TEXT:長澤智典
国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタヴュー特集「ROCK ATTENTION」。第47回に登場するのは、CROWLEY 。LOUDNESS を筆頭に、BOW WOW /EARTHSHAKER /44 MAGNUM /MARINO などジャパメタという名の元に、80年代の日本のハードロック/ヘヴィメタル・バンドたちが音楽シーンを熱く掻きまわしていた時代があった。彼らが日本のヘヴィメタル界の黎明期を担ったバンドなら、その後ANTHEM /FLATBACKER /SABBRABELLS らが台頭。やがてその血はDEAD END やX (現・X JAPAN )へと受け継がれ、その一部の意志は今のヴィジュアルシーンにも流れていった。
その歴史の中、80年代中期に登場。独自の道を歩み、その名を当初から海外にまで知らしめていたバンドがあった。それが、名古屋をベースに活動していたCROWLEY !CROWLEY が強く打ち出していたのが、サタニックメタル/ブラックメタルなスタイル。「オカルト/ホラー/魔術/魔法使い」など「神秘/恐怖/狂気」を前面に打ち出したCROWLEY の音楽性は、速さの追求や形式ばった様式美など形骸化したヘヴィメタル音楽が量産され没個性していく中、他には属さない独自の妖気を放ち、高い支持を得ていた。ステージング面に於いても、十字架やペンタグラムを模したオブジェを燃やしたり棺桶を使ったりと、バンド/楽曲の持つ呪術的な世界観をステージングやビジュアルに投影。国内のみならず、海外にも数多くの信奉者を生み出した。
86年にLP盤として発売した『WHISPER OF THE EVIL』は、限られた流通と通販という販売形態だったにも関わらず、当時10000枚以上売り上げている。現状、未CD化状態だけに、CD化を待望する声はいまだに多い。CROWLEY は、83年に結成。様々な伝説を刻みながらも、87年に解散。実質、4年程度の短い活動期間でしかなかった。それでも歴史の中で語り継がれ続けているように、CROWLEY が残した影響力には多大なものがあった。
そのCROWLEY が、30年の時を経て、ふたたび活動の狼煙を上げた。正確に語るなら、彼らのホームグラウンドだった名古屋E.L.L(Electric Lady Land)の新設移転を前に、旧E.L.L.が閉鎖になる2000年に、オリジナルメンバーの岩井高志 {以下岩井 }(Vocals)/古久根吉紀 {以下古久根 }(Guitar)/HIRO (Drums)にゲストベースを加えた形で短いライヴを実施。2007年にもアンプラグドのイヴェントへ出演し、当時は未発売ながらメンバーで「Destitute Song(2007 unplugged Ver.)」のレコーディングも行っていた。
その頃からCROWLEY は、ふたたび活動の雄叫びを上げようと準備を整えてきた。復活の起爆剤となったのは、本当なら今年行われるはずだった北米ツアー「METAL ALL STARS」へ、CROWLEY がオープニングアクトとして招聘されたことだった。CROWLEY の復活の噂を聞きつけた海外イベンターのオファーを受け、オリジナルメンバー岩井 /古久根 /HIRO は、このツアーを本格的な復帰の舞台に設定。新たに三芳俊二 (Bass)をメンバーへ迎えれば、同ツアーで販売しようと、CROWLEY の曲たちを英詞でセルフカヴァーしたアルバム『NOCTURNE』を作りあげた。
だが、同ツアーはプロモーターの失踪というアクシデントに遭い、キャンセル。CROWLEY のライブとしての復帰の場は一度白紙に戻すことになった。が、CROWLEY 復活の噂を聞きつけた内外のファンたちからのリリース待望の声を受け、ライブ活動再開の前に、アルバム『NOCTURNE』の国内発売を決定。2017年9月6日、その音源の封印がついに解かれることになった。
