特集

WOMEN'S POWER Vol.48 〜東京・大阪 ひなまつりLIVE〜

TEXT:Ucchy、山崎光尚、八神灰児  PHOTO:万年平男
2010.2.27(Ucchy)

小雨の降る中、目黒LIVE STATIONへと向かう。本日は『WOMEN’S POWER Vol.48〜東京・大阪 ひなまつりLIVE〜』と題した3daysイベントの初日だ。『WOMEN’S POWER』というイベントは、なんと1991年から続いている。過去、SHOW-YA寺田恵子THE NEWSロリータ18号なども出演してきた。本物の“WOMEN’S BAND”のためのイベント。

まず初日のオープニングに登場したklauca-glaucaは、小野寺エミ(Vocal)とHaruka(Guitar)によるユニット。包み込むような小野寺エミの声とHarukaのアコギによる心地よいリフ、そして2人のステージに引き込まれたオーディエンスがハンドクラップでリズムを刻む。リズム楽器がいないというハンデを、オーディエンスと一体になることによってアドバンテージに変えてしまう彼女達のパフォーマンスはすごい。今後はバンド形態でも活動するようなので、バンドサウンドで聴かせるklauca-glaucaの世界観も楽しみだ。

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【セットリスト】
M01.Dadida
M02.Home Town
M03.My Novel
M04.Tears
M05.月夜ノ散歩



最前列にたくさんの男性ファンが陣取る中、登場したのはMary’s Blood。メンバーは、EYE(Vocal)、ERI(Guitar)、CHIBA(Guitar)、NIBOSHI(Bass)、MARI(Drums)。彼女達のステージはとにかくパワフルでアグレッシブ。EYEは歌唱力とカリスマ性でオーディエンスをあおりまくる。ERICHIBAはヘヴィーなリフを刻みながら、ステージを華やかに舞う。リズム隊NIBOSHIMARIは腰にくる力強いビートを刻む。この日は、アニソンカヴァーも披露。女性ならではの、繊細なツインリードギターを聴かせてくれた。

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【公式サイト】
http://marysblood.com/

【セットリスト】
M01.BLOOD
M02.Don’t Say “lazy”
(桜高軽音部のカヴァー)
M03.らせん
(不知火明乃「喜多村英梨」のカヴァー)
M04.The Fifth Inferno
M05.Save The Queen



次に登場したのは個性的な衣装が印象的な硫化鉄。メンバーはデンコ(Vocal)、コノミ(Guitar)、ericco(Guitar)、ハル(Bass)、TAE(Drums)。戸川純椎名林檎を彷彿させるデンコの狂気とエロスに満ちたステージングに釘付け。バンドのほとんどの曲を手がけているコノミと、Jimi Hendrixがフェイバリットという弱冠二十歳のericcoのギターが絡み合い、ハルTAEのリズム隊が硫化鉄グルーヴを生み出す。曲調はメタルやラウド系から、ブギーやブルースと様々だが、どれも硫化鉄らしさがしっかり表現されている。

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【公式サイト】
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=ryukatetsu

【セットリスト】
M01.VICE
M02.可鍛鋳鉄
M03.道標
M04.Long way to home
M05.風の歌をきけ
M06.chronicle
M07.Glow in the dark



初日のラストを飾るのはSOUTH DELTA。骨太な正統派アメリカンロックだ。メンバーはHIKARU(Vocal)、MACHI(Guitar)、KAZMI(Bass)、SIZKA(Drums)。結成16年をともに歩んで来たメンバーというだけあって、安定感とスケールの大きさを感じさせる。HIKARUのハスキーな歌声と、MACHIの激しいギタープレイのコンビは最高。地を這うようなKAZMIのベースと、突き抜けてくるスネアが心地良いSIZKAのドラムを聴いていると、まるで野外フェスで観ているかのような気になってくる。ビールがうまい。

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【公式サイト】
http://southdelta.ld.infoseek.co.jp/

【セットリスト】
M01.Bad Angel
M02.Loaded Gun
M03.Hell Bound Train
M04.Faster
M05.One More Try
M06.Cool Beans



SOUTH DELTAのステージが終わると、硫化鉄デンコがステージに上がり、セッションのメンバーを呼び入れる。そしていわずと知れた名曲、Blondieの「Call Me」を大合唱。ステージ上もそして会場も一体となった熱い夜へ。セクシーでワイルド、そして女性ならではの繊細さを持ち合わせた彼女達の“ROCK”こそ、「男には真似の出来ない“ROCK”」として音楽シーンには無くてはならないと思う。これからの『WOMEN’S POWER』への期待を胸に、しっかりと楽しませてもらった。

