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TEXT & PHOTO:株本和美

映画『かば』は、1985年大阪市立鶴見橋中学校に実在した教師と生徒の物語で、心の底から向き合った彼らの青春を描く、実話に基づいた映画だ。本作の制作総指揮・原作・脚本・監督を務めた川本貴弘氏(以下川本監督)と、主題歌「Long line」を担当した騒音寺のボーカルNABEのインタビューをお届けする。
 
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ただ、そういう差別をされてきた子どもたちがいる、ということは西成に限らず、寂しい思いをしている子たちの為に、映画を完成させたいな、と思っただけなんです。

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—映画『かば』の制作期間は7年と200日!一番の理由は?

 
川本監督:やっぱりお金ですね。このくらいの規模の映画を撮ろうと思ったら3~4千万円はかかるんでね。学園ものだとキャストも多いし、キャストが多くなるとスタッフも多くなるでしょう。長編だし、1985年が舞台で時代劇でもあるから。
 
この作品の前にパイロット版を撮っているんですが、これを持ってカンパを募ったり、企業スポンサーをつけようと営業をしたりしたんですが、スポンサーはつかず……。自主制作だし、完成するかもわからないから、企業としてお金を出すのは厳しかったのかな。何社かは、社長のポケットマネーで100万円ほど出してくれたりもしたけど、それだけでは足りず。完成させるには、やれることは何でもやっていこうということで、最終的にクラウドファンディングを2回やりました。
 

—実話をもとにした物語ですが、どんな経緯で蒲先生のことを知ったんですか?

 
川本監督:蒲益男先生(2010年に58歳で死去)という実在の先生がいらっしゃって。蒲先生の知人から「こういう立派な先生がいたんで映画を撮りませんか?」って言われたんだけど、会ったことない人の自伝映画は撮ることはできないから、最初は断っていたんですけど、だんだん「どんな先生だったのかな」と思いはじめて取材をすることに。
 

—監督が取材を始めたころには蒲先生は亡くなられていて、当時を知る方々へ取材を行っていったと……。

 
川本監督:そう。そこで、蒲先生と西成で働いていた先生に出会って。その方は今制作委員会で一緒にやっていて、お金も出してるんだけど。その方に、蒲先生がどうのこうのいう前に、「西成が舞台になるから、西成の事をしっかり勉強してくれよ」と言われ、色々な本を読んで。「この町がどういう差別を受けてきたのか、歴史をちゃんとわかったうえでやってくれよ」ということやね。
 
西成に限らずだけど、よそ者に勝手に自分たちの町を語られたりするのは嫌だと思うんですね。最初は取材に行っても、あまり本音を聞かせてもらえなくて。でも、ちゃんと接するとすごく温かいし、距離が近くなる町ですね。
 

—「撮りたい!」という強い気持ちが芽生えたきっかけは?

 
川本監督:蒲先生だけでなく一緒に働いていた同僚の先生たちの子どもたちに接する熱い思いや情熱とかを知っていって。そういうので、僕は心を動かされたと思いますね。
 

—映画の中に西成をどう描いていきたいなど、意識されたことはありますか?

 
川本監督:西成を舞台にした映画はいくつもありますが、僕は西成を描きたい、部落差別を描きたい、というところから入ったわけではないから、たまたま、蒲先生という人を追っていたら「西成」だった、という流れなので、そこまで西成について描くことにこだわりはなかったんですよ。
 
“たまたま、舞台が西成だった……”というのは簡単ですけど「じゃあ、西成に来るなや」と思う人もいたしね。もしかして、蒲先生が違う土地の人だったら西成ではなかったかもしれない。
 
ただ、そういう差別をされてきた子どもたちがいる、ということは西成に限らず、寂しい思いをしている子たちの為に、映画を完成させたいな、と思っただけなんです。
 
入り口は、「西成を描きたい」ではなかったけれど、西成の先生方たちと出会い、そこの方たちを取材することによって、西成の事を誤解のないように表現したいな、と思ったんです。
 

—西成を実際に取材されて、どんな町だと感じましたか?

