特集

TEXT:鈴木亮介 PHOTO:矢沢隆則

本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集、第33弾はLAGOON(ラグーン)が登場します。メンバーは、瀧本美織こと「女優」のMIORI(Vocal)、「一児の母」のRINO(Guitar)、「救急救命士」のNANA.(Bass)、「“元”学生」のyuri(Drums)、「カフェ店員」のYUKINO(Keyboard)の5名。様々な職業で働く「二足のわらじ」を履いた女性の夢を叶える応援プロジェクトとしてオーディションで選ばれ、2014年夏に結成。同年11月にメジャーデビューシングル「君の待つ世界」をリリースしました。
 
2015年に入ってからもライブ出演などを精力的に行い、5月27日(水)には2ndシングル「KNOCKED-OUT BOY」をリリース。作詞は高橋久美子(ex:チャットモンチー)とMIORIによる共作ということで発売前から話題を集めています。
 
MIORIがブログで「音楽一本というわけではなくみんなそれぞれのフィールドで経験していることが音楽活動にも生かせる、というのが私達の強み」「私は表現することが好き。女優業で得たもの、感じたことをLAGOONにも生かして、私達らしい表現を見つけていけたら」と書いているように、「二足のわらじ」を強みとするLAGOON。とは言え、ボーカルMIORIが女優瀧本美織として抜群の知名度を誇るのに対し、楽器隊のメンバーの素性や魅力はまだまだ知られていないというのが正直なところ。
 
そこで今回本誌では、メンバー最年少のyuri(Drums)とYUKINO(Keyboard)の2人に登場してもらい、対談形式でインタビューを実施しました。結成からの怒涛の半年間を振り返り、それぞれの心境や表現者としてのこだわり、2人が知るLAGOONメンバーの素顔…そして、ニューシングル「KNOCKED-OUT BOY」や今後の展望などたっぷりと伺います。
 

LAGOON(ラグーン) プロフィール
ソニー・ミュージックが企画する「女性の夢を叶える応援プロジェクト」として、様々なフィールドで働く女性5人が一堂に会すガールズバンド。音楽を楽しみたい女子5人が音を出した瞬間、バンドLAGOONが誕生した。これから「二足のわらじ」で2015年はフェスを目指す!
 
ラグーンとは、湾が外海からある程度隔てられて湖泥化した湿地帯のこと。イタリア・ベネチアは「水の都」と呼ばれラグーンの中に発達する世界遺産の港町。この港町のように人々がたくさん集まるバンドになりたい!という想いを込めて、ボーカルのMIORIが提案。

 

 

心境の変化は?「二足のわらじ」怒涛の半年間を振り返る
—きょうはよろしくお願いいたします。新曲の歌詞にちなんで、”HeavyなGirl’s Talk”ができれば…

 
YUKINO:よろしくお願いします(笑)
 

—2人とも無事20歳を迎えて…yuriさんは3月でしたよね。お酒も結構飲むように?

 
yuri:そうですね。メンバーでもこの前5人で飲みに行ったんですよ。
 

—いいですね!20歳になって、環境の変化も色々とあったかと思いますが。

 
yuri:そうですね。専門学校を3月で卒業しました。
 

—いよいよ音楽社会人ですね。

 
yuri:私一人だけ今、二足(のわらじ)がなくて一足になってます(笑)
 

—改めて伺いたいのですが、皆さんが最初に顔を合わせたのは昨年の夏頃ということで。

 
YUKINO:オーディションで個々に会ってはいたのですが、5人揃ったのは8月中旬くらいですね。
 
yuri:その後、8月後半に1stシングルのPV撮影だっけ?
 