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【セッションメンバー】
Vocal:小野寺エミklauca-glauca)、EYEMary’s Blood)、デンコ硫化鉄)、HIKARUSOUTH DELTA
Guitar:.Harukaklauca-glauca)、ericco硫化鉄
Bass:NIBOSHIMary’s Blood
Drums:SHIZKASOUTH DELTA



2010.2.28(山崎光尚)

『WOMEN’S POWER Vol.48〜東京・大阪 ひなまつりLIVE〜』の二日目。本日も会場の目黒LIVE STATIONは、ほぼ満員の状態。見渡すと9割は男性客で、イベント開始を待ちわびた野郎達の野太い声援が響く。昨日のステージも大いに盛り上がったが、今日はどのくらい盛り上がるのだろうか。期待に胸がふくらむ。

1番目は七彩★GLITTERが登場。メンバーはLEN(Vocal)、あさぴー☆(Guitar)、Mica(Bass)、Minami(Keyboard)、のぞみ(Support Drums)。トップバッターにふさわしい元気でキュートな彼女たちのライブは、爽やかなポップロックだ。アップテンポの「華火」から軽快にスタート。LENは小柄ながらもパワフルで伸びやかな歌声を聴かせる。木琴のようなキーボードの音色が印象的な「ノスタルジアローズ」や、和のテイスト溢れるバラード「金平糖〜秘恋〜」等を間に挟み、横ノリでアップテンポな「BREAMEN」で締め、多いに盛り上げる。

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【公式サイト】
http://nanairoglitter.web.fc2.com/

【セットリスト】
M01.華火
M02.ノスタルジアローズ
M03.遙〜ハルカ〜
M04.金平糖〜秘恋〜
M05.革命前夜
M06.BREAMEN



続くはApiDol。メンバーは、aira(Vocal)、Emily(Guitar)、Miho(Guitar)Mii(Bass)、Mappo(Drums)。全員ギャルの格好をしてロックを奏でるという珍しいスタイルのバンドだ。しかし「解散ライブなんです。ちょっと泣きそうなんです…」とMC。この日で解散とは驚きだが、ライブパフォーマンスは凄まじく、全員で横に揺れるアクションや、ヘッドバンギングをかますなど「すごい」の一言!へヴィーな曲調とギャルの格好と攻撃的なアクションのギャップが最高だ。個性的で解散なんて実にもったいない。再結成することを切望!

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【セットリスト】
M01.LOVE2 delusion
M02.self-conceit
M03.Last Survivor
M04.dripping of star
M05.GALaxy☆



そして3番目はDESTROSEの登場。メンバーは、Mary (Vocal)、Mina(Guitar)、Saki(Guitar)Ami(Bass)、Emi(Drums)。全員が黒の衣装で統一した正統派メタルバンドだ。とにかく演奏力が高い!確かなテクニックに裏打ちされた重厚なサウンドは、安心して聴いていられる。特にGuitarの二人はツインリードのハモリやタッピングなど、メタルファンにはたまらない。疾走感あふれるリズムに合わせ、ヘッドバンギングしまくり!華麗なるお姉さまたちに、すべての野郎達がひれ伏した!

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【公式サイト】
http://destroya.nobody.jp/

【セットリスト】
M01.破壊の薔薇
M02.Overnight Nocturne
M03.Skykiller
M04.Fade Out
M05.Headless Goddess



トリの天狗櫻を待つファンがステージ前へ移動。“天狗櫻タオル”を肩にかけているファンも多く、彼女たちの人気の高さがうかがえる。SEと共に現れたメンバーは、百合-YURI-(唄)、舞凪-MANA-(六弦)、亜結魅-AYUMI-(太鼓)、鞠璃-MARI-(鍵盤)、麻宮-MAMI-(四弦)。全員和服の“和風女メタルバンド”だ。メロディーラインやギターリフに和の音階を散りばめ、へヴィーなサウンドにかもし出される独創的で妖艶な雰囲気が実にカッコいい。ハイトーンヴォイスで時にはコブシもきかせる歌も素晴らしい。最後は会場中が一体となり、怒涛のライブは終演した。

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【公式サイト】
http://id11.fm-p.jp/26/tengusakura/

【セットリスト】
SE.濫觴〜参分咲〜
M01.櫻
M02.艶書
M03.天衣無縫
M04.神風
M05.鬼と成らん



そしてラストは全バンドのメンバーが入り乱れたセッションへ!今回の『WOMEN’S POWER』のセッションは Blondie の「Call Me」!ただでさえ華やかな面々が、全員一つのステージ上に揃ったのだから、これはたまらない!楽しそうに演奏する彼女たちの姿に呼応するようにオーディエンスも大興奮。パワフルでエネルギッシュなエナジーと、女性にしか出すことのできない華々しさや、かわいさ、艶やかさ。病み付きになること間違いなし!『WOMEN’S POWER』これからも多いに盛り上がってほしい。ウーマンパワー、恐るべし!!!

