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TEXT:鈴木亮介 PHOTO:三橋コータ、吾妻仁果
元祖ガールズバンド・SHOW-YAがプロデュースし、世代やジャンルを超えて幅広い女性ミュージシャンが一堂に会する「NAONのYAON」。2013年、2014年に引き続き、今年も通算9回目となる「NAONのYAON 2015」が4月29日(水・祝)に日比谷野外大音楽堂にて開催された。
【00】オープニングアクト
午後2時少し前にゲートが開かれる。続々とガールズロックファンが詰め掛け、まだ物販やトイレにも長蛇の列ができている中、オープニングアクト5組の演奏が始まる。登場するのはオープニングアクト出場をかけたコンテスト「Cute Girls Live」から選出されたOMOIDE特急2014、BRIDEAR、そしてグランプリを獲得したみかづきも。、青空サイダー、SORAMIMIが次々と登場。それぞれ10分弱の短いステージながら、しっかりと持ち味を発揮し、会場を温めた。
※この模様は連載記事「目指せYAON!Cute Girls Live最前線」の中で、舞台裏のショットも含めてたっぷりとお伝えします。
午後2時50分過ぎ。「暑いねー!」寺田恵子がステージに現れ、集まった2千人強の観客に向けて挨拶。「おととしは終演時間が押して始末書を書いたから、去年から『時の番人』で神取忍を呼んだんだ」と冗談めかして話し、いざ神取忍を呼び込むも…登場せず!
なんと、時の番人である神取忍自らが遅刻(正確には、前の仕事が押したために午後3時の開演に間に合わず)とのことで、寺田恵子は咄嗟に機転を利かせ、なんと最前列の男性客に「MCが長引いたら教えて!」と時の番人の代役を依頼。そして、iPhoneに入れたタイマーのアプリを見ながらみんなでカウントダウン。午後3時、さあショータイムの始まりだ! 【01】相川七瀬
トップバッターは2013年、2014年に続き3年連続出演の相川七瀬(Vocal)だ。バックバンドはSHOW-YAの中村“captain”美紀(Keyboard)、角田”mittan”美喜(Drums)、仙波さとみ(Bass)、五十嵐☆sun-go☆美貴(Guitar)に加え、D_DriveのYuki(Guitar)とChiiko(Drums)、さらにはたけやま裕(Percussion)といった布陣。
今年でデビュー20周年となる相川七瀬を、野音の観客は総立ちで迎え入れる。「夢見る少女じゃいられない」で序盤から魂込めた歌声をガツンと響かせると、観客にサビを歌わせ、1曲目にして早くも野音の2000人を掌握。続く2曲目「SWEET EMOTION」で、五十嵐☆sun-go☆美貴の轟音ギターの支えもあって、完全に観客との一体感を見せる。 「若干息が上がってるアラフォーだけど…」と自虐しつつ、相川七瀬は3曲目「BREAK OUT!」でさらに観客の体力を奪いにかかる!間奏では仙波さとみとYukiも一緒にステップを踏む。まだ明るいうちから観客を激しく踊らせ、熱狂のステージを繰り広げた。 br> 【02】FLiP
続く2組目はFLiP。昨年に引き続き2年連続の出演だ。ステージにはなぜかタムドラムが下手、中央、上手に一つずつ置かれている。いったいどんなステージになるのか…期待していると、寺田恵子の激励にも似た紹介があって、そして演奏がスタート!1曲目は「JEREMY」。ことし・2015年5月6日にリリースしたニューアルバム『BIRTH』の収録曲で、Sachiko(Vocal & Guitar)のインターナショナルな歌声に、従来の彼女たちの曲に比べるとポップな要素も加わり、観客はリラックスして体をリズムに委ねているようだ。
「ここにいるみんなと一つになるために…」とSachikoのMCから、次に披露したのは「平成ジュラシック」。2011年5月リリースの1stフルアルバム『未知evolution』に収録されたこの曲、ギターやベースはもちろんだが中でもYuumi(Drums)の刻むビートの鋭さが心地良く、FLiPの持ち味がさらに際立っているように感じる。間奏ではSachiko、Yuko(Guitar)、Sayaka(Bass)もそれぞれのギター、ベースを背に回し、タムドラムを華麗にさばく。”和”を感じるステージに興奮した観客も手拍子で応じる。さらにコール&レスポンスも決まり、その情熱的なステージには寺田恵子も「サビの『オーオ』覚えた!」「4人とも大人っぽくなったね」と賛辞を寄せた。 【03】PIGGY BANKS
