2009年8月2日、ザ・ピストンズ初のワンマンライブが下北沢屋根裏で行われました。ザ・ピストンズは、シンプルかつパワフルな歌詞とサウンドに定評のある極上パンクロックバンドで、メンバーは、しゅう(Vocal)、あべ(Bass)、アラタ(Guitar)、ケント(Drum)の4人。自主制作でリリースした音源はあっという間に完売するなど、着実にその人気を不動のものとしています。ちなみにこの日のチケットは、前売りですでにSOLD OUT。中にはこのライブのために、愛知県など遠方から来たファンもいました。さて、今夜ザ・ピストンズはどんなパフォーマンスを見せてくれるでしょうか。
開演時間になると、下北沢屋根裏のフロアは人で埋め尽くされ、ライブ前から熱気に包まれていました。ザ・ピストンズのロゴ入りTシャツを着た十代の青年、ビール片手に煙草を吹かして開演を待つ男性ファン、ステージを見つめながらバンドの登場を待つ若い女の子…その面々はさまざまで、フロアは華やかさに包まれています。
HOCCOのオープニングアクトですっかり熱くなった会場に、ザ・ピストンズの登場を待ち切れないファンの大きな歓声が響きます。照明が落ちると拍手の嵐が起こり、ついにザ・ピストンズが現れました。喝采が、小さなライブハウスに反響します。
「こんばんは!今日はメチャクチャやります!せっかく来たから、みんなでバテるまでやりましょう!」しゅうがそう叫び、次に始まったのは「僕ロック」。ファンはまた手を振り上げてジャンプ。アラタのギターソロで、更にジャンプ。続いてケントのドラムビートに観客の手拍子が重なり、アラタが「踊る準備はできてますか!」と叫ぶと、「ずっとそのままで」がスタート。後半でリズムが高速になると、ファンは次々暴れ出しました。次の「カントリーロード」では、男性ファンがステージに向かって拳を突き上げ、右に左にと揺れ動きます。続いて「夜の声」のサウンドが流れると会場は暗くなり、赤いライトに包まれました。あべのベースが、ミステリアスに響きます。オーディエンスの振り上げる手は、勢いを失いません。「まだまだ!」としゅうがオーディエンスに訴えかけると、「夏が来る」がスタート。アラタのギター、ケントの激しいドラム、そしてあべのベースがすべて重なると、またしてもファンは激しくジャンプ。そして「ファッキンデストロイ」がスタートすると、ファンは一気にステージに押し寄せ、前後に左右に、次々ダイブ。あべとアラタはセンターに立って、それをどんどん煽ります。アラタが「足りねえぞ!」と叫ぶと、オーディエンスはそれに応えるように声を張り上げます。「真夏脳天気」で、オーディエンスは陽気なサウンドに合わせてダンス。「どうもありがとう屋根裏!」しゅうの声が響きます。「まだ汗かこうぜ!一緒に!」
MCタイムでは、バンドがよく行く居酒屋の話、ケントのモノマネ、そしてバンド結成秘話で盛り上がりました。「こんなふうにワンマンライブができるようになったのも、応援してくれるみなさんのおかげです」としゅうが感謝の意を述べました。その熱い思いを、次曲「照心燃命」に込めます。しゅうもギターを持ち、歌詞をひとつずつ大切に、噛みしめるように歌います。続く「ヒイラギ」でオーディエンスのテンションは最高潮。次の「パーティータイム」ではその名の通りパーティー状態。屋根裏はダンスフロアと化しました。勢いは止まらず、「モーモク」へ。続く「初期曲メドレー」でファンのハートをがっちり掴んだあとには「ナンバー1」。オーディエンスの手が、天井に届きそうなほど高く上がります。そして最後はやはりこの曲、「ヒーロー」。誰もが両手を上に振り上げ、左右にウェーブしたかと思えば、次の瞬間にはリズムに合わせてジャンプ、そして更に大きくジャンプ。「ありがとう!」としゅうが叫ぶと、ライブはとうとう終わりを迎えました。
しかし、オーディエンスのテンションはそこで下がるはずもなく、すぐにピストンズコールが。まもなくバンドがステージに戻ります。「ロンリーワン」で、ダンサブルなサウンドを披露。「サタデーナイト」では激しくジャンプするファンがしゅうと一緒に声を張り上げます。ラストソングの「バイバイ」でオーディエンスはみんなステージに手を伸ばし、しゅうもステージから手を伸ばしてオーディエンスに応えます。「本当にありがとう!ザ・ピストンズでした!」熱い拍手に包まれる中、ついにバンドはステージを後にしました。
大興奮の中終了した、今夜のワンマンライブ。オープニングからラストまで、来てくれたファンを楽しませようとする雰囲気が常に伝わってきました。それはきっと、MCでしゅうが述べていた、応援してくれる人々への感謝の気持ちから来るものではないでしょうか。今夜はアンコールも含めて23もの曲が披露されましたが、まるで一瞬の嵐のように通り過ぎていき、終わったあとには心地よい疲れと満足感が残りました。明日への活力につながるような、力強いパフォーマンスを見せてくれた新星、ザ・ピストンズ。今後の彼らから、一瞬たりとも目が離せません!