特集

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:幡原裕治

本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集、第38弾は2ピース・ベースレス編成のThe nonnonが登場します。メンバーは西脇友美(Vocal & Guitar)、ナオ(Drums & Chorus)。2012年に結成後すぐにSUMMER SONIC 2012への出演を果たし、RO69JACK 12/13で入賞。2013年から現体制になり、2人だけのアコースティック&エレクトリック形式や、サポートメンバーを加えてのライブも精力的に行い、2014年には上田健司プロデュースによるシングル「くもりのち晴れ」、1stミニアルバム『ぽちっけのんのん』をリリース。そして2016年1月13日(水)に2ndミニアルバム『OPeN』をリリースします。
 
The nonnonの楽曲やライブには、日常にそっと寄り添う温かな灯りがあります。一度聴いたら頭から抜けない親しみのあるフレーズと、ちょっとイビツで愛おしい歌詞。印象的な楽曲が目白押しで、ライブ会場には笑顔のお客さんで満ちあふれているのも特長です。
 
そんなThe nonnonの新譜『OPeN』は、”音楽で人を救う”とはこのことだな、と感じさせてくれる一枚。前向きなだけではない日常の様々な感情が、ズキュン!バキュン!とハートを撃ち抜く、カラフルで芯のあるサウンドとともに表現されています。聴く人によって、穏やかな気持ちになれたり、勇気を授かったり、心ゆくまで涙したり…と、100人いたら100通りの受け取り方があるように思います。手と手をつなぎ、それぞれの日常に寄り添います。
 
今回の特集記事ではThe nonnonが愛される理由に迫るべく、2人の音楽のルーツからThe nonnonの結成、転機、展望や野望など、たっぷりと話を聞きました。
 

The nonnon(ザ・ノンノン)
2012年1月千葉にてThe nonnon結成。西脇友美(Vocal & Guitar)、ナオ(Drums & Chorus)の2人によるアコースティック&エレクトリック形式やサポートメンバーを迎えた3ピース、4ピース編成と変幻自在なスタイルでライブハウスを中心に活動、ストリートライブも精力的に行う。結成数ヶ月にして“Bound for Summer Sonic”でグランプリを獲得、8月に行われたSUMMER SONIC 2012に出演、11月にはCOUNT DOWN JAPAN RO69JACK12/13に入賞と話題を集め、2013年8月にリリースしたミニアルバム『me』がきっかけとなり、上田健司氏全面プロデュースのもと2014年9月にシングル『くもりのち晴れ』、11月にミニアルバム『ぽちっけのんのん』をTOWER RECORDSよりリリース。2015年1月に東京・下北沢440で行われたツアーファイナルワンマンはソールドアウト、追加公演として4月に東京・下北沢CLUB251、7月に東京・下北沢440にてワンマンを開催。2016年1月に待望の2ndミニアルバム『OPeN』をリリース、リリースツアーも含め何やらぞくぞく準備中の彼女達。夢は武道館のステージ。現在もマイペースながら着実に歩を進める折れない女子2人組。

 

 

「ずっとバンドで歌いたかった」 バラバラの3人で2012年に結成
—前作『ぽちっけのんのん』から約1年ぶりのリリースとなる今作『OPeN』。2人の”伝えたいこと”がとても明確に表れていると思いました。

 
友美:『OPeN』というタイトルは6曲録り終わってから決めたのですが、ナオちゃんが持ってきてくれて。
 
ナオ:アルバムのタイトルを決めたのがちょうどパリで同時多発テロが起きた頃で、新しいアルバムのタイトルにするなら明るい言葉を提示したいと思いました。
 
友美:今回収録された曲は過去のこと、今のこと、未来のことを歌っています。その3つとそれぞれ向き合って、受け止める。自分を見つめる。そういう意味で、『OPeN』は私にとって”自分の心の瞳を開く”、”見つめなおす”という意味がいいなと思って。
 
ナオ:『OPeN』にはThe nonnonが次のステージに行きたいぞという思いもあるし、”心を開く”とか、聴いてくれた人がそれぞれ前向きな意味を考えてくれたら嬉しいです。
 

—ただ明るいというだけでなく、前向きな力を持っていますよね。プロデュースは前作に引き続き上田健司さんが務めていますが、上田健司さんとの出会いは?

