連載

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SCANDAL『HELLO WORLD』
TEXT:鈴木亮介

~満を持して、世界に。ハロー、ワールド~
 
「新曲やります。」…HARUNA(Vocal & Guitar)が宣言し、ワッと歓喜したあの鳥肌をまだ覚えてる。
 
10DAYS LIVEでの初披露から2カ月。先行シングル「Image」に続き、12月3日(水)、SCANDALの6枚目のアルバム『HELLO WORLD』が店頭に並ぶ。「セルフプロデュース色が強まった一作」として連日メディアからの注目を浴びているが、これは決して「新たな一面」でも「路線転換」でもなく、2013年3月に大阪城ホールの舞台に立ったあの日から(参照:大盛りレポ!ロック増量 Vol.1 SCANDAL OSAKA-JO HALL 2013 「Wonderful Tonight」)、もっと言えばここまでのSCANDAL8年間の壮大なプロジェクトの延長線上にある「一手」である。
 
結成当初からの夢であった大阪城ホールワンマンを叶えた直後の2013年5月。15thシングル「会わないつもりの、元気でね」の制作に際して、「大阪城ホールという非日常を経て、ごく日常の歌、シンプルなロックを今はやりたい」と彼女たちは語っていた(参照:rock girly parfait SCANDAL(part2))。その後、5thアルバム『STANDARD』を10月にリリース。「OVER DRIVE」では中田ヤスタカCAPSULE)をプロデューサーに迎え、SCANDALという素材は新たな魅力を引き出されていったが、その頃から、RINA(Drums & Vocal)を筆頭にメンバーのブログやTwitterでは曲を作っている旨の書き込みが頻繁に見られるようになった。
 
2014年に入っても、着々と曲作りは進んでいた。そして東西アリーナ公演の終演後に、「9月に東京と大阪で合計10日間のワンマンライブを行う。新曲を披露する」と予告したフライヤーが配られ、ファンを驚かせた。それから、連日の夏フェス出演などのライブ活動に加え、前後してシングルを2枚出すなどノンストップで走り続けながらも着々と曲つくりとレコーディングは進む。そして9月、「SCANDAL LIVE HOUSE “10″DAYS」を迎えた。
 
ライブこそ自分たち、と公言するSCANDALだからこそ作れた曲。このハードスケジュールの中、ライブとライブの間だからこそこうした曲が生まれたのだろう、ライブ=生命の躍動感、生き様を感じる曲たちが13曲グッと詰まっている。それは、1曲目「Image」のイントロから、4人の音が絶頂に達するこの瞬間から、全身で体感できる。MAMI(Guitar & Vocal)のギターがいい仕事をする。曲を流しながら仕事をしていると、間奏で思わず頭を振っている自分がいた。日常に寄り添い、活力をもらえる楽曲だ。
 
詞の温度も、心地よい熱さだ。ライブでは一言一言をかみ締める余裕がない。そんな中でも「目を開ければ新しい僕がいる」「いつだって新しいスタートは切れる」「イメージした理想が現実を塗り替えていく」…断片的に入ってくるフレーズが、HARUNAの説得力あるボーカルを通して頭に入り、心に染み入り、グッとくる。HARUNAの歌に言葉に、勇気をもらったファンはどれだけたくさんいるだろう。舞台への出演(参照:銀河英雄伝説 第四章 後篇 激突)といった経験も、彼女の表現力をより強化しているように思う。
 
ファンの歓声が入ることで初めて一つの曲になる、そんなSCANDALらしさ全開のアンセム、2曲目「Your song」や、亀田誠治との化学反応が楽しめる4曲目「Departure」、6曲目「夜明けの流星群」も収録。「Image」では全編でHARUNAがメインボーカルを務めたが、2曲目以降はTOMOMI(Bass & Vocal)のボーカルも随所で活躍。アンニュイな雰囲気を作り出したり、キュートに煌いたり。HARUNATOMOMIの調和は、ハモりともユニゾンともまた違う、立体的な魅力があり、ここにもまた”ライブ感”がある。
 
シングルカットされた4曲ももちろんだが、やはり今作の聴き所は個々のメンバーの個性が際立つ楽曲たちだ。HARUNA作詞&作曲の5曲目「Graduation」はストレートなロックに、女性の強さが歌われた王道曲。10曲目「缶ビール」はTOMOMIの作詞&作曲。「人生はジョーク」と話す彼女らしい、同世代の共感を呼びそうなラブソングでありつつ、言葉遣いの妙が楽しめる。12曲目はRINA作詞&作曲の「おやすみ」。自らメインボーカルをとり、テクノっぽいアレンジを加えつつ、ハードロックなギターフレーズが散りばめられている。女の子のピュアな恋心を歌った歌詞の中には、「えんえんに たんたんと」「えいえんに らんらんと」と奥田民生的な表現も。RINAの好きなものを全て詰め込んだジュークボックス、という印象だ。
 
そうしたメンバー自身が作詞作曲を手がけた楽曲の中でも異彩を放つのが、MAMIが作詞&作曲に編曲も担当した9曲目「本を読む」だ。ミドルテンポで独特の世界観を表現したこの曲、10DAYS LIVEで初披露の際にはまずタイトルを発表した瞬間にファンをざわめかせ、演奏を終えるとさらにどよめかせた。MAMIは3曲目「love in action」も含めて今回最も多くの楽曲制作を担当しているが、SCANDALの表現の幅を彼女が大きく押し広げているのは間違いない。
 
