本誌BEEASTではこれまでリスナーとしての音楽ファンはもちろんのこと、プレイヤー目線で楽しめる記事作り、有意義な情報提供にも努めてきた。その一例が、2年に1度開催される楽器フェアの特集や、中古楽器専門店のオーナーへのインタビューなどだ。その中で今回は、「エフェクター」に特化して今年初開催された、極めてユニークな催しを紹介したい。その名もズバリ、エフェクターの祭典「EffEXPO(エフェクスポ)」だ。
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これは機材系のフリーマガジンとして人気を誇る『ElectricGuitar』誌が主催し、専門学校ESPミュージカルアカデミーの協力のもと開催されたもので、エフェクターメーカー約60ブランドが一堂に会し、展示や試奏、さらにはセミナーやデモンストレーションなど盛りだくさん!さらには国内のロックシーンで活躍するギタリストも多数来場するとあって、開催当日の朝はあいにくの雨にも関わらず、開場前からマイギターを背負ったギターキッズ達が行列を作った。10代20代の男女が多く見られたが、30代から50代の音楽ファンの姿も見られ、中には親子連れでの参加、カップルでの参加も見られた。楽器ファンにはたまらない「EffEXPO」、その記念すべき第1回の内容をレポートしたい。
詳細は記事最後の読者プレゼントコーナーで!
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先日、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2012」において、スマートフォンを利用したゲームが業界の主流となりつつあるとの報道があったが、一見無関係なエフェクターの世界にもその波が押し寄せつつあるようだ。実際、音楽の世界でもデジタルレコーディングはもはや当たり前の話であるし、LINE6などのアンプシミュレーターやマルチエフェクター等、実際の機材をデジタル技術でシミュレートして音色を再現するものは既にミュージシャンの間では広く浸透しているのだが、今回のEffEXPOではスマートフォンを利用できるというさらに技術の進んだ次世代のエフェクターが展示されていたので、いくつかピックアップしてそれらを紹介していこう。
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■DIGITECH iSTOMP STOMPBOX
http://www.digitechjapan.jp/products/istomp/istomp.html
フットスイッチがあってノブを回せるようになっていてと、見た目は普通のエフェクトペダルと何ら変わりがないが、従来のものと全く異なるのは中身のエフェクトを自由に入れ替えられる事である。付属のDSCケーブルを使用して、Apple社のiOSデバイス(iPhone、iPod Touch、iPad)とiStompを接続し、Digitechから無料配布されているStomp Shopアプリから好みのエフェクトを選ぶだけ。音楽をダウンロードする感覚でエフェクトを入れ替えられ、転送時間も1分未満という手軽さだ。iStompには工場出荷時よりオーバードライブとデジタルディレイが付属しているが、エフェクトはStomp Shopアプリから自由に入れ替え可能で、さらにアプリにはディストーション、リバーブ、フェイザー、コーラス等の多数の個性的なエフェクトが登録されており、それらを数百円で購入することができる。ぜひエフェクターのラインナップに加えてみたい1台である。
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■IK Multimedia iRig STOMP
http://www.ikmultimedia.com/products/irigstomp/
こちらも一見すると普通のエフェクトペダルだが、iPhone/iPod Touch/iPadのギター、ベース用インターフェースとしておなじみの同社のiRigのストンプボックスバージョンだ。iRigと同様にエフェクトやアンプシミュレートも行えるソフトののAmplitubeのアプリ版を使ってエフェクトコントロールするのだが、iRig STOMPはそれを自分のベダルボードの中にストンプのひとつとして組み込む事ができ、フットスイッチで必要な時にON、バイパスができるのである。また、iOSデバイスをマイクスタンド等に固定しておけばライブの途中にでもパラメーターだけではなくエフェクトの変更も瞬時にできるという優れものである。電源もDC9V仕様なので、他のコンパクトエフェクターと同様に扱えるところもうれしい限りだ。
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■tc electronic TonePrint
http://www.tcgroup-japan.com/TCE/Guitar/TonePrint/