YUKINO:いや、PVは9月だった!アー写の撮影だね。
 

—デビューが決まって、周りの反応はどうでしたか?

 
yuri:私は音楽の専門学校に通っていて、周りもみんなデビューを目指してバンド活動など頑張っている子だったので、「おーすごいね!」と言われました。
 

—先越された!みたいな(笑)

 
yuri:普通の大学に通ってる子たちに比べると若干ライバル心があり「俺たちも負けないぞ」みたいに言われながらも応援はしてもらえました。
 

—それもいいですね!良きライバルというか。専門学校は2年間通って、高校から比べると学ぶことも多かったと思いますが、振り返って印象的なことはありますか?

 
yuri:そうですね。全員楽器ができるというのは今までの生活にはなかったことなので、普通に会話の中心が音楽というか、こんなバンドがいいよというのを一日に何回も聞いたり、自分の知っている音楽の幅がグッと広がったと思います。
 
YUKINO:ずっと音楽漬けなんだよね?
 
yuri:そうだね。
 

—いい先生との出会いみたいなのはありましたか?

 
yuri:はい。LAGOONみたいにオーディションで集まってデビューした経験があるという先生もいて、その先生からは「昔の私を見てるようだよ」と言ってもらって、相談に乗ってもらえました。
 

—今回のオーディション自体も、学校の先生から勧められたんですよね?

 
yuri:そうなんです。
 

—そしてYUKINOさんも結成から半年いろんなことがあったと思いますが、YUKINOさんの場合はカフェ店員との二足のわらじということで、この半年間で周りの反応とか、自身の心境の変化などはありましたか?

 
YUKINO:LAGOONになってからは、親戚などの反応も大きくなりました。「ニュースに出てたね」とか「YouTubeの再生回数がすごいね」とか…。カフェの同僚たちもすごく応援してくれていて、知らぬ間にライブに来てくれていたことも。みんながこんなに応援してくれているので、本当に頑張らなきゃなという気持ちがだんだん強くなってきています。
 

—色んな人の反応の大きさで、徐々にデビューしたんだという実感が湧いてきたという…

 
YUKINO:そうですね。結成してからデビューまでがあっという間だったので、メンバーが決まったと思ったら即PV撮影だったり、取材を受けたりと目まぐるし過ぎて、本当にデビューしたのかな?と実感があまり湧かなかったのですが、2ndシングルを出すことが決まったころから、やっと自分は「LAGOONのメンバーだ」、って思えるようになりました。
 

—カフェの人たちもバンド活動は結構応援してくれている?

 
YUKINO:そうですね。元々カフェの仕事が入ってる日にLAGOONの仕事が入ったときも、誰かが私の代わりに入ってくれたり。
 

—そういうスケジュール調整はバンド活動に専念している人でも皆さん苦労されるところですよね。正直なところ、両立がキツいなぁ、二足のわらじ大変だなぁって感じませんか?

 
YUKINO:いやぁ…大変ですね(笑)。どっちも本気でやってるので、LAGOONの方をメインでやっているつもりではありますけど、カフェの方もちゃんとやりたいので、スケジュールの管理で苦労してます。
 

—どちらも元々自分の好きな仕事で、どちらも本気でやっているから、だから、乗り切れている?

 
YUKINO:高校生の時は学校の勉強がすごく嫌いで、好きなカフェで働いているはずなのに勉強した後のバイトが苦に感じることも正直ありました。でもLAGOONになってからは、音楽も好きなことだしカフェも好きなことだし、ストレスなしに楽しく働けています。
 

—両立していることによって逆にメリットを感じることはありますか?こっちの仕事がこっちのこれに活きてくる…みたいな。

 
YUKINO:喋るのが上手くなった気がします。元々人前で喋るのは得意じゃなかったんですが、LAGOONを始めてから喋る機会が増えたことで、カフェでお客さんとコミュニケーションをとるのがうまくできるようになって、店長にほめられることも増えました。
 

—逆にカフェの仕事が音楽活動にプラスに…みたいなことはありますか?

