FEATURE丨2026.04.08
【特集】FUSE THE SOUL
TEXT:栗林啓 PHOTO:ossie
FUSE THE SOUL
2025.12.06,07 @Hatsudai DOORS

2000年12月6日に1stシングル「escapism」でシーンに名乗りを上げたHEAD PHONES PRESIDENT。ラウドロックを基軸に、海外ツアーや数々のリリースを重ね、独自のポジションを着実に確立してきた彼らが、デビュー25周年イベントのファイナルとして初台DOORSにて『FUSE THE SOUL』を開催した。DAY1は5人編成時代の初期の楽曲限定セットリスト、DAY2は現4人体制以降の楽曲でセットリストを構成し、単なるアニバーサリー公演ではなく、25年の時間軸を立体的に提示するイベントである。メンバーチェンジや時代の変化を経ても活動を止めなかったこと、その積み重ねがどのように現在のサウンドへと結実してきたのか、HEAD PHONES PRESIDENTの25年を2日間で体現できる特別な公演となった。両日ともDJ YUGOがDJで会場を盛り上げ、ギターのHIROのソロセットで幕を開け、彼らとゆかりのあるゲストのバンドと共に四半世紀の歴史を祝う熱いステージが繰り広げられた。

<DAY1>
HIRO







HEAD PHONES PRESIDENTのギタリストHIROはソロ名義で出演。HIRO曰く「自らソロで出演して盛り上げるスタイル」で25周年イベントの幕開けを飾った。DJ YUGOによるスペースファンタジーを想起させるVJを背景に、オケを用いたインストゥルメンタル中心のセットのソロショウスタイルでステージに立ち、ギターインストの魅力を存分に披露していた。空間系エフェクトを駆使した広がりのある音像、変拍子を織り交ぜた緻密な楽曲は、ギタリストとしてのHIROの懐の深さを明確に表す。2曲目には新曲「EM RIFF」も披露され、制作中のアルバムへの期待を抱かせた。ラストは変拍子が特徴的な「SUPER STRINGS THEORY」で締め、テクニカルでありながらもエモーショナルな側面を印象づけ、ライブハウスでのHIROソロを久々に堪能できる貴重なセットとなった。
◆HIRO
HIRO (Guitar)
◆Set List
M01. BREAKTHROUGH STARSHOT
M02. EM RIFF (New Song)
M03. OPEN WORLD
M04. ESCAPE FROM THE HORIZONS
M05. SUPER STRINGS THEORY
VORCHAOS








ギターのフィードバックから登場したVORCHAOSは、タイトなアンサンブルとダイナミックな展開でフロアを掌握する。情感たっぷりに歌い上げるスタイルとスクリームを巧みに行き来する淳のヴォーカルが楽曲に深みを与えていた。中盤では観客とのコール&レスポンスから一気にヘヴィチューン「Im!」へと雪崩れ込む。最後には「We Are VORCHAOS!!」の掛け声で締め、ライブバンドとしての彼らの実力を存分に示していた。彼ら自身もデビュー15周年を迎え、「どれだけやっても先輩がいるのはとても良いこと」と淳が語っていたように、HEAD PHONES PRESIDENTとの関係性、そしてシーンの繋がりを意識する彼らの誠実さが滲み出ていた。
◆VORCHAOS
淳 (Vocal)
yuzo (Guitar)
Fuji (Bass)
Masashi"USHI"Ushijima (Drums)
◆Official Website
http://vorchaos.com/
◆Set List
M01. 凪
M02. 漂泊
M03. Singularity
M04. He's back again
M05. Im!
M06. 碧 限りなく•••
M07. Tear Drop
M08. 遠く•••
exist†trace








