特集

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TEXT:長澤智典

01MOMOのことを説明するうえで、PROFILEに記した文字が一番簡潔にMOMOのことを紹介していたので、あえて引用し、以下紹介させていただく。
 
「女優・シンガーソングライターなど幅広い活動を続ける佐々木心音が、以前より強く思い描いていたロックバンドをやりたいという気持ちからメンバーを集結、新たな活動の場としてMOMO を結成。MOMO のメンバーには、EXILE相川七瀬w-inds などのサポートで知られる高橋圭一を筆頭に、バンドの色・世界観を共有できるミュージシャンが結集。SHOKA OKUBO BLUES PROJECT のメンバーとしてフジロックにも出演したドラムの其原誠元ROLLY などのサポートをするキーボードの村原康介が続々と加入、最後に斉藤和義などに楽曲を提供、レキシなどのライブサポートも行う山口寛雄が加わり、2015年秋、MOMO始動」
 
先行で配信用3曲を聴かせていただいた。MOMOの中心を担う、心の奥底に渦巻いていた感情がマグマのように吹き上がる、痛い感情と情熱さを持った佐々木心音の歌が、心にグサグサッと突き刺さってきた。ヤバイ、こいつら……。そんなMOMOの魅力を、佐々木心音に伺った。

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MOMO
L to R/其原誠元(Drums)、村原康介(Keyboards)、佐々木心音(Vocals)、高橋圭一(Guitar)、山口寛雄(Bass)
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■佐々木心音 東京都出身
学生時代から舞台女優・シンガーソングライターとして活動。 初主演映画「フィギュアなあなた」で第56 回ブルーリボン賞、第23 回東京スポーツ映画大賞にて新人賞にノミネート。 2014 年、第87 回キネマ旬報ベストテンにて新人女優賞第5 位に入賞。 2015 年秋、ロックバンド「MOMO」結成。
■高橋圭一 東京都出身
80~90 年代にユニット「Groovy Boyfriends」でギタリストとして活動。 ユニット活動休止後は数々のアーティストのプロデュース、楽曲提供、アレンジを 手掛けている。 それと共に、相川七瀬、EXILE や清木場俊介、DEEP ( 旧COLOR)、w-inds などのレコーディングやツアーにギタリストとして参加している。
■山口寛雄 長崎県出身
2004 年「100s」( ひゃくしき) のメンバーとして活動開始。 Folder5 の「Magical Eyes」で作家デビュー。 以来、作曲を中心にEXILE、倖田來未、斉藤和義、渡辺美里、Kis-My-Ft2 など、数々のアーティストに楽曲を提供。 また現在、ベーシストとして柴咲コウ、コブクロ、大塚愛、レキシ、今井美樹などのライブに参加している。
■村原康介 鹿児島県出身
3 歳からViolin を始めクラシックの道を進む、高校時代にキーボードに転身し、地元鹿児島にて活動。2011 年、ROLLY の目に留まり、サポートKey として上京。 その後も、小川文明氏に師事し、つるの剛士、椎名慶治、XYZ Tour など様々なアーティストのレコーディング、ステージをサポートする。Organ や Synth もこよなく愛す、ロックキーボーディスト。
■其原誠元 韓国生まれ 東京出身 日本国籍
高校時代からアーティストサポート、レコーディングを行う。 昭和音大在学中にプログレバンド「DEADWING」として活動。 ブルースバンド「SHOKA OKUBO BLUES PROJECT」を結成し、吾妻光良、打田十紀夫、仲井戸”CHABO” 麗市、米米CLUB、フラッシュ金子等と共演。 同バンドで2014/15 年フジロックフェスティバルに出場。

 

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「人間、そんな綺麗な面だけじゃないよ」と、心の中にうずくまった感情を吐き出したくなったんです。

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—心音さんと言えば、 女優やグラビアタレントとして活動を行っている方。音楽面でも実母と一緒にCO906.(こころ)というポップスユニットで活動していますが、新たに結成したバンドMOMOは図太い音を突きつける、感情表現を優先したダウナーでハード&ブルーズなロックバンド。その姿勢を提示したことが嬉しい驚きでした。以前からバンド活動にも興味はあったんですか?

 
佐々木心音(以下心音):世の中の私への印象はグラビアモデルや役者としての顔、しかも”清楚だけど色気を持った姿”だと思います。それも私の中にある一面ですが、そこばかりを一生懸命に出していく中、次第に息が詰まってきたと言いますか、「人間、そんな綺麗な面だけじゃないよ」と、心の中にうずくまった感情を吐き出したくなったんです。
 

—綺麗な面だけじゃないよと。

 
佐々木心音(以下心音):むしろ、その二つを出すことで私自身の感情のバランスが取れてゆく。だからバンド活動は、私にとって必要なことだったんだと思います。
 

—片面だけを描き出していると何処か息苦しさを感じてしまう気持ち、わかる気がします。

 
心音:片方の私を見せるからこそ、もう片方の私も出していきたくなるのは当たり前のこと。しかも私の場合は両親がミュージシャンだったので、物心ついたときから、打ち上げの席の居酒屋で、おっさんおばさんらに囲まれながら焼きとりをむしゃむしゃ食べてたような環境(笑)。
 

—そうなんですね!

