特集

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TEXT:長澤智典

本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集、第43弾はFullMooNをご紹介しよう。美しい存在ほど薔薇のように刺を備えている。だからこそ、近寄りがたさを愛でたり憧れを抱いてゆく。ゴシックなスタイルに身を包み凛々しい表情を見せる4人も、美しさの影に、強く惹かれ心冒されゆく様々な毒を秘めている。ゴシック/ラウドを軸にした攻撃的な黒い表情、ビートロック/ポップチューンという親しみを覚える光を抱いた面。彼女たちの歌には、つねに刹那な香りが振りまかれている。攻撃的に歌いかけようが、晴れた表情でカラッと歌おうと、そこには胸をつかむメロディが生きている。
 
FullMooN、彼女たちに触れたとき「月に代わっておしおき」されるのかと思ったら、とんでもない。見た目の可愛さとは裏腹な、想像以上にSっ気の強い激しい音にしばかれた気分だ。 5月17日(水)にFullMooNは、ミニアルバム『Paradigm』(パラダイム)を発売する。「模範, 範例, 実例」という意味を持つ言葉をタイトルへ示したように、「これぞガールズロックバンドが模範とすべき音楽性」という5つのスタイルをFullMooNは1枚の作品の中へ並べてきた。彼女たちが今、どんな意識で活動をしているのか!?。その想いをここへお届けしよう。

FullMooN 新譜『Paradigm』2017年5月17日(水)発売!

FullMooN-Paradigm
『FullMooN』ニュー・シングル”PARADIGM”発売記念イヴェント
【日程】2017年5/17(水)19時半~ 【内容】握手&私物サイン会 【会場】ディスクユニオン新宿ヘヴィメタル館
【参加条件】 ディスクユニオン新宿ヘヴィメタル館にて『FullMooN/PARADIGM(ZMR018)』をご購入頂いた方

FullMooN
L to R/ なっつ(Drums)、りん(Bass)、ねね(Vocals)、えれん(Guitar)
SS
ガールズロックシーンで独自の世界観を演出し個性的な存在感を出すFullMooN!
ゴシックファッション、ロックを基盤にPOPS、メタルの要素を組み込んだ激しさの中に心に残るメロディーを追求した待望の新作『Paradigm』が完成!

事件に遭遇し、危機を乗り越えるたびにバンドに賭ける気持ちも強くなっていく。

A

—FullMooNが誕生して……。

 
えれん:4月26日でちょうど5周年を迎えました。オリジナルメンバーは、ねねえれんの2人。そこへりんなっつが加わり、2年前から現体制で活動を続けています。今はシングルギターですが、サウンド面はツインギターのスタイルで激しい音を軸に表現しています。
 
ねね:FullMooNの音楽性自体、この5年間の歩みの中でいろいろ変化してきてきたからね。
 
えれん:結成当初の頃はキーボーディストもメンバーへいたようにポップス寄りのロックを演っていましたが、ヘヴィな音楽性を強調してゆくことでバンドの存在感はもちろん、メンバー自身の魅力を放っていけることを実感するようになり、現在のような、ラウドな音とパワフルな歌を胸に突き刺すスタイルに自然と進化していきました。バンドへ向かう姿勢もだいぶ変わったよね。
 
ねね:最初は「お客さんたちと一緒に楽しもう」という気持ちが優先していましたが、次第に「触れた人たちの心へしっかり届けよう」「FullMooNの音楽を通して泣かせたいし、感動を与えたい」という気持ちへシフト。その意識を持つようになって以降、楽曲面での説得力も増し続けています。
 
えれん:バンド活動も長くやってると。とくにガールズバンドの場合、長く続けるほど不思議といろんな事件が起こり続けるんですね。その事件に遭遇し、危機を乗り越えるたびに、バンドに賭ける気持ちも強くなっていくんです。
 
ねね:つらいことを乗り越えるたびに心が強くなれば、音楽に賭ける情熱も熱くなるように、それが自然と説得力を持った音楽性へ繋がっていきましたからね。
 

—女性バンドの場合、メンバーの入れ代わりも男性バンド以上に頻繁に起きません?