アルバム『NOCTURNE』には、「Ghoul」や「Don’t be in a hurry」「Nocturne」など、すべて英詞で新録された楽曲を全部で8曲収録。さらにボーナストラックとして、2007年にアンプラグドイヴェントへ出演した時期にレコーディングした「Destitute Song(2007 unplugged Ver.)」。CROWLEY のライブには欠かせない名曲「Evening Prayer(1985 demo Track)」も並べている。そのCROWLEY の今を、HIRO と古久根吉紀 の2人が語ってくれた。
CROWLEY – GHOUL (PV Ver.1)
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CROWLEY NEW ALBUM “NOCTURNE” TRAILER
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CROWLEYの活動を発表してみると、自分たちの予想を超えたリアクションがあった。それは、自分たちにとっても非常に嬉しかったこと。それが、CROWLEYを未来へ突き動かす力にも変わったことだからね。
古久根: CROWLEY として最期のライヴを演ったのが、1987年のことでした。それ以降、CROWLEY はずっと活動を封印していたわけですが…。
HIRO: 最初のきっかけが、CROWLEY のホームグラウンドであった名古屋のE.L.Lの移転が決まり、当時のE.L.Lで花のある時期を飾ったバンドたちを集めたイヴェントウィークをE.L.L.が2000年に開催。そこの1日に「CROWLEY も出ませんか?」と誘いをかけられたことからでした。
当時は、オリジナルメンバーの岩井 /古久根 /HIRO が集まり、サポートベースを迎えたショートステージを実施。そのときの手応えや楽しさがあったことから、「きっかけ次第でCROWLEY を動かそう」という話にはなったのですが、当時は、アクションを起こすタイミングを上手くつかむことが出来なかった。あの頃は、僕が東京やアメリカを拠点に活動していれば、他のメンバーは愛知県に住んでいたように距離的な問題もありました。しかも、それぞれにやっているバンドもあれば、仕事もあり、3人のスケジュールを上手く合わせるのが難しかったのが正直なところでした。
それでも、2007年にアンプラグトイヴェントの企画に誘われ、あのときはドラムレスで、僕がベースを弾く形で3人で演奏。そのときの演奏も、ライヴの手応えもすごく良くて、とくに音源化ということは考えず、今回の『NOCTURNE』にもボーナストラックとして収録した「Destitute Song (2007 unplugged Ver.)」を録音。
この3人が集まったときは、全員が本気で音楽へ向き合い楽しんでいたように、全員の気持ちは前向きではあったけど。なかなか本格始動というタイミングまでには至らず、そこから暫く時を過ごしてしまっていたわけですが…。
古久根: そこで、海外ツアーの話が出たのは大きかったね。
HIRO: そうだね。たまたま僕のアメリカで活動しているバンドの友人の繋がりから、『METAL ALL STARS』という有名な北米ツアーのオープニングアクトで45分のステージをやらないかという話を振っていただいたんですね。それが、CROWLEY として復活を告げるには相応しい場ということと、僕も愛知県に戻り、3人とも動きやすい環境が整っていたこともあって、本格的な復帰へ向けて動き始めたわけなんです。
スタートは海外からですが、もちろん、日本での活動も視野に入れていたし。何より、せっかく海外をサーキットするのであれば、新しい音源を出そう。海外の人たちに届けるのなら英語バージョンで録音をし、それを持ってツアーへ参加しようという想いから、CROWLEY の曲たちを英詞に変えて新録した『NOCTURNE』を制作。それを持って北米ツアーへと思っていたところ、幾度か延期話が持ち上がり、結果的にツアーはキャンセルになってしまいました。
