親子で読めるロックマガジン、BEEASTではこれまで、JYOJI-ROCK U-22 GRAND PRIXやYHMF、SCANDALコピーバンド&ボーカリストコンテスト、首都圏の高校軽音県大会など様々なバンドコンテストを取り上げてきたが、その中でも全国随一のコンテストを今回はピックアップしたい。
23歳以下のアマチュアアーティストを対象とした、ヤマハグループ主催による日本最大規模の音楽コンテスト、「Music Revolution」。第7回目の開催となる今年・2013年は、東日本、西日本、九州の全国3部門に分かれており、各地で予選大会、セミファイナルを経て3部門のエリアファイナルが開催。10月14日に九州ファイナルが福岡DRUM LOGOSにて、10月19日に東日本ファイナルが渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて、10月26日に西日本ファイナルが大阪BIGCATにて、それぞれ開催。各エリアファイナルでのパフォーマンスなどをもとに、ファイナリスト14組が選出され、来年・2014年1月12日に渋谷AXにてJAPAN FINALが開催される。
今回、本誌・BEEASTでは10月19日に開催された東日本ファイナルの模様をレポートする。今年の東日本ファイナルは北海道・関東甲信越・東北・静岡地区で2,222組もの応募があり、そこから各地の大会を勝ち抜いた代表78組が9月に開催した仙台セミファイナル、東京セミファイナル、札幌セミファイナルを経てさらに18組に絞られ、今回渋谷duo MUSIC EXCHANGEのステージに出場した。
また今大会には、昨年の「The 6th Music Revolution」JAPAN FINALにて優秀賞を受賞し、今年メジャーデビューを果たした5人組ガールズバンド・たんこぶちんがゲスト出演。明日のメジャーデビューを夢見るファイナリストと大勢の観客を前に、熱いステージを展開した。
土曜の夕方に、渋谷で開催するということもあって、開場前から多くの観客が入口に行列を作る。そのほとんどは出演者と同世代の10代、20代の男女だ。晴れ舞台を観に来た保護者、顧問の先生らしき大人の姿も見られ、この大会が若きミュージシャンにとって非常に重要な位置づけであることが伺える。そして午後5時、いよいよ18組のバトルがスタート!各出演者が演奏できるのは1曲のみ。真剣勝負が次々と展開される。
トップバッターは札幌の女子高生バンド、Ru:kiss!演奏曲は「シンデレラ・コンプレックス」。本誌連載「ロック1年生」にも登場した4人、トップバッターながらパワフルなロックナンバーを披露。
続いて登場したのは千葉の男女高校生バンド、赤色のグリッター!演奏曲は「願い事」。センチメンタルな音と圧倒的な声量のボーカルで、一瞬にして会場の空気を支配する。
3組目は札幌から来た19歳シンガーソングライター、岸本彩夏!演奏曲は「Shooting star」。ハンドマイクを手に、情感たっぷりにポップなバラードナンバーを歌い上げる。
4組目は沖縄出身、男女3ピースのロコビッチ!演奏曲は「トライアングル」。力強いベースとドラムの重低音に、女性ボーカルのパワフルなボーカルがぴったりハマる。
5組目は東京の女性シンガーソングライター、シャケ!演奏曲は「キャンプファイヤー」。しっとりとアコギを弾きながら、温かい歌声で会場を優しく包み込む。
続く6組目は札幌の男性シンガーソングライター、加賀谷幸杜!演奏曲はマリオネーション」。アップテンポなオケに合わせてキーボードを奏で、爽快なボーカルを披露。
7組目は18歳の女性2人ユニット、彷徨う!演奏曲は「彷徨う」。アコギ2本と歌で、1番と2番で交互にメインボーカルをとる。ムードたっぷり、アダルトな音と歌声を届ける。
8組目はボーカル&アコギの小宮章太郎率いるアコースティック小宮バンド!演奏曲は「未来」。鍵盤ハーモニカにベース、パーカッションと女性コーラス2名というユニークな編成でスローナンバーを演奏。
9組目は東京の女性シンガーソングライター、satoshi!演奏曲は「ブラックアウト」。オケをバックにアコースティックギターを奏でながら、のびやかなボーカルを披露。
10組目は神奈川の男性5人組バンド、Vegas!演奏曲は「Birth」。ツインギターの太いサウンドとともに、縦ノリのロックナンバーで会場を沸かす。
11組目は千葉の女子高生バンド、木更津メーメーズ!演奏曲は「明日休みなきがする」。個性的な楽曲とアクティブなパフォーマンス、それでいてサウンドは本格的!