 
友美:2ピースになって1年目の2013年、どうしよう…と路頭に迷っていたときに、下北沢CLUB251スタッフの高塚さんが救いの手を差し伸べてくれて。まずは自主制作でアルバムを作ろうということで『me』をリリースし、高塚さんが自身のツテを使って資料と音源を送ってくれて、最初に興味を持ってくれたのがGOING UNDER GROUNDの事務所の社長である立川さんで、そこからプロデューサーを紹介しようということで…
 

—そこで上田健司さんとつながったわけですね。

 
友美:それで、上田さんがライブ観に来てくださって。そのときのライブがまたね!
 
ナオ:クソみたいな…(笑)。ウエケンさんに会いたくなかったよね。
 
友美:これはやっちゃったな、と思って。自分たちとしては手ごたえがなく。そうしたら「すごく良かったよ!」と言ってくださって、そこからどんどん話が進んで、時間を見つけて私たちのための時間を作ってくださって、ライブも一緒にやってくれたり。アルバムも出すことができました。
 

—さかのぼると結成が2012年、結成当初は3人だったということですが、The nonnonはどのような経緯で結成したのですか?

 
ナオ:私はノンノンの前に別のバンドをやっていたのですが、友美ちゃんも別でやっていてドラムを探しているということで、ライブハウスANGAの店長さんの紹介で出会いました。最初はベーシストのメンバーもいて、その人も別のバンドを組んでいました。
 

—3人とも別々の活動をしていたわけですね。

 
ナオ:その後、私のバンドと友美ちゃんの弾き語りと対バンすることがあって、バンドやりたいっていう友美ちゃんと、ベースの人とも意気投合して「友美ちゃんの歌いいよね」と話したのを覚えています。それで、3人でスタジオに入ったら仲良くなって、おふざけでバンド名も決めて。
 

—その場のノリというか、ふわっと結成した感じなんですね。バンド名の由来は?

 
ナオ:ベーシストの人がふざけて「そんなのノンノンノンですよー」って言ってたのが面白いねってことで、それをバンド名にしちゃおうと。
 

—お二人が音楽を始めたきっかけを教えてください。

 
ナオ:高校の卒業ライブに出るために友達みんなでコピーバンドを組んだのがきっかけです。GO!GO!7188を3カ月くらい練習して…そのとき楽しかったのを覚えていて。社会人になってから時間に余裕があって、ギターが好きな子に誘われてバンドを組んだら、もっとちゃんとやりたいと思うようになり、オリジナルをやることになりました。それがノンノンの1つ前のバンドです。
 
友美:私は高校の軽音楽部がスタートです。元々歌うのが好きで、家にお父さんのギターがあって吉田拓郎を弾き語りしていたのですが、高校でバンドを組んで、ライブがめちゃめちゃ気持ちいいぞってことを知ってしまい(笑)。その後進路を決めるときに、最初は音楽の専門学校に行きたかったんですけど、両親の反対に負けて普通の大学に行って。ずっとバンドを組みたかったけどメンバーが見つからず…音楽活動をちゃんと始めたのは大学を卒業してからです。ライブハウスで1人で弾き語りをしたり、色んな形でライブをしたり。
 

—その頃から曲作りも好きだったのですか?

 
友美:いえ、曲はコピーばかりで。大学まではコピーバンドでした。卒業してから自分で活動するぞとなって、オリジナルを作るんですけど…最初は苦手でしたね。今もですけど。あんまり自信がないというか、恥ずかしいんですよね。自分のことを歌うのが。
 

—大学卒業後はバンドで活動していたわけですか?

 
友美:最初はバンドでした。その後脱退したり、2ピースで弾き語りをやったりと色々入れ替わりが激しく、結局1人に落ち着いて、1人で2年くらいやっていて、その後ナオちゃんを紹介してもらって。1人でやっていたらノンノンに出会ったという感じですね。
 

—ライブのステージに立ち続けたかった?