本当であれば、今回の新作に合わせ、E.L.L. LABELより発売した過去のLPのリイシュー盤もCD化して同時に発売しようと動いていたのですが、ツアーの中止から、その話もストップになり、結果、アルバム『NOCTURNE』だけが宙ぶらりん状態へ陥ってしまった。そのときに旧知の仲間が手を差し伸べてくれたことから、ライヴ活動を始める前に、まずは復活の狼煙として、先にアルバム『NOCTURNE』のリリースを行うことを決めたわけなんです。
—CROWLEYの復活や新作アルバムの発売の情報が流れたとたん、世の中のリアクションが凄かったそうですね。
古久根: CROWLEY の復活を待っててくれた声は大きかったですね。自分たちでも、相応の反響は予想していたんですけど、まさか、ここまで大きいとは…。そこは、自分たちでも嬉しい予想外のことでしたね。
HIRO: あれから30年という時が経ってゆく中、それぞれに生きる環境にもいろんな変化が出てゆくもの。よく海外のミュージシャンでもあるじゃないですか、復帰したときに一人だけ髪の毛が短かかったり。「なんでだろう?」と事情を知ったら、最近まで会社員をやっていたとか。僕や古久根 は音楽で生計を立て、音楽を中心とした生活を送っているけど、メンバーみんながそうとは限らなければ、それぞれに背負った事情もある。
みんなCROWLEY をやりたい気持ちはあるけど、各々の活動の中、そのタイミングが噛み合わなかったこともあった。今回のタイミングで全員の意識と時間が噛み合ったのも、何かの縁。だったら、そのタイミングを大事にしていきたいじゃない。しかも、CROWLEY の活動を発表してみると、自分たちの予想を超えたリアクションがあった。それは、自分たちにとっても非常に嬉しいこと。それが、CROWLEY を未来へ突き動かす力にも変わったことだからね。
CROWLEYは英語圏の人たちへ詞の意味を伝えることへ強くこだわりたかった。
—アルバム『NOCTURNE』で、過去の楽曲たちを英詞に変えてレコーディングしたのも、もともとは北米ツアー『METAL ALL STARS』へ向けての強い意志の元だったんですね。
古久根: そこが大きかったと思います。以前から海外からも反響があったにせよ、それまでは国内での活動しか考えていなかったのが、外(海外ツアー)へ意識を向けたことによって、やっぱしテンションも上がるし、世界に通用する作品を作らなきゃと、気持ちを大きく突き動かされた部分がありましたからね。だからこそ、英詞にしたわけだし。
—英詞に変えたのは、嬉しい進化の姿だなと感じました。
HIRO: 今って英詞のバンドが増えましたよね。メタル系やラウド系、メロコア系などなど。中でもメロコア系の人たちは英詞が多いけど、その発音は英語に聞こえないんですよ。それで「英語の発音がネイティブになってない」と言うと、「ノリを活かすために英詞にしているだけだから、聞こえなくてもいい」と言うわけです。それって、自分たちのメッセージを伝えようという気持ちがないってこと。それが全員ではないだろうし、英詞を使うメタル系の人たちの意識も僕はわからないけど、CROWLEY に関しては英語圏の人たちへ詞の意味を伝えることへ強くこだわりたかった。
たとえパーフェクトなイントネーションではなくとも、ネイティブの人たちに伝わる英語の歌にしたかったように、そこのレベル面では成功したと思います。実際、アメリカのミュージシャンや業界関係の人に聴かせたときも、歌詞の発音に対しての指摘はまったくなかった。あえて一例を上げて例えるなら、SCORPIONS がドイツ語訛りの英語でもネイティブの人たちの心に届いたのと同じレベルにまで、今回の作品を持っていきました。
—何も知らずに聴いたらもともと英詞曲と思ってしまうくらい、日本語詞を英詞に変えても違和感なく響いてきたのも嬉しい聞きどころでした。
HIRO: もともとCROWLEY の歌詞は、ジャパニーズメタルが流行った時代によくあった類の歌詞やメロディとはニュアンスが違ってた。それが結果的に、今の時代の中でも、歌詞を英詞に変えてさえも古さを感じさせない要因になってくれたのかなとは思います。
古久根: それは、サウンド面にも言えること。あの当時の楽曲を今に甦らせても古さを感じさせない。そんな音になっていますからね。
