催物丨2009.11.08
フットルース
そんな数々のヒット曲で綴るブロードウェイ・ミュージカル『フットルース』が、この秋から冬にかけて日本で上演決定! その初日公演の模様をお届けします。
ストーリーの始まりは「Footloose」から。アップテンポな曲に合わせ、歌やダンスを楽しむレン(植木豪)がいるのはシカゴ。しかし、彼はシカゴを去り、田舎町・ボーモントへと引っ越すことになっていて…。続く「On Any Sunday」は、「Footloose」とは一転してコーラスから始まる。ムーア牧師(川﨑麻世)を中心に、コーラス隊が立つのはボーモントの教会。レンがこれから過ごすボーモントとはどんな街なのか? 続けて奏でられるこの2曲がシカゴとボーモントとの違いを如実に表していました。
ディスコもなければ、映画館もショッピングモールもない。そして、ダンスやロックは不道徳なもの。だから、一切禁止。それがボーモントという町。そんな町で「I Can’t Stand Still(じっとしていられない)」ともがくレンだが、保守的で堅苦しいボーモントでは常に「Somebody’s Eyes(誰かが見てる)」。レンを待ち受ける未来が明るいものではないことを、「Somebody’s Eyes」の不穏な調べが予感させます。
ダンスやロックを禁止する法律を作ったのは、ムーア牧師を中心とする大人たちの評議会。この法律ができたのには、理由が。5年前、ムーア牧師の息子を含む4人の高校生がダンスパーティからの帰り道に自動車事故で亡くなり、遺体から検出されたアルコールとドラッグ、そしてダンスが事故の原因とムーア牧師が断言したのだ。そんなムーア牧師の娘だけに、いい子なのかと思いきや…。娘・アリエル(中村香織)の一面を見せてくれたのが「The Girl Gets Around」。ロック禁止のボーモントにありながら、ロッカーの定番ともいえる革ジャン姿のチャック(KAZZ)と絡むアリエル。それも、理解を示さない父・ムーア牧師に対する反抗のひとつなのか…。
何をしても疑いの目で見られ、トラブルメーカーとして扱われながらも、ついにある計画で新しい風を吹き込もうと立ち上がるレン。アリエルや、その友達・ラスティ(星野真衣)たちが退屈な町から自分を救ってくれるヒーローを待ち望んでいたことは、彼女たちが歌う「Holding Out For A Hero」を聴けば明らか。そして、「I’m Free」はレンの心情であり、クラスメイトたちの心情であり。レンの計画は彼ひとりのものではなく、この町で生きる高校3年生全員の計画。果たして、ムーア牧師ら大人たちにそれを認めさせることができるのか!?
息子の事故以来心を閉ざし、家族ともすれ違う日々を送るムーア牧師。彼と娘・アリエルに寄り添い、家族の絆を取り戻そうとする妻・ヴァイ(川島なお美)。息子のよき理解者であろうとするレンの母・エセル(麻倉未稀)。これまで馬鹿げた法律に反発を覚えながらも何もできずにいたアリエルやウィラード(吉田要士)、ラスティ、アーリーン(佐藤亜美菜)、ウェンディ ジョー(福島桂子)たち。レンを取り巻く人たちの心情を歌う楽曲があちこちに散りばめられ、その曲調がまたより一層彼・彼女らの気持ちを強調し…。
「芝居していたかと思ったら、突然歌い出すミュージカルは苦手」なんてこと、よく聞きます。でも、突拍子もなく曲が挿入されているわけではありません。そのリズムや曲調は、キャストの表情豊かな歌唱力と相まって、ただセリフとして口から出てくるよりもそれぞれの人物の気持ちを伝わりやすくしてくれているはず。それがこの『フットルース』を観るとよくわかります。これまでミュージカルに抵抗のあった方、最初の一歩としてぜひ! もちろん、目の肥えたミュージカルファンも十分楽しめる作品です。
『フットルース』を彩るおなじみの曲たちは、登場人物の気持ちを表現するもの。だから、歌詞に耳を傾けてほしいのはもちろんながら、ダンスにも注目を。これぞブロードウェイ・ミュージカル! な群舞は圧巻。さらに、今回レンを演じているのはストリートダンス界のカリスマ・PaniCrewの植木豪とあって、見応え十分です。
さらにさらに、お楽しみはフィナーレにも。レンの母・エセルを演じた麻倉未稀といえば、「Holding Out For Hero」をカバーした「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」を歌い、大ヒットさせた人。劇中では、アリエルやラスティたちが歌っていたこの曲をフィナーレでは麻倉未稀が熱唱! これには、客席から大歓声が。続いて、川﨑麻世&川島なお美の「Almost Paradise」、全キャストによる「Footloose」とたたみかけるようなヒット曲のオンパレード!! 舞台の完成度の高さとキャストたちの楽しそうな表情とこのフィナーレと。きっと「楽しかった!」と満足して劇場を後にできること間違いなしです。








M1 「Footloose」〜「On Any Sunday」
M2 「The Girl Gets Around」
M3 「I Can’t Stand Still」
M4 「Somebody’s Eyes」
M5 「Learning To Be Silent」
M6 「Holding Out For A Hero」
M7 「Somebody’s Eyes」
M8 「Heaven Help Me」
M9 「I’m Free」
M10 「Let’s Make Believe We’re In Love」
M11 「Let’s Hear It For The Boy」
M12 「Can You Find It In Your Heart?」
M13 「Mama Says」
M14 「Almost Paradise」
M15 「I Confess」
M16 「Can You Find It In Your Heart?」
M17 「Footloose」
ブロードウェイ・ミュージカル『フットルース』
キャスト:植木豪、中村香織、吉田要士、星野真衣、佐藤亜美菜、福島桂子、麻倉未稀、川島なお美、川﨑麻世 ほか
オーケストラ:柳澤香(ピアノコンダクター)、原田達也(キーボード)、会田敏樹(ギター)、阪口誠(ギター)、槐太郎(リード)、鹿島達彦(ベース)、小野裕市/相馬淳二(ドラム)、キャサリン・キャッシュ(バイオリン)
スタッフ:西田直木(演出・日本語台本)、会田敏樹(編曲)、吉田潔/植木豪(振付) ほか
公演日程:
東京公演(生演奏上演):2009年11月3日(火)〜8日(日)
@東京芸術劇場中ホール
S席9,000円、A席8,000円、B席7,000円
神戸公演:2009年12月5日(土)
@神戸国際会館こくさいホール
S席8,500円
大分公演:2009年12月7日(月)
@iichiko総合文化センターiichikoグランシアタ
SS席6,000円
名古屋公演:2009年12月12日(土)〜13日(日)
@名鉄ホール
S席9,000円、A席8,000円、B席7,000円
チケット発売場所:CNプレイガイド(東京公演、名古屋公演のみ)、チケットぴあ、ローソンチケット
問い合わせ:
劇団スイセイ・ミュージカル(東京公演、名古屋公演)
TEL 042−370−8035
URL http://www.suisei-m.com
神戸国際会館(神戸公演)
TEL 078−231−8162
(財)大分県文化スポーツ振興財団文化企画課(大分公演)
TEL 097−533−4004