 
友美:そうですね。歌いたい、音楽でやっていきたい!という思いがあって。大学卒業するときは大変でしたね。就職も、内定が決まっていたのを蹴って…
 
ナオ:不良!
 
友美:超不良ですね(笑)
 

—それでもやりたい!と突き進んだのは、歌いたいという気持ちが強かったのでしょうか。

 
友美:そうですね。よくある話なんですけど…自分の人生1回しかないし、これで就職してうーんって思いながら生きていくのは絶対いやだなと思って…不良になりました(笑)。そこで、思いきって。
 

「バンドになると曲を作ろうっていう気持ちになれる」
—The nonnonは2012年にベーシストの方も含めた3人で結成し、最初はバンドの方向性などどうやって決めていったのですか?

 
友美:最初にスタジオに入ったときに、ベースの人が私に歌ってほしい曲ということで作ってきてくれたのですが、すごくいい曲だったんです。それがどんどん一人歩きして、サマソニに出れたり、RO69のコンテストに通ったり…その人の曲に頼ってましたね。
 

—そうですよね。SUMMER SONIC 2012は結成してすぐですよね。では、友美さんは曲は作らず?

 
友美:そのベースの人対私で9対1くらいです。
 

—そんな初期ノンノンの中心メンバーが2012年末で脱退してしまい…

 
友美:なんとなく夏頃から不穏な空気は漂っていましたね。
 
ナオ:1回「もうやめよう」って思ったよね。
 
友美:そうだね。
 

—そうなんですか?

 
ナオ:でもそのとき、先輩バンドであるsjueが私たちを集めて「やりなよ!」って言ってくれたんです。sjueというバンドは良くも悪くもとってもお節介で(笑)、愛情がある人たちなんです。深夜の下北沢で…
 
友美:説教されたよね。やめないほうがいいよ!って。
 
ナオ:続けなよってすごく熱く言ってくれて。「どう思ってるの?」「どう思ってるの?」ってそれぞれ聞かれて…忘れられない。最終的にボーカルのやちこさんが「はい、じゃあ続ける人?」って聞いて、私と友美ちゃんだけ挙手して。それで、続けることになりました。
 

—熱いですね。2人でやることはすぐ決めたんですか?別のベーシストを探そうとは?

 
友美:どうだろう…私は「2人でいい!」って思ってました。2人でいいし、「なにくそ!」っていう気持ちで、先輩からの熱さを受け継いで2人でがんばるぞって燃えてました。
 

—そこからノンノン第2章が始まったんですね。

 
友美:ちょっとずつ2ピースでできる曲を作って…そして、先ほど話したCLUB251の高塚さんのおかげで『me』というアルバムを作れて…。
 

—ここまでお話を聞いていて意外だなと思ったのですが、The nonnonの曲はどれもが名作揃いなので、友美さんは元々曲を作ること、創作活動に強い意識があるのかなと思っていました。

 
友美:1人で弾き語りをしていたときは、自分の原動力があまりなかったんですよ。バンドを組みたいのに、いつまでも1人でやっていてもしょうがないって思っちゃって、曲はそんなに作れていなかったんです。でもバンドになると曲を作ろうっていう気持ちになれるんです。
 

—なるほど。

 
友美:自分が持っていったイメージがさらに広がるじゃないですか。それが楽しいなって思うし、完成してライブで披露したときがたまらないですね。そういう面白さの中に、自分が「こういうことを歌いたい」という気持ちを最近は乗せられるようになってきました。ちょっとずつ自分を開いている感じ…2014年頃からですね。2013年はもうガムシャラに、2人でなんとかやってやるぞ!っていうのがあったので。楽しめてるのは2014年からです(笑)
 

—確かに、バンドで様々な楽器が加わることでの広がりを頭の中でイメージして作っている、という感じはします。ソングライターというよりは、指揮者のような。

 
友美:そうですね。ライブでやったときこうなりたい、と思って作ることもあるし、弾き語りで完結しちゃいそうな曲もスタジオでナオちゃんやウエケンさんがガラッと変えてくれるので、助かってますね。
 

—友美さんの作る曲には親近感のある”日常”が描かれているものが多いのかなと思います。曲はどのようにして作ることが多いですか?