3組目の登場はPIGGY BANKS。3年連続出場となる矢沢洋子(yoko)がボーカルを務め、そこにトーキョーキラーで一緒に演奏していたkeme(Guitar)とakko(Bass/ex:GO!GO!7188)が加わる3人組だ。普段はサポートドラムスを迎えてライブ出演しているが、この日のステージではなんと角田”mittan”美喜が叩くという、「NAONのYAON」でしか楽しめない特別編成。観客もよりいっそうの声援を送る。
akkoの奏でる重低音から1曲目「One Way Or Another」がスタート。「行くぞ!」yokoのパンチの効いたボーカルがたまらない。王道ロックンロールな1曲目に続き、2曲目「I want candy」はkemeのシンプルなギターフレーズにyokoの歌声が乗り、女性のキュートさとパワフルさが共存する楽曲。年々その存在感を増している印象のyoko。寺田恵子の言うように「シンプルイズベストだね!」を噛み締める10分間となった。 【04】Gacharic Spin
4組目は昨年に引き続き明るい時間に登場のGacharic Spin。ド派手な衣装に、ダンサー2人も含めてメンバー6人全員、首が引きちぎれんばかりの激しいステージング。昨年の「NAONのYAON」出演後、2014年10月にメジャーデビューを果たしたGacharic Spin。数々の大きなステージやメディア出演も経て、一段とパワフルになった印象だ。
FチョッパーKOGA(Bass)のスラップが光る、1曲目はメジャー1stシングル「赤裸ライアー」。オレオレオナ(Vocal & Keyboard)はキーボードに乗り上げて、激しくパフォーマンス。続く2曲目はテレビアニメ「ドラゴンボール改」のエンディングテーマに起用された6月3日発売2ndシングル「Don’t Let Me Down」。はな(Vocal & Drums)のドラム、TOMO-ZO(Guitar)のギターもいっそうヒートアップ。感情に任せて乱舞しているようで、個々の高い演奏力が観客との確実な一体感を生む。圧巻のステージを見せてくれた。 br> 【05】仮面女子
Gacharic Spinの楽器隊4人がそのままステージに残り、ジェイソンを模したお面をかぶる。5組目に登場するのは今回の「NAONのYAON」の隠し玉的存在、仮面女子だ。”最強の地下アイドル”のキャッチフレーズで活動中のこの12人は、アリス十番、スチームガールズ、アーマーガールズという3つのアイドルユニットが合体したもので、アイドルでありながら顔をお面で隠すという前代未聞のアイデンティティで、2015年元旦にリリースされたシングル「元気種☆」がインディーズの女性アーティストとして初めてオリコン1位を獲得している。
そんな”地下の女帝たち”が、明るい時間の日比谷野音に登場。重厚なサウンドに乗せて大人数でパワフルなステージと歌唱。1曲目の「元気種☆」に続き、2曲目は爽快感あふれるナンバー「夏だね☆」。タオルを振り回したり、円陣を組んでウェーブダンスをしたり、トイレットペーパー砲を発射したりとやりたい放題。終盤には赤いお面をつけたセンター・立花あんな(Vocal)がいつの間にか用意されたゴムボートに乗って客席を移動!2014年10月には「LOUD PARK 14」で山下昌良(LOUDNESS)、真矢(LUNA SEA)、DAITA(SIAM SHADE)らと共演を果たした仮面女子。アイドルとHR/HMの親和性が語られることの多い昨今、ここにもまたヒットの予兆が見つかった。 br> 【06】平野綾
ステージにはFチョッパーKOGA(Bass/Gacharic Spin)、オレオレオナ(Keyboard/Gacharic Spin)の2人に加え、SAKI(Guitar/Mary’s Blood)、Yuki(Guitar/D_Drive)、Chiiko(Drums/D_Drive)というハードロック好きには嬉しい布陣。ここに登場するのは、2013年以来の出演となる平野綾(Vocal)だ。ちょうど日比谷野音のすぐ近く、帝国劇場にてミュージカル『レ・ミゼラブル』にエポニーヌ役で出演中だという彼女、歌い手としてのステージは久々だから楽しみだと語り、ファンを喜ばせる。