HIRO: 今回、僕が全部のエンジニアも担当したんですけど。何に感動したって、昔とは使ってる機材が違うのに、昔と同じ音を出せているんですよ。とくにギターは、今の時代の中では誰もがギターの音色を潰しちゃうくらいHI-GAINな音にして表現していく中、古久根 はピッキングでそれを出してゆく。そこは熟練の技が成せること。ヴォーカルだって、そう。今や耳が疲れてしまうハイトーンを出すヴォーカリストばかりの中、岩井 の歌声は力強いのに耳心地好く聞いてて疲れないハイトーンを出してゆく。そこなんだよね。
CROWLEYは、昔と変わってない、あの頃のヤバい匂いをしっかりと見せたかった。
—アルバム『NOCTURNE』へ収録した曲たちを選んだ基準、それも教えてください。
古久根: ここには入ってない名曲たちもCROWLEY にはたくさんある。だけど今回に関しては、これまで一度も音源化されたことがない楽曲など、CROWLEY の隠れた名曲たちを世の中へ出してあげたかった。
HIRO: そうだね。もちろん、過去に音源化されている曲たちも入ってるんだけど。「Don’t be in a hurry」は、E.L.L RABELで出したコンピレーション盤に収録していたCROWLEY 初期の楽曲。あの頃は、制作する側も、バンド側もレコーディングの知識が足りてなくて、自分たちのイメージ通りのサウンドに出来なかった。しかも「Don’t be in a hurry」は、ライヴで何かしらの演出をした後に演奏すると観客たちがバーッと盛り上がったりなど、ライヴでも大切なポジションを占める楽曲だったことから、「自分たちが本当に求めた形で残したいね」ということで入れました。
僕は、1986年に脱退しているんだけど。アルバム『NOCTURNE』には、僕が在籍していなかった時代の楽曲も3曲入っているように、『NOCTURNE』はCROWLEY の歴史を知るうえでベストな選曲として行えば、実際に並べたら非常にいい流れになっていた。何よりセルフカヴァーしたことで、自分たち自身が原点の気持ちへしっかり戻れたのも大きかった。
古久根: そこが大きかったよね。自分たち自身で、CROWLEY とはどういう存在かを確かめてたような…。
HIRO: 再結成バンドって、もちろん演奏は上手くなっているんですけど、昔のヤバかった匂いが無くなってたりすることも多い。悪くはないけど、良くもないみたいな。CROWLEY は昔と変わってない、あの頃のヤバい匂いをしっかりと見せたかったように、そこへもこだわりを持って制作していったからね。
—メンバーにとっても、アルバム『NOCTURNE』を作ったことは…。
古久根: 自分らをCROWLEY のメンバーに戻したという面では、すごくおっきい作品ですよ。むしろ、このアルバムを作ったことでメンバーみんなのモチベーションも上がれば、もっともっと作品を作りたい気持ちになっているからね。
HIRO: ただし、いきなりライブを演るとなっても、30年というブランクが空いてることもあって、なかなか観る側だってリアリティを覚えづらい。そのためにも、まずは作品を届けることが大切。その作品を手にすることで「本当にCROWLEY は動き出すんだ」とオーディエンスたちも信じてくれれば、今回新たにCROWLEY を知り、そこの期待感から新たな広がりも生まれてゆく。そのうえで僕らは次のアクションを起こしたい。そういう意識なんです。
昔はあんなに頑張って楽曲を書いてたのに、結局は形として残せていない。だからこそ、こういう形で楽曲たちを残せたことが俺は本当に良かったなと思ってる。
—今はYouTubeを通し、過去の映像を見てCROWLEYに伝説を覚えている人たちも多く感じますし、今回の復活の発表を受け、自分のようにYouTubeを通し、懐かしい映像を発見という人たちも多い気がします。
HIRO: 僕らは、CROWLEY の音楽が今の時代の人たちの心を打つと信じてる。速さやテクニック重点のあまり感情も何も伝わってこない音楽ではなく、フレーズ一つのセンスも含め、心に残るギターリフやソロを重視している。ボーカルはもちろん、ギターにも心を打つメロディがあったうえで、けっして古くさいとは言わせない魅力を今も放っています。