 
友美:ほとんどは歌詞が後です。まずこういう曲を作りたいと考えて弾き語りをします。伴奏ができてメロディがついて、それに合った言葉…自分がこういうことを歌いたい、このメロディに合いそうだという言葉をつなげていく感じです。それをある程度弾き語りでできるようになったらナオちゃんに聞かせてスタジオで合わせていって、「じゃあアレンジは、ここはブレイクしよう」などさらに磨いていきます。
 

—最初から「こういう曲」というイメージがあるということは、そこにある程度歌詞の内容も連動しているのでしょうか。

 
友美:あーそうですね。伴奏ができた段階で「こういう感じの曲にしよう」と決めて、「私の中のこの部分の引き出しに合いそうだ」というのを、メロディと言葉と同時に作っていきます。
 

—結成4年目を迎えますが、互いの印象はずっと変わらないですか?

 
友美:私はあんまり変わらない…
 

—2人だからこそ知る、互いの長所を教えてください!

 
ナオ:良いところ?(笑)
 
友美:耳ふさいでおこう(笑)
 
ナオ:作ってきてくれる曲はいつもいいなぁと思っています。スタジオにレコーディングメンバーと一緒に入っていても、元々ある曲のアレンジをどうしようかっていうので煮詰まったときに、「ちょっと新しい曲やります」っていって友美ちゃんが弾き語りをすると空気が変わるのが分かるんです。そういうのはすごいなって思います。それがあるからノンノンがいいって思ってちゃんと提示できる。みんなにオススメして、自分もやれる。
 

—ライブを観ていても、2人ともタイプは違うのだけどシンクロしているというか、”ワンセット”感はありますよ。

 
友美:ずっと一緒にいると似てくるのかな?
 
ナオ:元々は全然違う感じだと思うんですけど、たまに2人一斉に言うことが重なるときがあります。あっ、そろった!って。
 
友美:リアクションとか似てるよね。
 

—2人の関係性をたとえると、姉妹のような?

 
友美:いやっ…全然(笑)
 

—友美さんから見たナオさんの印象はどうですか?

 
友美:まず最初にかわいい、というのと、素直なんですよね。最初に紹介されてスタジオに入ったときに、すごく一生懸命で。ほとんど音源も渡せていない状態でいきなり知らないところに放り込まれたような、かわいそうな状態だったのに。
 
ナオ:そのときめっちゃヘタでしたよ。
 
友美:いや、ヘタでもなんでも、人間性がやっぱり「いい子だな」って。かわいくていい子だなんて、ねぇ(笑)。バンドを組んでもそれは変わらないし、最近はとても頼もしいですね。ナオ先生!
 

—ドンと構えている感じですね。

 
ナオ:全然そんなことないです(笑)
 
友美:私とナオちゃんは、分かりやすく言うと陰と陽みたいな感じなんです。性格は逆で、すごく助かっています。私は自分の中でこうじゃないかと思うとすごく決め付けちゃって、全体的に見るのが苦手なんです。それをナオちゃんが客観的に言ってくれたり、こうするのがいいんじゃないかって提案してくれるので。そこが違うところだなって思うし、いいバランスだと思います。
 

—2人だけでバンドをやっていくとなるとなおさらですよね。2人が似ているよりも、互いを補っていくくらいの方がうまくいくというか。じゃあ姉妹というより夫婦みたいな関係ですね。

 
ナオ:それ言われたことあるよね。
 
友美:そうだっけ?
 
