特集

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:ossie

“ヨン様”など韓流ブームをきっかけに、韓国のエンターテインメントが本格的に日本に知られるようになったのは2000年代前半。そこからK-POPを中心に韓国の音楽文化も多くが日本人に知られることとなった。同時に、韓国も1998年の金大中大統領による日本の大衆文化受け入れの解禁を行って以来、数多くの日本人アーティストを受け入れ、ともに交流を進めてきた。
 
しかしこうした動きが進むのはどちらかというとポップス(歌謡曲、ダンスミュージック、近年ではヒップホップなど)が中心で、ロックミュージシャンの名前が挙がることはほとんどなかったように思う。そもそも今韓国でロックはどの程度市民権を得ているのだろうか。
 
今回本誌BEEASTでは、後藤正文ASIAN KUNG-FU GENERATION)も絶賛するTHE KOXXを筆頭に、THE SOLUTIONSLife and Timeといった韓国のインディーロックの中で屈指の人気を誇る3組にインタビューを敢行。
 
彼らは「SUMMER SONIC」など日本を始め世界各国のロックフェスに出演。活動の幅を国内外に広げ、10月25日(水)には日本国内のレーベルからニューアルバムをリリースする。3組・10人の熱いロッカーの言葉から、韓国ロックの未来と展望を探る。
 

◆THE KOXX プロフィール
エレクトロニックガレージロックで 爆発するダンス誘発者
 
2008年末、芸術大学に在学中の仲間達で結成されたTHE KOXXは、荒いエネルギーを持つガレージロックサウンドにエレクトロニック的な要素を加えたトレンディーな音楽を追い求めるチームだ。クラブを中心にライブをしながらミュージシャンへの道を志してきた。確かなチーム色と彼らだけの個性で武装した力動的なエネルギーを発散し、2009年「EBSスペース共感」で11月のハロールーキーに選定された。
 
2011年アルバム『ACCESS OK』を発売し、様々なフェスティバルやクラブで活動し、韓国人はもちろん外国人たちも熱狂させるエレクトロニックサウンドを作りながら多くのファン層を確保している。タイの『’Melody of life 6’フェスティバル』を始め、日本『Nano-Mugen Circuit』、『SUMMER SONIC』、中国『Strawberry Music Festival』などアジアの各種フェスティバルで大活躍し、これからも世界の様々な国のフェスティバルに立つ大きな夢を持っている。
 
2012年2nd EP『bon voyage』を発表し、より成熟した音楽で韓国だけではなくアジアと欧米圏でも広く注目されており、今日よりも明日がもっと期待される高度成長のアイコン的なバンドとして進化し続けている。 またメンバーたちの音楽的な実力と共に、彼らの派手なスタイルと個性的なビジュアルにより、多くのファッション関連雑誌とアパレル広告からのラブコールが絶えない。Vogue Korea、Crackerなどのファッション雑誌の撮影のほか、EGOIST、LACOSTE、FRED PERRYといった衣類ブランドともコラボし、スタイリッシュな彼らの魅力を披露している。
 
2015年、兵役義務を終えてAnsan M-Valley Rock Festivalと日本のFuji Rock Festivalに連続的に出演して派手な復帰申告をし、11月、待望の2ndアルバム『the new normal』を発表して 精⼒的な活動を開始している。
◆THE SOLUTIONS プロフィール
未来志向的サウンドとジャンルを行き来するフューチャーポップの明瞭な解法
 
ソリューションズの音楽には挑発的ながら伝統の美学が込められた90年代ブリットポップから荒いサウンドと充実したメロディーが対比されるアメリカのオルターナティブを経て21世紀型日本大衆音楽 まで多様さが混在している。
 
Support Your Musicの対象者に選定されたパクソルの音盤をナルがプロデュースしながら始まった縁から自然にバンド結成に至ると、’1+1=3以上’のシナジーを抜き取って、シーンの注目を浴びた。
 
2012年デジタルシングル「Sounds of the Universe」でリスナーの耳を捕らえて異彩を放ったソリューションズは、すぐに1カ月ぶりに2番目のデジタルシングル「Talk、Dance、Party for Love」でもう一度強い印象を残した。2012年8月、セルフタイトルアルバム『THE SOLUTIONS』を発表して 本格的な活動を始めた彼らは、グランドミントフェスティバル2012、数多くのクラブ公演などで大きな反響を導き、グランドミントフェスティバルアワード2012「最高のルーキー」、ミントペーパーアワード2012「今年の新人」に選ばれ、活発な活動を繰り広げている。 2014年5月には、新しい方式と試作でソリューションズだけの色をより鮮やかではっきりと集約し出した2ndアルバム『MOVEMENTS』を発売した。
 