こちらもスマートフォンからのコントロールが可能だが、上記のふたつとは方法が異なる。Toneprintには、Corona(コーラス)、Flashback(ディレイ)、Shaker(ヴィブラート)、Vortex(フランジャー)、Hall Of Frame(リバーブ)、Rottweiler(メタルディストーション)※、Dark Matter(ディストーション)※、Mojo Mojo(オーバードライブ)※、そしてルーパー機能も搭載するステレオディレイFlasback X4のラインナップが存在する。(※はToneprint非対応)これらはそれぞれの機能を有するコンパクトエフェクターであるが、このシリーズの最大の特徴は各ツマミ類に割り当てられているパラメータをデフォルトの状態から再定義できる事である。具体的に言うと、ディレイタイムの調整幅を200ms~1,000msから100ms~1,5000msまでに拡張して表現の幅を広げたり、コーラスのデプスの可変幅を0~100から30~60に絞る事でより緻密な表現ができたりとパラメーターのデータを転送して同じエフェクターで再定義する事ができるのである。そして、そのパラメータのデータをスマートフォンのアプリを利用して転送する事ができるのだが(PCからUSBを経由してのデータ転送も可能)、なんとスマホをギターのピックアップにかざしてアプリを動かすとパラメータのデータが転送されてしまうのである。詳しくはデータ転送の様子が動画で紹介されているので確認してもらいたい。また、これらのエフェクターにはサイトにベース用のパラメータも用意されているようなので、ギター用だけではなくベース用としても活用してもらいたい。
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その他にも、今までとは違う新しい使い方を提案するアイテムが展示されていたのでご紹介しよう。
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■TC Helicon VoiceToneシリーズ VoiceLiveシリーズ
http://www.tcgroup-japan.com/TCH/products/index.html
これらのエフェクターはボーカル用のエフェクターである。こういうフロアタイプのエフェクターはギタリストの専売特許のイメージがあるが、実際ライブにおいて活用しているボーカリストも多い。EffEXPOにおいても他メーカーの商品ではあるが、快進のICHIGEKIのボーカルのコータも巧みにボーカルエフェクターを操りデモンストレーションライブを披露していた。ライブでのボーカルのエフェクトはPAにコントールしてもらうケースが多いが、このタイプの利点は自分のタイミングでエフェクトをコントロールできる点である。VoiceToneシリーズでは自分の欲しいエフェクト効果を選んでボーカルに加える事ができるし、VoiceLiveシリーズはマルチエフェクターなのでボーカル用にチューニングされた多彩なエフェクトをボーカルに加える事ができる。また、同社のmic control付きのマイクを使えば、フットスイッチだけでなくマイクの手元のスイッチでもエフェクトのON、OFFのコントロールが可能である。お求めやすい価格帯なので、一般のユーザーでもカラオケボックスに持ち込んでPurfumeのようなケロケロボイスを再現してみる、なんていう使い方もできるのがうれしい。
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■ZOOM MULTISTOMP MS-50G
http://www.zoom.co.jp/products/ms-50g/
1台のエフェクターで様々なエフェクトを搭載するストンプボックスは数多く存在するが、このエフェクターのスゴいところはコンパクトエフェクターサイズのこのエフェクター1台で6種類ものエフェクトを同時使用可能なところである。エフェクトの種類も55種類と歪み系からモジュレーション系まで数多く用意されており、エフェクトボードへのプラスワンの一台として最適なだけでなく、このエフェクター1台ですべてのエフェクトを完結させる事も不可能ではないのである。6種類のエフェクトは思い通りの順番に入れ替え可能だし、エフェクトの組み合わせと設定をパッチメモリとして最大50種類までメモリ可能なので、バッキング→ソロの切り替えや曲ごとのエフェクト設定もメモリ可能なのでライブにおいても十分に威力を発揮するだろう。また、分かりやすいアイコン表示でツマミを回して直感的に操作が可能なので、思い通りの音作りができるのである。USB端子付きで将来のファームウェアのアップデートにも対応しているので、プログラムの向上やエフェクトの追加等まだまだ可能性の広がる1台である。
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ヴィンテージな機器には独特な味わいというものが存在しそれがインスピレーションの源となることもあるが、最新の機器にも今までにはない機能や操作性から新しいスタイルを創造できる可能性を秘めている。機会があれば今回紹介したような次世代の技術を使ったものも積極的に活用してみる事をお勧めしたい。
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続いては、Exhibitionの行われた本館の隣、12号館の各コーナーを紹介しよう。まずは、地下ホールにて開催されたセミナーだ。こちらはタイトルを見ても「エレキギターのメンテナンス講座」「エフェクターを知り尽くせ『歪みについて考える』」「シールド・ケーブルについて考える」など実用的なものばかり。専門学校の教員やメーカーの担当者が生レクチャーするという機会は貴重だ。その中で、本誌BEEASTも「ももてつNMカフェ」を出張編として開催。その模様は近日連載記事にてレポートするので、そちらをお待ちいただきたい。