ナオ:『me』のジャケットのイラストを描いてくださった木田江里華さんが「夫婦(めおと)みたいでしたー!」って。
 
友美:そうだね。夫婦もパートナーだからね。(サポートが)3人になっても4人になっても、うちらがよし!ってうまく呼吸を合わせてノンノンだと思うので。
 

◆リリース情報
2ndミニアルバム『OPeN』
・2016年01月13日(水)発売
1,750円(+税) FSRC-007
★タワーレコード限定販売
<収録曲>
M01. ヘドロになりそう
M02. まわる
M03. 65%
M04. ハネムーン
M05. 転校生
M06. エンドロール
 
◆TOWER.jp 販売ページ
http://tower.jp/artist/2214159/The-nonnon
FSRC007_JKT
「みんなが味方」「やればやるほど、もっとこうしたい」
—ここからは1月13日にリリースされる最新作『OPeN』について伺ってまいりたいと思います。まず、アルバムの構想はいつ頃からあったのでしょうか?

 
友美:2014年末に前作『ぽちっけのんのん』が出てから、ツアーで初めて関西に行って、その後2015年の上半期は4月のワンマンライブやイベント、自分たちの企画、ツアーとライブ中心だったので、7月まで走りきって後半どうするか?という感じでした。アルバムを作ろうという話になったのはその後です。
 
ナオ:ツアーを回った分得るものはいっぱいありました。その後、7月にもワンマンをやって…。
 

—The nonnonは2人で大きな階段を上っていて、その先には”武道館”というステージがあるということを公言されていますが、昨年のワンマンライブやツアーを通じての手応えというか、次の階段は見えてきましたか?

 
友美:ワンマンや企画はノンノンを好きな人たちが集まってくれるので、そういう人たちがちょっとずつ増えていっているのを感じますし、大勢いる中で、みんなが味方っていう中でライブをすると、何かつかめるものはありますよね。漠然としてますけど。もっともっと先の、奥のほうに人がいるイメージでやれるようになってきたかなと思います。8月に下北沢GARDENでウエケンさんのバースデーライブがあり、人がびっしりいる中でライブをやらせてもらいました。そこも物怖じせずに楽しくやれたのは、前半にライブがいっぱいあったからだと思いますし、大勢のお客さんがいる中で回数をこなしたのは意味があったのかなと思います。
 

—「みんなが味方」という表現を自然にされるところがまた、強く共感を覚えます!

 
友美:今来てくれている人はみんなそれぞれ事情があって、ライブに来れなくなる時期や離れていってしまう時期もあると思うんです。でも、今いる人たちをできる限り連れて武道館に行きたいっていうのが私の考えなんです。ライブのMCでもいつも話しているのですが、お客さんとはなるべく長く付き合っていきましょうっていう気持ちでライブやお話をしていますね。
 
ナオ:やればやるほど、もっともっとやらなきゃ、もっともっとこうしたいという気持ちが強くなってきますね。「やったぞ!」っていうのはあまりなくて。ノンノンのお客さんは本当に温かくて、恵まれていると思います。だから「味方」っていう言葉が出てくるのだと思います。
 

—そんな数々のライブを経て生まれた今回のアルバム。6曲が収録されていますが、いずれも既に出来上がっていた曲ですよね。

 
友美:そうですね。ライブでもよくやっていて、割と新しいのは「ヘドロになりそう」(1曲目)と「転校生」(5曲目)です。
 

—それぞれの曲を作っていた頃の考え、曲に込めた思いは様々だと思いますが、この6曲はどのようにしてセレクトされたのですか?

 
友美:「ヘドロになりそう」という曲はできてすぐ、次の音源に入れたいと思っていました。「今の音楽シーンに物申す」じゃないですけど、世の中に対してちょうど今自分が持っている気持ちが歌えたので、それを入れたいなぁと。
 

—確かに先ほどタイトルについてお話しされた「過去と今と未来と向き合い、受け止める」という部分に通じるテーマがありますよね。

 
友美:あと、「まわる」は前々から(改めて)音源にしたいと思っていました。「chelsea」(1stミニアルバム収録)の次くらいに好きな曲です。ウエケンさんにも「まわる」と「エンドロール」は気に入っていただけたので、入れようと。
 
ナオ:「65%」はライブで人気があって、たまにしかやらないんですけどやるたびに「あれ良かった」って言ってもらえるし、私もすごく好きな曲で、早くCDにしたいなって思っていました。それで、「65%」も選手に入りました。
 

—「65%」という曲はいつ頃からある曲なんですか?