—それは、過去を知らない人たちが聞けば感じてくれることだと思います。中には、「Evening Prayer(1985 demo Track)」を収録。往年のファンには嬉しい楽曲の登場です。
HIRO: じつは「Evening Prayer」って、形にしてないだけで5回はレコーディングしているんですよ。しかもこの曲は、CROWLEY のセットリストの中でもメインとなる楽曲。以前から、「なんでこの曲を形にしないんだ」と言われてきたけど。今回改めて昔の録音音源を聴いたとき、思ってた以上に保存状態が良かったことから、それをデジタル処理してマスタリング。結果、意外にいい感じの音で収録することが出来たなと思っています。
—アルバム『NOCTURNE』は、往年のCROWLEYファンはもちろん、これからCROWLEYを知る人にとってもバンドのポイントを抑えた良い作品になりましたよね。
HIRO: そういう作品になったと思います。むしろ今は、英詞の楽曲のほうが僕らとしては馴染み深いものになっているくらい。今後、海外に出るチャンスをふたたびつかみたいと思っているように、そのときは堂々と英詞のCROWLEY の歌を届けたいからね。
古久根: 僕にとってみれば、どれも可愛い子供みたいな曲ばかり。昔はあんなに頑張って楽曲を書いてたのに、結局は形として残せていない。だからこそ今回、こういう形で楽曲たちを残せたことが俺は本当に良かったなと思ってる。実際にアルバムを聞いてても、「この曲を聞くとある場面を思い出す」という歌ばかり。もちろん、良いことばかりじゃなく嫌な想い出が甦ったりもするんだけど…。
HIRO: そういうのもひっくるめて、またこうやってCROWLEY として集まれたことは、そういう運命を背負っていたからなんだろうね。この30年というインターバルは、けっして無駄ではなかった。むしろ、2000年頃や2007年頃に「このまま何か新しい動きを」と行動を取ったとしたら、今のようにはなっていなかった。ここまでCROWLEY の復活を引っ張ってきたのはけっして偶然ではなく、必然だったのかも知れないと、今、動き出して素直に感じてます。
古久根: 確かに、このタイミングで良かったなとは感じるね。
『NOCTURNE』というアルバムを新たなスタートラインに、これからは正規にいろんな形を出していきたいなとも思ってる。
—アルバム『NOCTURNE』を発売して以降、CROWLEYはどんな動きを見せてゆくのでしょうか?
HIRO: 最近、いろんな海外のレーベルから「音源や映像を出したい」という話をいただくんだけど、よく聞かれるのが「当時のマルチアングルのライヴ映像はないのか?あったらすぐにでも出したい」ということ。CROWLEY が活動していた80年代当時って、ライヴハウスに据え置きの録画用VIDEOはあっても、まだ一般人がハンディカムのVIDEOカメラを廻す時代ではなかった。それが一般的に出始めたのは90年代に入ってから。だから、僕らの手元にはマルチアングルの映像は存在していない。加えて、CROWLEY のCD音源がなかったからこそ、昔出したLPなどの音源がブートレグ盤として海外でたくさん出回っています。
つまり、これまでは、CROWLEY に興味を持った人たちが音源や映像を手にしようと思っても、商品自体がなかったんです。それこそ、さっき古久根 が言ってたように、頑張って作りあげた楽曲たちが、CROWLEY の場合はCD盤などの形でこの世に存在していなかった。だからこそ今回、正式な音源として『NOCTURNE』を作れたことは我々にとっても嬉しいことだし、『NOCTURNE』というアルバムを新たなスタートラインに、これからは正規な形でいろいろ出していきたいなと思ってる。
古久根: 今はそれが自分たちで出来る時代だから、やっていけるよ。それは、CROWLEY として動き出す以上やってかなきゃいけないでしょ。
HIRO: 今はアルバム『NOCTURNE』のリリースについて動いてる状態で、正式な復活ライブなどは、まだ何も決まってない状態なんですけど。僕の勝手の理想としては、CROWLEY のライブ映像をしっかりマルチアングル映像としてシューティングをし、それをLIVE DVDとして発表し、今の姿をまずは形に残したいなと思ってる。そのうえで、新作アルバムの制作へ取りかかるなり、そうやってマイペースながらも、止めることなく進んでいけたらなと思います。
