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New Action!×AFRICAEMO presents New Year's Touch

TEXT:児玉圭一 PHOTO:ヨコマキミヨ

土曜日の夜に、世の中では一体いくつのロックイベントが行われているのだろう。見当もつかないが、その中で今回BEEASTでは、洋/邦はもとより、ジャンル、スタイルを超越し誰もが純粋に音楽を、そしてその空間を楽しめるイベントとして、通算30回の開催を重ねる「New Action!」に注目!その中でも新年最初の大きなイベント「New Year’s Touch」の模様をレポートする。まずは、「New Action!」の概要から紹介したい。
 

New Action!
毎月最終月曜日に開催している、DJ・星原喜一郎主宰のNew Action!
「ブルーマンデーをハッピーマンデーに!」をコンセプトに、
新宿に新たなミュージックシーンを展開。動員は毎回100人を越え、
月曜日とは思えないほどの盛り上がりをみせている。
 
これから花を咲かすであろう若手・インディーを中心に、
様々なジャンルのアーティストが鳴らす新鮮な音楽を、
DJパーティーを通して、ライブキッズからパーティーフリークまで
幅広い層のオーディエンスへ向けて発信中。
 
DJ×LIVE×VJ×FOODで創り上げる
パーティー空間の楽しみ方はあなた次第。
Kill your boredom, Will be Happy!!!
(公式HPより引用)

 
イベントを主宰する星原喜一郎は25歳。2006年春、19歳にしてDJデビューし、自身初の主宰パーティーを立ち上げる。2008年にはWeezerの来日公演オフィシャルパーティーにゲストDJで出演。さらに同年末には、「COUNTDOWN JAPAN 08/09 WEST」にレジデントDJとして全日出演を果たした、気鋭のDJだ。プロフィールによると「洋/邦・メジャー/インディー問わず、ロックを軸としたジャンルレスな選曲と躍動感ある洗練されたMIXで、フロアを独自のグルーヴで包み込む」という紹介があり、期待に胸が高鳴る。

今回の「NEW YEAR’S TOUCH」は星原喜一郎と親交の深いロックバンドAFRICAEMOとの共同開催で、10組を超えるミュージシャンやセレクターが集結!まだ日の明るい午後2時の開演を前に、会場となる渋谷WOMBには多くの若い人たちが集まり、期待に満ちた表情を浮かべている。
 

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午後2時半、ライヴのオープニングを飾るのは、つくば発のニューウェイヴ・ポップバンドDENSHI JISION!メンバーはNOELYODHIDA(Vocal&Guitar)、GAPPY(Synthesizer)、BOMBER MAN(Bass)、SA☆YA(VJ)、マジメくん(Synthesizer)、Geng Chang(Drum)の6名。普段は筑波大学院生ということだからか、白衣姿でステージに登場!そんな研究者の卵たちにより奏でられたのは、佐野元春の「YOUNG BLOODS」のフレッシュなカバーを含む、80年代のテクノ・ポップサウンド。経由のクールなシンセとメロディアスなボーカルが、幻惑的な雰囲気を作り出している。
 

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DENSHI JISION 公式サイト
http://denshi-jision.info/

 

続いて2番目に登場したバンドはパスピエ!メンバーは大胡田なつき(Vocal)、成田ハネダ(Keyboard)、三澤勝洸(Guitar)、露崎義邦(Bass)、やおたくや(Drums)の5名。彼らのサウンドを一言で形容なら「ドビュッシー・ミーツ・ニューウェーブ」といったところか。バンド名(=ドビュッシーの楽曲タイトルが由来)にも象徴される、特異な詩の世界を紡ぐロリータチックなヴォーカルと、カラフルなバンドサウンド、柔らかく揺れるクラシカルなキーボードの音色が魅力!ロックとクラシックが絶妙に混ざり合い、心地良い陶酔感で会場が満たされていく。
 

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パスピエ 公式サイト
http://passepied.jp/

 

3番目の登場は、兵庫・西宮市出身の5人組バンドキュウソネコカミ!メンバーはヤマサキセイヤ(Vocal&Guitar)、オカザワカズマ(Guitar)、たくろー(Bass)、ヨコタシンノスケ(Keyboard)、ソゴウタイスケ(Drums)。彼らがオーディエンスに叩きつけるのは、自己嫌悪やプライドにやり場のない怒りが奇妙に入り混じった、電撃的なエモ・ブルースだ。バンドの武器であるオリエンタルな旋律が印象的なギターとキーボード、変幻自在なヘヴィなビートを繰り出すリズム隊、そしてオカザワカズマの強烈なパーソナリティとパフォーマンスは観客から熱狂を呼び起こし、白熱の閃光を放散する!
 

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キュウソネコカミ 公式サイト
http://02.mbsp.jp/kyuuso/

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バンドの演奏の合間には、気鋭のセレクターによるエレクトロニックミュージックタイム!八木橋一寛あばっとと立て続けに秀逸な選曲。藤田琢己はファンキーなスピン、そしてYO! HEY!!遠藤孝行の選りすぐりのセレクションに、観客も思い思いに踊る!VIPラウンジでも、渋谷リュウ金田康平THEラブ人間)、ENO↑Mcleanらによる熱いセレクションが展開された。
 

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4番目の登場はジャンルレスなブレイクビーツ・クリエイター集団MU-STAR GROUP!メンバーはダイスケ(Track maker)、タカ(Track maker)、福井啓介(Drums)、上山悠二(VJ)の4名。ヒップホップ、テクノ、ロック、ジャズ、ファンクの要素を含む、ハイブリッドなトラックとドラムに、スクリーンに映えるサイケデリックなヴィジュアルアートも相まって、心が高揚する!
 