 
川本監督:西成と聞くと、世間一般では「危ない」「悪い」イメージを抱かれることもあると思うんですね。だけど、そうじゃないよ、と。人情的な町だし、あったかい街だし、おもろい奴がいっぱいいるし。そういうところを、しっかりこの映画の中で描いてあげたいな、と思ったから、そういう意味ではしっかり描いていると思う。当然、町だから、人間も一緒で、良い面もあれば悪い面もあるしね。
 

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次の作品の事なんて考えていなかったから「最後」は、付き合いの古い騒音寺の主題歌で行きたいな、って思って。

—監督の映画には音楽へのこだわりが随所に見られます。主題歌を担当している騒音寺とも旧知の中と?

 
川本監督:騒音寺とは、すごく長くて。20年来の付き合いなんです。僕の二作目の映画『皆殺しのバラード』の時に、既存の曲を主題歌で使わせてもらって。それが20年くらい前かな? そこから、何度か騒音寺のPVを撮ったり、前作映画『傘の下』では、YUDAが歌う主題歌のギターを騒音寺タムが弾いていたりとかね。そして、今作。
 

—騒音寺でいきたい、と思った理由は?

 
川本監督:多分、この映画が最後になるかなー、って思って。当然、大ヒットすれば、次作を作るかもしれないけど、おそらく莫大な資金がかかるし、労力もね。その時は、次の作品の事なんて考えていなかったから「最後」は、付き合いの古い騒音寺の主題歌で行きたいな、って思って。で、ボーカルのNABEさんに脚本を読んでもらって、興味がなさそうだったら、別の方に依頼しよう、って思って。そしたら、NABEさんは、すぐに脚本を読んでくれて、「是非やりたい」と返事が来てね。
 

—NABEさん、脚本を読んだ時の感想は?

 
NABE:ずいぶん前の話になるけど、川本監督が『傘の下』を撮ったあと、監督に「もっともっと娯楽性の高い大衆映画を撮ってみたら。いわゆる大衆演劇や喜劇みたいなやつね」って提案した事があったんだよね。で、一昨年の春だったかな、「映画を撮ってるから脚本一度読んでみて下さいよ。NABEさんが前言ってたみたいに、少しは大衆性もはらんだ映画になるから」って渡されたのが今回の脚本なんだよね。
 
一週間くらいかけてゆっくり読み進めていったんだけど、脚本では話の焦点が見えづらくてね。でも映画で化ければ面白いと思ったよ。音楽の歌詞だってそうじゃん。歌詞だけ読んだらつまらないけど曲に乗っかったら化けるの。世間的にタブーとされていた問題に触れていたけど所謂、人権とか差別とか教育とかいうイメージを飛び越えるキャッチ―さっていうのかな、人間群像が読み取れたし、何より脚本からエネルギーと大衆性が感じとれたの。本当に本人が書いたのって疑ったもん(笑)。
 
川本監督:こちらはお金もないから、既存の曲でイメージに合う曲を使わせてもらおうと思っていたら、書き下ろしで作ってくれることになって。
 

—引き受けようと思った決め手は?

 
NABE:意外かもしれないけど、俺の場合テーマを与えられて曲を書く方が向いてるんだよね。これだけ曲を書いていても未だに何も無い白紙の状態から曲を書くのは辛い。それに「やっときたか」って思ったよ。監督から「曲、書いて下さい。主題歌」って言われた時、クールを装ってたけど、実はすっごい尻尾振ってたもん。監督には尻尾見えてたかもしれんけどな(笑)。
 
インタビューで今初めて言うけど、15年位前かな、古い友人からNHKの「みんなの歌」用に一曲書かないかって依頼があって、それで「雨降り日」って曲を書いたんだよね。歌うのは俺じゃなくて例えばスガシカオさんとか。すっごくいい詞と曲が書けてさ、ピアノの先生やってる千葉の従姉に頼んでピアノと歌だけのデモを作るところまできていきなりボツ!ムカついて「雨降り日」はカントリー調にして騒音寺の「赤のビート」にぶち込んだよ。その後AKBブームに当て込んだメジャーデビュー寸前のアイドルグループから、ノリノリのポップでロックな曲を提供してくれって依頼があって「恋はジェットコースター」ていう激ポップな曲を書いたけど、デビュー前に解散しやがんの(笑)。さすがにこの曲、俺はよう歌わん。そんなこんなで作詞作曲依頼はあきらめてたところだったけど、何しろチャレンジ精神旺盛だから。
 