—今は、映像も大切な繋がりの手段ですしね。
HIRO: 実際にYouTube上には「Ghoul」のMVや、「CROWLEY NEW ALBUM “NOCTURNE” TRAILER」もバンド認可の映像としてアップロードしてるとはいえ、バンド未認可でアップロードされる映像ではなく、自分たちとして発表したい映像を世に残していきたいと思っているように、そういうことも出来るだけやっていきたいですね。
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—先にも触れましたが、昔の楽曲のセルフカヴァーとはいえ音の質感も含め古さを感じさせない。そこがポイントだと感じています。
HIRO: 昔からCROWLEY のギターサウンドに対して、「チェーンソーでギャーンと切り刻んだような”のこぎりサウンド”」と言われてたんだけど。その音と同じニュアンスを活かせてるのが嬉しいね。とにかくCROWLEY は、ギターの音の壁を作りたい。両サイドからギターの音が迫りながらも、リズムも埋もれなければ、ヴォーカルも主張していく。それを音源でも、ようやく形にすることが出来た。昔のメタル系のアルバムを聞いてると、意外とギターの音って小さいんだよね。
古久根: こんだけギターの音を出せるようになったは、ここ10年くらいじゃない?
HIRO: 昔はライブでの臨場感を音源にする技術と知識がなかった。でも、今はそれを自分たちでも学び、形に出来る技術を身につけた。今でもそうだけど、この手のHEAVYなバンドの場合、ギターの音を潰れるか潰れないかまでHI-GAINにして両サイドからガーッと流してゆく傾向があるけど。CROWLEY は、そんなにGAINが高いわけではない。それと同等の迫力をピッキングを通して出している。それが出来るのも、死ぬほど練習やライヴを重ね、身につけてきた成果。そこも、アルバムでは感じ取って欲しいなと思います。
—では最後に、ひと言ずつメッセージをお願いします。
古久根: アルバム『NOCTURNE』は期待に沿う内容に仕上がっているはず。みんなに期待に応えるに相応しい作品だからこそ、発売の日を期待を胸に待っててください。
HIRO: 昔からずっと復活を待ち続けていたファンの方も、名前は聴いたごとあるけどという方も、名前すら聴いたことのなかった人たちも含め、一人でも多くの人にCROWLEY のアルバム『NOCTURNE』を聞いていただきたい。それを聴き、先に語った言葉たちの意味を納得してもらったうえで、一緒にCROWLEY を楽しんでいきたい。これからは、みなさんと楽しい時間を共有していく活動を作りあげようと思っているので、よろしくお願いします。
◆CD Information
THE NEW ALBUM “NOCTURNE”
2017.9.6 on SALE! 3,024円(税込)
レーベル:DROP OUT MUSIC
M01. Fairy Tricks
M02. Floating Man
M03. Ghoul
M04. Bad Stone
M05. Await
M06. Nocturne
M07. Don’t be in a hurry
M08. Midnight Dream
~Bonus Tracks~
M09. Destitute Song (2007 unplugged Ver.)
M10. Evening Prayer (1985 demo Track)
全曲、歌詞が英語ヴァージョンの最新録音アルバムで、過去にリリースされた事のない曲や過去に発表した曲を再度、アレンジして英語ヴァージョンとしてリメイクされた事実上のニューアルバム。最新録音8曲に加え、1985年に録音された未発表の名曲「Evening Prayer」と、2007年に録音された「Destitute Song」のアンプラグド・ヴァージョンの2曲をボーナストラックとして収録した全10曲入りアルバム。