 
えれん:起きます。一時期、私とねねの二人だけになったときもあったくらい。
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ねね:あの時期は正直きつかったけど、それを乗り越えたことで互いの絆も深くなれば、バンドに賭ける意志も揺るがないものになっていったからね。
 

—二人編成になったとき、もう辞めようとは思わなかったんだ。

 
えれん:二人とも、辞める気がまったくなかった。むしろ、辞める理由がなかったからね。
 
ねね:そうだね。そこへ同じ意志を持ったりんとなっつが加わったことで、今はそういう心配をすることもなく、メンバーみんな音楽に、FullMooNへ人生を賭けて毎日を過ごしているからね。
 
ねね:プライベート面まですべてFullMooNに注いで4人とも活動をしていれば、今はそれが当たり前のことだから。
 
なっつ:いえーぃ!!

メンバーみんな普通の曲なんか求めてないからこそ、そこは大切にしていきたいところ。
—現在のFullMooNの魅力や持ち味を、メンバーはどのように捉えています?

 
ねね:かなり派手なゴシック系の衣装を着ているように、まずヴィジュアル面のインパクトで驚かれます。しかも、見た目からアイドルっぽく見られるんですけど。ライブに触れたとたんライブバンドらしい激しく攻める存在感にみなさんビックリされるというか。サウンドは重めだし、手数女王の異名を持つドラムのなっつのパフォーマンスが、とにかくヤバい。何より、どの歌もメロディアス。感動するポイントもいろいろあるように、絶対に「格好いい」と言ってもらえる自信はあります。
 
えれん:楽曲も4人全員が作れるように、自然とバリエーションも増えていく。そこも強みだよね。
 
りん:それぞれが作る楽曲からもメンバーの個性が見えてくるんです。ねねはピアノで曲を作る人で、弦楽器で作るのとは異なるコードのアプローチを見せてくから、それを激しいサウンドにアレンジすることで何時も変わった表情にしていける。
 
ねね:むしろ、うちのリズム隊は音的に変態なんですよ。いつも面白いリズムアプローチや変拍子を取り入れたりなど変な展開を作っていくんですね。メンバーみんな普通の曲なんか求めてないからこそ、そこは大切にしていきたいところ。
 
なっつ:そこは遊び心を持ってやりたいからね。
 
ねね:なっつは人間性は軽いけどドラムは重いし手数も多いように、それでいいんですよ。リズム隊の作る曲はリズム面では変態だよね。
 
りん:私はベースのように、ついリズム隊の格好良さを追求した曲を求めてしまいます。
 
なっつ:私も、そう。ドラムだけで歌になっているみたいに、聴いていてドラムが楽しく聞こえる曲を自然と心がけてるかな!?
 
えれん:私はリフを中心に据えた楽曲が中心。うちのヴォーカルはどんな難しくて激しいリフが入ってきても、難しい変拍子のリズムで攻めようと歌いこなせちゃう人だから、遠慮なく楽曲をぶつけていける。5月17日に発売するミニアルバムの『Paradigm』にも、メンバーの個性生きた曲たちをしっかり詰め込めたからね。

C

4人は本気で音楽に人生を賭けている。その生きざまを示す模範にFullMooNがなれたら。
—ここからは、収録曲を一曲ずつ紹介していきたいなと思います。先に、タイトルへ示した『Paradigm』に込めた想いから聞かせてください。

 
えれん:『Paradigm』とは「模範」という意味。今のガールズバンドシーンでは、簡単に脱退したり解散する姿が頻繁に目立つなと私たちは思ってて。この4人は本気で音楽に人生を賭けています。その生きざまを示す模範にFullMooNがなれたらなというのと……。
 
ねね:「楽しい」「面白い」「激しい」という印象を覚えるバンドさんは多いと思うんですけど。「感動する」「涙を流し泣ける」音楽を与えるバンドさんって、なかなかいない気がしてて。FullMooNは、そういう部分をすごく大事にしているバンド。実際にライブを見て、感動のあまり泣いてしまうお客さんたちもいるように、そういう音楽の「模範」を提示したくて、このタイトルを付けました。
 