公演が毎回繰り返されるほどより一層硬くなっていくソリューションズ、彼らは新しい音楽に渇したリスナーたちに良い答え(solution)を聞かせてくれるだろう。
◆Life and Time プロフィール

THE KOXXのベーシストパク・ソンビンLoro’sのギタリストジン・シルとドラマーイム・サンウクの同い年の3人組バンド。最も基本的なロックバンド構成であるギター、ベース、 ドラムの3点フォーマット構成でミニマムかつ強力なサウンドで、生や時間、そして人々の心と自然の妙を話す。サイケデリックだが、はっきりしたグルーブ、静的だが、審美的な響きを持ったメロディはきれいではっきりと聴く者たちに近づいていくだろう。2013年12月に初公演と同時にライブを中心に活動中だ。
 
2014年4月には、Mint Paperコンピレーションアルバム『bright#2』に参加。2014年5月の最初のEPを発売し、フェスティバルの出演など、様々な舞台を通じて観客たちに姿を現し続ける。

 

 

◆Xのhideに憧れ音楽の道へ…/「遊びたい!」が全ての土台

— まずは皆さんの自己紹介も含めて、音楽を始めたきっかけを教えてください。
 
권오경(クォンオギョン):THE SOLUTIONSでベースを弾いているクォンオギョンです。音楽を始めたきっかけは教会です。中1の頃、教会でボランティアをしていた母の勧めで始めました。
 
나루(ナル):THE SOLUTIONSのギターを担当するナルです。中学生のときにテレビでJimi Hendrixの映像を観てすごいなと思って、自分も音楽を始めました。
 
박한솔(ハンソル):THE SOLUTIONSのドラムのパク・ハンソルです。中学生のときにX JAPANhideさんにあこがれて音楽を始めました。
 
박솔(パクソル):THE SOLUTIONSのボーカルのソルです。中学3年生のときにNirvanaなどを聴いてバンドに興味を持ち、高校に入ったら自分もバンドを始めました。元々はドラムだったんですが、(Nirvanaでドラマーだった)David GrohlFoo Fightersでギター&ボーカルをやったように、自分もギターを弾きながら歌いたいと思い転向しました。
 
수륜(スリュン):THE KOXXのギターのスリュンです。小学5年生のとき、元々はドラムをやりたかったのですが父親からの勧めでギターを始めました。
 
현송(ヒョンソン):THE KOXXのボーカル担当ヒョンソンです。中学生のときにスクールバンドでドラムを始めました。自分もFoo FightersDavid Grohlに憧れて途中からボーカルを志すようになりました。
 
숀(ショーン):THE KOXXのシンセサイザーのショーンです。6~7歳くらいに両親の勧めでピアノを習い始めたのが最初で、その後小学4~5年生からギターも始めました。
 
선빈(ソンビン):THE KOXXLife and Timeでベースをやっているソンビンです。中学生のときにアコギを弾く授業があって、それから音楽に興味を持つようになりました。本当はギターをやりたかったのですが友達がエレキが上手だったので自分はベースになりました。
 
임상욱(イム・サンウク):Life and Timeのドラムのサンウクです。中学生のときにゲームセンターに行って「ドラムマニア」をやったところ、友達が「本当のドラマーみたいだ」と言ってくれて、誘われてドラムを始めました。
 
진실(ジン・シル):Life and Timeのギター&ボーカルのシルです。中学生のときにバンドをやりたいと思って、最初は先輩に勧められてベースを買ったのですが、その後ギターになりました。Life and Timeを組んでからボーカルもやっています。
 
— (インタビュー前日に)日本で行われた『PLAY LOUD』を観させていただきました。ライブを拝見して、THE SOLUTIONSは音楽性がユニークだなと思ったのですが、どういうコンセプトでバンドを結成したのですか?
 
나루(ナル):最初はソルの編曲を担当することになり、出会いました。楽曲にロックなエレクトロな感じを入れたいねと話しているうちに、一緒にバンドを組むことになりました。オギョンハンソルは結成当初はサポートメンバーでしたが、ずっと一緒に演奏しているうちに4人のバンドとして活動することを決めました。みんなで「これいいんじゃないかな」とアイデアを出し合ってアレンジして、曲を作っています。
 
— Life and Timeの演奏には骨太さを感じました。結成当初から今のメンバーとのことですが、最初から3ピースのバンドを組むと決めていたのですか?
 