 
心音:はい。小さい頃から身近に音楽があるのは当たり前だったから、尚更ロックな環境へ身を浸せるのは居心地が良いんです。
 

—今も母親と一緒にCO906.として音楽活動を行っていますね。こちらでは、あえて普段のイメージに近いポップスなスタイルを選んだんですね。

 
心音:そう、私の中の「白」い面を描いた音楽性をCO906.には投影しています。だからこそ、もう片方にある「黒」い音楽性もやりたくなったんですよね。
 

—その感情は、何時頃生まれたのでしょうか?

 
心音:「ロックをやりたい」「バンド活動をしたい」という気持ちは高校生の頃からありました。
 

—高校生ですか。

 
心音:その頃も友達と一緒にバンド活動はやっていたんですけど、あくまでもお遊び感覚だったから、「何時か本気でバンド活動をしたい」と思いながらも、なかなかそのチャンスに恵まれることがなく。
 

—今回、そのチャンスが巡ってきたわけですね。

 
心音:具体的な話が生まれたのが、2015年の秋前頃。きっかけは、親子ユニットとして活動しているCO906.の5周年記念ライブを終えた日のこと。その日のライブを、今のMOMOのメンバーであるちゃん(高橋圭一)が観に来てて、打ち上げでいろんな音楽についての話をしていたんですね。その会話の中、私が「こういう音楽をやりたい想いがある」と熱く語りだしたら、ちゃんが「そんだけバンドをやりたい熱い想いや、やりたいことが明確に見えてるんなら一緒にやろうよ」と言ってくれました。それがMOMOの始まりでした。
 

—なるほど。

 
心音:そのときに語った想いは、私の中にズーッとあったこと。きっと、それを現実にするタイミングを私は待っていたんだと思います。それが、今だった……みたいな。
 

—そこからメンバーを集めたわけですね。

 
心音:ちゃんからの繋がりの人もいれば、私繋がりの人もいたり。みんなに共通しているのが、「面白いことや楽しいことなら一緒に盛り上がりたい」という熱い感情。私自身も、「これ!!」と思ったら猪突猛進しちゃう性格のように、私の想いに共感し、一緒に熱く突き進んでくれてる人たちと共鳴しあい、ここまで一気に突き進んできました。

 

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MOMOに描きたいのは、「泥だらけの素足のまま汚い恰好で街を歩いてる子なんだけど、それでも言いたいことがあるんだ」ということ。

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—心音さんは、今でも女優やタレントとしての活動を行っています。そこのバランスも大切なのでしょうか?

 
心音:大事です。私自身が舞台役者からスタートしたように、役者は長く続けていきたいこと。むしろ、人前に出ての表現活動をずっと続けていたいんです。そこも二つのバランスと言いますか、役者と音楽、その二面性をバランス良く取れてこそ自分でいられる。それも強く感じていることなんです。
 

—心音さんは、MOMOにどんな音楽性や表現したい想いを求めているのでしょうか?

 
心音:私、言葉で説明するのが本当に下手な人で、メンバーにもいっつも抽象的な説明しかしてないんですけど。MOMOに描きたいのは、「泥だらけの素足のまま汚い恰好で街を歩いてる子なんだけど、それでも言いたいことがあるんだ」ということ。
 

—自分の中に渦巻く痛い感情を、ぶつけていきたいってことですか?

 
心音:そうです。私と同じよう普段の生活の中、自分の言いたい本音を飲み込みながら、肩肘張って生きてる人たちって多いと思うんです。そういう人たちに、同じ境遇にいる私が「殻を破った想い」を吐き出すことで「屆かないかなぁ」と思ってて。
 

—MOMOは3曲の配信シングルを発売中ですが、その中の1曲『あたし、あたし,あたし。』を聞いたとき、その痛すぎるくらい生々しい本音の想いにグサッと心突き刺された衝撃を覚えましたからね。

 
心音:『あたし、あたし,あたし。』は、私自身が本当に心腐ってたときに書いた歌なんで(笑)。
 
 

—心音さん自身、心に渦巻いた感情を吐き出さないと自分自身が壊れそう、という人?

