特集

galneryus

TEXT:長澤智典

場内が暗くなり、最新アルバム『VETELGYUS』の冒頭を飾ったシンフォニックな「REDSTAR RIGING」が鳴り響き出したとたん、身体中の血がザワザワと騒ぎだした。己の身体の中を流れる血が、一気に頭上へ向かって昇り始めた感覚と言えば良いのだろうか??。そんなざわつきを、この身に感じていた。
 
流れだした「ENDRESS STORY」。気高きシンフォニックな鎧をまといながら、同時に彼らは、凄まじい破壊力を持ったリフやビートを、牙剥き出しに荒れる野獣のよう突きつけてきた。その雄大かつ攻撃的な重奏音の上で、雄々しくも美しいSHOのハイトーンな歌声が、猛り狂う演奏の上を優雅に進撃していく。その演奏に触れた瞬間から、武者震いが止まらなかった。そう、ズッと震え続けていた。身体中からグングンと血が逆流し続け、何時しか拳振り上げ、叫ばずにいれなくなっていた。興奮した魂が、己の身体をぶち破ってでも暴れたい。それくらい、嬉しい高揚した震えが全身を支配していた。まさに、総毛立つ感覚だ!!
 
最新アルバム『VETELGYUS』を手に、10月からスタートした全国ツアー『THE VOYAGE TO THE BOUNDLESS UNIVERSE』も、11月23日(日)に行われた渋谷公会堂のステージでファイナルを迎えた。この日のチケットはSOLD OUT!!。2年連続で渋谷公会堂のステージに立つのも嬉しいが、この会場を埋めつくす支持を彼らがしっかり得ていることが、何よりも素敵なこと。客の年齢層はやはり高めであり、昔からのメタル好きが多いのを実感。中には、数は少ないながらも10代と思える少年らの姿も。嬉しいじゃないか、こういう若い連中がGALNERYUSに注目してるってことが。きっと学校では、まわりと音楽的な趣味が合わずに疎外感を感じているのかも知れない。
 
まぁ、ここに集まっている連中の多くが、そんな疎外感を抱きながらも「好き」を貫き続けてきた信者たちだ。むしろ、そういうマイノリティな文化を体験してきた人ほど、好きな音楽に注ぎ込む情熱はハンパない。その「確かなもの」を信じ続けた一つの答えが、今のGALNERYUSの支持にも繋がっていると想像する。そんな虐げられた若者たちよ、その感性を大切にしてくれ。この文化を受け継ぐのは、君らなのだから。

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GALNERYUS

members
Syu …Guitar
SHO …Vocals
TAKA …Bass
Jun-ichi …Drums
YUHKI …Keyboards


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けっしてノスタルジーに陥るのではない。時代の変遷に合わせながら、己自身も成長し続けてゆく。GALNERYUSが高い支持を得ているのも、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの王道となるスタイルを持ちながら。同時に、ラウド/ヘヴィ・ロックやエクストリームなメタルサウンドなど、今の時代性の中で映える音楽も、同時にミックスアップしている面にあるのではなかろうか??。バスドラの高速リズムが生み出すJun-ichiのドラムなど、まさに猛り狂った野獣そのものだ。重低音でうなるTAKAのベースも、そう。一転、キーボードのYUHKIの美しくも様式美あふれる音色に、SHOのクリーンなハイトーン・ヴォイス。その2つの要素を巧みにブリッジしていくのが、重量感を持ったリフから気高き旋律まで多様な表情を奏でるSyuのギター。
 
今のGALNERYUSは、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの歴史の変遷を、様式美という大きな箱(楽曲)の中に描いている。そう、彼らはとても様式美あふれるバンドなんだよ。いくら多様な表情を描こうと、つねに気高さを忘れない。戦いへ挑む勇者たちの高揚心を凛々しく煽ってゆくと言えば良いのだろうか、鉄壁の城を守る騎士のような美しくも凛とした姿をGALNERYUSは示してくれる。だからこそ、その音楽の剣の袂に、その志に惚れた人たちが集まり、ともに手にした剣(拳)を振りかざしては、意気揚々と雄叫びを上げ続けてゆくのだろう。今のGALNERYUSの姿を「ベルセルク」に例えるなら、「黄金時代」篇の「鷹の団」の団長グリフィスのような存在と言えようか。
 
この日のライブは、最新アルバム『VETELGYUS』の曲順を、ほぼなぞる形で展開していった。一曲一曲がドラマチックな物語を描いてゆくよう、時に激しく攻めるように、時には美しくメロディアスな旋律を奏でながら。さらには、それぞれの演奏陣がユニゾンで音を響かせ、壮大な曲絵巻をぶつけ続けていた。
 
楽曲を転調させながら、エレガントと激しさを内包した高揚嘆きのドラマを描きあげた「ULTIMATUM」。畳みかけるような激しさと勇壮なシンフォニックサウンドが大きなウネリの中で絡み合い、魂揺さぶる興奮を与えた「THE GUIDE」。喚起と興奮を掻き立てた、勇壮でドラマチックな「ENEMY TO INJUSTICE」に触れていたときは、GALNERYUSの士気に合わせ観客たちが騎士となり、戦いへ挑む意識にさえなっていた。最後の熱い合唱は、まさに、戦いへ挑む決起の場にいるような気分だった。その高ぶりきった感情を思いきり炸裂させ、熱狂した「THE JUDGEMENT DAY」。一度振り翳した拳を誰が降ろせるものか。むしろ、高ぶった感情を天(空)へ届けるように叫ぶんだという心情に、誰しもの魂が染まりきっていた。
 