 
YUKINO:やっぱりコミュニケーションですかね。私が働いているカフェが結構お客さんと親しみをもつというタイプのところで、それの影響かわかりませんが、LAGOONの活動で初めましての人ともちゃんと喋れるような気がしています。自分では。
 

—「二足のわらじ」という点で、yuriさんは学生時代に「両立が大変」ということはありましたか?

 
yuri:スケジュール的な部分が大変だったかなと思います。みんなも仕事をしていて、私も平日は昼から夕方まで毎日授業があって…だから、午前中にLAGOONの練習をして、それから学校に行ったりしてましたね。
 

—へえー午前中に活動なんですね!意外です!

 
YUKINO:朝10時からとか、あったよね。
 
yuri:朝練です(笑) 夜は仕事があるメンバーがいたり、あとはお母さん(=RINO)がいるので(笑)
 

電光石火の結成→デビュー 5人がすぐに一つになれた理由は
—2人はこれまでテレビで見ていたという立場から徐々に出る側になったわけで、そういう実感というか、変わったなーっていうのはありますか?

 
YUKINO:見たことある雑誌の取材を受けたり、一人でスナップ撮影とかもいっぱいあって…音楽番組に出るときはどうしよう、とか、ちゃんと想像はするようにしています。
 

—何となく憧れとしてはあっても、具体的にイメージすることはこれまではなかったですよね。

 
YUKINO:そうですね。
 

—ライブのステージも、LAGOONはお披露目ライブが渋谷duoで、その後も日本青年館、赤坂BLITZ、代々木第一体育館など大きな会場が続きましたが、その辺りはいかがですか?

 
yuri:今まで自分が組んでいたバンドで出ていたステージは200人くらいの規模だったので、それが千人単位になると、圧倒されましたね。
 
YUKINO:私の場合はたまたまなんですけど、duoも赤坂BLITZも前のバンドで出たことがあったので、懐かしいという気持ちの方が強かったですね。確かにLAGOONで初めてという意味ではドキドキしていましたが、箱の大きさにはそんなにビビらなかったかなと思います。初お披露目のときには、ライブ自体無料だし、ちゃんと盛り上げられるかな?と…「何だこいつら」って思われないようにやらなきゃって、必死だったよね。
 
yuri:確かに、会場にびっくりするというより失敗できないっていうほうが大きかった。
 
YUKINO:日本青年館も、共演したアイドルのファンの方が多い中でバンドは自分たち1組だけで、どうしよう!って。
 
yuri:異質だけど大丈夫かな?って。その中でどうやってLAGOONを見せるか…
 
YUKINO:そういう不安のほうが大きかったですね。
 

—なるほど。その点では、皆さんすごいなと思いつつ、不思議だなと思っているのが、この5人は個々に年齢も違えば背景も違うという5人が集まって、すごく速いスピードでデビューに至ったと思うんですが、最初からすんなり「5人のバンド」って感じにまとまったんですか?

 
YUKINO:そうですね。オーディションを受けたとき、実は私はまだバンド活動をやるかどうか悩んでいて、LAGOONのオーディションに合格したらどうしよう?って正直思ってたんです。でもオーディションのときにyuriRINOと一緒に演奏することがあって、そこで音を出したら「このメンバーだったら行けるかな?」という感じがして。それからそのまんま普通に馴染めたというか…
 
yuri:結構最初からすんなり話してるね。楽屋でも、女子会みたいにね(笑)
 

—それはたまたま波長が合ったのか、それとも何か「こういう風に心がけたからうまくいったんじゃないか」って振り返って感じるものはありますか?