 
友美:あーいつ頃だっけ?
 
ナオ:この曲を初めて聴いたのが友美ちゃんの弾き語りのライブを観に行ったときで、「この曲いいね!誰のカバー?」って聞いたら「作ったんだよ!」って。そのときからいいなって思って早くやりたいなって思っていたから…それが2年くらい前かな?
 
友美:時々ホームのライブハウスである千葉ANGAで弾き語りをやっていて、ナオちゃんが来てくれるときはびっくりさせたい気持ちがあって、内緒で曲をこしらえていくんですけど。
 
ナオ:そうそう、誰のカバーだろ?って(笑)
 
友美:2014年かな?…の、どこかで作ってました。
 

—なるほど。The nonnonを楽しめるようになった、と話されていた2014年にできた曲が多く入っているんですね。

 
友美:確かにそうですね!「エンドロール」も、2ピースになってから作った曲です。
 

—その中でもやはり1曲目「ヘドロになりそう」がインパクト大です。これはどのようにして出来上がった曲なんでしょうか?

 
友美:(歌詞の内容は)常に思っていたことではあるのですが、発信するタイミングが今回だったんでしょうね。うまく言葉が出てきて、これをノンノンでやったら面白いなぁって。タイトルもこれだ!って決めて。ひどい歌詞ですけど(笑)。でも、そういうのを今思いきってやっていいなと思ったんです。ずっと温めていた感情を今回出した、という感じです。
 

—毎日生活していると、表に出すほどではないけど感じる様々な感情が、少しずつ蓄積していきますよね。まさにヘドロのように。

 
友美:そうですね。先ほど「音楽シーンに物申す」と話しましたが、どういう場面でもどういう人にでも言えることなんじゃないかなと思ったので。(ライブで)曲紹介のMCでもその都度聴いてくれている人たちによって伝えたいことををちょっとずつ変えています。軸は変わらないんですけど、これからライブで…グッと引き込むか、離れていくかの(笑)。「あ、ちょっとそういうの嫌だな」っていう人は離れちゃうかもしれないけど、これからライブでしっかりと提示できる曲なんじゃないかと思います。
 

—曲は一気に書き上がった感じですか?

 
友美:そうですね、歌詞もすぐできました。レコーディングのとき…ナオちゃんはコーラスが嫌いなんですけど、今回ナオちゃんがメインで歌う場面を作りたいなと思って。中盤、「好き~嫌い~」という心の葛藤の場面で歌にも広がりを出したくて…そのリードを是非、ナオ先生に!私は心の声を歌って。
 

—コーラス嫌いなんですか?

 
ナオ:好きじゃないです(笑)。でもやるならちゃんとやろうとは思うんですけど。歌そのものはすごく好きなんですよ。「歌うこと」じゃなくて、「歌」が好きだから、ヘタな人や気持ちがない人が歌ってるのは嫌いなんです。自分もボーカルだぞっていう気持ちじゃないし、そういうのは嫌って思ってたんですけど…でも歌うことになったので、せめて気持ちは入れようと思っています。
 
友美:レコーディングでそこを録るときに、ブースに入ってナオちゃん一人歌ってくださいってなったときに「罰ゲームみたいだ!」って(笑)
 
ナオ:だってみんな見てるし。本当に嫌なんですよね(笑)
 

「『ヘドロ』を聴いた後に『まわる』が来て…最高じゃないか!」
—そして2曲目「まわる」は2013年に一度音源化されていて、The nonnonの代表曲の一つだと思いますが、今回録り直すにあたって意識したことはありますか?