선빈(ソンビン)元々自分はTHE KOXXのベースだし、シルLoro’sのギタリストです。Loro’sは6人組、THE KOXXは(結成当初)5人組で、どちらも大所帯なので、別に組むならミニマムな方が良いと思ったんです。3ピースはインプットの使える音が少ないので、その分その一つ一つを太く強くしようということを目標にしています。
 
— そしてTHE KOXXは芸大在学中に結成したと伺いました。在学時に皆さんはどういう進路を描いていたのですか?
 
현송(ヒョンソン):元々僕らはみんなロックが好きで、遊びが好きだから、自分たちが楽しめるパーティーを作りました。そのパーティーで曲を作って、ライブハウスにも出るようになりました。
 
— 結成当初から国内にとどまらず海外での活動も視野に入れていたのでしょうか。
 
숀(ショーン):最初はそんなことは全く考えていませんでした。ただ、自分たちでお金(ノルマ)を払ってするのではないライブがしたい、という目標はありましたね。CDを出すことも最初は考えていませんでした。でも活動しているうちに色々なことがスムーズに進んでいきました。
 
현송(ヒョンソン):本当にピュアな気持ちが「遊びたい!」なんですよ。それが全てのベースになっています。
 

◆日本での3組同時リリース それぞれの聴きどころは

— 今回3組の皆さんの最新音源が日本で5枚同時リリースされます。まずはTHE SOLUTIONSから、今回リリースされる『THMUBS UP』と『NOPROBLEM!』の2枚について教えてください。
 
박솔(パクソル):『NOPROBLEM!』は2年前に作ったアルバムですが、マイアミの有名なプロデューサーと一緒に曲を作る機会があり、テキサスのSXSWに出演し、その時期の気分・心境を込めたアルバムです。4人になって初めて作ったアルバムです。
 
나루(ナル):『THMUBS UP』は去年の11月頃にロスでツアーをやる時期があり、2カ月くらい現地に滞在していましたが、その間メンバー同士音楽の話をしていく中でみんなの思いを合わせて作ったアルバムです。みんなの好きな曲や好きな雰囲気が全部入った感じです。
 
— 確かに「楽しい」をすごく感じるアルバムでした。
 
나루(ナル):まさにスズキさんの言っていることがピッタリです。今までは2人で曲を作っていたんですが、このアルバムから4人になって、新しい気分になりました。制作は大変でしたけどその分面白かったです。
 
— そんなTHE SOLUTIONSの音楽、今回のアルバムについて他2組の皆さんはどのような印象を持っていますか?
 
一同:(ざわつき、笑いが起こる)
 
수륜(スリュン):弁護士を呼んでください(笑)
 
현송(ヒョンソン):特に今回のアルバムはTHE SOLUTIONSが他のバンドより持っているポップさがたくさん詰まっていて、それが最大限表現されたアルバムだと思います。
 
진실(ジン・シル):ドライブするときにたくさん聞いたんですが、本当にいい気持ちになるアルバムでした。
 
수륜(スリュン):僕個人の意見ですが、音盤はもちろん、ライブの方がバンドの色がもっと出ていて、もっと良いですよ!
 


THE SOLUTIONS『NO PROBLEM!』『Thumbs Up』

 

 
— 続いてはTHE KOXXの2枚について伺います。まず『The New Normal』について、制作のコンセプトを教えてください。
 
현송(ヒョンソン):『The New Normal』はスリュンと僕が兵役を終えてからの復帰第一作なので、カムバックのインパクトを伝えるべく、スケールの大きさを感じる曲を作りました。
 
— 確かに「スケールの大きさ」を全体的に感じられる作品ですね。
 
현송(ヒョンソン):映画で表現すると戦争映画のような、ワーッと大きな感情の動きを感じられる曲を作りたいと思ったのです。大きなスタジアムで演奏することをイメージして作りました。
 
— 続いてリリースされた『RED』は、真っ赤なジャケットが印象的です。
 
현송(ヒョンソン):『The New Normal』をリリースしてそれに伴うライブ活動を終えてから『RED』のリリースまで結構長い時間があるのですが…『The New Normal』の曲は大きなフェスをイメージしていましたが、そのスケールの大きさと引き換えに”疲れた…”という気持ちがあって。
 
— なるほど。
 
현송(ヒョンソン):リスナーがもっとクローズになって聴いてもらう機会を作りたいという思いになっていきました。大きなライブをやって、終わって家に帰るときにみんなが口ずさんで歌えるようなメロディを作りたいと思って。だから、それまでの他のアルバムとはメロディや歌詞に込めた思いが異なっています。
 
