連載

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TEXT:児玉圭一 PHOTO:幡原裕治、矢沢隆則、吾妻仁果
Section 06. 寺田恵子単独インタヴュー

過日、NAONのYAON 2014は大成功のうちに幕を閉じた。Cute Girls Liveを勝ち上がり、オープニングアクトに出演した5組の舞台表/裏を本連載では余すところなくお伝えしたが、NAONのYAON 2014の余韻がまだ残る中、當山みれいMary’s Bloodはメジャーデビュー。浮遊スル猫も全国各地の大型フェスに続々オファーが来るなど、華々しく活躍し続けている。
 
今回の連載「目指せYAON!Cute Girls Live最前線」では、そんなNAONのYAONの総合プロデューサーであり、若きガールズロックミュージシャンの母的存在でもある寺田恵子の単独インタヴューを公開する。10月22日(水)にSHOW-YAが自身初のカヴァーアルバム『Glamorous Show~Japanese Legendary Rock Covers』をリリースすることにちなみ、特集「ROCK ATTENTION 37 ~SHOW-YA~」にてロングインタヴューを掲載したが、こちらの記事ではその中に収まりきらなかった寺田恵子のNAONのYAONや現在のガールズロックシーンへの熱い思いや、今後の展望などをたずねた。
 

インタヴュー特集「ROCK ATTENTION 37 ~SHOW-YA~」もあわせてお読みください。
http://www.beeast69.com/feature/114677

 

 
— アルバム制作エピソードを伺う中で『NAONのYAON』の話が出ましたが、さらに詳しく伺ってまいりたいと思います。このイベントの開催はラジオでの寺田さんの発言がきっかけだったそうですね?1987年が第1回目で。それから4年連続で開催されていましたね。
 
寺田:そうですね。4年やって、それで私は消えてしまったので(笑)。で、私は4回参加して、イベント自体は5回やって。で、その後一度は消滅してしまったんだけど、私がまたSHOW-YAの事務所に戻ったときに「”NAON”をまた復活してみようか」っていう話があったんです。周りがあのイベントを本当に楽しんでいてくれていて、かつてSHOW-YAのスタッフだった人からも「もう1回あのイベントを復活してほしい」っていう要望をいただいたので、「じゃあ、やりましょうか」って。
 
— それが1999年の番外編ですね。それから、次が2008年ですね。
 
寺田:その時にSCANDALがオープニングアクトで出ていたのかな。まだデビュー前だった時に。
 
— そうですね。それから、回を重ねる毎にバラエティに富んだアーティストが出演していますね。ジャンルレスで。
 
寺田:最近から観ているとバラエティに富んでると思うかもしれないけど、1回目とか2回目の頃って女性バンドが少なかったので、アイドルの子にも出てもらっていたし、その一方では大好きなカルメン・マキさんにも出てもらったし。あとは美保純さんを筆頭に女優さんが出たりとか、ダンプ松本ちゃんとかプロレスラーが出たりとか。元々はバラエティに富んだイベントだったんですよ。今はすごく女性バンドが増えたので、「そのバンドをいっぱい出してあげたいな」と思っていて、ちゃんとバンド枠とソロのアーティストの出演枠をそれぞれ設けています。楽器をやっている女性ミュージシャンも増えたから、そういう人達も出したいなと思うと…いやー、ちょっとびっくりすることに出演者が70人越えをしていて。だから、年々大変になってる(笑)。
 
— 『NAONのYAON』はSHOW-YAプロデュースのイベントで、寺田さんが最高責任者なんですね?
 