 
友美:演奏は確実に力強くなっているし、2人のグルーブ感もできあがっているから、私たちのところは心配していなくて、歌もライブでずっとやり続けていたので「これ」っていうものができていて…特に意識したのはキーボードです。奥野真哉さんに弾いていただくときに、くるりの「ワンダーフォーゲル」みたいにしてくださいってお願いしたんです。『me』のときはおもちゃのキーボードで私が弾いたので…。イメージどおり今風になって良かったなと思います。
 

—『me』の2013年バージョンはキュートさ、ポップさがあって、これはこれで魅力的だと思います。優劣をつけるようなものではないと思いますが、この2年の歩みを経てやはり”進化”はありますよね。

 
友美:パッと聴いたときにアルバムの中で力があるというか、説得力がある曲になったと思います。「ヘドロになりそう」を聴いた後に「まわる」が来て、最高じゃないか!と思ってます。
 

—「まわる」はミュージックビデオもユニークです。色々埋めてますね(笑)

 
ナオ:撮影してくれたハヤシサトル監督が、曲調より歌詞のイメージから考えてくれました。曲の明るさとのギャップを出したいということで。
 
友美:スマホを埋めるシーンで一瞬画面が映るんですが、時刻がリリースの日である1.13になってるんです。
 

—気づきませんでした!そうした遊び心も満載ですね。そして3曲目「65%」や4曲目「ハネムーン」などの人気曲も、今回初の音源化です。レコーディングは順調でしたか?

 
友美:スタジオとエンジニアさんがすごく良くて、ストレスなく終わることができました。演奏はすんなり録り終わって、歌も2日間で。「ハネムーン」はハッピーな雰囲気にしたいと思ってみんなでクラップしたり色んな音を入れてもらったり。イメージ通りになりました。
 

—色んな人との相乗効果ですね。

 
友美:そうですね。協力してくれる人がいて、力が加わりました。
 

—そして5曲目「転校生」も個人的に大好きなナンバーです。この曲は他の5曲に比べると学生時代にスポットを当てた、ノンノンの曲の中では異色な曲ですよね。

 
友美:歌詞はフィクションなんです。ライブのことを思って作った曲で、最初に5拍子のリフを思いついて、サビは普通に戻して…というのをナオちゃんとスタジオで弾きながら作っていきました。単純にサビでみんなに手を挙げてほしい!というのがコンセプトですね。あとは、変な曲をつくろう!と思って。
 

—変な曲、ですか?

 
友美:印象に残る変な曲。「転校生」っていうイメージがパッと出てきたんですよね。
 

—前作『ぽちっけのんのん』に収録された曲もみんなそうですけど、1回聴いて印象に残る、ちょっとクセがあって、”変”というよりは不思議な親近感がどの曲にもありますよね。曲の持っているパワーがすごい。

 
友美:ありがとうございます。The nonnonが2人っきりになって私がメインで曲を作ることになったときに、すごく自信がなかったんです。「前の人(脱退したベーシスト)みたいにあんなにいい曲作れない」って悩んだりもしたんです。でも、ナオちゃんが変化をつけてくれたり、強い味方である上田健司さんがアレンジしてくださったりしているので、これで大丈夫なんだなっていう。私の言葉のチョイスを上田さんも褒めてくださって、意識せずにやれているのでラッキーだったなと思います。
 

—先ほども話しましたが、音楽を始めた頃からずっと作詞・作曲が好きな方なのだと勝手にイメージしていました。必要に迫られて、ということだったんですね。

 
ナオ:貯めてたんだよね。
 
友美:自信がなかったんです。やっとウエケンさんとかに自信をつけてもらって、いいんだ、大丈夫なんだと思ったらちょっと気が楽になって。バンドメンバーにもアレンジをしてもらえるということで、自分のやりたいことを表現していこうかな!という思いになりました。
 

—眠っていた才能を相方であるナオさんが開花させたわけですね。

 
ナオ:(笑顔でうなずく)
 
友美:そうかもしれないですね(笑)。照れくさいな(笑)
 

 

ノンノンが千葉をつなぐでござる
—アルバムの隠れたもう一つのテーマが「つなぐ」なのかなと勝手に思っています。「まわる」の歌詞にも出てきますよね。あと、「ハネムーン」の「ねぇ ねぇ 手をつなごう」とか。それも踏まえつつ、2016年の目標を最後に伺えれば。