騒音寺の大昔のPV、「下宿ハウスロック」「京都シティ・ブギ」で監督めちゃくちゃ尽力してくれて監督に借りを作っちゃったから、俺。借りたもんは返さんと。映像の借りを音楽で返す!今回やっと返せたよ。コロナで上映中止になったら……「またお蔵入りかも!」ってヒヤヒヤしたけどね。
 

—出来上がった主題歌「Long line」を聞いた時の感想は?

 
川本監督:「意外!」って思いました。ジャンルもお任せで書き下ろしてもらったんですが、騒音寺って、ロックンロールもあればブルースもあるから、なんか、シックなブルースで来るのかな、と思っていたら、パンクロックな曲調だったので。爽快でスカっとしてたので「お!意外だな」と。
 
NABE:川本監督がそう思っていた事の方が意外だぞ(笑)。関西=ブルースという図式は今の若いバンドにはもう通用しないし、登場する生徒たちの熱量を考えればロックンロールのほうがこの映画には合ってる。ブルースの方が圧倒的に言葉も乗せやすいし騒音寺と俺の声質には合ってるけど、作り甲斐が無いよ。主題歌がブルースやラグタイム調でいかにも大阪の映画の主題歌だぜ!ってのはあまりにも世界が狭いし。ましてや関西弁の歌詞を歌って土着的な仲間意識や関西の特別観を表現するのはもっての外。使うべき所で上手く使わんと。それくらい俺は音楽での関西弁の扱いには慎重だしね。
 
この映画を見るのはロックファンだけじゃない、むしろ圧倒的にそれ以外の人たちだから、主題歌は分かりやすいほうがいい。時は1985年、舞台は大阪。そりゃあロックでしょ。それにさ、何より全国的にこの映画を大きくしたいしね。
 

騒音寺「Long line」MV

 

—「Long line」が出来るまでの過程、曲に込めた思いを聞かせて下さい。

 
NABE:依頼された時にはもうクランクインしてたし、急がねえとって思ったけど、急ぐとロクなもん出来ないし……。脚本に一度だけ目を通してから一か月はねかせたよ。一度だけっていうのは、あまり脚本を読み過ぎると映画の内容をなぞるような歌が出来てしまう恐れがあるから。クリエイターとしてそれは絶対にNG。だから脚本読んだけど頭の中にストーリーはほとんど入ってない。俺に必要なのは漠然としたイメージなんだよな。
 
で、それからは一か月以上毎日毎日寝てる間も頭の中は『かば』。その後ようやく作詞に入ったんだ。この映画の子どもたちみたいに親の事情やら生まれた国やら貧乏やら裕福やら……、いろんな状況下で人は生まれてくるよね。だから「神は平等ではない」っていう歌詞を盛り込みたかったけどクレームついたら監督に申し訳ない(笑)。
 
思いついたのが一番、冒頭の「しかめっ面で生まれてきたんだ」というフレーズ。これで全て決まったようなもんで、あとはスラスラ書けたよ。当時を生きた先生たち生徒たちに伝わるように、それと大人になった生徒たち、引退した先生たちに伝わるように、そしてまさにこの映画を見て、今日を生きる人たちに、みんなに平等に伝わるようにね。「腐ってるのはお前じゃなくて」とか「立ち尽くすくらいならもう少しだけ手を伸ばせ」は先生が言いたかった事じゃないかな。ギターソロの逆回転パートは世界や人生のしがらみ、不安要素を音で表現してみたんだ。「忘れるな、この先に今がつながっている」は、老若男女全ての人に伝えたい俺の言葉だよ。どれだけ悩んだって辛かったって朝日は昇るんだぜ。主題歌ってのは映画とガッチリ組んでなんぼのもんだけど、しかしロックンロールで良かった(笑)。ハラハラしたり泣いたり、それですっきりした後に、もう一発ロックですっきりしたいじゃん!この曲に悔いはないよ。
 
