FEATURE丨2013.03.04
密着レポート第16弾 DAZZLE VISION
【密着レポート第16弾:DAZZLE VISION】
ラウドな雰囲気の中にポップなメロディセンス、女の子ならではのキュートなルックス、そしてヒステリックなシャウト。ロックのストレートなサウンドの中に様々な魅力を持ち、多くのファンを獲得し急速にその勢力を伸ばしつつあるバンド、DAZZLE VISION。
現在インディーズ・シーンの中でも急成長を見せている彼らは、北米で行われたアニメフェスに参加、大きな反響を得て今年4月にも再度の出演を果たすことが決定している。また一方では、昨年初頭に来日したEVANESCENCEのオープニングアクトに抜擢される等、その評価は揺るがないものとなりつつある。そして昨年リリースされたアルバム『SHOCKING LOUD VOICE』のツアーファイナルを、自身のライブ活動で最大となるSHIBUYA CLUB QUATTROにて行った。様々な音の魅力と絶対的なパフォーマンスでファンを魅了し続けているDAZZLE VISION。モッシュ必至となる彼らのステージの秘密をこの日、ライブの密着取材を敢行することにより追ってみた。
◆メンバーリスト:
Maiko (Vocal)、Takuro(Bass)、John(Guitar)、Haru(Drums)
1.1 サウンドチェック
筆者が会場入りした時は、機材のセッティング終了間近だった。フロアではJohnが一人、何かの雑誌を読みながら準備が整うのを待っていた。人一倍楽器が好き、プレイをするのが好き、そしてライブをするのが好きという思いが見ているだけで伝わってくる。この会場の空気、雰囲気が彼に居心地の良さを感じさせてくれたのだろう。それほどまでにその時そこに彼がいることが自然に見えた。やがてTakuro、Maiko、Haruとメンバーが会場に入ってきた。サウンドチェックが終わったHaruはフロアからステージを眺め入念な準備体操を始める。指先だけではなく、みな全身でプレイしていることこそDAZZLE VISIONのプレイだけに、これは重要な準備の一つだ。サウンドチェック自体は、事前のゲネプロで当日の音響と入念な調整を行っていたとのことで、簡単なモニターの調整だけでキッチリ完了した。ライブに全力投球する彼らだけに、ここでつまづくのは不本意。それだけに見えないところで進行を早くすることにも神経を使っているのかもしれない。
また、ギターだけが鳴っている状態だからこそ気付く点だが、Johnのギターの音は思いのほかバラエティに富んだ音色を使い分けている。ラウド系のギターサウンドは割とシンプルにマッシーなディストーションとクリーンサウンドをそれぞれ一本ずつのみというギタリストも少なくないイメージがあるが、真空管アンプ特有のナチュラルな歪みなど、音へのこだわりを感じさせる。「もともとは下北系のギターバンドにいたんですよ」そんなことを語っていたJohn。他のジャンルを経験した彼は、このDAZZLE VISIONのカラフルな色彩感覚を生む部分で大きな役割を果たしているようだ。
1.2 リハーサル
いよいよリハーサルの開始。常に喉に細心の注意を払っているMaikoは平常時からマスクを欠かさず愛用しているが、歌うとなれば覚悟を決めねば、とばかりそれを外した。両腕でマイクをはさみ、上半身をかがめて全身で声を出すように歌い始めた彼女。最初は緊張した様子を見せながらも、努めてリラックスした声を流すように出す。が、一曲また一曲と曲が進むたびにシャウトを始める。体も温まってきただろうか。
そして自らの演奏を確かめるようにプレイするHaruとJohn。Maikoから一歩引いたような立ち位置で黙々とプレイしていたのはTakuro。ステージでは強力なアピールを見せる彼が、舞台裏ではどちらかというと寡黙な様子を見せているのが印象的だった。彼が勢いに任せた暴挙を繰り出すパフォーマーではなく、冷静に状況を判断しアクションする切り込み隊長であるということが見てとれる。この時もそこに彼がいることで、Maikoが安心してプレイに集中していたように見えた。
1.3 オープン準備
リハーサルは簡単にステージの段取りを確認したところで滞りなく終了した。Takuroはベースの音に少し懸念があったのか、しばらくはステージに残り音の確認を行っていた。控室では相変わらずギターを弾き続けるJohn。彼は常にギターを弾くことが好きでたまらない、ギター少年なのだ。一方のMaikoは鏡に向かって準備を始めた。その向かいでくつろいでいたのはHaru。緊張している?と尋ねると「そうですね。でも俺、緊張すると眠くなっちゃうんですよ。昔、運動会の徒競走のスタート直前にも眠くなったことがあって…」そんなことを語っていた彼だが、気が付くとうつらうつらとしていた。