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そして、12号館では物販コーナーも充実。エフェクターに関する書籍やロックTシャツの販売のほか、シールドによる音の違いを体感できるブース、さらには楽器ローンについて相談できる銀行のブースなど多岐に渡った。その中に本誌BEEASTもブースを出展。
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そして今回のEffEXPOのもう一つの目玉と言えるのが、著名ギタリストによるデモンストレーションだ。普段、ミュージシャンの生演奏を見る機会と言えばライブが主だが、ライブは一つのステージ、作品であり、その中で機材をどう使っているか、どう音を出しているか、といったことが語られることはまずないだろう。いわば、舞台裏を出演者自ら紹介するというこの企画は大変斬新であり、憧れのギタリストから直に学べる機会でもある。会場には溢れんばかりの観客が集まり、その行列が終始途絶えることはなかった。
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昼前から、Shun(クリムゾンテクノロジー)、阿部学(ライン 6 ジャパン)、Itsuka/宍倉聖悟(神田商会)、菅原潤子(アイ・エム・アイ)、masasucks/奥村大(イーエクス・プロ)、大村孝佳(イー・エス・ピー)、Syu(ニュマークジャパンコーポレーション)、石原”SHARA”愼一郎(ズーム)といった顔ぶれが出演。特に後半の出演者たちは国内のロックシーンの第一線で活躍するスーパースターとあって、入場整理が行われるほどの盛況となった。
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ギタリストが登場しては、続々と演奏。エフェクターメーカーの担当者とともに音の構造を解説したり、一人舞台で弾いては解説したりと、ギタリストによりそのプレゼン方法は様々。また、足元を映すカメラがギタリストの真横に置かれ、客席横のモニターに映し出されているのも、EffEXPOならではの試みだ。大村孝佳は「このままオレ、喋り続けていいのかな」と、普段のLIV MOONやC4のステージとは勝手が異なるためか、緊張した面持ち。しかし、いざ演奏を始めると平素のクールな演奏に、客席からもライブ同様の歓声が飛び交い、熱気を帯びたステージングを展開した。また、石原”SHARA”愼一郎はズームの担当者や会場のPAスタッフと入念に打ち合わせをし、試奏と言えども微塵も妥協せずいい音を出そうとする様子が印象的であった。客入れ前の貴重な舞台裏を撮らせていただいたので、以下写真でお伝えする。
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そしてデモンストレーションのトリを飾ったのは、快進のICHIGEKI(ローランド) !それまでに出演したギタリストとは異なり、メンバー4人によるライブを披露。ただし、ドラムも含めてローランドのV-Drum、V-GUITAR、ベースシンセという電子楽器を全て使用し、生楽器やアンプを使わずにどこまでライブを再現出来るか、というテーマでのライブとなった。曲の合間にはコータ(Vocal)による機材の紹介もあり、ボーカルの声を変形できるボーカルエフェクターも披露。集まったファンも珍しそうに眺め、説明に聞き入っていた。とは言え、ステージや使用機材が異なれど、その迫力と楽曲の魅力はいつも通り…いやそれ以上?「的なbaby」「SHURABA音頭」「音座芸夢」など7曲を熱く披露し、観客も激しく頭を振って応戦した。
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主催した『ElectricGuitar』の三谷佳之編集長は、第1回目EffEXPOの手ごたえについて「自分のギターを背負って来場する方がこれほど多いとは思わなかった」と成果を振り返りつつ、「反省点も多々あるのでそれを踏まえて次につなげたい」と謙虚に話していた。
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冒頭、「カップルでの参加も見られた」と書いたが、彼氏が自分のギターを取り出し試奏する様を彼女が笑顔で誇らしげに眺めている様が印象的であった。機材へのこだわりは楽器をやらない人にはともするとディープな世界に映るかもしれないが、実際に音を出して楽しめることで、楽器を弾かない彼女もギターに関心を持つようになったのではないか。とすれば、楽器をやる人にもやらない人にも楽しいこのEffEXPOは大成功だと言えよう。次回の開催も待ち遠しい。
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◆EffEXPO公式サイト
http://www.effexpo.com/
◆DiGiRECO/ElectricGuitar公式サイト
http://www.musicnetwork.co.jp/work/digireco-electricguitar/
※10月13日から配布のDiGiRECO/ElectricGuitarにて、今回のEffEXPOがレポートされています!!
◆専門学校ESPミュージカルアカデミー
http://www.esp.ac.jp/
当日に来場者に配られたEffEXPO特製ショルダーバッグを5名様にプレゼント!
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