 
YUKINO:年齢とかを気にしないようにしていました。私はyuriとは同い年だし共通の知り合いもいたので最初からすぐ仲良くなれたんですが、NANA.RINOは年齢も趣味も違うしどうしようかとは思ったんですが、バンドメンバーなのに年上とか先輩とかを気にしちゃったらうまくいかないと思って、そこら辺を気にしないようにしました。MIORIも、いつもテレビで見てる人が同じバンドにいるというのは緊張したんですが、それもバンドメンバーなんだから緊張とかだめだ!って思って、 自然に敬語とかをやめていって(笑)。なじめるように何か頑張ったというわけじゃないんですけど、そういうの(敬語を使わないなど)を受け入れてくれた3人だから良かったっていうのはあるよね。
 
yuri:そうだね。
 
YUKINO:最年長のRINOも「普通に、敬語で喋んなくていよいよ」って。
 
yuri:私も最初敬語を使わないなんて無理だよーって思ったんだけど、最近になって打ち解けてきたかなって。
 

—それで、「あだ名をつけよう」っていう話になったんですよね。

 
YUKINO:そうです!メンバー同士あだ名で呼ぼうってなって、会議をしてみたんですけど、5人ともあだ名というあだ名がなくて。私はYUKINOって呼ばれるし、NANA.NANA.だし、RINORINOだし。じゃあ美織さんは何て普段呼ばれてるのか聞いてみたら、MIORIとかみーちゃんだよ、って。じゃあみーちゃんにしよう、って(笑)。yuriは何だっけ?
 
yuri:私は「学校では”ゆりっぺ“って呼ばれてるよー」って自分で言って、それで「ゆりっぺ」になりました(笑)
 
YUKINO:年下が自分1人だったら大変だったかもしれない。yuriと同じだったから良かった。4人年上で1人だけ年下だったら、未だに緊張して(伏し目がちに)「あ、はい…」って感じだったかもしれない(笑)
 
yuri:うん、それはすごく思う。アダルトチームとヤングチームに分かれて…でもそこで完全に分かれてバラバラではなく、まとまってる感じ。
 
YUKINO:アダルトチームが話したことをヤングチームが「何それ知らない!絶対知らない!」って言って(笑)
 

—楽屋の和気藹々とした様子が目に浮かびます。例えばどんな話をするんですか?

 
YUKINO:アニメとか…えっと、何だっけ?全然知らないことを言われるんで記憶に残らないんですけど(笑)
 

—逆にこの2人は同い年ということもって共通点がいっぱいあるんですよね。

 
YUKINO:好きな食べ物とか。
 
yuri:服装も結構かぶるんです。打ち合わせなしで。
 
YUKINO:あと、動物が好きなところとかも似ていて。最近はハリネズミが好きで、その話とかをね。
 
yuri:YUKINOからハリネズミの写真集を借りたり。
 
YUKINO:ライブに一緒に観に行くこともあります。
 

—バンド活動以外のオフの場面でも、忙しいながらに時間を作って交友を深めているんですね。

 
YUKINO:帰りに一緒にご飯食べに行ったりとかもよくしますね。
 

—互いの印象は、この半年で変わりましたか?意外な一面を知ったとか。

 
yuri:最初は結構おとなしい感じの子かなと思ったんですが、最近のYUKINOの印象はよく笑ってる!いつも笑ってる。 楽しい子なんだなって。
 
YUKINO:いやーそんなに大きく変わらないですけど、最初yuriは縮こまってて小動物みたいな、おびえてる感じがしましたけど、最近は一緒に楽しく笑うことが増えて、ね?
 
yuri:最初はかなりビビってました(笑)
 
YUKINO:ビビってる部分がなくなって、素のyuriが出てきて、あんまり静かな子じゃないんだなっていうのがわかりました。同じだね(笑)
 

—バンドの中で一番しっかりしてる人って誰なんですか?

 
YUKINO:それがいなくて…
 
yuri:リーダーみたいなのが決まってなくて、まとめ役がいないんですよ。だから、そのときに思った人が言う、みたいな。
 

—じゃあ割と決めたいことがすぐ決まらなくてどうしよう、こうしよう、と…

 
YUKINO:ありますね!話し合って話し合って話し合ったら、決まらないで終わっちゃった、みたいな(笑)
 
yuri:何の話してたっけ?って。
 

—5人ともみんなふわふわしてる感じですか?