川本監督:映画を観たらわかると思うんやけど、これを聞いたときに、俺の描いたラストにピッタリなんですよ。ストーリー上、部落差別などもでてくるから暗いところもあるけど、ただ、そんなに暗いシーンばかりではなく、お茶目なシーンもあるから、騒音寺が歌う「Long line」にあうんですよね。
 

—映画の主題歌を手掛けるという事はNABEさんにとってどんな経験になりましたか?

 
NABE:自分を捨てて映画のために曲を書く。こんなエキサイティングな仕事はないよ。俺にしか分からないと思うけど、騒音寺の楽曲には共通するクセがあるんだ。良くも悪くもだよ。楽器弾きが上達するために手グセをとって、そこに新しいフレーズを入れたら段違いに上達して聴こえるように、今回作詞作曲はかなりクセを取ったから一年後には新しい曲作りができるようになってるかもね。また依頼があったらやってみたいよ。
 

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子どもたちの悩みが色々出てくるけど、それを解決していく物語とは違って、ただただ必死になって、先生たちが子どもたちの為に頑張る、という話。
—映画『かば』には、騒音寺だけでなく色々なバンドの音楽が流れていますね。

 
川本監督:有名どころはARBですが、僕の友達のインディーズバンドの楽曲も使わせてもらってますね。ノックタウンズも出演してもらっているし、プライベートでも親交がある友達が協力してくれてます。
 

—ARBはある生徒とのやり取りで鍵になりますが、この曲を使いたかった理由は?

 
川本監督:好きだからです!
 
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—取材期間が約3年と伺いましたが、綿密な取材がなされているから、説得力があるんですね。取材することはお好きですか?

 
川本監督:好きですね。映画監督になっていなかったら、ジャーナリストになりたかったもん。取材をするのが好きなの。今回は3年取材していますが、苦労よりも楽しかったですね。新聞記者の方から、「ちゃんと取材しているから、こんな脚本が書けたんですね」と言われた時は、嬉しかったですよ。
 

—生の声を拾い集めて、監督の中に落とし込んで組み立てていくと……。

 
川本監督:色々な人に話を聞いて行ったんだけど、取材中はメモをとらないんですよ。そうすることで本当に印象に残ったエピソードが浮かび上がるからね。
 

—調査力もすごいですが構成力もすごいな、と思いました。

 
川本監督:一見「登場人物がたくさん出てくるから、どうやってしめていくんだろう」「風呂敷、こんなに広げているから、どうやってたたんでいくんだろう?」って不安になるみたいで。観た後に、「よくまとめてるな」って(笑)。学校だけじゃなくて、学校の外の話もある群像劇だからね。
 
子どもたちの悩みが色々出てくるけど、それを解決していく物語とは違って、ただただ必死になって、先生たちが子どもたちの為に頑張る、という話。それが大事なんですよ、って言いたいから、「解決」じゃないんですよ。
 
子どもたちの悩みも、「解決しなければいけない」わけではないと思うの。結局は自分で解決しなくてはいけない事が多いから。それより、話を聞いてあげる事や一緒に手伝ってあげる事が大事なわけであって。今の大人たちは、「解決しないと責任をとらなくては」と思うから、ダメで。解決しなくていいと思うんですよ。
 
この映画も、劇中本来2か月半くらいしか描いていない。でも、2か月半で問題いっぱいあるな、って。次から次に問題が起こるから、「話が面白い」って言われますね。

 

—本当に、色々な出来事が各所で起こるので、あっという間の2時間15分で、熱量がすごく伝わってきました。

 
川本監督:当時の先生の話だと、実際そうだったみたいで、走り回っていたっていうね。それって、情熱やから。わかりやすい情熱やもんね。子どもたちのために一生懸命になれるのは、美しいし、当たり前やし。なんでもそうだけど、人が無条件に一生懸命している姿って、見入ってしまいますね。
 
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—監督の特に好きなシーンはどこですか?

