演奏

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TEXT:桂伸也

 
近年の「嬢メタル」ムーヴメントの中で最も目立った動きを見せているAldious。常に新たなヒーロー、ヒロインが求められるヘヴィ・メタル界で、彼女らは今一番活発な動きを見せているバンドと言っても過言ではない。昨年バンドよりヴォーカリストのRamiが脱退、新たなメンバーとしてRe:NOを迎えたことは、BEEAST太鼓判シリーズ第14弾アーティスト『Aldious』でも報じたとおりだが、その新体制によるツアーで彼女らはいよいよ新たな姿をファンに披露した。
 
果たして新たなAldiousはファンの目にはどう映ったのだろうか?新たなヴォーカリストRe:NOはファンに受け入れられたのか?現在ニューアルバムリリースを目前としている彼女らの、その真価が問われたツアーファイナルのステージの模様を、改めて振り返ってみよう。すでにファン感謝祭などのイベントや、このステージに先立って行われたTHE AGONISTの来日ツアーのオープニングアクトでRe:NO自体のお披露目は行われていたが、ワンマンライブのステージではこのツアーが最初。期待と不安の入り混じった空気が会場に蔓延していた。
 
◆メンバーリスト:
Re:NO(Vocal)、Yoshi(Guitar)、トキ(Guitar)、サワ(Bass)、Aruto(Drums)

 
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いよいよ幕開きの時間へ。会場が暗転しフロアから大きな歓声が上がる。変な気負いもなく、ただ「やるぞ!」という気合いをその笑顔にみなぎらせてステージに現れたメンバーたち。そして強烈なキメのイントロから始まる「Luft」でステージはスタートした。「渋谷ッ!」いきなりフロアを力強く鼓舞するRe:NO。嬢というAldiousのイメージとはまた違う力強さ、ある面男らしさすら感じられるタフな雰囲気が彼女の持ち味だ。それまでのAldiousにはなかった面ではあるが、それがかえって彼女の存在を大きくし、その存在に現存の4人のメンバーが強く支えられているようにも見えた。観衆がリズムのキメにあわせてコーラスのように歓声をあげるという熱狂的な光景も出現、熱気が一気に会場を包み込んだ。
 
Aldiousの両ギタリストといえば、どちらかというと今まではテクニックのYoshi、パフォーマンス、インパクトのトキというステージの構図イメージが見られたが、トキはパフォーマンスしながらもしっかりプレイしきる安定感が増し、ステージ中央を挟む両ギタリストの姿が映えるように見られた。そんな中でバンド一安定したプレイを見せ、ムードを盛り上げるAruto、そして中央の位置でRe:NOを支えるようにプレイするサワと、ステージのバランスがとてもよく見え、いきなりのステージでも観衆はそのステージの映え具合に大満足、興奮の大声を上げて応戦した。続いた「Suicide」では、頭のエアポケットのように静かな展開から、徐々に盛り上がる様子がぐっと観衆の気持ちをステージに引き込んだ。ベースのみで始まり、途中からギターを加えて徐々にサウンドを厚くしていくこの構図は、Yoshiが作曲時に想定したというもの。それが見事に的中したといえる。
 
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「渋谷!楽しんでるか!」Re:NOが観衆に語りかけた。ここまでRe:NOはそれぞれの曲の歌を完全に自分のものとして観衆に届けた。女性らしい妖艶さというよりも、カッコよさやリードする魅力でフロアの観衆やステージの他のメンバーまでも一気に引き込み、自分のペースに持ち込んでしまった。そしてその気持ちに応えさらに盛り上げるように、Arutoのコールより「Wish Song」へ。Aldiousのナンバーの中では数少ないメジャーキーのこの曲は気持ちを前に向かせるのにピッタリな曲だ。そのメロディを何の迷いもなくRe:NOが歌い上げる。サビに流れる哀愁感すらもしっかり自分のものとした彼女の歌は、ここまでの壁を乗り越えた道のりと、結果的に得られたステージに対する自信を表しているようにも見えた。
 
そして一度Re:NOはステージから降り、4人によるインストのプレイへと移る。このパートは以前からあるAldiousの変わらない部分であるが、そのプレイとパフォーマンス一つ一つに、成長から得られた大きな自信が見られた。Yoshiのソロ、トキのソロと派手な見どころはもちろん、サワの手堅いソロ、そして「聴け!」と言わんばかりのArutoのドラム。ここにAldiousありと、しっかりと示した瞬間だ。そして再びRe:NOもステージに戻り、息の合ったステージを展開していく。続いた「White Crow」は、Re:NOAldiousに加入した記念すべきナンバーだが、すっかりAldiousの重要なナンバーとして定着。この日のステージでも馴染(なじ)んだプレイで観衆をさらに引き込んでいった。
 