 
心音:そうですね。でも、どっちかと言うと「壊れる前に、みずから壊してやれ」な感じだと思います。実際MOMOに投影しているのは奇麗事なんか一つもない、「崩れてる私の本心」ばかりですからね。
 

—心音さん自身の心も、だいぶ歪な感じだ。

 
心音:そうですね。自分の中には、つねに天使と悪魔の感情を持つ二人の自分がいる。MOMOは、完全に悪魔となった自分の姿を投影した存在。ただし悪魔と言っても、けっして悪巧みをする悪魔ではなく、悪魔に成りきれない純粋な悪魔なんです。
 

—純粋過ぎるがあまりに、闇へ落ちてしまったような?

 
心音:うーん、そういう感じなのかなぁ?とにかく、触れた人の感情をグサグサッと刺すくらいの気持ちで活動しています!

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つねに裸足でボロボロの服を着てるんですけど。その懸命に生きる姿が、みんなの生きる支えになっていれば……。

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—ここからは、配信シングル3曲の紹介もお願いします。まずは、高橋圭一作曲による激しいブルーズなロックンロールナンバー「Shake Shake Off」の魅力から探りましょうか。

 
心音:先にお話しておきますと、今回配信リリースした3曲とも……MOMOの楽曲の歌詞は、全部私が書いています。
 

—作詞もされるのですね。

 
心音:はい。「Shake Shake Off」は、ちゃんが得意とするブルーズでハードなロックンロールスタイルを持った攻めナンバー。人って、いろんな感情を服を着るように身にまといすぎて訳わかんなってしまうときってあるじゃないですか。そういう感情は、全部この曲に乗せて脱ぎ捨てればいいのにっていう。「私も、この曲に乗せて心を裸にするからさ、みんなも全部脱いで裸の感情になっちゃえよ!!」という歌。
 

—服は容易に脱げても、心を裸にするってなかなか難しくないですか?

 
心音:難しいのは、わたしもわかります。私自身も、そういう葛藤を覚えることは実際にあること。だからこそ、この「Shake Shake Off」に乗せて、そういう感情を思いきり脱ぎ捨てられたらいいなと思っています。
 

—「電信柱」というタイトルが、すごいですね。

 
心音:「電信柱」の元となる楽曲の断片は、私が5年前から作っていたもの。最初はCO906.で表現しようと思ったんですが、あまりにも暗さを持っていたように、これはCO906.で形にする歌じゃないことからずっとストックしてあったんですけど。これならMOMOに似合いそうと思い、「こういう楽曲の断片があるんだけど、みんなで曲にしない?」と提案し、バンド全員で作曲しながら作りあげた楽曲になりました。
 

—ダウナーな曲調だからこそ、心音さんの歌声が、より強い抑揚を持った感情的な表情として胸に刺さってきました。

 
心音:ちょっと寂しい感じの歌ですけどね。この曲の最後に電信柱の電球が切れちゃうイメージを出したくて、ギターの音でそれを表現しています。そこもぜひ聞いてください。
 

—そしてもう1曲が、感情曝け出しまくった「あたし、あたし,あたし。」ですね。

 
心音:MOMOが動き出すほんのちょっと前の、私自身が本当に心腐っていた頃に自分で作った曲。本気で心が腐っていたからこそ、そこを抜け出そうと「もう腐るのはやめよう」と思って生まれた歌。前向きな葛藤……と言えば聞こえは良いかも知れないけど、誰もが心腐ってる時期ってあると思うんです。私の場合は、こんな風に腐ってたという感じです。タイトルや歌詞も、あえて“私”ではなく“あたし”にしたのも、その腐った感覚にぴったりだと思ったからでした。
 

—今回、3曲シングル配信しましたが。まずは、この3曲を届けたかった気持ちが強かったからなのでしょうか?

 
心音:どの楽曲にも根底には繋がる芯となる色を持ちながら、でも1曲ずつ持っている世界観が異なっている。だからこそ、そこを提示したかったのはありました。
 

—その「芯となる色」とは

 
心音:「ピュアだからこそ薄汚れてしまった。でも、汚れててもいいじゃん」みたいな(笑)。

MOMOリリース情報
2015.12/16(水)配信限定シングルを3タイトル同時リリース!

「Shake Shake Off」作詞 佐々木心音 作曲 高橋圭一 ZiRadji Records 200円(ハイレゾ 400円)
「電信柱」作詞 佐々木心音 作曲 MOMO ZiRadji Records 200円(ハイレゾ 400円)
「あたし、あたし、あたし。」作詞 佐々木心音 作曲 佐々木心音 ZiRadji Records 200円(ハイレゾ 400円)

 
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先日結成を発表したばかりの佐々木心音高橋圭一山口寛雄村原康介其原誠元からなるロックバンド「MOMO」が、12/16(水)に配信限定シングルを3タイトル同時にiTunes他にてリリース!