マイぺースな性格を感じる彼だが、彼のそんな調子はDAZZLE VISIONの雰囲気に影響する。彼の調子が良ければ、ステージが悪いはずがない。そう思わせる彼は、その様子からこの日のステージに対しても迷いのなさを感じさせた。開場後程なくしてフロアは人で埋め尽くされた。Tシャツ一枚にタオル持参の彼らは、やる気十分といった様子を見せていた。
クールなビートを打ち出すトランスサウンドから登場したメンバー。突然のブレイクからHaruのカウント、激しいビートが会場中に満ち溢れていく。「Thank you for comin’, We are DAZZLE VISION!」登場したMaikoがフロアに語りかけると、観衆は大きな歓声を上げた。そして、「セカンド」の強烈な第一声が、まるで蜂の巣をつついたように観衆達を暴れさせる。この第一声の詞は、「嫌」という一言だが、その意味さえも打ち砕いてしまうほどの衝撃をもたらした。ここぞ正念場、とばかりにこの曲では定番の腰バン(腰を使った大きなバンギング)を繰り出すMaiko。ワイルドなTakuroのベース音にさらにとげとげしさを与えるJohnのギターが、大きなノリを作るHaruのビートに同期し、会場を包みこんでいく。必死に歌い続けるMaikoを後押しするように、サビ前にTakuroが叫ぶ。「行くぜ!QUATTRO!!」その熱意は観衆に、つぎつぎと伝播していく。
Maikoの抑えきれない衝動を表すかのようなシャウトと、哀愁感すらたたえたメロディが激しく交差する。時に観衆とともにサビをコーラスし、シャウトになればマイクを両方から押し込むように抱え、ありったけの力で自らの思いを叩き込む。そんな彼女を必死にバックアップするTakuroとJohn。一糸乱れぬHaruのビートと合わせ、何の不安も感じさせない後陣の支えは、Maikoにとってどれだけ心強いことだろう。その思いに応えるかのように最高のアピールを見せるMaiko。「今日は最高のライブを見せたい!みんな自由に、思うままに暴れていってください!」思いの丈をそのまま吐き出したMaiko。その彼女を支えるように、Takuroが叫ぶ。「みんな暴れる準備はできているか!?」その言葉にノせられない観衆がいるはずもなく、フロアはモッシュ、ダイブと手が付けられないほどの暴れぶりを見せた。
「言いたいことや伝えたいことは、私は歌詞にして歌って伝えているので、今日は多くを語らずたくさん歌って伝えたいと思います。」Maikoの語りかけに続いて、幻想的なJohnのギターによるイントロが印象的な「キラリ」へと続いた。Maikoがつむぎ出す言葉とメロディを最大限に生かすように刻み続けるビート。HaruとTakuroの相性はこの上もないくらいにぴったりとグルーヴを作り出す。その上で観衆の琴線に触れるハーモニーとアクセントを作り上げるJohnのギター。彼のギターはTakuroのベースラインとはほぼ合わせず隙間を埋めるように自由自在に変化していく。ある意味DAZZLE VISIONの表の部分を象徴しているのがMaikoならば、裏でその特徴を作り上げているのはJohnであるともいえる。
ひたすら押しまくった序盤から、ポップなこの曲に移った展開、これこそMaikoが語った「言いたいことを伝える」ことの表れなのだろう。激しさからグルーヴを重視したノリへ。メロディやハーモニー、ビートと彼らの音が人を引き付ける魅力の秘密の一端が垣間見られた一端だ。「Child be found of…」のゆったりとした6/8のビート、「IN A MOMENT」のポリリズム的なリフとともに、Maikoの感情がまた違う方向から観衆を直撃する。その動きにあわせ、クリーンからディストーションへ、Johnのギターが曲に込めた思いを増幅させ、フロアの観衆を一層大きく揺り動かす。
「ここ一面に満開の桜が咲いている、そんな景色を思い浮かべながら聴いてください。」Maikoの語りかけからバラードの「桜」へ。激しく突き動かされるイメージが強いDAZZLE VISIONとしては、一番想像できない曲、という人もいるかもしれない。が、そこで歌い上げられたMaikoの歌は、強欲なビートで叩きつけられるような訴え方とはまた違った方向から聴くものの心に染み込んだ。暴れまわっていた観衆は、何か別のことが起きたようにじっと立ちすくみ、その歌に聴き入っていた。シャウトなどギミックは一切無いメロディの中で、こうしてこの日集まったフロアの観衆に対する感謝の念を感じるようにメロディをつむいでいくMaiko。曲が終わると、自然に拍手と歓声がフロアから沸き起こり、その感情をたたえていた。
後半戦への狼煙(のろし)を上げるように、Maikoが叫ぶ。「みんな、元気あるの!?今日はまだまだ続くよ!みんな準備はいいかい!」「Yeah!」そして暴虐なシャウトが初っ端から連発する「REASON」からスパートをかけていくDAZZLE VISION。「おいQUATTRO!楽しんでいるか!?最後まで楽しんでいけよ!」Takuroがまたさらに観客をあおったのを機に、Johnのギターソロへ。Maikoから流れ出すメロディの、一番訴えたい部分への抑揚を、バンド全体が作る。さらにMaikoの合図から巨大なサークルピットが現れる。曲から受ける衝動、それがなければDAZZLE VISIONではない。その意味をかみしめるように曲の急激な展開に身を任せ、フロアで暴れまくる観衆。