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いよいよステージもクライマックス。Aldiousのデビューナンバー「Defended Desire」から怒涛のエンディングに向け爆走が始まった。Re:NOのアイコンタクトに応えるAruto、そしてパフォーマンスで絡むサワ。一方ではツインギターでの秀逸なハーモニーメロディを聴かせるYoshiトキ。激しく「Ultimate Melodious」を決め、Re:NOが語る。「8月に2代目ヴォーカルとしてAldiousに加入した時には正直、不安だったけどこのツアーの中で見られた皆さんの笑顔と声で、不安は希望に変わりました。本当にありがとう!」感謝の声に応えるようにフロアからRe:NOコールが力強く湧き上がった。そして彼女の決意の気持ちを表すように、アカペラのイントロを、意を決したタイミングで歌い始めるとAldiousのステージではラストナンバーとして外せない曲「Deep」へ。新たな足掛かりを確信したAldiousと、彼女らがバンドとして確立したことを確信したファン。大きな声援とともにその歌に歌い込まれた「どんな辛いことも乗り越えられるから」というメッセージを強く印象付けながら、盛大なステージに幕を下ろした。
 
大きなアンコールに支えられ再び登場するメンバーたち。Re:NOは本編とは対照的な、真っ白のドレスを着て現れた。「白に染め上げる」、このツアーの元となったシングル「White Crow」のテーマを現した趣向だが、その彼女の表情には心からAldiousに染まった自信と喜びがみなぎっているようにも見えた。静まる会場。ピアノとオーケストラのサウンドが聴こえる中、バラード「菊花」を歌うRe:NO。彼女らの様々な思いを表現したようにも見えるそのサウンドに聴き入る観衆。そんな彼女らに惜しみない拍手が与えられると、いよいよ終演。アンコールの礼を告げ、Re:NOは覚悟を決めたように頭に着けていたティアラを投げ捨てた。最後に「自分らしさ」を見せつけたい、そんな思いもあったのかもしれない。飾り気を捨て叫ぶ「行けるのか!渋谷!?ラストー!」ラストナンバーは「Bind」。渾身のヘッドバンギングとともに、強烈なサウンドで会場を鼓舞し、見事に会場の観衆を虜にして彼女らはステージを降りた。
 
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◆ライブ情報
2013年4月13日(土) 【東 京】表参道GROUND
(Sold Out)
◆ 公式サイト
【オフィシャルサイト】
アーティストオフィシャルサイト
http://aldious.jp/
Spinningオフィシャルサイト
http://www.spinninginc.jp/m_lineup/aldious.html

◆セットリスト
M01. Luft
M02. Eternal Delusion
M03. Ground Angel
M04. Suicide
M05. Wish Song
M06. Istrumental
M07. Dual Personality
M08. Misty Moon
M09. White Crow
M10. Defended Desire
M11. Ultimate Melodious
M12. Deep
Encore
E01. 菊花
E02. Bind

 
荒々しくも美しい、そんな形容が当てはまるステージを見事に繰り広げてくれたAldious。ヴォーカリストの交代劇には、とかく「前のヴォーカリストに比べると…」と、比較されてしまう傾向があるが、そんなプレッシャーに真っ向勝負を挑んだRe:NOは「あくまで自分は自分」と、彼女自身のスタイルを崩さなかった。それがすっかりAldiousに何の違和感もなく溶け込んでいたのが心地良く感じられた。バンド加入時にはまだメンバーとしてやっていく自信が無かったという彼女は、徐々にAldiousのメンバーとして、先述のインタビューで「本気でやっていきたいと思うようになった」と語るように、気持ちに変化を見せた。その思いがYoshiを始めとしてRe:NOを信じるメンバーの思いと合致し、バンドとして改めて強い結束を形成したようにも見られる。
 
バンドの絶対的な象徴であるヴォーカリストを失い絶望を味わったバンドは、新たな血となるRe:NOを迎えたことで失速することなく新たなステップを迎えることができた。Re:NOを中心として生まれ変わったAldiousは、またメタルに新しい一歩を刻んでいくに違いない。
 

PhotoAldious New Album『District Zero』(限定版)
発売日:2013年5月15日
BSRS-013/¥3,500円(税込)
CD+DVD
全11曲収録

 
PhotoAldious New Album『District Zero』(通常版)
発売日:2013年5月15日
BSRS-014/¥2,800円(税込)
全11曲収録
※通常盤のみ、16ページ・ミニフォトブック封入

 

◆関連記事
BEEAST太鼓判シリーズ第14弾アーティスト『Aldious』
http://www.beeast69.com/feature/45653
Aldious 「Determination Tour 2012」 2012/5/7 @赤坂 BLITZ
http://www.beeast69.com/report/22456
WOMEN’S POWER 20th Sp. 2012/1/9@渋谷O-WEST
http://www.beeast69.com/feature/9087


 
 
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