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TEXT:鈴木亮介
第2回 Stand Up And Shout ~脱★無関心~
今回も前回に引き続き、「TOKYO×FUKUSHIMA HEAVY METAL SUMMIT」に注目。東京から7組のメタルバンドが参戦し、大型バスを貸し切って福島まで弾丸バスツアー。その日の夜に福島C-moonにてギグを行った後、現地のメタルファンと大打ち上げパーティーを敢行した。さらに翌日は出演バンド全員で福島第一原発の警戒区域周辺を視察し、メディアでは取り上げられない福島のリアルな姿をその目に焼き付け、各々の思いを東京に持ち帰ろうというものだ。 12月17日 土曜日
午前7時半。土曜の早朝、未だ静寂の広がる新宿に、ひと際目立つ集団が現れた!スキーバスツアーに混じって、スノーボードではなく楽器を抱えた集団が、新宿スバルビル前より福島に向けて出発。バスの中はメタルミュージックを車内でガンガンにかけて、気分を高揚させる。 予定より若干遅れて、午後1時半頃にライブ会場であるライブハウス福島C-moonに無事到着。福島はやはり東京より寒さが厳しく、空気が顔面に突き刺さるようだ。それぞれのバンドが入念にリハーサルを済ませ、福島のメタラーたちの来場を待つ。 ![]() 午後5時20分、いよいよ待望の「TOKYO×FUKUSHIMA HEAVY METAL SUMMIT」が幕開け!! ■MAGGOT (SLIPKNOT Tribute)
パーカッションを含めた6人のステージは圧巻。狂気に満ちた演奏で、福島のメタラーたちを圧倒! ■ADCH ELEGY (ARCH ENEMY Tribute)
メロディアスなリードとアグレシッブなバッキングの対比は見事。vocalのデス声と萌え声のギャップに癒される! ■苅田芽屋 (METALLICA Tribute)
男っぽいガッツのある演奏で、福島のメタラーもたまらず絶叫する! ■邪眼 (Original Heavy Metal)
妖艶さとヘヴィでテクニカルな演奏はひときわ際立つ。熱気がさらに高まってきた! ■CHYKES (JOHN SYKES Tribute)
グルーヴィーな演奏に会場は熱狂! 古き良きハードロックも愛する福島のメタラーはすばらしい!! ■BON YOUNG (AC/DC Tribute)
とびきり生きのいいロックンロールで大興奮!! ■BLOOD SABBATH (BLACK SABBATH Tribute)
貫禄の演奏は圧巻。なんと「Paranoid」でモッシュピットが発生! それにしても福島は熱い!!ヘッドバンギングとモッシュの嵐だ。福島のメタラーたちの熱い声援に支えられ、それぞれのバンドがすばらしいステージを展開していた。 午後10時40分。大幅に時間が押したのも、大熱狂のステージが披露された証。BLOOD SABBATHのギタリストで今回の東京&福島へヴィメタル・サミットの実行委員長である三谷氏の乾杯の音頭で、出演者、スタッフ、福島のメタルファン達との打ち上げがスタート!皆で酒を酌み交わし、熱く語り合って福島の夜は更けていった。 12月18日 日曜日
翌日はこのツアーのもう一つの目的である被災地の視察へ。 朝8時半、ホテル前に集合し、機材を積み込みにライブハウスC-moonへ。それから、一行は飯舘村公民館で現地実行委員、RADIOACTIVITYのBass&Vocalを務める杉岡氏をピックアップし、現地視察へ向かった。計画的避難区域に指定されている飯舘村は、人っ子一人いない、まさに「ゴーストタウン」であった。 南相馬の20キロ警戒区域の境界線では、日夜警戒にあたっている警察官と会話。朝は小雪がちらついていたが、昼になって天気も回復。のどかな田舎の原風景がそこにはあるが、ここは原発から20キロの地点だという現実も、頭をよぎる。 そこから一行は海岸線沿いにサーフスポットとして有名なはらまちシーサイドパークへ向かう。海沿いの瓦礫はかなり処理されており、きちんと分別されて積まれているが、まだ道路はガタガタで整備されていない箇所も見受けられる。また、ところどころにはまだ、潰れた車や家屋の残骸が見られた。 南相馬はずっと避難区域に指定されていたため、かなり復興が遅れているらしい。はらまち(泉北)シーサイドパークは綺麗な砂浜と公園やキャンプ場のある施設だったが、津波と地盤沈下の影響で現在は跡形もなし。 奥行きが200メートルくらいあった砂浜も、地盤沈下の影響で今ではわずかに残すのみ。すぐ隣にある原町火力発電所も稼働しておらず、役割を果たせず虚しくそびえ立っている。 東京のメタラーたちはそれぞれに思いを噛み締めながら昼食。なお、ガイガーカウンターの線量は2.37マイクロシーベルト/アワーを示していた。飯舘公民館で杉岡氏と別れ、C-moonに戻る。機材を積み込み、もう一人の現地実行委員の菊地氏を筆頭にC-moonスタッフと再会を誓って、一行は東京への帰路についた。 今回の参加者によると、17日のライブが想像以上の熱気であっただけに、打って変わって翌日の被災地を目の当たりにした際の「切なさ」は筆舌に尽くしがたいものがあったという。参加者は皆、「強烈な印象」を胸に抱えたに違いない。三谷氏の唱える「脱・無関心」プロジェクトが、いよいよ動き出した。 ![]() ※第1回「TOKYO×FUKUSHIMA HEAVY METAL SUMMIT」のダイジェスト動画をYouTube上で配信中!
![]() TOKYO ×FUKUSHIMA HEAVY METAL SUMMIT 公式ページ http://www.heavymetalsummit.jp/ 福島の現実に「脱・無関心」を唱えていこう!
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