수륜(スリュン):今までのアルバムと『RED』とで違うのは、これまではアレンジメントとかサウンドとかをずっと考えてきましたが、この頃から「人の人生を変えるのは歌詞とメロディじゃないかな」と思うようになりました。歌詞の意味、頭に入る一単語の重さといったことずっと考えて曲を作りました。
 
— 個人的には「0(Zero)」という曲が特に好きです。ギターフレーズはどういう風に…ポンと頭に浮かぶものなんでしょうか。
 
현송(ヒョンソン):音作りの際にはアンプも使わずインターフェースを使ってPCにダイレクトに録音しています。その方が自由度が高いと思って。ギターのフレーズは…何にも考えてないんですけど(笑)、自分で弾いて恥ずかしくないことが大切だと考えています。
 
— そんなTHE KOXXの音楽について、他2組の皆さんはどのように評価していますか?
 
나루(ナル):僕はTHE KOXXのファンです!THE KOXXの音楽は、4人の個性が混ざり合っていて、音楽を聴いたときにすごいなーって思って、さわやかな気分になります。
 
진실(ジン・シル):THE KOXXは毎回4人の個性がちゃんと出るアルバムを作っていると思います。前作はスリュンのギターフレーズが際立っていたり、最新作の『RED』がショーンが前面に出ていていたりと、同じバンドでありながら多彩な魅力が出ていると思います。
 


THE KOXX『the new normal』『RED』

 

 
— 続いてLife and Timeの作品についても伺います。『Land』という作品はどういう経緯で制作されたのでしょうか?
 
진실(ジン・シル):自分たち3人の演奏力がしっかりと出せるように努めました。日本の方で言うと、ゆらゆら帝国を手がけたミキサー・中村宗一郎さんの作るような音を目指しました。今作は”シンプル”がコンセプトです。だから曲名も「꽃(Flower)」、「숲(Forest)」といった自然から取ったシンプルなワードになっています。最初のデビューミニアルバムは海をイメージして作りましたが、今回のミニアルバムは大地をイメージしました。
 
선빈(ソンビン):それぞれのイメージを持って僕たちの音楽を聴いてほしいです。
 
진실(ジン・シル):音楽を作るときに一番大切にしているのは歌詞の素材です。僕たちのバンドは”自然”から様々なストーリーを作れることに自信を持っています。自然は人の感情を表現していると思うので。
 
— 特に曲を作るときに苦労したことはありますか?
 
진실(ジン・シル):3人の個性が出ることを一番大切にしています。だから、メンバーで何度も話して作っています。
 
— そんなLife and Timeについて他の2組の皆さんはどのような印象を持っていますか?
 
박한솔(ハンソル):僕は韓国の昔のロックが好きなんですが、Life and Timeの作る音楽はかつての古き良きロックをモダンにする、今の時代に稀有な本物のロックサウンドだと思います。期待しています!
 
나루(ナル):Life and Timeの音楽を聴くと周りの空気が変わるんです。Life and Timeはもっともっと前に進む可能性を持ったバンドだと思っています。特に、ギター&ボーカルの진실シル)は元々他のバンドではギタリストだったのですが、このバンドでさらに個性が花開いているので、今後ますます楽しみになっています。
 
권오경(クォンオギョン):Life and Timeはドラムがユニークで面白いです。임상욱サンウク)は今韓国で一番スケールのあるドラムだと思っています。
 
수륜(スリュン):선빈ソンビン)はLife and Timeのライブでは全くミスをしないのだけど…THE KOXXのときにもお願いします(笑)
 
현송(ヒョンソン):Life and Timeのベースの方が難しそうなんだけどね(笑)
 
— 実際のところ、2つのバンドの掛け持ちは大変ですか?
 
선빈(ソンビン):そうですね。死ぬほど…
 
一同:(笑)
 
선빈(ソンビン):体力面が一番大変ですね。
 


Life and Time『LAND』

 

 

 

◆韓国のバンド人口は減少…だからこそ今、面白いバンドが続々

— 今の韓国のロックシーンを皆さんがどのように捉えているのか教えてください。
 
현송(ヒョンソン):昔と比べて元気はなくなっていますね。でもその一方で、昔よりも様々な個性を持ったバンドが出てきています。マスコミの注目度が下がっているからこそ、個々に力をつけたバンドが出てきているのも事実です。
 
나루(ナル):今は苦労していますが、今後世に出て活躍するバンドがこれからもっともっと出てくると思います。
 
— 日本では高校生が「軽音部」などでバンドを組むなど10代のバンド人口が一定数いるのですが、韓国ではどうですか?
 
