|
|
|
2009年5月10日 TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎
夜のカラカウア通りは、大道芸人と観光客でいつもにぎわっています。観光ガイドに載っているような大型レストランやリゾートホテル、それから路地裏のバーにいたるまで、連日連夜バンドの生演奏で観光客をもてなしています。 いつもの風景、もう何十年も変わらないハワイ州オアフ島のホノルル文化です。ダンと呼ばれるダニエル森田さんは、このホノルルでギターを弾き、生計を立てています。
—ダンさんのライフサイクルを教えてもらえますか?
ダン:OK、僕は日に2回寝ています(笑)ぐうたらでしょう。最後の演奏を終えてアパートに帰るのは午前3時。すぐに寝てしまいます。朝は小鳥が起こしにくるので7時前には起きていますね。 —休日は何をされていますか?
ダン:決まったことはしていません。年に何度か日本に帰るので普段はあまり休まないで働いています。 —いつからこちらで活動をされているのですか?
ダン:6年前くらいですね。日本を捨てて生活しているのが不思議です。それまでハワイには来たことすら無かった。元々旅行とか面倒くさくて嫌いでした。 —日本の生活を捨ててハワイへ行こうとしたきっかけは何ですか?
ダン:リストラです。リストラ(笑)前はあるゲーム制作会社でサウンドディレクターをしていました。名前にしたダニエルっていうのは最後にやってた仕事の開発名称です(笑) —ギタリストからサラリーマン、そして再びギタリストになられたわけですね。
ダン:簡単にいえばそうですね。僕はもうすぐ52歳になりますが、今の生活に満足しています。ハワイは物価が高いから贅沢な生活は無理ですが(笑)一人暮らしならどうにでもなります。 —こちらはチップ制度があるので、そこそこ儲かりそうな気もしますが、そうではないのですね。
ダン:チップがないと生活は成り立ちません(笑)でも僕は特定の専属ではないから、ショーの数を増やせば収入も増えます。でも必要以上のお金はいらないです。
—雇用形態がよくわからないのですがフリーランスなのですか?
ダン:基本的にそうですね。支払いはエージェントからもらっています。元締めはどこにでもいますね。日本でいうインペグ屋(ミュージシャン斡旋業)はハワイにもあります。 —日本にもご自宅があるのですか?
ダン:ありません。リストラされた時、娘はもう結婚していたし。嫁さんは色々あって実家へ行きましたし(笑)気は楽でしたね。住んでいた家は人に貸して、嫁さんの収入になっています。 —すぐにギターで食べようとは思わなかったのですか?
ダン:僕はもう年齢的に何となく無理だと思っていました。毎日弾いてはいたので腕は鈍ってないと思いますが。まぁ正直にいうと、ツテを使ってギター講師の仕事が無いか頼んだことはあります(笑) —ウクレレといえばハワイですから、現在の活動につながってくるのでしょうか?
ダン:文化スクールだと毎日教えるわけじゃないし、生活にも困ってきたので他の仕事もしようと思いました。そして同じカルチャースクールでフラを教えていた先生から、話をもらったのです。 —先ほどは【リッチーブラックモア】のフレーズを弾かれていましたが、リッチーフリークですか?
ダン:リッチー命ですね僕は。でも仕事でリッチーを弾くことは今まで一度もありません(笑)観光地の、それも南の島ということでギンギンのロックはできません。 —アロハな服装だけみると、ハワイアンソングしか演奏しないように見えますが、そういうリクエストも来るのですね。
ダン:基本はハワイアンです。ダンサーのバックもやりますので、一通り演奏できなければ仕事にならない。それ以外に【ビーチボーイズ】や【ベンチャーズ】それから【イーグルス】を演奏します。
—こちらで活動する上で困ったことはありましたか?
ダン:特に無いですね。現地のミュージシャンもフレンドリーだし。気候のせいかとてものんびり。少し英語がわかれば生活には困らないし、ミュージシャン同士は言葉がなくても通じ合えます。 —イケメンが居たら人気を取られちゃいますね。
ダン:なぜかイケメンはいませんね(笑)やはり僕らみたいなこういうミュージシャンは、でしゃばり過ぎず目立ち過ぎず。そして演奏は上手に。それがコツなのかもしれません。 —演奏する時に心がけていることはありますか?
ダン:やはりお客さんがいるので。プロとしてはお客さんに喜んでもらうことです。有名な曲がほとんどだから皆さん聞いてくれますけど、反応を見ながら選曲を変えたりしています。 —オリジナルソングを演奏するバンド活動には興味ありませんか?
ダン:ありません。そもそも僕にはその才能が欠けているから(笑)学生時代は曲をいくつも書いていたけど、バンドメンバーの方がよい曲を書いていたから自信をなくして止めました。 —ダンさんにとってのロックミュージックは、創造していくよりも、表現ツールということでしょうか。
ダン:お客さんが喜んでくれる曲を弾く、それが仕事です。自分の表現はその曲をできるだけ忠実に演奏して、お客さんの記憶にある元曲のイメージを壊さないこと。
—独自のロックライフを楽しまれているように感じます。
ダン:ハワイアンライフですね(笑)ロックもプレイできるし満足しています。僕の世代だとまだロックに反体制なものやメッセージ色を感じていた世代なのです。 —自分らしく生きるという意味では成功ですね。
ダン:僕はウクレレのビラで人生が変わりました。なんていうとかっこいいけど、リストラされなければ定年まで務めていたはずです(笑) —想像もしていなかった一歩が、結果的にターニングポイントになっていますね。
ダン:いつしか会社に依存したサラリーマンでしたから、想像すらしていませんでした。今の若い世代は会社に依存していないみたいですし、僕らの世代とはイメージが違うと思いますけど。 —ダンさんにとってロックってなんでしょうか?
ダン:ビラですね(笑)ウクレレのビラ。僕は性格的に攻撃的じゃないです。でも自分で殻を破ったと思うから。それがロックですね。 世界中から観光客が訪れる街で、内に秘めたロックスピリットに触れることができました。昔から論じられてきたロックは世界を変えられるか?という題目の答えはわかりませんが、ロックは個人の人生を変えられることは、確かにあると思います。
さっそく数十ドルを握りしめ、アドバイスに従って諸手続き。初日に筆記テスト、翌日に実地テストをクリアし、無事2日間で合格。合格後、ドライバーズライセンスは即時発行されました。
—最後にワイキキロックスな一言をください。
ダン:ロック好きな人はお酒も好きでしょ?ドライバーズライセンスをすぐ取った方がいいね(笑) ロックライフソリューションの記事一覧 |