 
YUKINO:そうですね。でもやることはしっかりやろうという気持ちはみんなあるので、しっかりしつつ、ゆるゆるしつつですね。RINOも最年長なのに全然お姉さんっぽくなくて。
 
yuri:一緒にはしゃいでくれるんです。
 
YUKINO:お姉さん…いないね!
 

—それは裏を返せば、年下の2人がすぐに溶け込めた要因かもしれませんね。

 
YUKINO:そうですね!
 

「頭がLAGOONに切り替わった」 yuri、YUKINOの表現のこだわり
—その中で世間からの注目はやはり「女優・瀧本美織がボーカルをやっている」というところなのかなと。2人から見て、MIORIさんにボーカリストとしてどういう印象を持っていますか?

 
yuri:女優さんだからなのか、曲によって歌声がガラッと変わるのがすごいなーって思います。
 
YUKINO:表現の仕方もすごいよね。確かにボーカルって動くけど、MIORIは普通に動くんじゃなくて、ちゃんと表情をつけたり、身振り手振りとか、モニターに座ったりとか、一つ一つの表現にすごさを感じます。
 

—確かに佇まいがすごいですよね。一度ライブを拝見したのですが、遠くから見ても存在感が圧倒的だと思いました。

 
YUKINO:歌もうまいし。テレビで観る瀧本美織とは全然違うなーって思います。
 

—お2人が自分の表現としてこだわっていることを教えてください。

 
yuri:ライブでは音でも表現していますが、観たときに視覚でも…体を使って音を表現できたらと思っています。頭を振るところはお客さんも一緒に乗れるように大きく動いたり、キメとかも体を使って表現することを心がけています。
 

—yuriさん、ライブの時は激しく動いていますよね!ちなみにyuriさんの音楽のルーツを教えてください。

 
yuri:はい。中学の終わりにSCANDALを聴いたことがきっかけでバンドを始めようと思って、仲の良い子たちと組んでドラムを始めました。SCANDALのライブを観たときも、演奏はもちろん全体を見たときにバンドとして一心不乱にやっている姿にグッと来たので、そういう表現が自分でも出せたらと思います。
 

—ドラマーyuriの魅力が最も発揮されるのはライブである?

 
yuri:ライブを観に来てくれたお客さんに楽しんでもらいたいといつも考えています。楽しんでもらうためにはまず自分が楽しむことからだと思うので、私が楽しんでいる姿を見て一緒に楽しんでもらえたり、ライブに来て良かったなと思ってもらえたら嬉しいです。
 

—そうした”表現のこだわり”について、YUKINOさんはいかがですか?

 
YUKINO:今までは両手でガンガンピアノを弾きながら、お客さんを煽る余裕もないくらい弾いて、それで自分が乗って、その姿を見てお客さんも楽しんでくれたらと思っていました。でも、LAGOONに入ってからそれじゃだめだ!っていうことに気づかされて。ここは両手いらないんじゃないかな?って思えるような左手のフレーズがあるところは、右手だけで弾いて、左手は拳を挙げたりタオルを振ってみたり…最近そうするようにしています。手だけじゃダメだからジャンプしてみよう、両手が空いたら手拍子してみよう…って。そういうパフォーマンスを最近は意識しています。弾くところは弾いて、お客さんを乗せるところは乗せることに集中しようと。
 

—試行錯誤されてるんですね。

 
YUKINO:まだまだ私もやり始めたばかりでちゃんとお客さんを乗せられていないところもあるので、それを完璧に…私が手を挙げた瞬間にお客さんみんなの手が挙がるくらいの…そういう人になれるように、研究中です!
 

—元々幼少の頃からずっとピアノをやってきた表現者として、「ピコピコ弾いてるんじゃなくて激しくジャラジャラ弾きたい」っていう、本当に自分がやりたい表現との葛藤というか…

 
YUKINO:最初はそうだったんです。ピアノをガツガツ弾いて、ものすごいロックな音楽の後ろでピアノが鳴ってるのが好きで、そういうのをやりたいと思っていたところもあったんですけど、最近思考が変わって。LAGOONに合うというか、「LAGOONのキーボードとしてやらなければいけないこと」を考えるようになって。
 

—と言うと?

