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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:矢沢隆則、三橋コータ
元祖ガールズバンド・SHOW-YAがプロデュースし、世代やジャンルを超えて幅広い女性ミュージシャンが一堂に会する「NAONのYAON」。2013年から2015年まで3年連続で毎年4月29日(祝)に開催されていたが、今年はSHOW-YAの30周年を記念して、年2回の開催!節目の通算10回目「NAONのYAON 2015~SUMMER~」が8月23日(日)に日比谷野外大音楽堂にて開催された。
【00】オープニングアクト
午後2時にゲートが開かれる。続々とガールズロックファンが詰め掛け、まだ物販やトイレにも長蛇の列ができている中、オープニングアクト4組の演奏が始まる。登場するのはオープニングアクト出場をかけたコンテスト「Cute Girls Live」から選出されたヒラガナ路線、上昇稀琉、そしてグランプリを獲得したDARARA、SEKIRARAが次々と登場。それぞれ10分弱の短いステージながら、しっかりと持ち味を発揮し、会場を温めた。
※この模様は連載記事「目指せYAON!Cute Girls Live最前線」の中で、舞台裏のショットも含めてお伝えします。
オープニングアクトがこれまでと比べて1組少なかったこともあり、時間に余裕を持って終了すると、暫しトーキングタイム。これから始まる”宴”を前に、とにかく楽しそうなお客さんが多いのが印象的だ。ライブなのだから当たり前と思うかもしれないが、これまで数々のライブ・イベントを取材してきた中でもこれだけお客さんの熱量を感じるのは、やはり「NAONのYAON」にしかない魅力があるからだろう。
本編スタートの午後2時が刻一刻と近づく。ステージには寺田恵子と、”時の番人”神取忍らが登場。「10回目のNAONです!夏の開催は史上初めて!」と寺田恵子も興奮気味。熱中症に気を配りつつ、いよいよ開演のカウントダウン! 【01】Silent Siren
夏の「NAONのYAON」の本編トップを飾るのは、今年日本武道館ワンマンやアジアツアーを次々と成功させているサイサイことSilent Siren。太陽の熱を吸収する漆黒の衣装で登場すると、1曲目は4人ステップをそろえて、「ラッキーガール」を演奏。ゆかるん(Keyboard)がひときわ大きなアクションで、観客をしっかりとリード。振りだけではなく、サウンド面でもしっかりとリードするサイサイ。あいにゃん(Bass)の絶妙なベースラインに心酔。ひなんちゅ(Drums)も長髪をなびかせて心地良さそうに叩く。
サビでのコール&レスポンスを練習し、続く2曲目「ビーサン」で真夏を満喫!年齢も性別も関係なく、日比谷野音が一つになる。そして3曲目はゲストボーカルということで、相川七瀬(Vocal)を迎え入れる!すぅ(Vocal & Guitar)とのツインボーカルで「夢見る少女じゃいられない」を披露。相川七瀬のパンチ力は言わずもがなだが、普段はキュート全開な歌声で魅せるすぅも、相川七瀬オマージュのパンキッシュな歌声を披露。序盤から会場をヒートアップさせた。 br> 【02】Chelsy
続く2組目はChelsy。2014年にメジャーデビューを果たしたガールズバンドの新星が、ここ野音に初登場!Silent Sirenとは対照的に真っ白な衣装で登場したMIO(Vocal & Guitar)、SHIZUKA(Bass)、AMI(Drums)、そしてサポートのひぐちけい(Guitar)。MIOのアコギから演奏がスタート。序盤はポップでキャッチーでノリのいい曲…と思いきや、演奏したのは「Blue Moon」だ。エモーショナルな、力強いバラードナンバー。