冒頭に、壮大なプロジェクトの延長線上にある「一手」と表現した。ガールズバンド日本代表として確固たる人気と実力を備えた彼女たちの目線は、海外にも向いている。結成から8年、デビューから6年。「制服を着た女子高生たちが楽器を持って、初めて組んだバンド」に、これまで様々なアーティストが関わり、決してネガティブな意味ではなく「DOLL」として彼女たちはスポットライトを当てられ、ホンモノを吸収し、何百何千というステージに立ち続けてきた。昨年はアジアツアーも大成功に収めた。そんな彼女たちだからこそ、自ら表現できるものがある。このタイミングで、満を持して”HELLO WORLD”、セルフプロデュース解禁なのだ。まだまだSCANDALの物語は続く。
 
今作にはRINAMAMIが共同制作した2曲も収録されており、個人的には複数メンバーのコラボレーションにも、今後さらに期待したい。6thアルバム『HELLO WORLD』は12月3日(水)発売。前作・5thアルバム『STANDARD』でデビュー作から5作連続オリコンランキングTOP5入りというガールズバンド史上初記録を自ら更新したSCANDAL。今作、『HELLO WORLD』でもその記録はまた更新されるだろう。
 


 
ESCL 4324-5_BLH1-4◆リリース情報
・6thアルバム『HELLO WORLD』
2014年12月3日(水)発売
・完全生産限定盤  ESCL4322-4323  \5,000 (tax in)
 超ヤバイ・オリジナル Tシャツ付き
 12/6(土)都内某所で開催の抽選会参加券封入
・初回生産限定盤(CD+DVD) ESCL4324-4325  \3,600(tax in)
 【DVD内容】ドキュメント映像 「SCANDAL Talking about “HELLO WORLD”」
 12/6(土)都内某所で開催の抽選会参加券封入
・通常盤(初回仕様限定盤) ESCL4326 \3,146(tax in)
 【初回仕様】メンバーソロステッカー全4種類のうち1種類ランダム封入!
 12/6(土)都内某所で開催の抽選会参加券封入
・アナログ盤 ESJL3085-3086 \4,104(tax in)
 2枚組LPサイズジャケット
 12/6(土)都内某所で開催の抽選会参加券封入

<収録曲>
M01.Image
M02.Your song
M03.love in action
M04.Departure
M05.Graduation
M06.夜明けの流星群
M07.お願いナビゲーション
M08.Runners high
M09.本を読む
M10.缶ビール
M11.Winter story
M12.おやすみ
M13.Place of life(feat. Tetsuya Komuro)


jklp◆ライブ情報
『SCANDAL WORLD TOUR 2015「HELLO WORLD」』
SCANDAL初のワールドツアー『SCANDAL WORLD TOUR 2015「HELLO WORLD」』開催決定!
2015年1月から史上最多の31公演の国内ホールツアー&初の単独海外公演と、7万人動員規模のツアー!
 

・2015年01月24日(土)【神奈川】厚木市文化会館
・2015年01月29日(木)【東 京】たましんRISURUホール
・2015年01月31日(土)【群 馬】ベイシア文化ホール 大ホール
・2015年02月01日(日)【茨 城】結城市民文化センターアクロス 大ホール
・2015年02月07日(土)【千 葉】千葉県文化会館
・2015年02月10日(火)【大 分】ホルトホール大分 大ホール
・2015年02月11日(祝)【熊 本】市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
・2015年02月14日(土)【広 島】上野学園ホール
・2015年02月15日(日)【広 島】上野学園ホール
ESCL 4322-3_BLH1-4_CS4・2015年02月21日(土)【大 阪】オリックス劇場
・2015年02月22日(日)【大 阪】オリックス劇場
・2015年02月26日(木)【香 川】サンポートホール高松
・2015年02月28日(土)【福 岡】福岡サンパレス
・2015年03月01日(日)【長 崎】長崎市公会堂
・2015年03月05日(木)【埼 玉】大宮ソニックシティ 大ホール
・2015年03月07日(土)【岩 手】盛岡市民文化ホール
・2015年03月08日(日)【宮 城】東京エレクトロンホール宮城
・2015年03月12日(木)【兵 庫】加古川市民会館 大ホール
・2015年03月13日(金)【滋 賀】滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール
・2015年03月15日(日)【奈 良】なら100年会館 大ホール
・2015年03月19日(木)【長 野】ホクト文化ホール・中ホール
・2015年03月21日(土)【新 潟】長岡市立劇場
・2015年03月22日(日)【石 川】本多の森ホール
・2015年03月27日(金)【静 岡】静岡市民文化会館
・2015年03月28日(土)【愛 知】名古屋国際会議場センチュリーホール
・2015年03月30日(月)【岡 山】倉敷市民会館
・2015年04月04日(土)【北海道】札幌市民ホール
・2015年04月05日(日)【北海道】旭川市民文化会館大ホール
・2015年04月11日(土)【東 京】国際フォーラム ホールA
・2015年04月12日(日)【東 京】国際フォーラム ホールA
・2015年04月19日(日)【沖 縄】ナムラホール

国内全公演チケット料金:5,400円

◆『SCANDAL WORLD TOUR 2015「HELLO WORLD」』特設サイト
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/scandal/worldtour2015

 
◆SCANDAL 公式HP
http://www.scandal-4.com
 



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