そしていよいよクライマックス。Takuroが観衆を強烈にあおり、コールアンドレスポンスから続けてハードコアなナンバー「All refused」で気持ちをグッと持ち上げていくと、ラストナンバーの「One for all All for one」へ。荒々しいリフとともに激情が会場を支配する。サビでトーンダウンしても観衆が手拍子でMaikoのメロディをバックアップする。「ラスト行くよ!」「Yeah!」最後のサビを告げるMaikoの呼びかけに応える観衆。まさしく「One for all,All for one」のタイトルどおり、会場が一つになった瞬間がそこに現われた。そしてフィニッシュ。やり切った解放感をその表情に讃え、4人はステージを降りた。
彼らが去ったあとに沸き起こるアンコール。「DAZZLE VISION!DAZZLE VISION!」彼らを呼ぶ声は嵐のように会場に響いた。その呼びかけに応え再びステージに現われた4人。この2日前に流星群を見たエピソードから、Maikoが語る。「流星群に今日の成功を祈りました。これからも私の願いが届きますように。」その思いを込めて歌うラストナンバー「tonight」。疾走するビートがMaikoの思いをさらに広げていく。彼女の思いは星に届き、最高の終演を会場中の人にもたらした。
ライブ後の彼らは、やはり緊張の束縛から解放された晴れやかな表情を見せていた。多くの知人がバックステージに駆けつけ、彼らのステージの成功をたたえた。もちろん、この日の成功に疑いの余地はなかったことは確かだが、やはりこの時を迎えた感動はひとしおというところ。
会場撤収、そしてステージ成功の美酒に酔う彼ら。会場で感じたプレイ前の少し緊張した気持ちはここでは見られない。素直に成功を喜びながら、緊張の束縛から解放された晴れやかな表情がそこにあった。

◆公式サイト
http://dazzlevision.net/
◆ライブ情報
2013年03月15日(金) 【千葉】稲毛K’s Dream
2013年03月24日(日) 【東京】渋谷CYCLONE
2013年03月28日(木) 【大阪】心斎橋DROP
2013年04月06日(土) 【アメリカ】ピッツバーグ David L. Lawrence Convention Center
2013年04月13日(土) 【名古屋】今池CLUB 3STAR
M01. セカンド
M02. エボシューション
M03. STEP
M04. OVER
M05. HERE
M06. キラリ
M07. Child be found of…
M08. IN A MOMENT
M09. Take my hand
M10. バラバラ雨
M11. 桜
M12. REASON
M13. CIRCLE
M14. Eternity
M15. Like I’m not real
M16. Miss Cinderella
M17. All refused
M18. One for all, All for one
【Encore】
E01. tonight
DAZZLE VISIONというと、バンドの個性を強く魅せるMaikoの存在がクローズアップされることが多いが、改めて彼らはこの4人だからこそDAZZLE VISIONである、ということを感じさせてくれた。チームの土台を作るHaruと状況に応じて率先して切り込んでいくTakuro、バンドに彩を与えるJohn。この3人が抜群のコンビネーションを見せるからこそ、Maikoは最高のタッチダウンを決めることができる。4人のメンバーが織りなすケミストリーは聴くものを気持ちも体もじっとしてはいられない状態にしてくれる。
彼らは、自己を相対評価せず、「自分は自分」として成長していく。何か競合するバンドのイメージも思い浮かばない、唯一無二の存在である彼らには、自らが成長することに迷いを感じさせない。常にキラーなナンバーをリリースし続けている彼らだが、次の作品はもっと強力なナンバーだと思わずにはいられない。そう思わせる魅力は彼らの武器だ。日本を飛び出しても十分にアピールする実力がありながら、決して気後れも迷いもない、突き進むだけのDAZZLE VISION。既に決まっているアメリカ遠征を皮切りに、今年はどんな活躍を見せてくれるだろうか?ただ彼らの前進を願ってやまない。
発売中
SMRA-1004/2,000円(税込)
限定リストバンド付 スペシャル・シングル
収録曲:
M01.エボリューション
M02.ジレンマ
M03.OVER
M04.エボリューション(instulmental)
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https://www.beeast69.com/report/29422