12組目は福島の女性シンガーソングライター、Aya!演奏曲は「Can’t get it enough」。マイク1本、渾身のバラードナンバーをしっとりと歌い上げる。
13組目は東京の平均年齢15歳の男女5人組バンド、ポコ!演奏曲は「約束」。丁寧に、聴かせるバラードを演奏。温かい拍手を集める。
14組目は札幌の男性4人組バンド、パレードパレード!演奏曲は「Say yes my darling」。キーボードボーカルが爽やかで、どこか懐かしさもあるポップな空間を作る。
15組目は東京の女性シンガーソングライター、井上水晶!演奏曲は「恋の終わり」。鍵盤を弾きながら、その名の通り透明感あふれる楽曲を披露。
16組目はYHMF2013覇者でもある高校生バンド、the Village Papas!演奏曲は「蝶」。高まる期待値をさらに上回る圧巻のパフォーマンス。
17組目は札幌の女性シンガーソングライター、爽(さわ)。演奏曲は「現代の問題」。ピアノに合わせて綺麗な裏声も披露し、透明感あふれる曲で魅了する。
ラスト、18組目は千葉の男性4人組バンド、THE NUGGETS!演奏曲は「ここまで」。トリにふさわしい熱血ロックンロールナンバーで客席を沸き立たせる。
審査の間にゲストミュージシャンとして登場するのは、佐賀・唐津出身の5人組バンド、たんこぶちん!昨年のThe 6th Music Revolutionに九州エリアからエントリーしJAPAN FINALに勝ち進み、見事優秀賞を受賞。今年7月にヤマハミュージックコミュニケーションからメジャーデビューを果たした、今なお現役女子高生のフレッシュなバンドだ。10月16日にリリースした2ndシングル「シアワセタランチュラ」を引っ提げ、堂々の凱旋ライブを披露した。
ゴリゴリのロックナンバーをSEに登場した5人。そのキュートなルックスと、「みなさんこんにちは!たんこぶちんです!」…MADOKA(Vocal & Guitar)のかわいらしい挨拶とは裏腹に、出だしから太いサウンドで魅せる。1曲目はアダルトなロックナンバー、「コイゴコロ」。NODOKA(Bass)とHONOKA(Drums)がしっかりと土台を作り、間奏ではYURI(Guitar)のギターソロが泣き、MADOKAの大人びたボーカルに、CHIHARU(Keyboard)も綺麗なピアノを絡ませる。
年齢を感じさせない本格的なロックサウンドももちろんだが、たんこぶちんの魅力はライブパフォーマンスの一体感。間奏で5人が音に合わせて息ぴったり体を揺らすと、オーディエンスもつられて自然と体が揺れる。この、ハンモックのような動きの「優しさ」と、音の「強さ」の両軸があるからこそ、一見普通の女子高生であるたんこぶちんが、大きなステージに負けることなく、スケール感の大きいロックバンド然として見えるのだ。
MCで、「Music Revolutionは私たちが小学校6年生の時から出場していて、JAPAN FINALに出場するのがずっと目標でした」とMADOKAは語る。初めてエントリーした時から6年という長い時を経て、昨年念願のJAPAN FINAL進出を果たし、さらには優秀賞獲得という快挙を達成した。時に、壁にぶつかったり悔し涙を流したこともあるだろう。小学6年から戦い続けた彼女たちには、単純に楽器経験年数ということだけにとどまらない、ハートの強さもあるのだ。
「この時間は審査でドキドキだと思いますけど、私たちの演奏でお楽しみください」と、ミューレボの先輩として出場者への配慮も見せつつ、続いて2曲目に披露したは、今年7月にリリースしたメジャーデビューシングル「ドレミFUN LIFE」。タイトルの通り音階を上がっていくワクワクなイントロから始まり、5人個々の楽器の見せ場もある楽しい曲。歌詞は全体的に遊びもありつつ「あこがれだけだったこの夢が 手を伸ばしたらつかめそうだ」と、夢の舞台に進んでいく若きバンドマンのエールとなるような、希望にあふれた曲になっている。
続く3曲目はCHIHARUのキーボードの音飾が随所にちりばめられ、大人っぽさを際立たせる「TABOO」。サビのコーラスも綺麗に決まる。さらに、MCを挟んで最後の4曲目は10月にリリースしたばかりの2ndシングル「シアワセタランチュラ」!MADOKAののびやかなボーカルが心地良く、5人の楽しさがギュッと詰まった曲。朝の通学時に耳に入れながら登校したらとても気分が高まって一日楽しく過ごせそう、そんな曲だ。高校の軽音部でコピーするバンドが続出しそうな楽しい曲で終幕。最後はこの日一番の大きな拍手が起きた。
私たちはバンドを始めた年から毎年この大会に出させてもらって、今年1月にはJAPAN FINALに出させてもらって、自分たちの夢だった「オリジナル曲で全国大会に出る」という夢が叶いました。
この大会で私たちが学んだことは、最後まで夢をあきらめないことと、メンバーの大切さを忘れないということです。今回ここまで残ったバンドの方々にも、最後まで夢を諦めず、バンドのメンバーに「ありがとう」と感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張ってほしいと思います。
◆1stフルアルバム『TANCOBUCHIN』
2014年01月22日発売決定!