 
川本監督:バスの中でのシーンですね(女生徒と先生がバスの中で悲しみを共有するというシーン)。ここが一番好き。この映画って、取材して聞いた話を紡いでいるんです。台詞ひとつにしても誰かが言ったことが元になっていて、俺の想像はほとんど入っていないんですね。
 
でも、このバスのシーンだけは、自分が想像して作ったんです。だから、思い入れもあるし、意味があるからここを作ったんですけどね。

 

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ついに自分を捨てた、やりよった!って。紙芝居を見てるようなスピード感ね。

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—演出面で特にこだわったところなどはありますか?

 
川本監督:演出というより、生徒役の子たちとは週に3回、7か月くらいかけてリハーサルをしたんですよ。鍛えに鍛えまくってね。
 

—7か月間!そこにはどんな狙いが?

 
川本監督:演技力は当然ですが、「映画撮影」というプレッシャーに慣れていないから、そこをね。映画監督って絶対的な存在だから、その存在に怯えないように。監督が偉い、という意味じゃないですよ? 監督って映画の中では「神様」みたいなものだから、それに萎縮しないように解いていてあげて、コミュニケーションが取れるようにしてあげて。あとは、その世界観。1985年という、この子たちが生まれる前の話だから、当時の西成の状況について、ある程度は教えるけど、自分でも調べてくるように話して。そこから芝居の勉強をしてもらったな。
 

—役者さん自身が感じたり調べたりすることで、リアルさを吸収してもらう、という意味も?

 
川本監督:そう。最初は逃げていたけど、だんだん食らいついてきてね。35年くらい前の物語で、当然スマートフォンとかもない時代だから、想像するのも難しいよね。
 

—映画の根底に“人へ寄り添う”ことの大切さをあらためて感じました。

 
川本監督:「子どもたちの話を大人たちはしっかり聞いてやらなあかんのやで」という単純なことですよ。大人同士なら、合わなければ「別にええわ」って、合わない人と無理して付き合うことはしなくていいと思うけど、子どもに関してだけは、背を向けてはだめだと思うし、どんな立場であろうと、しっかり話は聞いてあげなきゃあかんな、と思うし、守ってあげなくてはいけないな、と。それが、大人としての役割だと思うから。子どもたちにはしっかり向き合って接する、というのが大事かな。
 

—NABEさんは映画『かば』をご覧になっていかがでしたか?

 
NABE:監督もクセを取ったな」が第一印象。俺がこんなこといっていいのかな(笑)。今までの監督作品には各シーンに余韻があったんだよね。余韻をすごく大事にしてたんだよ。それが次のシーンの頭の足かせになってた印象が俺にはあったな。すっごくいい映画なのに間延びしてしまうっていうか。『かば』観てびっくりしたもん。ついに自分を捨てた、やりよった!って。紙芝居を見てるようなスピード感ね。いろんなストーリーが交錯するけど観やすいし。1985年という設定だけどテレビドラマの『金八先生』や『スクールウォーズ』とは明らかに一線を画しているし、陥りやすい長丁場の決闘シーンもほとんど出てこないよね。あのリアリティーは足かけ7年の徹底的な取材の賜物だと思うよ。
 
ヘビーな題材も扱ってるけど教育映画にならずに人間群像劇になってたのは拍手もんだぜ!裕子ちゃん役のさくら若菜さんって俳優さんはマジですごいと思ったよ。あんな適役、他にはいないだろうな。

 

—NABEさんの好きなシーンは?また、映画を楽しみにしている方へメッセージを。

 
NABE:当然伏線はあるけど、最後の最後。あの笑顔があの映画の全てをしっかり物語ってるし、あの笑顔が「Long line」に生命力を吹き込んでくれたんだと信じてるよ。しかし監督もベテランロッカーを泣かすんじゃないよ(笑)。
 
よくこの状況下で監督もメガホンとったよね。彼には映画を完成させる熱意しかなかったと思うよ。熱意が勝ったんだな、きっと。こんな中で映画を公開ってすごく明るい話題だぜ!まずは劇場行って観てよね。今は前より自由が無いじゃん。でね、「Long line」で少しは前向きになってくれればいいね。それと、早く元の世界に戻りますようにってみんなが思いながら「普通に」暮らすだけで状況はよくなるよ。祈りは不思議と行動に繋がるしね。騒音寺も少し窮屈な思いもしながらライブ再開してるし。まずは映画「かば」ね!「かば」をよろしく!忘れるな、この先に今がつながっている~♪!