ひとりずつメンバーがステージに現れ、exist†traceはその華やかな登場から一気に会場の空気を変える。メロディとヘヴィネスを両立させる楽曲、視覚的な演出も含めトータルな表現力が光る。歌謡曲テイストでキャッチーなサビ、メロディックなロックバラードと、exist†traceならではの色彩を持つ楽曲群が印象的だ。バラードの「ひとひら」では、彼女たちの表現力が観客を感情の振幅へと導いていた。「21年やってきて我々は長い方だが、まだまだ上がいる」とジョウが語っていたが、11月19日にニューアルバム『WHO I AM』がリリースのアナウンスもあり、長年の活動で磨き上げられた安定感と、さらに前進を続ける意志が感じさせるステージで、20年活動のバンドの貫禄を見せた。
◆exist†trace
ジョウ (Vocal)
miko (Guitar/Vocal)
乙魅 (Guitar)
猶人 (Bass)
Mally (Drums)
◆Official Website
https://exist-trace.com/
◆Set List
M01. WHO I AM
M02. REMEMBER ME
M03. LOOP ON LINK
M04. 閉ざされた世界
M05. ひとひら
M06. 君に会いたくて
M07. DREAM RIDER
M08. 激動
M09. VOICE
JURASSIC JADE








HIZUMIが前衛舞踏を想起させる独特なパフォーマンスで入場すると、JURASSIC JADEは立て続けに繰り出されるスラッシュチューンで会場を圧倒する。NATSUKIのザクザクとしたギターリフとYASUNORIの独特なトーンのベースのコントラストが印象的で、鋭利なギターリフと重量感あるリズム隊が生み出す緊張感は圧巻だ。HIZUMIのウィットに富んだMCも健在。ベースのWATANABEの脱退と来年から新メンバーを迎えることが告げられたが、それでも前進を止めない姿勢が印象に残る。ラストは「僕等の狂気」でHAYAは一糸乱れぬブラストビートを叩き込み、長いキャリアに裏打ちされた説得力と今なお増し続ける力強さを見せつけた。
◆JURASSIC JADE
HIZUMI (Vocal)
HAYA (Drums)
NATSUKI (Guitar)
YASUNORI (Bassサポート)
◆Official Website
https://jurassicjade.jimdofree.com/
◆Set List
M01. 血が出るまで
M02. G.D.G
M03. After Killing Mam
M04. Chaos Queen
M05. 天安門上太旧升
M06. 誰かが殺した日々
M07. This is Ma' Song
M08. ドク・ユメ・スペルマ
M09. Go To The Dogs
M10. Child Abuse➡D-day
M11. 僕らの狂気
HEAD PHONES PRESIDENT















DAY1のHEAD PHONES PRESIDENTは、5人編成時代の初期楽曲限定セットという、ファンにとって極めて貴重なステージが展開された。DJ YUGOのVJが楽曲の没入感をさらに深める中、重く、暗く、グルーヴィーで、MCを挟まず畳み掛ける構成は、当時の緊張感を想起させるものだった。「Crap Head」は実に24年ぶりの演奏で、NARUMIとBATCHも初演奏という歴史的瞬間となった。初期の楽曲特有の荒々しさを保ちながらも、現在の編成による再解釈が施され、楽曲が今の姿として提示された。かつての楽曲が決して古びていないこと、その核が現在まで持続していることを証明するパフォーマンスだった。初期の曲の中でもアッパーでコンパクトな楽曲がメインだったため、2017年の『DEVILIZE IT』公演の時ほどダークではなく、むしろ現在のライブのセットに織り込んでも違和感のない鮮度を保っていた。ラストの「Light to Die」が2015年の『alteration』バージョンだったのは、過去と現在を繋ぐ象徴のように響き、25年の時間が一本の線として示された。過去から現在へと持続する確固たる核を持つHEAD PHONE PRESIDENTだからこそ、初期の曲を現在形において世に放つことができる。デビュー25周年の重みを感じさせる圧巻のステージだった。
◆HEAD PHONES PRESIDENT
ANZA (Vocal)
HIRO (Guitar)
NARUMI(Bass)
BATCH (Drums)
◆Official Website
http://headphonespresident.com/
◆Set List
M01. Alien Blood
M02. Room
M03. Crap head
M04. What's
M05. Sacrificed
M06. Corroded
M07. ill-Treat
M08. Life is not fair
M09. Chain
M10. Nowhere
M11. Lie waste
M12. Light to Die