続く2曲目ではAMIのハードなドラムから、メジャー2ndシングル「YES」。SHIZUKAとひぐちけいが掛け合い、エレキに持ち替えたMIOも加わって早弾き競演。一曲入魂、濃厚なステージ。特に「Blue Moon」という選曲には驚いた。ファンなら口ずさめる人気曲だが、音源化もされていない、それもバラード曲を1曲目に持ってきたその姿勢は、まさにロック。Chelsyを初めて観るであろう人も多い中、Chelsyの音楽はこれ!というものを明確に提示した。 br> 【03】Mary’s Blood
続いて3組目に登場するのは、Mary’s Bloodだ。1年前の春、オープニングアクトとして「NAONのYAON 2014」に出演し、確かなHR愛と演奏力で耳の肥えたSHOW-YAファンをも興奮させ(参照:Section 05~NAONのYAON 2014~)、その後メジャーデビュー。SAKI(Guitar)はプレイヤーとして今春の「NAONのYAON 2015」に出演。そして、念願叶ってMary’s Bloodとしての本編出場を今回果たした。
そのシンデレラストーリーを目の当たりにし、会場がヒートアップしないはずがない。1曲目はメジャーデビューアルバムに収録された「Marionette」。MARI(Drums)が戦いの火蓋を切ると、RIO(Bass)がうなり、SAKIが乱舞し、EYE(Vocal)も曇り空を切り裂く大熱唱。4人は、観客は、走り出した瞬間からトップギアだ。 続く2曲目は「Bite the Bullet」。日本語訳すると臥薪嘗胆、あるいは怒髪衝天、剛毅果断、不撓不屈、力戦奮闘…といったところか。ピーカンにも嵐にも合う、全天候型サウンド。有無を言わさぬスケールの大きさに、観る側はただただ、頭を振るしかない。 【04】GO-BANG’S
ここまで若手ガールズバンドが3組続いたが、4組目はSHOW-YA、プリンセス プリンセスらとともにガールズバンドの礎を築いたGO-BANG’Sだ。妖精たちを従えて、森若香織(Vocal)が妖しい宇宙人スタイル?で登場すると、観客は総立ちに。決してお世辞でなく、若手ガールズバンド4組目か?と思うほど、焦るほどフレッシュで、キュートで、ポップ!
森若香織のソロプロジェクトとして再始動したGO-BANG’Sは、HEMO(DJ)、REIKO(Drums)、WIKA-BOWIEZ(Keyboard)、CHIKA(Keyboard)、IZUMI(Violin)という豪華メンバーで結成されたガールズバンド、Fairy Rockとともにステージに立つ。 バイオリンに、ダンサーに、多幸感あふれる空間。森若香織はド派手で、キュートで、それでいて温もりのある歌声で魅せる。最新ナンバー「サンキューパンキュー」も、国民的ヒット曲「あいにきて I NEED YOU」も、ともに一本突き抜ける軸は同じ。客席のあちらこちらでタオルが旋回。昭和と平成の豪華すぎる融合に、歓声と溜息が共存した。 br> 【05】Gacharic Spin
5組目も引き続き、ステージはカラフルな衣装のメンバーで彩られる。F チョッパー KOGA(Bass)のスラップが歓声を呼ぶ。はな(Vocal & Drums)、オレオレオナ(Vocal & Keyboard)がハイトーンボイスを炸裂させる1曲目はメジャー1stシングル「赤裸ライアー」。まい(Performer1号)、ねんね(Performer3号)のパフォーマー2人が重みのあるアクションで観客とともに躍る。
「めちゃくちゃ楽しんでいきましょう!」2014年、2015年春に続き3回連続出演で、もはや「NAONのYAON」常連組となったGacharic Spin。回を増すごとにこの広い日比谷野音という会場の一体感、そして熱量が増していることに気づく。そして、2013年のソロ出演を含めると4回連続で「NAONのYAON」の舞台に立っているTOMO-ZO(Guitar)がそのプレイで観客を唸らす。2曲目は遊び心満載のダンサブルナンバー「ハンティングサマー」。間奏は全員の音で隙間をビッシリ埋め尽くす。最後は「WINNER」で全力疾走!F チョッパー KOGAが「過去最高量の運動量」と語るとおりの、全力エンタメ。安心して身を委ねられるアップテンポで、ゴールテープを切った。 【06】寺田恵子&杏子&中村あゆみ&相川七瀬