박솔(パクソル):全然いないですね。
 
현송(ヒョンソン):今はヒップホップが一番人気です。僕たちが有名になることで、若い学生たちに「この人たちみたいになりたい、バンドやりたい」と思ってもらえる筆頭になりたいです。
 
수륜(スリュン):日本では音楽と他の文化が融合している印象ですが、韓国では音楽と他の文化がセパレートされているので…
 
나루(ナル):60年代、70年代のロックは「抵抗の精神」がありましたが、今はそういう精神がいらない時代なので、どんなふうに音楽を表現することができるかなと考えて、他のジャンルがやるようなこともやるし、表現の幅が広がっていると思います。今韓国の若い人は、バンドをやりたいと思っても楽器を(みんなで)練習するのが大変なので、一人で音楽を作る方が現実的だと考えています。
 
수륜(スリュン):世界規模で見ても、ロールモデルとなるロックスターが今はいないですよね。それも影響しているのではないでしょうか。
 
— 確かに日本国内のバンドをやっている若い人たちも、海外に目を向けている人は決して多くないと思います。
 
수륜(スリュン):インタビューの話題から少しズレてしまいますが、韓国では今フリースタイル(ラップ)の番組が流行っていて、若い人たちはバンドよりラップという印象ですが、日本の若者はどうですか?
 
— 日本だとラップよりダンスかもしれません。先ほど話した高校生の「軽音ブーム」は今完全にダンス部に取って代わっています。
 
수륜(スリュン):ちゃんみなが人気ですよね。ともかく、ロックは今流行っていない、でもそれで価値が下がるというわけではないと思うので。今売れることが一番良いとだけ考えて、人気があるジャンル、人気がある音楽だけを考えるだけでは、消費で終わってしまうと思います。
 
나루(ナル):バンドをやっている人は少ないけど、色んな個性あふれるバンドがたくさん増えているので、ぜひ気に入るものを探して聴いてほしいですね。
 
박솔(パクソル):今お話ししているような音楽シーンを取り巻く状況を考えて、僕らに出来ることは何だろうと考えて始めたのが『PLAY LOUD』というイベントです。
 
— 『PLAY LOUD』はどんなきっかけで始めたのですか?
 
박솔(パクソル):僕らのこの3組が今韓国のインディーロックシーンで一番アクティブなバンドだと自負しています。だからこそ、僕らが良いと思うバンド音楽の魅力を発信し、大切にしたいと思ってこの企画を始めました。
 
— 『PLAY LOUD』を始めたことで気付いたことや、ライブを続けていく中で得られた収穫はどんなことがありますか?
 
숀(ショーン):音楽を合わせることの難しさを改めて感じました。THE KOXXの中でも4人を合わせるのは難しいのに、そこに他のバンドも加わるとますます難しくなります。それぞれに個性がある中で、一つに合わせることは大変です。でも大変だからこそ良い時間、良い音が作れていると思います。
 
진실(ジン・シル):それぞれのバンドにそれぞれの目標やスケジュールがありますが、『PLAY LOUD』をやることで責任感もいっそう強まったなと思います。
 
— 一緒に『PLAY LOUD』をやることが、それぞれのバンドのモチベーションにもなっているということですね。
 
진실(ジン・シル):そうですね。
 
— 今、日本では「CDが売れない」ということが言われていて、一方でライブが盛り上がるバンドがステータスを得たり、興行収入やグッズの販売などの面でもライブが重要視されるようになっています。
 
현송(ヒョンソン):韓国でもCDとストリーミングはともに不振です。今CDを聴いている人はあまりいないですね。若い子でCDプレイヤーを持っている子もいないし。
 
— そういう状況だからこそ『PLAY LOUD』の果たす役割は大きくなりますね。最後に各バンドの今後の展望など教えてください。
 
나루(ナル):THE SOLUTIONSは新しいアルバムを作っています。変化する時代をとらえたいと思います。
 
진실(ジン・シル):Life and Timeも新しいアルバムを作りたいと思っています。
 
현송(ヒョンソン):THE KOXXは年末に単独公演を行います。10年先までずっとバンドを続けられるよう頑張ります。日本でライブをやったときにとても好感触を得られたので、機会があれば日本でももっともっとライブをやりたいです。

 

 

◆ディスカバリー・ネクスト 公式サイト
http://www.discovery-n.co.jp/
 
◆THE KOXX 公式サイト
http://happyrobot.co.kr/artist/thekoxx/
◆THE SOLUTIONS 公式サイト
http://happyrobot.co.kr/artist/thesolutions/
◆Life and Time 公式サイト
http://happyrobot.co.kr/artist/lifeandtime/