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【セッションメンバー】
Vocal:LEN七彩★GLITTER)、airaApiDol)、MaryDESTROSE)、百合-YURI-天狗櫻
Guitar:あさぴー☆七彩★GLITTER)、MinaDESTROSE
Bass:MiiApiDol
Drums:亜結魅-AYUMI-天狗櫻
Keyboard:鞠璃-MARI-天狗櫻



『WOMEN’S POWER』の主催者、水津宏(有限会社フライングキャット・代表取締役社長)さんに、ライター山崎がお話をうかがいました。

—そもそもこのイベントを開催しようとしたきっかけを教えてください。

Photo水津:僕の本業はカメラマンなのですが、アーティストの写真を撮っているうちに、何か自分でもアーティストたちを応援するイベントができないかなと思ったんです。それでSHOW-YAやプリンセス・プリンセスなどが出ていた女性バンドのイベント『NAONのYAON』が終わった年の’91年に、だったら僕がやろうと始めました。女性バンド達のシーンを盛り上げるサポートになれればなと。開催は、毎年3月(今回は2月)と9月が東京と大阪のライブハウス。12月は渋谷O‐WESTで開催しています。

—20年近くもやってこられて、とても歴史のあるイベントですね!

水津:気付いたらそんなに経ってたんですよ(笑)。女性バンドを集めたイベントって、絶対数も少ないこともあってか,、続けるのが難しいんですよね。でもここまで続けてこれたのも、純粋にライブハウスで頑張っている子たちにデビューしてほしいし、女性バンド同士、横のつながりも作ってほしい、ライバルを見つけてほしいといった気持ちからですね。

—どんなジャンルのバンドでも出られるのですか?

Photo水津:はい。というより、ジャンルで分けるほどのバンド数がいないですから。一時期よりは増えてはきてますが。でも、他のジャンルのバンドやそのバンドを見に来たお客さんにアピールできるチャンスでもあるわけですよ。年齢制限もありません。10代の子たちもいますよ。デモ音源とアーティスト写真を送っていただければ、そこから僕が審査します。

—全国の女性バンドのみなさんに一言ください!

水津:やっぱり女性ならではの華やかさ、女性だからできること、表現できることってのがあると思うんです。歌詞の内容だって女性でしか書けないことはあるわけですからね。だから例えばロックバンドだから男っぽく見せるというよりは、女性にしかできないロックを表現しているバンドに魅力を感じるんですよ。我こそはと思うバンドは、ぜひ名乗りを上げてください!あと、10周年ではThe RunawaysのCherie Currieをスペシャルゲストとして呼んだのですが、来年の20周年でも誰を呼ぼうか検討中です。そちらも期待していてください!



● 2010.3.6(八神灰児)

『WOMEN’S POWER Vol.48〜東京・大阪 ひなまつりLIVE〜』の最終日は大阪。会場はビーストのレポートではおなじみの心斎橋club ALIVE。開場からたくさんのオーディエンスが集まり、物販スペースも大盛況。中には関東や名古屋からの遠征組も居るらしく、驚きだ。さすがに女性ロッカーだけの祭典ゆえ、オーディエンスは見る限り男性ばかり。

照明が消え、超キュートなSEでトップバッターを飾るのは、G∀LDIOUS。メンバーは、Rami(Vocal)、Yoshi(Guitar)、Ruki(Guitar)、サワ(Bass)、在兎(Drums)。関西を中心に活動中のALDIOUSと、本イベントのトリで登場するG∀LMETが今宵に合わせ融合した特別なガールズバンドだ。コラボバンドのサウンドとは思えない演奏とステージングに会場はいきなりヒートアップ。ヘッドバンギングの嵐だ。余談だがyoshiRukiは私の音楽仲間。ドレスアップした彼女らの妖艶さと安定した演奏に心を奪われる。

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【セットリスト】
M01.Bind
M02.夜蝶
M03.紫苑
M04.アルティメットメロディアス



