REPORT丨2012.05.20
音速ライン「心のままにチョックインツアー」2012ツアーファイナル
音速ライン。ロックフェスのフライヤーやCDショップのポップで見かけて、その目にも印象的なバンド名が記憶されている人も多いと思う。2003年春に結成すると、インディーズから瞬く間に火がついた。「ROCK IN JAPAN」「SUMMER SONIC」「ARABAKI ROCK FEST.」など国内屈指の野外フェスへの出演歴も多く、現在までにシングル13枚、インディーズ盤やベスト盤を含めてアルバム11枚をリリース。藤井敬之(Vocal & Guitar)と大久保剛(Bass)による、二人組のギターロックバンドだ。
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『風景描写』『100景』『三枚おろし』『風恋花凛』『音速の世界』…過去にリリースされたアルバムのタイトルからもわかるように、作詞&作曲を手がける藤井敬之の歌詞は、伝えたい想いを大事にした、シンプルな日本語で構築されている。しかし、彼らにとっても大きく影響を受けた東日本大震災を経て、今年2月22日にリリースされた6thアルバムは、今までのものに取って代わるものという意味の『Alternative(オルタナティブ)』と名付けられた。そして震災発生から1年を経た今年3月より全国ツアーを開始。途中、郡山では「つながろう ふくしま〜絆〜スペシャルライブ」に出演し、藤井敬之と同郷・福島県出身の高橋まことと共演を果たした。ちなみに、高橋まことは復興支援プロジェクト「がんばっぺ!福島。」を立ち上げ、その模様は本誌連載「脱・無関心」でもご紹介している。
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そんな彼らの2ヶ月におよぶツアーファイナルの模様を今回はお届けしたい。5月11日、アルバム発売後初となるワンマンツアーのファイナル公演が渋谷で行われた。会場内に足を踏み入れると、ステージ後方のスクリーンには既にドキュメンタリーっぽい映像が流れていた。これはつい先程の、メンバーが歩いてAXに会場入りする様子から、楽屋で開演時間までを過ごす風景を撮ったもの。ちょっと照れくさそうに、そして特別なポーズを何もしないのが彼ららしい。
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ほぼ定刻となる午後7時、その映像と同じ衣装に身を包んだメンバーが登場!藤井敬之(Vocal & Guitar)、大久保剛(Bass)の2名に加え、サポートメンバーとしてタナカジュン(Drums)、上口浩平(Guitar)の4名がステージに。ライブ1曲目は、ニューアルバム『Alternative』の1曲目「Birthday」。いきなりテンションマックスで始まった骨太なギターロックが、ガツンと響いてAXの天井まで突き抜ける。そこにボーカル藤井敬之が歌う、キュンとくるようなセツないメロディーが広がっていく。2曲目「ピカソ師匠とダリ先輩」は、イントロで長めに鳴らされたギターのフィードバック音からの、轟音とスピード感あふれるサウンドが心臓を鷲掴みにする。これで盛り上がらないわけがない!
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3曲目には一転してポップな「blinday」で、ようやくアルバムの曲順通りにライブが進行していることに気づく。白いシャツにメガネの自然体な風貌で鳴らすギターの音と、親しみやすく美しい泣きの旋律をたどる歌声が、気持ちよく心に届いてくる。この後のライブ展開にも、最新アルバムの充実ぶりが手に取るように感じられた。「Baby Baby!!!!!」のサビでは、みんなでタオルを回そう!ということで、まずベースの大久保剛が回し方のお手本を披露。オーディエンスの手には音速ライン特製のピンクのタオルが多数だったけど、それ以外のタオルをブンブン回している人も多く、サビになったらまるでサッカーの試合でゴールが入った瞬間みたいに壮観!
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アルバム通りのセットリストに「Nir」や名曲「ポラリスの涙」を挟みながら、「i know i know」ではサポートドラマータナカジュンの主導で「アイノー!アイノー!」というカウント出しを、お客さんと共にコール&レスポンスで練習するコーナーで盛り上げ、本編最後はアルバムのラストに収録された「心のままに」へ。ここでなんとスペシャルゲストとして、ファンにはお馴染みの人気キャラクター、ネギオ&ネギコ(藤井敬之が生み出したマスコットの着ぐるみ)がステージに登場。演奏中は、ステージ後方のスクリーンにネギオ&ネギコのアニメ版PV「心のままに」も映し出された。福島県郡山市在住の藤井敬之が、震災を越えていく自らの気持ちを込めたという楽曲。MCではあえて言わなかったけれど、可愛いらしいキャラクター達が、それぞれの落とし物を巡って次々に繋がっていくストーリーのアニメを見れば、心を動かされない人はいないだろう。
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そしてアンコール。突然「ザ・ベストテン」の番組タイトルコールをSEにして、メンバーが肩パッド入りの原色スーツ+サングラス姿で現れ、場内大爆笑!エレクトリック・ドラムを加えて当時の雰囲気を出した「1980」を演奏。この1曲のためだけだった衣装替えを終えて再びステージに戻ると、まだまだ熱く盛り上がりたいオーディエンスに向けて、メロディアスで疾走感たっぷりのシングル曲をたたみ掛けるように演奏した。
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2度3度とアンコールに応えてステージに出てくる度に、藤井敬之がデジカメで会場を埋め尽くすお客さんの写真を撮ったり、ツアー各地で行ってきた即興ご当地ソングの渋谷バージョンを歌ったり。ネギオ&ネギコが再登場し、さらに二人(?)は友達の「のしたま子」まで連れてきたり。ふいに藤井敬之からの提案で「ネギオ&ネギコと一緒にステージに上がりたい人は上がっていいよ」と言われると会場は「エー!」と騒然!結局、最前列にいたお客さん30人強がステージに上がって、会場のみんなでラストソング「空になる」をアカペラで大合唱して大団円!!
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実に5回にも及んだアンコールは1時間強と、本編と同じぐらいのボリュームとなった。前半のMCで藤井敬之が言った「終わりたくなくて仕方ない」の言葉がよみがえる。13カ所を巡ってきたツアーのファイナルということで、特別なことをやりたい、というメンバーの想いが随所に散りばめられた、楽しさ盛りだくさんの素敵な夜となった。
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M01. Birthday
M02. ピカソ師匠とダリ先輩
M03. blinday
M04. Baby Baby!!!!!
M05. Nir
M06. 世界の終わり
M07. ランドリー
M08. ポラリスの涙
M09. i know i know
M10. ワールドエッジ
M11. 心のままに
-encore 1-
M01. 1980
-encore 2-
M01. 街風
M02. みずいろの町
M03. 恋の魔法
-encore 3-
M01. ナツメ
M02. 半分花
-encore 4-
M01. 逢いたい
M02. 週末旅行
-encore 5-
M01. 空になる

◆音速ライン 公式サイト
http://onso9line.com/
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◆インフォメーション
THEラブ人間リリースツアー2012「恋に似ている」に音速ラインが出演決定! br>
・2012年06月15日(金)【仙 台】CLUB JUNK BOX br>
・2012年06月22日(金)【福 岡】DRUM SON br>
・2012年06月23日(土)【長 崎】DRUM Be-7
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SONIQUE LIVE!! Vol.3
-From FUKUSHIMA To TOKYO-
・2012年06月19日(火)【下北沢】CLUB Que br>