ツインギターがガンガンに鳴り響く中、平野綾のハイトーンボイスが天空突き抜ける。このまぶしさが彼女の歌声の魅力だ。Chiikoの叩くドラムもこのまぶしさを強調する。1曲目は2014年リリースの3rdアルバム『vivid』に収録された「Let’s Go!」。そして2曲目は声優としての代表作『涼宮ハルヒの憂鬱』の挿入歌となった「Lost my music」を熱唱。ツインギターの疾走感も手伝い、客席のあちらこちらで拳が挙がる。 br> 【07】PINK SAPPHIRE
「NAONのYAON」がスタートしたのは28年前。ここまで登場した6組の出演者とバックミュージシャンのほとんどは、その当時はまだ生まれていなかったのだと考えると、改めてこのイベントの凄さを実感せずにはいられない。続いての出演者は、今年デビュー25周年を迎えるPINK SAPPHIREだ。2014年4月に約20年ぶりとなるライブステージを披露し、再結成を果たした彼女たち。「NAONのYAON」への出演は1991年以来24年ぶりだ。
「すっごい久しぶりの『NAONのYAON』、楽しんでいこうぜ!」AYA(Vocal)の呼びかけに、総立ちの客席から歓声が上がる。厚みのある手拍子の中、野音にはちょうど傾きつつある西日が差し込み、スモークを焚いたように霞がかっている。四半世紀待ち詫びたファンにとっては、この光景は一生忘れないものとなるだろう。楽曲は、メジャーデビュー曲にしてオリコンランキング2位を獲得した「P.S I LOVE YOU」と、2ndシングル「抱きしめたい」を披露。力石理江(Keyboard)も加わり、ゴージャスで四半世紀の重みを感じるステージとなった。 演奏終了後、MC・寺田恵子とのクロストークでは、メンバー口々に「子どもが春から大学生」「今度受験」と話し、観客を驚かせた。ママになっても野音で轟音ロック!そんなPINK SAPPHIREの勇姿は、まさに息子、娘世代であるオープニングアクト出演者たちにも大きな励みとなっただろう。 br> 【08】田村直美
時刻は午後5時。8組目の登場は意外にも「NAONのYAON」初出演となる、田村直美(Vocal)だ。客席からは「SHO-TA!」、「直美!」と様々な呼び声が。SAKI(Guitar/Mary’s Blood)、Yuki(Guitar/D_Drive)、Megu(Bass/Zwei)、Chiiko(Drums/D_Drive)、力石理江(Keyboard)、はたけやま裕(Percussion)というメンバーで、1曲目は1994年に田村直美の3枚目のシングルとしてリリースされた「永遠の一秒」。SAKIの鋭いギターから演奏スタート。田村直美のパワフルな歌声が響き渡る。
続く2曲目は田村直美自らもアコギを持つ。「20代前半に作った曲。デビューした頃を思い出す」と前置きすると、SHO-TAコールに応えてPEARLの1stアルバム収録曲「One Step」を披露。原典・PEARLにはなかったパートである力石理江の鍵盤とはたけやま裕のパーカッションをスパイスに、ゴージャスな音が奏でられる。SAKIとYuki、2人のギタリストもそれぞれ見せ場を作る。 さらにもう1曲、「最近2人で一緒にいることが多くて、楽しい」という寺田恵子をステージに招き入れて披露したのは、自身最大のヒット曲「ゆずれない願い」だ。テレビアニメ『魔法騎士レイアース』のオープニングテーマに起用され、ミリオンセラーを記録。同曲で1995年の紅白歌合戦にも出場したほか、中川翔子を筆頭に現在まで数多くの女性シンガーにカバーされ続けてきた。ステージも客席も一つになって、「止ま~ら~ない~!」の大熱唱!まさに「NAONのYAON」にふさわしい、世代を超えて愛されるこの曲で、前半戦が締めくくられた。
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◆NAONのYAON 公式ホームページ http://naonnoyaon.net/ ◆SHOW-YA インフォメーション 30周年記念リリース第2弾 『Glamorous Show II』 ・2015年05月27日(水)発売 NAONのYAON 2015 夏にも開催! ・2015年08月23日(日)【東京】日比谷野外大音楽堂 14:00開場 / 15:00開演
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