<DAY2>
HIRO






HIROは前日から全曲を入れ替えた意欲的なセットで登場。新曲「Dry Land」も披露され、現在ニューアルバムを制作中で2026年に発表できればとの展望を語った。現在進行形の創作状況を明確に提示する、インストゥルメンタルでありながら情景が浮かぶ構成力は健在。オケをバックにしたギターインストの魅力を存分に発揮し、前日に続きライブハウスのステージで観るHIROソロの演奏に、新作への期待が高まる内容であった。
◆HIRO
HIRO (Guitar)
◆Set List
M01. GROOVE RIOT
M02. STRAIGHT TO THE HEART
M03. WAVERING SUMMER
M04. DRY LAND (New Song)
M05. COSMOLOGY
Angers








Angersは、ゴシックとヘヴィロックを融合したサウンドで存在感を示す。samiがドレスをひらめかせてのパフォーマンスで、視覚的にも鮮烈。HEAD PHONES PRESIDENTの「I will stay」のカバーでは彼らへのリスペクトを示しつつ、Angers流のアレンジで再構築。samiはHEAD PHONES PRESIDENTとの思い出を語り、ラストの「13th Card」はヘヴィな中にも切ない歌メロが印象的な楽曲で締めた。長年活動を続けてきたからこその力と音楽への愛と衝動が感じられるステージで、2026年に発売予定のニューアルバムに向けて確かな手応えを感じさせた。
◆Angers
sami (Vocal)
sin (Guitar)
YASU (Guitar)
UT (Bass)
TETSUYA (Drums)
◆Official Website
https://angers-official.jp/
◆Set List
M01. revolt
M02. only the end
M03. scared
M04. SAYONARA
M05. instinc
M06. 夜宴
M07. I will stay
M08. 13th card
S.O.S (SHINGO OTANI SESSION)








S.O.S (SHINGO OTANI SESSION)は、今年5月に横須賀で始動したUNITEDの大谷慎吾を中心とした実力派によるカバーセッション。Carmina Buranaの「O Fortuna」のSEからS.O.D.の「March of the S.O.D.」でスタートした。大谷慎吾とDos QuatroのIKAのツインギター、元X/MEPHISTOPHELESのHIKARUがベース、UNITEDのAKIRAがドラムという豪華メンバーで、UNITEDの「Cross Over the Line」、IRON MAIDEN、RAINBOW、RIOTの往年の名曲を細部までこだわり抜いて緻密に再現しながらも、ANZA(双子の妹NANZA!)とAREAのツインヴォーカルで華やかに展開。トークを織り交ぜながら愉快に会場を盛り上げ、お祭り的な側面を強調した。メンバーが楽しんで演奏している姿が印象的で、テクニックと遊び心が同居するステージが、イベントに多彩な色を加えていた。
◆S.O.S (SHINGO OTANI SESSION)
ANZA (Vocal)
AREA (Vocal)
大谷慎吾 (Guitar)
IKA (Guitar)
HIKARU (Bass)
AKIRA (Drums)
◆Set List
M01. March of the S.O.D. (S.O.D.)
M02. Cross Over the Line (United)
M03. Purgatory (Iron Maiden)
M04. Transylvania (Iron Maiden)
M05. Kill the King (Rainbow)
M06. Warrior (Riot)
LIV MOON








AKANE LIVがひとりステージに立ち、後からバンドが集まる劇的なオープニングから、LIV MOONのステージは幕を開けた。1曲目の「Sun Never Dies」では、シンフォニックなサウンドと星野沙織のヴァイオリンが壮麗な空間を創出する。AKANE LIVの歌唱は、視線や所作に至るまで計算された表現力で、まるでミュージカルのワンシーンを観ているような没入感をもたらした。ケルト民謡のような「Hervest Moon」の中間部で踊るAKANE LIVのパフォーマンスは圧巻だった。歌だけでなく視線や身振りひとつで劇的な空間を作り出す、宝塚歌劇団出身ならではのステージングで、美しくも力強い歌声と独特な世界観に引き込まれた。超絶技巧派のバンドメンバーとの重厚な演奏との融合により最高のシンフォニックメタル空間を創出した。
◆LIVMOON
AKANE LIV (Vocal)
MASAKI (Bass)
KENTARO (Guitar)
星野沙織 (Violin)
原澤秀樹 (Drumsサポート)
◆Official Website
https://akanelivmoon.amebaownd.com/
◆Set List
M01. The Story Begins
M02. Sun Never Dies
M03. Vortex
M04. Harvest Moon
M05. Queen of Darkness
M06. Soaring Stars
M07. Rest in Peace
M08. The White Dove
M09. Sanzashi
HEAD PHONES PRESIDENT