りり:メンバー自身が気持ちを込めすぎて、演奏をしながら泣いてしまうこともあるくらいだからね。
 
なっつ:声が震えちゃったりね。
 

「Paradigm」
—冒頭を飾ったのが、ゴシック/ラウド/刹那高揚メロな要素をミックスした重厚な「Paradigm」になります。

 
りん:楽曲の雰囲気は、まさにゴシックロック。激しいのにメロディアスなのと、何より切ないメロディから幕を開けるように、とても雰囲気を大切にしています。
 

ねね:歌詞には、音楽活動を続けてゆくうえでのつらさや苦しさをわかりやすく描写。なかなか上手くいかないことへのもどかしさを歌にしています。歌詞を書くときにモチーフにしたのが、樹海へ自殺をしようと踏み込んだ人を描いた「追憶の森」という映画。最後は光の見える終わり方になっていますが、けっこうつらい感情もここには詰め込んでいます。『Paradigm』を聴いてもらえたら、今の私たちの気持ちはすべて伝わるはず。まさに、今現在のFullMooNの姿勢や心模様を示した楽曲になりました。

「癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている」
—込み上がる歌声を疾走するビートロックに乗せ情熱的に歌いかけたのが、『癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている』。

 
ねね:何故このタイトルになったかと言うと、書き終えた歌詞をパッと眺めたとき、冒頭に記した「癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている」という言葉がインパクトを持って胸に飛び込んできたんですね。その瞬間に、タイトルはこれでいこうと決めました。私、「鑑定士と顔のない依頼人」という映画を観たときのエンディングに切なくも衝撃を覚えました。歌詞はそこからインスパイアを受けて書いたんですけど、さすがにバッドエンドにするのは……と思ったから、そこはハッピーエンドにしています。
 
りん:曲調は90年代ビートロックした、爽やかで疾走感を持った楽曲です。
 
なっつ:何処か懐かしさを持ったメロディが凄くいい。
 
えれん:FullMooNは歌メロを重視したバンド。収録した楽曲の中でも一番口づさんでもらえるんじゃないかな。しかもAメロや間奏にはヘヴィさを魅力にしたFullMooNらしいスパイスも加えています。

「破天荒解」
—冒頭からライトハンド奏法が炸裂する「破天荒解」は、凄まじいパワーを濃縮した激熱な楽曲として完成。

 
ねね:FullMooNには漢字のみのタイトル曲がないことから似合う四文字熟語を探していたところ出会ったのが、「今まで誰も成し得なかったことを成し遂げる」という意味を持つ“破天荒解”でした。この楽曲の聞きどころは、えれんのライトハンド!!
 
えれん:最初から最後までズッとライトハンドで演奏しています。すごくノリノリな楽曲だけど、夢中になって聴いてたらすぐに終わっちゃう。
 
ねね:「破天荒解」は2分58秒しかないんですよ。カップラーメンにお湯を入れてもらい、これを聞き終えたらちょうど食べ頃。ぜひ、試してみてください。
 
りん:「破天荒解」は、かなり面白いミスクチャーロックしている。
 
ねね:えれんのデスボイスのような激しい声が、私の歌声に絡み合ってゆくところも聞きどころです。

 

D

「エゴイスト」
—攻撃的なギターリフから幕を開け、激しく高揚したドラマを描いてゆくのが『エゴイスト』になります。

 
ねね:自己中な人たちって、そこら辺にいっぱいいますよね。私の中にだって、まったく無いとは言えないこと。この歌詞には、人が持つエゴイスティックな面を書いています。曲調面でも、すごくノリやすい曲だよね。
 
なっつ:ねねが自己中になったつもりで歌詞は書いてます。
 
りん:イントロのギターリフが、すごく激しくも格好いい。
 
えれん:インパクトの強いギターリフも入っていれば、ベースソロも入ってくるし、ドラムの手数も多ければ、歌もメロディアスで伝わりやすい。何よりノリやすい。まさに、FullMooNの持つすべての魅力を、てんこ盛りに詰め込みました。ライブでも、かなり盛り上がりを見せてる楽曲です。
 