 

—この度の上映についてコロナ禍で大変な思いもあったのでは?

 
川本監督:本当は、去年公開する予定だったんです。で、1年伸ばそうということになり、そうしたんですが、今の方が緊急事態宣言とかになりはじめたので、これ以上伸ばしても一緒かな、と思って。でも、この時代にこういう分断されそうな世の中に、べったり子どもたちと付き合うんやで、っていう映画は良かったと思う。観た人が、「人間関係ってこれやねん」って思いだす、というようなね。いいきっかけになった、と言ってくれる人が多いですね。
 
人と人って、こうだよね。そういう意味では改めて、この時期にやってよかったと思います。

 

—こうして、ついに作品が巣立ちましたね。最後にメッセージをお願いします!

 
川本監督:まだまだ!(笑)これから広めていかなきゃ。「おめでとう!ご苦労様」って言われることもあるけど、「何いうてんねん!これからやで!」って(笑)。やっと完成して、これから。あと10年くらいは回るんじゃない?映画館もそうだけど、映画館がないような町の公民館とかでね。早く、「『かば』?名作やん!」って広まるようにね(笑)。
 

映画『かば』公式サイト https://kaba-cinema.com/

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劇場情報
 
▼関東
横浜 ジャック&ベティ 8月14日(土)~
吉祥寺 アップリンク 8月27日(金)~
▼中部
名古屋 シネマテーク 8月20日(金)~
▼関西
大阪十三 第七藝術劇場 8月14日(土)~
京都 アップリンク 8月13日(金)~
 
※上映情報は随時更新されます。公式サイトをチェック!
https://kaba-cinema.com/theater/
 


 
映画『かば』あらすじ
 
阪神タイガースのリーグ制覇に沸く1985年の夏、被差別部落が隣接する西成区北部の中学校。人々の差別と偏見、貧困など多くの問題を抱えた環境の中で、生徒たちは荒んだ学校生活を送っている。
 
蒲先生(43歳/山中アラタ)ら教師たちは手を焼いていた。ある日、臨時教員として加藤 愛先生(23歳/折目真穂)が赴任してくるが、初日から生徒に受け入れてもらえず自信を喪失。
 
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先輩教師の蒲先生は「今、子どもらは加藤先生を試しとるんや、ただ教師と生徒の関係ではアカンねん」と、得意の野球で生徒と向き合うことを勧める。
 
案の定、反発する野球部員は勝負に勝てばコーチとして認めると豪語するもあっさり敗北。そのうち加藤先生はチャーコという愛称で呼ばれるようになる。
 
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登校拒否になった転校生。家庭を顧みない母親、酒浸りで在日朝鮮人の父と暮らす女生徒。出身地を恋人に告白することができない卒業生。服役中の父親に代わって家庭を支える野球部主将。
 
蒲先生ら教師たちは、それぞれの事情を抱えた生徒たちと正面から向き合い、時には生徒の家庭へ強引に入り込んでまで、彼らの生き方を模索する。
 
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16騒音寺 Official Website
https://so-on-g.net/
 
NABE(Vocals)、タム(Guitar)
こーへい(Bass)、フジエワタル(Drums)
 
騒音寺「Long line」

映画『かば』の主題歌にして、
騒音寺初のシングルCD 絶賛発売中
 
「Long line」RAGG-024(¥1,100)
 
M01.Long line
M02.遠い春霞
M03.Long line 《Karaoke mix》
 
 
 
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※取材協力:新宿 K’s cinema https://www.ks-cinema.com/

 
 


 
 
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