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中盤には、アニメ「曇天に笑う」のエンディングテーマとしても流れている、スケールあふれた、むせび泣くようなバラードソング「ATTITUDE TO LIFE」も演奏。この歌は、「曇天に笑う」に出てくる曇天火が処刑台に張り付けられるシーンや、彼自身の生き様を投影して作られたそうだ。この楽曲は12月3日にシングル発売になるので、気になった方はぜひ手元に置いて欲しい。
 
次々と吹き上がる炎と場内を白く覆い尽くしたCO2の煙。終盤「BASH OUT!」では、観客たちの誰もが、あらん限りの魂を持って「I wanna bash out all night long!」と叫び続れば、本編最後を飾った「I WISH」でも、その高揚しきった感情をみんなで共有しながら、歓喜の想いに浸っていた。
 
アンコールでは、シングル「ATTITUDE TO LIFE」に収録となる新曲の「MY FAITH」をいち早く披露。3回もアンコールに応え、最後は、お馴染み、美しくも激しく気高いシンフォニックでメロディアスな様式美ナンバー「DESTINY」を演奏。一体化した熱狂を持って、この日の2時間半以上に及ぶライブの幕を閉じていった。
 
何故GALNERYUSが、ここまでメタルファンたちの支持を集めているのか??しかも、幅広い年齢層のファンたちの熱狂を得てゆくのか??。先にも触れたような、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルが”かくあるべき姿の基準”ともなっている「様式美」を軸に置いている点や、次々と転調を繰り返しドラマを作りあげてゆくプログレッシブな展開。ラウドな音楽性にも通じる重量感/激烈/疾走さを持った過激さ。美しくも芯を持ったSHOの突き抜けるようなハイトーンの歌声。どんな多彩な表情を描こうと揺るがないメロディアスさなど、そこにはいろんな「メタル好き」の嗜好をくすぐる要素があるからと言えるだろう。むしろ、そういう要素を様々にミクスチャーしているからとも捉えられようか。
 
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自分はけっしてメタル寄りな趣味性の強い人間ではない。いわゆる10代の頃にハードロック・ヘヴィメタルの洗礼を受け、熱狂しながらも、今はなんとなくラウド系は聞いている程度。でも、GALNERYUSのライブに触れた瞬間、「魂を歓喜高揚させる、勇壮で気高く華激な様式美なサウンドと、日本人特雄のメロディアスさを生かしたクリーンな歌声」に、一瞬にして虜になり、嬉しいくらいに感情が武者震いし続けていた。何時しか気持ちは10代のメタルキッズだった頃に戻り、その「美しく気高き世界観」へ思いきり魅了されていた。
 
そう、彼らはとても気高い存在だ。どんなときも様式美という軸をぶらさない。そのうえで、多様なメタル要素を己の武器や魅力として駆使してゆく。心の中に暑苦しいほどの情熱を秘めようと、それを汗振り乱し突きつけるのではなく、つねに高貴なたたずまいを持って魅せてゆく。まるで「キン肉マン」に登場する英国のエリート超人でもあるロビンマスクのように。そう、彼らはメタル界の高貴な紳士。自分にはそう思えていた。きっと「GALNERYUSは、ハードロック/ヘヴィメタル界のロビンマスク」なんだと自分は勝手に思ってしまった。
 
渋谷公会堂を埋めつくすだけのパワーを持った正統派な存在でもあるGALNERYUS。彼らの躍進を支持することで、少しでもマイノリティなシーンがマジョリティに近づけたら、今の音楽シーンが面白くなりそうだ。日本人の趣味趣向性のツボをしっかりと突いているバンドだけに、気づきさえすれば、今の若者の中でも熱狂する奴はかならず出てくるはず。とくにプレイヤー予備軍たちはね。うん、彼らを支持しよう。
 
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◆Setlist
M01. ENDLESS STORY
M02. THERE’S NO ESCAPE
M03. ULTIMATUM
M04. THE GUIDE
M05. ENEMY TO INJUSTICE
M06. VETELGYUS
M07. THE JUDGEMENT DAY
M08. ATTITUDE TO LIFE
M09. SECRET LOVE
M10. BASH OUT!
M11. I WISH
-encore-
M12. MY FAITH
M13. THE PROMISED FLAG
-encore2-
M14. RISE UP(THE LEGENDARY PANTHEON)
-encore3-
M15. DESTINY
 
◆GALNERYUS Official Website
http://www.galneryusyumacher.com/
 
◆GALNERYUS Label Website
http://www.vap.co.jp/galneryus/
◆Works
   

GALNERYUS “THE VOYAGE TO THE BOUNDLESS UNIVERSE” TOUR ENCORE
03 Feb 2015(Tue)OSAKA ROCKTOWN