寺田:そうですね。SHOW-YAメンバーは(自分たちの演奏に加えて)ソロアーティストのバック演奏もしなければいけないから。私は総合司会者なので、出るバンドと積極的にコミュニケーションを取るようにしています。出演者たちも要望があると思うので、リハから全部顔を出していますね。
 
— 以前、『NAONのYAON』の出演者の矢沢洋子さんにインタヴューをさせていただいたことがありまして(参照:ROCK ATTENTION 35 ~矢沢洋子~)。矢沢さんは寺田さんのことを大絶賛していました。
 
寺田:洋子ちゃんもカッコいいもんね。メチャクチャカッコいい。
 
— 寺田さんは、あんなに大人数が出演しているのに、オープニングアクトの方から1人1人の名前をしっかり覚えていて、それから、あのハイトーンから出る声が圧巻だったと絶賛されていました。
 
寺田:ああっ、そう(笑)。うん、洋子ちゃんとは時々メールやTwitterでやり取りをしていますね。私は彼女の歌い方が大好きだし…元々、高校生の時にオヤジさんの曲をいっぱい聴いていたから(笑)。だから、彼女がリハで歌っているのを観るとね、「ああーっ、このリズムの取り方オヤジさんそっくりだなぁ」って思って。それで実際ステージでの歌がすごいパワフルで、すげえカッコ良くて。「いやあ、こういう子達っていうのは、もっと色んな所に出て行かなければいけないよ、もっとメディアで取り上げなきゃ」って思うぐらいにすごくカッコいいの。そういうバンドがいっぱいいるんだよね。2008年にオープニングアクトで出たSCANDALも今は本当にすごいバンドになって大活躍しているし。それと同じように力を持っている若手のバンドが本当に数多くいて、そういう人達をたくさんの人に紹介したいし、それでその子達がどんどん力を付けて大きくなって行ってくれれば良いと思うし。だから女性バンドで「じゃあ、どうしよう?」って思っている子達が「NAONのYAON」を登竜門みたいに思ってくれたら嬉しいかなって。
 
— それは素晴らしいことですね。出演者の人選は寺田さんが決めるのですか?
 
寺田:ううん、みんなで決めます。私が推すバンドもあるけど、バンドと仲が良かったり、いろんな女性ミュージシャンを応援しているメンバーもいるし。「このバンド良いよ、このギターが、このヴォーカルが」っていう意見がメンバーの中からも出てきて、そのバンドをみんなで観に行ったり、YouTubeでチェックしたりとか…あと「Cute Girls Live」の存在は大きいですね。そこで新たなミュージシャン達と出会えるわけで、Drop’sとか浮遊スル猫なんかもそうだよね。「うわーっ、めっちゃカッコいい」って思って。今は「NAONのYAON」が結構デカいイベントになってしまったので、小さい所で頑張っている人達を自分も気にかけておかないといけないかなっていう思いはあります。
 
— 矢沢洋子さんは、日本の女性のロックは寺田さんがいる限り大丈夫だと話してました。
 
寺田:おおおお!ふふふふふ。じゃあ、もっと頑張んないといけないんだ?トレーニングしなきゃ(笑)
 
— 10月22日にリリースされたカヴァーアルバム『Glamorous Show~Japanese Legendary Rock Covers』で90年代のバンドの楽曲もピックアップしたのは、自分達と同世代、ずっと30年間SHOW-YAのファンであり続けている人達だけではなくて、若い世代にも聴いてほしいという気持ちがあったからなのでしょうか?
 
寺田:それもあるね。若い世代にも聴いてほしいし、自分達の世代と、それよりも上の世代のバンドにもこんな名曲があるということを教えたかったし。それから同世代の人にも、若いアーティストにはこんなにカッコいい楽曲があるということをね。自分の好きなバンドしか聴かない人もいるじゃないですか?そうではなくて、昔はね、色んなバンドを聴いていたと思うんだよ、イベントとかでも。だからそういう気持ちも若干はあるかな。全くないとは言えないと思う。
 
— そういう風に音楽を聴くことは大切ですね。ルーツ探しというか。
 
寺田:上の世代の先輩にそういう素晴らしいバンドがあって、それを継続するようなバンドがまた生まれてっていうね。時代時代で、素敵な音楽があって、つながっているんだよっていう部分では、今回のカヴァーアルバムはバランス良く楽曲を選べたかなと思います。
 
— 『Glamorous Show Volume 2』が楽しみです。最後に、来年デビュー30周年で、この30年間にはいろいろなことがあったと思うのですが、振り返ってみていかがですか?
 
