フロアから大きな歓声があがる。テクニック云々よりもハートで叩く、そんな気迫が伝わってきそうなドラムの音色が、フロアを更にエキサイトさせる。そして、「相棒」としてコールしたyou+を呼び込み、スペシャル・セッションが繰り広げられる。ベースとドラムだけとは思えない、卓越したテクニックに裏打ちされた絶妙なコンビネーション。強固なドラムのリズムを土台にした上で、縦横無尽に走り回るベース。その見応えたっぷりの一時を展開した後は、ジャングル・ビートのドラムを背にyou+【K】、Shuをステージに呼び込み、メンバー紹介をする。そして最後に「1回だけ言わせてください」と前置きをし、叫んだ。「On Bass,TAIJI!!」その瞬間、フロアからはこの日一番の大きな歓声があがった。
 
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「FLY TO HELL」で続いた後に、Shuがフロアに語りかける。同時に今の新たなTSPのメンバーに対する気持ちを告げた。言葉をスタッフ、関係者、そして最後に今TSPを構成しているメンバーに、礼を告げる。お得意のジョークを混ぜつつも、時に戸惑いのようなものを感じさせたその語り口は、このメンバーでTSPとしてライブが行えたことを、心から嬉しく思っていた現れかもしれない。最後に、「地方にライブで行った時に、『やっと笑顔になった』って言ってもらえました。俺達は皆が笑顔になってくれたら最高です!」その願いを込め、フルアルバムのオープニング・ナンバーに予定していたという「ASH&RAIN」を皮切りに、怒涛のナンバーをたて続けにフロアへお見舞いしていく。

そしてShuが叫ぶ。「みんな気持ちは一緒だからよ、思い切り笑ってあいつのところまで声を届かせようぜ!いけるか!!」「Yeah!」いよいよステージはクライマックスへ。「FROM HERE TO WHERE I AM」から「DEMON’S RIDE」へ、さらにこの五人が始めて音を完成させた「REST IN PEACE」、そしてTAIJIの遺作「FREEZE」へ。この時の、TSPの思いに相応しいナンバーだ。フロアとの大掛かりな掛け合いの中には楽しさすら感じられ、Shuが語った「楽しさ」の一端を感じさせながら、盛大にステージの幕を閉じた。「まだ彼らの音が聴きたい!!」とばかりに鳴り響くアンコール。応じてShuが登場し、この日の礼を述べる。そして、ラスト・ナンバーとしてTAIJI作の名曲「Desperate Angel」をプレイ。「ありがとう!」【K】Shuの言葉を残し、彼らはステージを降りた。
 
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3.ライブ後(21:00~)

 
息を付く暇もなく、終了後はメンバーそれぞれ、物販席などでファンやゲスト達と交流を図っていた。元々ファンとの距離が非常に近いバンドであり、こういったコミュニケーションが取れることは、彼らにとって重要な要素の一つであるといえる。会場から離れるのを名残惜しそうにしていたファンに、いつまでも感謝の念を告げていたのが印象的だった。
 
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◆公式サイト
http://tsprock.jp/

◆セットリスト:
M01.THE REASON
M02.Desperate Angel
M03.MAD CLUSTER!!
M04.PSYCHEDELIC DEAD WORLD
M05.CONFLICT
M06.FLY TO HELL
M07.ASH&RAIN
M08.BLACK VAMPIRE
M09.FROM HERE TO WHERE I AM
M10.DEMON’S RIDE
M11.RIP
M11.FREEZE
Encore
E01.Desperate Angel

◆ライブ情報
2012.09.27 [Thu] 渋谷O-CREST
w/快進のICHIGEKI/KING/Earls Court

 
hana
 
「MAD CLUSTER!!」をプレイしていた時の、ShuHINAの表情が印象的だった。Shuの表情は、普段はどちらかというとポーカーフェイスであるのに対し、そのギター・リフが飛び出す瞬間、鬼気迫る表情が現れたかのようだった。程良い緊張感と、TSPの新たな未来を改めて認識したことで感じた武者震いが、その表情を作ったのかもしれない。そしてこの曲でフィニッシュを迎えた瞬間のHINAの表情は、昨年TAIJIを追悼して行われたライブで見せた、“悲しみを乗り越えて見せた笑顔”ではなく、完全に試練を飛び越え、TSPの前に広がる新たな、大いなる道に向かって、力強い一歩を踏み出したという喜びに満ち溢れた表情だった。

【K】、you+という新たな可能性は、確実に大きなインパクトをTSPにもたらした。そしてそれは、オリジナルメンバーのShu、HINA、そしてTAIJIとの相乗効果により、TSPの大きな可能性を導き出した。それをこのステージは証明したのだ。フル・アルバムとして正式な音源がリリースされるのも間近、今度は更に大きなステージが彼らを待っていることだろう。先には大きな壁も待ち構えているかもしれない。が、TAIJIのスピリッツに賭けて、彼ら、そしてファン達も果敢に戦いを挑み、乗り越えていくことを願わずにはいられない。
 

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TSP 1st Full Album
『The Last Resistance of the Firebird』

ATRM-0003 2,800円(税込)
2012年9月27日リリース
収録曲
01.ASH&RAIN
02.REST IN PEACE
03.CONFLICT
04.FROM HERE TO WHERE I AM
05.FLY TO HELL
06.SAND OF THE SUN
07.MAD CLUSTER~album ver.
08.BLACK VAMPIRE
09.BLEEDING MY WAY
10.SLEEP FOREVER
 

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TSP 1st Mini Album
『MAD CLUSTER』

ATRM-0002 1,800円(税込)
発売中
収録曲
01.MAD CLUSTER!!
02.DEMON’S RIDE
03.THE REASON
04.PSYCHEDELIC DEAD WORLD
05.FREEZE

 

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