15分の休憩を挟んで、ステージ再開。6組目は寺田恵子&杏子&中村あゆみ&相川七瀬によるアコースティックユニットだ。浴衣姿で登場した4人のボーカリストに加え、甚平姿で男前にキメた安達久美(Guitar/club PANGAEA)も参加。涼風に包まれる中、「夏祭り」「ふたりの愛ランド」といった、日本の夏の定番曲を歌う。全員ノリノリで、予定になかったパートを歌ってしまうほど。「ふたりの愛ランド」では中村あゆみの妖艶な歌声と杏子のハスキーかつ厚みのある歌声が競演し、アコースティックでありながらゴージャスな雰囲気に。
中盤からはex:プリンセス プリンセスの2人、渡辺敦子(Bass)とタンバリンを持った富田京子(Drums)も参加し、「世界で一番熱い夏」を披露。優しい歌声で観客を和ませると、最後は全員立ち上がり、相川七瀬が観客も「立とうぜ!」とあおり、「勝手にシンドバッド」を熱唱した。 アンプから爆音を鳴らし続けた野音は、このコーナーで一度クールダウン。時を同じくして日も傾き始める。だんだんと風が冷たくなってきた。 【07】中川翔子
7組目は中川翔子。バンドメンバーはERY(Bass)、TOMO-ZO(Guitar/Gacharic Spin)、YUI(Guitar/Cyntia)、宮澤茉凜(Guitar/LoVendoЯ)中村”captain”美紀(Keyboard)、SATOKO(Drums/FUZZY CONTROL)。トリプルギター、それもGacharic Spin、Cyntia、LoVendoЯという今をときめく3組のガールズバンドのギタリスト競演に、観客は大興奮!
既に高揚感あふれる中、1曲目は新曲「LUCKY DIP」。「『NAONのYAON』は私の青春!」と語る通り、テレビや雑誌でキラキラ輝いている中川翔子を、さらに何倍も増し増しのメガ盛りのギザカワユスにバージョンアップした、中川翔子・レベル30がそこにいる。「ドSスイッチ」が入ると、華奢な身体からは想像のつかないパワフルなボーカルとパフォーマンスで、直球ロックなステージを展開。2曲目「ドリドリ」に続いて3曲目は代表曲の一つ、「空色DAYS」。と、ここで「恵子姐さ~ん!」と、寺田恵子を招き、色気も加わった「空色DAYS」で完全燃焼!強烈な個性の競演。これぞ「NAONのYAON」の醍醐味だ。 そして”競演”の”醍醐味”と言えば、トリプルギタリストと、その中で存在感を放つベーシスト・ERYだ。中川翔子からもらったというセミの抜け殻を髪に飾って、いつも以上にハードな音で観客を酔わせた。中川翔子は今夏、某ロックフェスで「大量のセミの抜け殻を頭からかぶる」という豪快なパフォーマンスで話題をかっさらったが、いわく「セミ自体は怖くて触れないです」「抜け殻は生きた証の神秘!(頭からかぶったときは)臭かったけど…」とか。そういう意味では、音楽もセミの抜け殻のようなものだと言えよう。人がいなくなっても、音楽はレコードで繰り返されたり、譜面を誰かがコピーしたり、誰かの心の中で響き続ける。その”生きた証”が、誰かの涙を誘ったり、笑顔に変えたり。……日比谷野音の上空には、月がのぼり始めた。
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◆NAONのYAON 公式ホームページ http://naonnoyaon.net/ ◆SHOW-YA インフォメーション SHOW-YA 30th Anniversary Original Album『PROGRESS』 ・2015年9月30日(水)発売 UICZ-4334 3,000円+税 SHOW-YA 30th Anniversary CLUB CIRCUIT 『PROGRESS』Release Tour ・2015年12月27日(日)【東京】東京国際フォーラム ホールA
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