作詞は全て佐々木心音が手がけ、作曲は佐々木心音高橋圭一、メンバー全員が手がけるという「MOMO」というバンドを知るためのエッセンスがギュッと凝縮された3作品。

感情を吐き出していいじゃんという力強いメッセージをストレートなロックサウンドで鳴らす『Shake Shake Off』、バンドで初めて作った曲という、壮大なバラードの『電信柱』、もがきながらも前へ進もうとする”あたし”を胸を締め付けるメロディーで奏でる『あたし、あたし、あたし。』と、3種3様でありながらも、MOMOの描き出す世界で繋がっている3曲に仕上がっている。

この3タイトルは、ハイレゾでの配信も決定!ハイレゾは発売日以降順次販売予定となっている。オフィシャルサイトでは、3タイトルをダイジェストで聴ける動画を公開中!

 

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最初、バンド名を桃太郎にしようと思ったくらいです(笑)。

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—ところで、なぜMOMOというバンド名なんですか?

 
心音:理由は幾つかあって。ミヒャエル・エンデの「モモ」という児童文学作品があるんですけど。
 

—児童文学ですね。

 
心音:その主人公のモモは、浮浪者の女の子。つねに裸足でボロボロの服を着ているんですけど。その懸命に生きる姿が、みんなの生きる支えになっていれば、彼女の生きざまが、みんなに夢や元気も与えている。そんなモモの姿が、私が表現したい音楽性とピッタリ重なった。だから3枚の配信シングルのジャケットやMOMOのロゴマークにも裸足を用いているんです。
 

—他には?

 
心音:例えば、このメンバーがみんな桃太郎の世界観にハマるメンバーたちだったことから。最初、バンド名を桃太郎にしようと思ったくらいです(笑)。
 

—そんなに桃太郎のキャラクターたちにそっくり?

 
心音:実際深く接していけば、その理由もわかると思います。簡潔に説明するなら、私は桃太郎なんですけど(笑)。
 

—当然ですね!

 
心音:綺麗で派手な感じながら切れ鋭いギターの高橋圭一がキジ。ベースの山口寛雄は、まさに犬というキャラクターがピッタリの人。キーボードの村原康介も、猿という言葉がはまる人。ドラムの其原誠元は、もともと鬼だったけど、その角が取れて毒っぽさがまったく無くなった元鬼な人。彼は、ピュア過ぎるくらいピュアですからね。
 

—そういうキャラクター分けが成されているんですね。

 
心音:さらに加えるなら、「桃太郎って実は女性だった」説や「桃太郎一家こそ悪だった」説なといろいろあるじゃないですか。そういうどす黒い諸説持った話にも惹かれれば、誰しもが毒を心に盛って(持って)いるように、その毒をMOMOの音楽で発散出来ればなという理由もあります。
 

—2015年1月8日(金)には、原宿アストロホールを舞台に、ファーストライブが行われます。この日が正真正銘、初の……。

 
心音:MOMOとしてのライブになります。それぞれキャリアも豊富な方たちなので安心感はありますけど、ライブってやってみないことにはどういう反応が生まれるのかわからないように、自分たち自身が当日を楽しみにしています。
 

—リハーサル真っ最中でしょうか?

 
心音:そうです。今はライブに向けたリハーサルも重ねてるんですけど、スタジオで音を合わせてるだけで気持ちが高まりすぎてヤバいんです。
 

—どんな風に?

 
心音:メンバーもみんな、リハーサルの時点で熱い感情をぶつけながら演奏しています。当日はどんだけ暴走しちゃうのか?!もしかしたら、メンバーが毒を吐きまくりの演奏をするかも知れないし、私自身の感情が壊れてしまうかも知れない。メンバーみんな感情暴走型なんで、どんな熱狂を生み出すのか、ぜひ体感して欲しいですね。
 

—もちろん心音さん自身、ステージ上では裸足で歌うわけですよね。

 
心音:もろちんです。その日をライブを通しても、たくさん足跡を残していきたいし、来てくれた人たちの心へも裸足で突っ込んでいくつもりです。要望があれば、蹴りの一発や二発も……は、わかんないですけど(笑)。
 

—では最後に、読者への一言をお願いします!

 
心音:今後のMOMOに関しても、メンバーみんな忙しい人たちとはいえ、コンスタントにライブ活動や制作を行う気持ちでいるので、その先の展開も楽しみにしていてください。まずは、2015年1月8日のファーストライブでどれだけ暴走した感情を吐き出していけるか。私たちも吐き出すので、みなさんも感情を吐き出し、ぶつかりあいましょう!!

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◆Live Information「MOMO ファースト・ライブ」
2016年01月08日(金)原宿アストロホール
OPEN 18:30 / START 19:00
前売 3,500円 / 当日 4,000円(ドリンク別)
(問)ネクストロード 03-5114-7444(平日14:00~18:00)