次に登場したのはMary’s Blood。メンバーは、EYE(Vocal)、ERI(Guitar)、CHIBA(Guitar)、NIBOSHI(Bass)、MARI(Drums)。初日の目黒でも大暴れした彼女達。EYEの圧倒的な歌声とステージセンスに目が釘付け。キャッチーかつ大胆なサウンドは、会場のオーディエンスを瞬時にとりこにする。バンド名の由来でもある英国女王メアリーの生涯に共鳴した世界観を、激しくも繊細に奏でるメンバーの姿は美しい。関西でのプレイは、今日が初めてということだが、これからも定期的に関西へ来てほしいと思う。

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【公式サイト】
http://marysblood.com/

【セットリスト】
M01.Don’t Say “lazy”
(桜高軽音部のカヴァー)
M02.らせん
(不知火明乃「喜多村英梨」のカヴァー)
M03.Save The Queen
M04.Mary
M05.BLOOD



耳になじみのあるサウンドと共にスタートしたのは、DEW OF FEARS。メンバーは、わだみや(Vocal)、nao(Guitar)、miyuki(Guest Guitar)、筧ゆかり(Bass)、shiki(Drums)。
「Wrathchild」から始まるIRON MAIDENサウンドは、先の2バンドで火がつきっ放しのオーディエンスを完全燃焼へといざなう。視覚的にも見る者を飽きさせない縦横無尽にステージを蹂躙するその様は、関西におけるIRON MAIDENトリビュート第一人者と称しても過言ではない。濃い内容で、本イベントの折り返し地点を見事に走り抜ける。

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【セットリスト】
M01.Wrathchild
M02.Running Free
M03.The Trooper
M04.Hallowed By Thy Name
M05.2 Minutes To Midnight
M06.Aces High
(全てIRON MAIDENのカヴァー)



続いてDESTROSE。メンバーは、Mary (Vocal)、Mina(Guitar)、Saki(Guitar)Ami(Bass)、Emi(Drums)。二日目の目黒で、オーディエンスをノックアウトしたバンドだ。攻撃的なメタルリフとキャッチーなメロディを武器に、激しいステージングを魅せる。場数を踏んだ者が持つオーラをひしひしと感じる。ミドルテンポで刻む曲からヘヴィーバラードまで、楽曲の幅広さもウリだろう。クオリティの高い、まさに圧巻のステージ。終演後も、MinaSakiのツインリードギターが耳に残る。

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【公式サイト】
http://destroya.nobody.jp/

【セットリスト】
M01.破壊の薔薇
M02.Overnight Nocturne
M03.Chained Destiny
M04.Skykiller
M05.Headless Goddess




春を通り越して夏が来たのかと思わせるほどの熱気を帯びた会場に、トリを務めるべく登場したのはG∀LMET。メンバーは、みっき〜(Vocal)、Ruki(Guitar)、サワ(Bass) idyako(Drums)。“ガールズデスメタル”と銘打って放たれるそのステージは、みっき〜が放つ自信に満ちた破壊力満点のデスボイスとGuitar&Bassの両翼が成すキュートさが混在した、ガールズメタルの幕の内。バンド名を体現した人文字あおり(YMCAヤングマン的な)も大盛り上がりで、会場にいた全員が一体化。すさまじいボルテージの上がり方だ。

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【公式サイト】
http://tosp.co.jp/i.asp?I=galmet

【セットリスト】
M01.記憶喪失
M02.cypress
M03.fangs of slaves
M04.翼
M05.∀Nother MIND
M06.unchained love



『WOMEN’S POWER Vol.48〜東京・大阪 ひなまつりLIVE〜』の3daysイベントも、いよいよフィナーレ。全出演者がステージに上がって、もちろんBlondie の「Call Me」!各バンドのボーカリストが一堂にフロントへ居並ぶ姿は流麗だ。会場一丸となっての大合唱とともに、大阪の熱すぎた宴は幕を閉じるのであった。この熱き三日間のレポートを読んで、貴方は次回の『WOMEN’S POWER Vol.49』へ行きたくなったに違いない!足を運んで損のない“女の祭典”、ぜひ次回は会場で拳を振り上げて!

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【セッションメンバー】
Vocal:RamiG∀LDIOUS)、EYEMary’s Blood)、わだみやDEW OF FEARS)、MaryDESTROSE)、みっき〜G∀LMET
Guitar:YoshiG∀LDIOUS)、MinaDESTROSE)、naoDEW OF FEARS
Bass:NIBOSHIMary’s Blood
Drums:idyakoG∀LMET