「しゃむちゃら」
—ミニアルバムの最後を飾ったのが、ライブでつねに一体化した熱狂を作り続けてきたハードポップチューンの「しゃむちゃら」。このはちゃめちゃ感がいいですね。

 
ねね:「しゃむちゃら」はライブで長年演奏し続けてきたFullMooNのド定番曲。ライブでは、全員がチアリーディングで使うポンポンを手に、えれんの吹く笛の音に合わせて振りをしています。しかも、お客さんもみんな一緒に参加してくれるよう、つねに一体化した光景がそこには広がっています。曲調の面でも、アルバムへ収録した中で一番ポップな表情をしています。途中になっつのラップが登場。彼女が何をしゃべっているのかも聴いて欲しい。あと、りんのデスヴォイスも入ってます。
 
なっつ:私のラップは、この曲の一番の聞きどころだからね。
 
えれん:「しゃむちゃら」自体は再録という形なんです。理由は、ライブで演奏をするたびに「しゃむちゃら」の音源を求められることから。現状、前のメンバーで録った作品しかないので、現メンバーでの「しゃむちゃら」を形にしようと再録を決めたことから、前回とは異なる要素も取り入れて作りました。
 
りん:ぜひパワーアップした、今の「しゃむちゃら」を味わってください。

FullMooNは、最初から最後まで楽しめるエンターテイメントしたライブ!!

B

—完成したミニアルバム『Paradigm』について、メンバー自身は今、どんな手応えを覚えています?

 
なっつ:出来上がった作品を聴いた瞬間、めちゃくちゃ格好いい作品に仕上がっていたから、自分でビックリしてました。So Cool!!
 
ねね:「格好いところ」「面白いところ」「可愛いところ」など、FullMooNの持つ魅力を全部詰め込んだように、ここには今の4人でしか作り得ない音があふれています。
 
りん:「しゃむちゃら」ではスラップを加えたりと新しいアプローチも見せたよう、ベースはどれも好きなように弾かせてもらってます。パワーの増したFullMooNをこの作品を通して感じてください。
 
えれん:今回は、私が2本分のギターを入れて演奏したように、ツインギター編成で表現したアレンジも格好良ければ、とにかくパワーアップした姿を詰め込んだ作品なのは間違いないんで、ぜひ聴いてください。
 

—ライブも相応の本数を重ねていますよね。

 
えれん:とくに5月は地方公演も増やしながらライブ本数も多めに行えば、6月2日には恵比寿aimを舞台に主催イベントも行います。
 
なっつ: 5月17日のミニアルバム『Paradigm』の発売日には、新宿ディスクユニオンさんのヘヴィメタル館で握手とサイン会もやりまーす!!
 
ねね:メンバー4人とも、一生FullMooNを続けていく覚悟を背負って活動しているように、その気持ちも意志をしっかり受け止めてもらいつつ。ライブ自体は始まりと終わりに独特な演出も施しているように、そこも楽しんでください。
 
なっつ:FullMooNは、最初から最後まで楽しめるエンターテイメントしたライブだからこそね!!

◆FullMooN Official Website
http://tatenaga.net/
 
ねねblog
http://blog.livedoor.jp/fullmoon_nene/
えれんblog
http://blog.livedoor.jp/fullmoon_ellen/
りんblog
http://blog.livedoor.jp/fullmoon_rin/
なっつblog
http://blog.livedoor.jp/fullmoon_nattsu/
 
◆Live Information
2017年04月30日(日) 川崎セルビアンナイト
2017年05月01日(月)渋谷CHELSEA HOTEL
2017年05月03日(水)厚木Thunder Snake
2017年05月04日(木)都立産業貿易センター台東館4F
2017年05月05日(金)徳島マチ★アソビ
2017年05月07日(日)名古屋栄・新栄
2017年05月20日(土)柏ThumbUp
2017年06月02日(金)恵比寿aim「Paradigm発売記念イベント」

アーティスト:FullMooN(フルムーン)
タイトル:Paradigm(パラダイム)
発売日:2017年5月17日
規格番号:ZMR-018
販売価格:\2,160(税込)

 
M01. Paradigm
M02. 癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている
M03. 破天荒解
M04. エゴイスト
M05. しゃむちゃら