 
YUKINO:LAGOONは楽しんでいる姿が一番いい!って色々な方に言っていただくので、自分たちが精一杯誰よりも楽しめれば、その姿を見てお客さんも楽しいなって思うはずなんです。それでも、楽しいんだけどどうやって手を挙げていいかわからないという人のために、私はパフォーマンスを頑張ろうって最近ずっと思っています。
 

—なるほど。

 
YUKINO:だから、弾きたい弾きたい!っていう思いが、最近はなくなってきて。でも今後…例えばアルバムを出すことになったときに、そういう(激しく弾く)曲が1曲くらい入れられたらな、とは思います。
 

—その心境の変化は、何かきっかけがあったんですか?

 
YUKINO:頭がLAGOONに切り替わったっていうか…デビューしてから半年間が本当にあっという間で、最初は自分が今何をしているのかが分からないというところが結構あって。でも何カ月かしてちゃんと考えられるようになったから、自分のやりたいことだけじゃなくて、LAGOONに合ったフレーズとかパフォーマンスとかを考えられるようになったのかもしれないですね。
 

—ライブでのお客さんの反応なども影響したのでしょうか?

 
YUKINO:そうですね。LAGOONの中で目立つっていう面でも、そういうパフォーマンスがあった方がいいのかなと思って。実際にここ最近のライブでやってみて、その方がお客さんも乗ってくれるしこっちの方が全然いいなって実感したんです。
 

—yuriさんも、ドラマーは後方にいて動きの制約もありますが、ライブでお客さんの反応は実感しますか?

 
yuri:私もライブを重ねていくうちにお客さんと一緒に表現することの大切さに気づけたし、前の方のお客さんは「何回も来てくれてる人だ!」って(顔が)わかる人もいて。その人たちを見ていると「ここでかけ声が来るな」というのを感じられるので、私も「よし、行くよ!」って、最近はできているなと思います。
 

—結成から半年、決してライブの数が多くはなかったと思いますが、1回1回のライブで着実に進化しているんですね。

 

「本当に短期間で急成長してる」 2ndシングルリリース、そして次の一手
—さてそうした進化を経て、5月27日(水)に待望の2ndシングル「KNOCKED-OUT BOY」がリリースされます。3曲を通して聴いたときに、そこはかとない”強かさ”を感じました。表題曲の「KNOCKED-OUT BOY」が元チャットモンチーの高橋久美子さんとMIORIさんの共作ということですが、この曲はどのようにして出来上がった曲なんですか?

 
yuri:デモの段階で聴いたときは歌詞は未だ出来ていなくて、仮歌が英語の歌詞でした。
 
YUKINO:その次に聴いたときは…日本語になってたっけ?
 
yuri:歌詞を練り終わってから「完成したよ!仮歌も録ったよ!」って改めて送られてきました。
 

—MIORIさんが歌詞を書いていたのはメンバーは元々知っていたのでしょうか?

 
YUKINO:知ってました。面白くてすごくパンチのある歌詞だなって思いましたね。
 
yuri:ストーリーになっていたので、1回聴いたらすぐ覚えちゃって…面白かったです。
 

—2人の考える「KNOCKED-OUT BOY」の聴き所、特徴を教えてください。

 
YUKINO:曲がすごく可愛らしいけど歌詞にパンチがあって…悪いことをしちゃった男の子にお仕置きをするという内容ですが、そのギャップがこの曲のすごいところだと思います。
 
yuri:ポップなのに歌詞が…
 
YUKINO:強い!
 
yuri:「KNOCKED-OUT BOY」については、音数がCDでは少ないんですが、ライブではどう表現するかということをアレンジャーさんともじっくり話し合いました。
 
YUKINO:MIORIの声がすごく映える曲なので、音源ではボーカルをしっかりと聴かせるということに重点を置いていますが、ライブではまた違った音が楽しめると思います。
 

—2曲目「プラチナのシークレット」はかっこいいロックな楽曲ですね。こちらは2人にとってどんな曲ですか?