寺田:うーんとね、振り返るとね…ええっと…速かった。何かまだ30年やっている実感がないんだよね。まだ10年ぐらい…うん、20歳でデビューして、今はまだ30歳くらい?(笑)でも、気分というか、心はね、ずっと18歳のままなの。SHOW-YAに入った時の年齢が17歳で、18歳ぐらいから本気でやり始めたから。その時と精神状態は何も変わっていない。うん、あの時と同じように夢を持っているかな。ただあの頃と違うのは頭で考えていることと行動が伴わないっていうジレンマがちょっとあるけど…。
 
— でも歳を取ったからこそできることってありますよね?
 
寺田:うん、あるね。それは、やっぱり経験だと思う。経験は歌を育ててくれるから。それが昔との一番の違いだと思うんだよね、この30年の中で。あっという間に過ぎちゃったけど、30年の中には山あり谷ありで、もしかしたら谷の方が多いのかもしれないけど…その谷の中で、得たものっていうのは、やっぱり私の歌の表現につながっているし…20代の時に、ある人に「ヴォーカルは苦労した方が良いよ」って言われたことがあるのね。人間だから苦労なんてしたくないじゃん?あの、お気楽に生きたいじゃない(笑)。そうなんだけど、人の痛みを頭で分かるより体感することで全然違う表現になるし、重みになるしっていう部分では…人を裏切ったり、頭を下げて信頼を取り戻す努力をしたりとかね。そういう経験とか、恋で傷つくこともあるし…そういうのも含めて、やっと言葉のひとつひとつの表現が、自分の中に出てきているかなって。
 
— 歌の説得力に深みが出ますね。
 
寺田:うん、昔のSHOW-YAの曲を歌っても、あの時とは違うし…ファンの子達が、「あの時には分からなかった詞の内容が今は心に染みる」って言ってくれると、「良かったなー!」って思いますね。
 
— それは嬉しいですよね、表現者として。ブルースですね。
 
寺田:そうそうそう!もうブルース大好き!なんて(笑)。もう個人的にはね、ブルースをやりたいんだけど!みたいな(笑)。
 
— ある程度の汚れを知らないと、ブルースは表現できないと…Jimi HendrixやJanis Joplinもそうでしたね。
 
寺田:やっぱり、歌は人生だからね。もうね、本当にね、辛いこと、悲しいこと、苦しいことウェルカムなの。昔は、その苦しみが嫌で、そこから逃れたいって思っていたのね。それは、やっぱり本当に苦しいし。だけど今は、その苦しいのが私の生き方というか人生だって割り切っちゃったら、どうせ逃げても、逃れられないんだったら、真っ向から闘っちゃった方が良いじゃん?いいのボロボロで…だって、ゆくゆくはブルースを歌うんだから(笑)。
 
— 寺田さんの歌うブルースをいつか聴いてみたいと思います。今日はありがとうございました。それではSHOW-YAデビュー30周年に向けて…。
 
寺田:まだまだ、頑張ります!
 

◆リリース情報
『Glamorous Show~Japanese Legendary Rock Covers』
・2014年10月22日(水)~発売中
<収録曲>
M01.「紅」 (X JAPAN)
M02.「虹」 (L’Arc~en~Ciel)
M03.「HOWEVER」 (GLAY)
M04.「MARIONETTE」 (BOØWY)
M05.「JAM」 (THE YELLOW MONKEY)
M06.「CRAZY NIGHT」 (LOUDNESS)
M07.「嵐の金曜日」 (HOUND DOG)
M08.「MORE」 (EARTHSHAKER)
M09.「激しい雨が」 (THE MODS)
M10.「Runner」 (爆風スランプ)
M11.「ROSIER」 (LUNA SEA)
※()内はオリジナルアーティスト


◆SHOW-YA 公式サイト
http://show-ya.jp/
 
◆ライヴインフォメーション
レコ発ワンマンライヴ『Glamorous Show』
・2014年11月30日(日)【東京】日本橋三井ホール(SOLD OUT!!)
追加公演『Glamorous Show』
・2014年12月29日(月)【東京】渋谷AiiA Theater Tokyo
 


 

 
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