DAY2は4人編成となってからの楽曲限定セットリストで構成。『Stand In The World』から近年の楽曲まで、時代を追うような選曲で、バンドの進化の軌跡を描き出していた。前日の初期曲のセットとの対比や連続性を強く感じさせる内容で、HEAD PHONES PRESIDENTがいかに「核」が変わらないことで変わってきたのかを実感させるものだった。様々なスタイルに挑戦していくことがHEAD PHONES PRESIDENTの「核」を濃縮させ、そうした「核」が不変だからこそ表面的な変化があっても違和感なく受け止められ、それが13曲のセットリストに凝縮されていた。ANZAは「またみんなと笑顔で会えるように」と語り、ラストの「Burn it all down」で2日間の幕を閉じた。過去を燃やすのではなく、未来へと進むための決意であった。最強のライブバンドとしての運動量と集中力が維持され続けていることに驚嘆すると共に、25年間活動休止することなく走り続けてきたバンドへの敬意と感謝が自然と溢れる圧巻のステージだった。25周年の祝祭は、前進の宣言によって締めくくられた。
◆HEAD PHONES PRESIDENT
ANZA (Vocal)
HIRO (Guitar)
NARUMI(Bass)
BATCH (Drums)
◆Official Website
http://headphonespresident.com/
◆Set List
SE
M01. Stand In The World
M02. In Scraing
M03. Rainy Starts
M04. The One To Break
M05. ALIVE
M06. Live With
M07. Soul In Me
M08. Until I Die
M09. The moon chases me
M10. Change the Game
M11. Seeds Remain
M12. Can you Feel it
M13. Burn it all down







HEAD PHONES PRESIDENTの25年の歩みを、「初期」と「現在」を対比させる構成によって浮かび上がったのは、変化を続けながらも核を保ち続けてきたバンドの姿だった。メンバーチェンジや時代の変遷を経ながらも活動を止めることなく歩み続けてきた四半世紀。その積み重ねが、2日間のステージに揺るぎない説得力を与えていた。デビュー日と同じ12月6日に開催された『FUSE THE SOUL』は、彼らの歴史を「かつて」と「いま」の両面から体現する特別なイベントとなった。苦闘の連続であったであろう25年の中でも、音楽的進化を続け、メンバーの脱退があっても歩みを止めることなく活動を続けてきたバンドの軌跡が、そこには刻まれていた。
2日間を通じて出演したVORCHAOS、exist†trace、JURASSIC JADE、Angers、S.O.S、LIV MOONのすべてバンドに共通していたのは、真摯なパフォーマンスと音楽への愛、そして衝動だった。長年活動を続けてきたバンドならではの力が会場に満ち、互いにリスペクトし合う関係性が、イベント全体を温かく彩っていた。25周年の締めくくりに、ANZAは「25年は長いようであっという間。卒業したメンバーにもありがとう。今があるのは繋げてくれた皆んながいたから。」と感謝を述べた。今後はしばらく制作期間に入り、2026年には新しいアルバムを届けたいと展望も語っている。25th Anniversaryはここで一区切りとなるが、HEAD PHONES PRESIDENTの物語はまだ続く。「かつて」を「いま」に呼び起こしながら歩み続ける彼らの「これから」に大きな期待が寄せられている。
◆ライブ情報
HEAD PHONES PRESIDENT
DJ YUGO
日時:2026年6月5日(金)
会場:新宿 Wildside Tokyo
開場/開演:
OPEN 18:30/START 19:30
前売/当日券:
5,000/5,500(+1Drink)
イープラス:https://eplus.jp/sf/detail/4477860001-P0030001
(2/8 10:00〜)