◆たんこぶちん 公式サイト
http://tancobuchin.jp/
さて待ちに待った審査結果の発表!観客の投票によって決定するオーディエンス賞と、審査員により決定する優秀賞、そしてグランプリがこの場で発表されるということで、出場者はもちろん、そのファンである観客もどきどきの瞬間だ。
オーディエンス賞を受賞したのは、the Village Papas!優秀賞を受賞したのは、シャケ、パレードパレード、THE NUGGETSの3組!そして、グランプリを獲得したのは18歳のシンガーソングライター・爽!
爽は北海道札幌市出身で、今も札幌在住で地元を中心にライブ活動を展開している。作詞・作曲が趣味という爽、持ち曲は50曲以上あるとのこと。ライブ後のMCとの掛け合いトークでは「作ろうと思うというより、自分で思っていることを日頃から歌にするのが自然と、楽しくて…」と語っていた。JAPAN FINALで再び綺麗な歌声が聴けることが、今から待ち遠しい。
グランプリの爽は自動的にJAPAN FINALへの出場が決定!さらに、後日西日本FINAL、九州FINALと合わせた各AREA FINALの出場者の中から、合計14組のJAPAN FINAL進出者が発表され、東日本FINALからは爽を含め8組のミュージシャンが選出された。14組中8組が東日本FINALからの選出ということは、いかにこの日のAREA FINALのレベルが高かったかということが伺える。もちろん、西日本FINAL、九州FINALからの選出者も粒ぞろいの顔ぶれだ。
そんな14組がしのぎを削り、文字通り「日本一」を決定するJAPAN FINALは来年1月12日(日)に東京・SHIBUYA-AXにて開催!それに先立ち、JAPAN FINALたファイナリスト14組はエントリー曲のレコーディングを実施し、「MySound」にて12月20日から無料配信する。JAPAN FINALも、観客の入場は無料。まずはMySoundでファイナリスト14組を予習しておこう。そして、気に入ったミュージシャンが見つかったら、Twitterをフォローしたりライブに足を運んでみてはいかがか。もちろん、1月12日は今からスケジュールを空けておこう!
爽
パレードパレード
シャケ
アコースティック小宮バンド
木更津メ―メ―ズ
ポコ
the Village Papas
THE NUGGETS
LindrRond
ミサト
音×AiR
一花
日高明穂
鶴田大地
※JAPAN FINAL出場が決定したファイナリスト達は、来年1月にむけて、エントリー曲のレコーディングを実施。レコーディング楽曲は「MySound」にて12月20日~1月8日まで無料配信(リスナー投票企画も同時開催)されるので、お楽しみに!(各バンドのプロフィールなどはThe 7th Music Revolution 公式サイトへ!
◆The 7th Music Revolution JAPAN FINAL
日時:2014年1月12日(日)
開場14:00/開演14:30
会場:【東京】SHIBUYA-AX
料金:無料(※要入場整理券、12月上旬より公式サイト上でWEBチケット公開)
ゲスト:たんこぶちん
◆The 7th Music Revolution 公式サイト
http://musicrevolution.jp/
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