 
YUKINO:大人の女性みたいなイメージで、曲もグググーと行く感じがかっこよくて。1stシングル「君の待つ世界」で見せたLAGOON像から一番想像がしやすい曲だと思います。
 
yuri:今回のシングルに入っている3曲の中で一番ロックな曲です。
 

—ライブで乗れるような仕掛けも色々ありますね。

 
YUKINO:みんなで言ってもらいたいかけ声も入っているので是非!
 

—そして3曲目の「Shout it out!!」。

 
yuri:これは誰もが共感できる歌詞なんじゃないかなと思います。
 
YUKINO:学校生活ね。サークルとかラーメンとかね(笑)
 
yuri:みんなが学生生活のときに感じたようなことがテーマで、曲が明るいからワーってはっちゃけてる感じです。
 

—レコーディングを振り返ると、どの曲が一番印象に残っていますか?

 
yuri:私は2曲目「プラチナのシークレット」が印象に残ってます。
 
YUKINO:私も!
 
yuri:レコーディング前から自分なりにフレーズを考えていたのですが、いざ現場に行ったら作曲者の方と一緒に考えてその場で急なフレーズの変更があったり、現場での対応に焦ったというか(笑)
 

—それもいい経験ですね(笑)。レコーディングはいつ頃でしたか?

 
yuri:4月頭頃です。3曲とも大体同じくらいの時期です。
 
YUKINO:私はオルガンしか弾いてないんですが、オルガンの音飾から、場所によってここは盛り上げたいから”回すぞ!”とか。あと、色気のある弾き方をして!と注文が入ったり。色気?って。
 
yuri:(笑)
 
YUKINO:色気とか分からないよ~とか思いながら、でもグリス(グリッサンド)の仕方によって変わるということをその場で教えてもらってその場で試行錯誤でやって…で、なんといっても一番最後にソロみたいなところがあるんですけど、そこを最初アレンジャーさんと話したときに「なしでいいよ!」ってずっと言われてたんです。でも私としてはすっごく練習して絶対やるぞ!っていうつもりでいたので「えー」って思っていて…それで、レコーディング当日に「やりたい」って言ったらじゃあやっていいよ、って言われてそれで実現できたところなので、歌終わったからいいやって切らないで最後まで聴いてほしい!(笑)
 

—熱い!最後まで必聴ですね。yuriさんも、そうしたこだわりはありましたか?

 
yuri:私はNANA.とレコーディング直前までベースとドラムの絡みというか、フレーズの確認をしました。NANA.がベースを弾いて、私が口でドラムを言いながら(笑)、フレーズを考えたりとかしましたね。
 

—そして、この2ndシングルを引っ提げてのリリースイベントも全国各地で予定されています。

 
YUKINO:(インタビュー時点で)5回目のライブを終えて、ライブ感というかバンドのグルーブが生まれてきています。本当に短期間で急成長してると自分たちでも思っているので、そこに注目してほしいのと、早くライブに来ないとだめだよ!っていうのを…
 
yuri:だめだよ(笑)
 
YUKINO:早くライブに来てくれないとどんどん進化していっちゃうので、進化する前から観たい人は…早く来てください!
 

—「KNOCKED-OUT BOY」のライブバージョンも楽しみです。

 
yuri:ずっと同じリズムで、かけ声もあるしサビではちょっとした振り付けもあるので、それもみんなでやってもらえたら嬉しいです。
 
YUKINO:振り付けはライブでしかやらないので、ライブに来てもらわないとわからない!
 
yuri:ライブになったらさらに本物のLAGOONが楽しめるので!
 