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MU-STAR GROUP 公式サイト
http://www.mu-stars.com/

 

5組目の登場は、イギリス・シェフィールド出身、轟音ポストロックを奏でるPolinski65DAYSOFSTATICのギタリスト兼サウンドメイカーを務めるPaul Wolinskiのソロプロジェクトだ。白いTシャツにジーンズというラフなスタイルでラップトップとシンセに屈みこんだPolinskiは、うねるような旋律をスタート。四つ打ちキックに華麗なピアノサウンド、昇降を繰り返すシンセのフレーズ…彼の出身地であるシェフィールドのブレイクビーツの先達にはLeftfieldがいるが、そうした音楽や、デトロイト・テクノの偉人であるDerick Mayを想起させるようなサウンドだ。未知の感覚を呼び起こす、壮麗でスペーシーなサウンドの波、間断なく展開するめくるめくビートの奔流…。オーディエンスも、恍惚とした表情を浮かべている。
 

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Polinski 公式サイト
http://polinski.tumblr.com/
Polinski “LABYRINTHS” release tour 特設サイト
http://zankyorecord.tumblr.com/polinski

 

The Temptationsの「マイ・ガール」に乗って登場したのは、4人組のギターレス・バンドSEBASTIAN X!メンバーは永原真夏(Vocal)、沖山良太(Drums)、飯田裕(Bass) 、工藤歩里(Keyboard)。永原真夏はステージ上を跳ね回りながら、オペラ調に歌い上げるエキセントリックでキュートなヴォーカルを披露。水晶のように美しく輝きながら転がるクラシックピアノや、ドラマチックな曲展開も、聴いているうちに深い森の中に迷い込んでしまうような、不思議な感覚に満ちている。
 

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SEBASTIAN X 公式サイト
http://sebastianx.info/

 

続いて、ターンテーブル・ブースから陽気な声を放つのは、音楽ユニットPANORAMA FAMILYゴメス。フレンドリーなMCを挟みつつ新旧取り混ぜたパワフルなヒップホップ、ソウルをセレクト優しく語りかけるようなライムに、幸福感が漂うオーディエンス。その場にいる人たちを気持ちよくダンスに誘うような、ヒップホップ・ライブのスタンダードだ。
 

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PANORAMA FAMILY 公式サイト
http://panorama-family.info/

 

トリを飾るのは、今宵のイベントを共催するAFRICAEMO!メンバーはジョージ(Vocal)、今中哲郎(Guitar)、阿部雄起(Synthesizer&Guitar)にサポートに瀧田直人(Bass)、a.t.p(Drums)を加えた5人編成。2007年の結成以来、エモ、ハードコア、インディダンス、エレクトロ、ポストロック、ヒップホップに影響を受けつつも、ジャンルにとらわれない強烈で個性的なバンドサウンドで浮上してきたAFRICAEMO。彼らの登場を待望していた観客は、ひときわ高い歓声を上げてバンドを迎える!身体の内から燃えあがるようなジョージのシャウトからライブはスタート。ハードなギターに呼応して早くも向上していくバンドのダイナミクス…全ての音楽を呑み込むアフリカの広大さを想起させるサウンドを体いっぱいに受け止め、バンドと共振して拳を振り上げて叫ぶオーディエンス…脱ぎ捨てたシャツを振り回しながら、渾身のシャウトを聴かせるジョージ…場内はヒートアップ寸前!祝祭的なAFRICAEMOのライブは、2度のアンコールをもって、圧倒的な盛り上がりの中、エンディングを迎えた。
 

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AFRICAEMO 公式サイト
http://africaemo.com/

 

オーガナイザー星原喜一郎を中心としたセレクターチームのプレイがライブの余韻を推し進め、満面の笑顔を浮かべたゲスト達がフロアーに集って身体を揺らし、音楽に耳を傾け、乾杯を繰り返す。そして午後9時、ニューイヤーズ・イベントは、星原喜一郎のゲストへの感謝の言葉をもって盛大に終了した。

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今回BEEASTでは、昨秋の「LABYRINTHS」リリースを記念し来日したPolinskiに注目!YMOを彷彿とさせるテクノサウンドも持ち味だが、今回の来日でどのようなことを感じたのか。イベント終了後の感想を聞いた。
 

Polinski コメント
Photoラッキーなことに、これまで65daysofstaticの一員として何回か来日しているけれども、Polinskiとしてソロで日本に来たのは初めてなので、すべてが新鮮だった。
日本のオーディエンスの反応は、本当に感動的だったね。またすぐに日本に戻れることを祈ってるよ!
 
 
 

 
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刺激的なサウンドで2012年に新風を巻き起こすであろう様々なバンド、くつろぎながらハマれるチューンを聴かせるセレクターたち…。こうしたイベントは、遠目で見たり聴いたりするだけではなく、自分自身が参加し、体感するのが一番だ。
「New Action!」は、今後もさらなる楽しいパーティーを企画してくれることだろう。新しい音楽に触れたい!という読者の皆さんも、スケジュールをチェックし、会場へ足を運んでみてはいかがか。
 

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 ◆New Action! 公式サイト
http://new-action.daa.jp/

◆星原喜一郎 Twitter
http://twitter.com/kiichiro_hoshi/

◆渋谷 WOMB
http://www.womb.co.jp/