 
ナオ:ドラムはやればやるほど楽しいなと思えて、良くなりたいという欲がすごくあるので、いろんなドラマーさんと関わって刺激を受けたいです。あと、YouTubeで「つなぐでござる」という企画をやっているのですが、それも色々とたくらんでいます。
 

—「つなぐでござる」はお二人の拠点である千葉の各地を回っていくんですね。

 
ナオ:そうですね。今はまだ千葉市のお店が多いですが、これから他の地域にも広げていきたいと思っています。
 
友美:千葉のみんなを音楽でつなぎたいと思っているので、アルバムや「つなぐでござる」を通じて次のステップに行きたいですね。
 

—2015年にはワンマンやツアーなど、「○○に向けて加速していく」というものがあったと思います。今考えている、そうした「目指すもの」は何ですか?

 
友美:年末のライブのMCでも話したのですが、普通に過ごして仕事だけして…って、そういうのは面白くないというか、やりがいもあるかもしれないけど、ドキドキすることがないと同じことの繰り返しになっちゃうと思うんです。周りにそういう人が割と多いんです。「いいよねやりたいことあって」って言われるんです。そういう「ヘドロになりそう」な日々の繰り返しでなんとなく生きている人をワクワクさせたい。きっかけになるようなことをしたいなという思いがありますね。今年はそういう活動をして、一緒に楽しい思いをしたりとか、ノンノンのライブを観て「何か始めようかな」というきっかけになるような、影響を与えるような人になりたい。バンドになりたい!
 

—そのライブ(=2015年12月29日@下北沢CLUB251)のMCで「毎日が退屈だったり…私もそう。」と加えていたのが印象的でした。日々生活していて、「ヘドロになりそう!」って感じることも結構あるのですか?

 
友美:そうですね。私は性格がひねくれているので、大体そう思って過ごしていて。
 
ナオ:あれすごい友美ちゃんらしい歌詞だなって思いました。
 
友美:そう。でもそれを結構みんなが受け入れてくれるというか…聴いて「いいね!」って言ってくれるので。それを共感してくれる人がいるんだなと思ったら自信になるし、じゃあ一緒に楽しいことやろうぜ!ついておいでよ!という気持ちになったので、今年はもっとみんなを連れ回したいなぁと思います。
 

◆The nonnon 公式サイト
http://the-nonnon.com/
◆The nonnon Twitterアカウント
https://twitter.com/The_nonnon
 
◆リリース情報
2ndミニアルバム『OPeN』
・2016年01月13日(水)発売
1,750円(+税) FSRC-007
★タワーレコード限定販売
http://tower.jp/artist/2214159/The-nonnon
◆ライブ情報
The nonnon ワンマンライブ
「吾輩はノンノンである~『OPeN』リリースワンマンライブ 千葉編~」
・2016年01月31日(日)【千葉】LIVE HOUSE ANGA
 17:30 open / 18:00 start
 前売2,500円(D別) / 当日2,800円(D別)
 info:ANGA 043-224-7769
 
“The nonnon『OPeN』リリースツアー”
・2016年02月04日(木)【東京】代々木Zher the ZOO
・2016年02月13日(土)【東京】渋谷CHELSEA HOTEL
・2016年02月18日(木)【埼玉】西川口Hearts
・2016年02月21日(日)【東京】下北沢CLUB251
…and more
 
◆取材協力
山の上ホテル
東京都千代田区神田駿河台1-1
TEL:03-3293-2311(大代表)
http://www.yamanoue-hotel.co.jp/

 

 
◆関連記事
【PHOTOレポ】Chirol × The nonnon 「ハルハメクルメクツアー2015」
http://www.beeast69.com/report/125101


 
 
  コラムニスト
mondo
中村 “MR.MONDO” 匠
2017年7月22日更新
第六回「虫嫌い」
PINK SAPPHIRE
PINK SAPPHIRE
2017年8月10日更新
第15回「TAKA」
木暮“shake”武彦
木暮“shake”武彦
2017年7月1日更新
その6「SUMMER TIME」
永川敏郎
永川敏郎(Toshio Egawa)
2017年3月14日更新
Progressive Man 第37話