—最後に、今後の展望を教えてください。

 
yuri:LAGOONとして、早くメンバーだけで曲を作ってお客さんに届けたいなと思っています。
 
YUKINO:それで曲をいっぱい増やして、ワンマンライブを色んなところでいっぱいできるように。月に10回くらいライブやってもみんなパンパン…みたいに。メンバー内では他のアーティストさんとコラボレーションをしたいねという話もしているので、期待していてください!
 

 
実感のないほどスピーディーにデビューが決まり、”どこにでもいそうな普通のバンド女子”から一夜にしてスター街道を進み始めることになった2人。さすがオーディションで選ばれただけあり、随所に高いプロ意識と、プレイヤーとしてのプライドが感じられるインタビューとなりました。
 
結成からわずか半年という短期間の間にも、大きなステージに立ってたくさんの人を楽しませるエンターテイナーとしての自覚と、表現者としての探求心がグングン芽生えているようです。
 
数多くのガールズロックバンドがいる中で、LAGOONというバンドの魅力を考えると、やはりキーワードは「二足のわらじ」のようです。日進月歩でパワーアップしていくLAGOON。その期待値は天井知らずです!
 

◆LAGOON 公式サイト
http://www.lagoon-web.com/
 
◆LAGOON Twitterアカウント
https://twitter.com/lagoon_staff
 
◆リリース情報
2ndシングル「KNOCKED-OUT BOY」
・2015年05月27日(水)発売
初回生産限定盤(CD+DVD)SRCL-8815~16
通常盤(CD) SRCL-8817
<収録曲>
M01. KNOCKED-OUT BOY
M02. プラチナのシークレット
M03. Shout it out!!
M04. KNOCKED-OUT BOY -Instrumental-
<DVD 収録内容>※初回生産限定盤のみ
01. KNOCKED-OUT BOY Music Video
02. KNOCKED-OUT BOY Music Video メイキング

◆ライブ情報
「KNOCKED-OUT BOY」リリース記念mini LIVE TOUR
・2015年05月23日(土)【神奈川】ラゾーナ川崎 2F ルーファ広場 グランドステージ 14:30 START
・2015年05月24日(日)【埼 玉】イオンモール春日部 1F 藤の広場 14:00 START
・2015年05月27日(水)【東 京】SHIBUYA TSUTAYA 2階 特設スペース 19:00 START(※mini LIVEはなし)
・2015年05月29日(金)【東 京】タワーレコード渋谷店1Fイベントスペース 19:00 START
・2015年05月30日(土)【東 京】昭島モリタウン MOVIX前ガーデンステージ 14:00 START
・2015年05月31日(日)【茨 城】イオンモール土浦 専門店街1F 花火ひろば 11:00 START
・2015年05月31日(日)【大 阪】タワーレコード新宿店 7F イベントスペース 15:00 START
・2015年06月05日(金)【大 阪】タワーレコード梅田NU茶屋町店 19:00 START
・2015年06月06日(土)【大 阪】あべのキューズモール 3Fスカイコート 12:30 START
・2015年06月06日(土)【兵 庫】イオンモール姫路リバーシティー 1F タワーガーデン 17:00 START
・2015年06月07日(日)【愛 知】イオンモール名古屋茶屋 1F ガーデンコート 13:00 START
・2015年06月07日(日)【愛 知】アスナル金山 明日なる!広場 17:00 START
・2015年06月13日(土)【福 岡】あるあるCity(小倉) 1階外特設会場 13:00 START

内容、参加方法等の詳細はHPへ
http://www.lagoon-web.com/news/
 
2マンライブ「GIRLS CONNECTION」
LAGOON / Gacharic Spin

・2015年06月14日(日)【大阪】梅田Zeela
・2015年06月21日(日)【愛知】名古屋E.L.L
ESP学園presents COLORS2015
・2015年07月11日(土)【新木場】STUDIO COAST