同人メタルの雄、IRON-CHINOを中心とし、強烈な個性を持ったパーソナリティ陣が、“ロックから見た同人音楽”という全く新しい切り口で同人音楽を斬る、ユニークなスペシャルイベントだ。単なる情報提供番組に留まらない楽しい情報トークイベントを繰り広げ、まだ本当の音楽の楽しみ方を知らないあなたを、新たな世界へお連れする「ももてつNMカフェ」!!
遂に迎えた第二回、今回はサポート・パーソナリティとしてIRON ATTACK!、そして自己の個人サークルであるSister’s Spread-iと、幅広いフィールドで活躍するまいなすいょんが登場。前回からまた更にパワーアップした抱腹絶倒の爆裂メタル・トーク、果たして今回はどこへ脱線!?いや、どんな新たなメタル・ワールドを見せてくれるのか?今回もその一部始終を探ってみよう。
我らがももてつの切り込み隊長ことIRON CHINOがお送りする第一枠。名刺代わりの挨拶となった前回より、今回はそれぞれのパーソナリティが同人へ移行したルーツと、「同人とはそもそも?」という、核心をついた深いテーマをさらりとした軽快なトークで流し、観衆に夜深く興味を持ってもらうためのイントロダクション的なポイントを考えてみた。
1)そもそも同人とは?
メタルの同人が登場したのは2000年初等より、元GALNERYUSのYAMA-BがGUNBRIDGE等の活動によってそのムーヴメントを徐々に広げていったことが最初といわれているが、音楽としての同人は1995年、コミケにてMIDIデータを頒布したことが最初だといわれている。その後第一回の「M3」(※)が開催。
※「M3」については、BEEASTのレポートも是非ご参照ください。
http://www.beeast69.com/report/3465
同人の魅力は何といっても“全てが自己責任”の下、自分の好きなものを好きなように作れること。DIY的な方法論より同人はインディーズとよく比較されることがあるが、二つの違いは、あくまで同人が法人的な組織を持たない、自己責任の範疇によって作品を作ることにある。作品の売り上げ等は自己に影響するが、それを差し置いても自分の作品を人に聴いてもらう場を作ること、そして聴いてもらえる人と交流を持つことこそが同人の醍醐味だ。
但し、アルバム制作でのアートワーク等、どうしても一人で出来ない部分もあることから、同人といっても必ずしも一人の作業ではなく、複数の人による作業が行われることが通例のようだ。
2)パーソナリティの、同人との出会い
・IRON CHINO:コミケ等の参加歴は今年で21年、作家としての参加は約7年程前。それまで、宅録でゲーム音楽のアレンジをギターにて行っていた経歴があり、作る側としての「自由にやりたいことをやる」という、同人に対する欲求がまさにその活動が重なったといえる。
・悶絶メタルK:QUEENを発端に洋楽、そしてメタルへ。更にメロスピ(メロディック・スピード・メタル)から、いわゆる「クサメタル」と呼ばれる王道的メタルジャンルへの趣向の変化を経て、「アーティスト側に近づきたい」という欲求を満たすべくメタルを探求した結果として、同人メタルというジャンルにたどり着いた。
・まいなすいょん:紙面の同人には昔から携わっていたが、音楽として同人に関わったのは、IRON ATTACK!での活動が始めて。アニソンのメタルカバーを紹介され、歌入れをしたことがきっかけでこの道に進むことになった。
きっかけとしては様々であるが、それぞれの求めるもの、求められるものが合致した結果としてこの世界に飛び込んだという意味では、合致しているところが非常に興味深い。それこそ同人の持つ特性こそが、それを始める意義として大きな意味を持つからこそといえる。
続くSTAGE2は、同人メタル界の話題紹介。今回は自己の個人サークルである5150等幅広い活躍を展開している傍ら、IRON ATTACK!のステージでもベーシストとして活躍する龍5150が登場。彼に対する質問から、同人、メタルというキーワードに繋がる経緯や、この音楽を楽しむヒントを探ってみた。特にサークル活動で息も合った者同士のトークであり、一見他愛も無い井戸端会議のような会話が繰り広げられるが、実はこの中に、メタルや同人というキーワードに対して、距離を縮めていくヒントが満載されている。その秘密を探ってみよう。
1)メタル道に進んだきっかけ
親の影響幼い頃からBLACK SABBATHを聴き、理解できなかったが、それから歳を経るごとにVENTURES、DEEP PURPLE、Led Zeppelin、RAINBOWからHELLOWEENとギタリストとしての道を歩む。BLACK SABBATHを取り上げた際、「ヴォーカリストの違いを区別できない」という話題に触れられたが、これに関し「あるある!」的に、パーソナリティそれぞれに似たような体験が口をついて出てくる。これはメタルを聴く一つのポイントとも考えられる。メタル・ビギナーが揃って、メタルにのめり込めない理由として挙げるものには、「それぞれの作品の違いがよく分からない」ということをあげる者がいるが、多くのファンがやはり同じことを考えることもあり、それでもメタルのファンを続けている。そこは一つ新たな楽しみ方を模索していくことも、音楽を愛する上では必要だ。
2)同人を始めたきっかけ
「バンド活動をしたいと思ったが、メンバーが中々集まらず、自分で全てを行った方が早い」というきっかけ。同人を始めるにあたり、まさに“なるべくしてなった”方向性といえよう。「全てを自分で決定できる」という意味合いは、作品を作るアーティスティックな面からのアプローチもあるが、このような利便性についても大きなポイントとなる。
また、同時に音楽的な影響として、“オタクっぽい”と評価するSOUND HORIZONからの影響についても強く述べていた。前回放送のゲストもこの影響を強く述べていたが、同人とメタルを語る上で、SOUND HORIZONは、避けて通れない一つのポイントといえるだろう。是非チェックしてみて欲しい。
3)作曲手法
興味深いのは、普段ギターをプレイする龍5150の手法と、同じくギタリストであるIRON CHINOの、曲作りの手法がそれぞれ異なることだ。口証、「ギター・リフから作る」というIRON CHINOの手法と違い、龍5150の手法は歌から作ることが多いという。全く音楽性の違う作風だけに当然かもしれないが、ほぼ毎日顔をあわせるような2人のアーティストでも全く違う方向は出てくる。自分で全てをコントロールする同人だけに、作家それぞれのやり方も多彩だ。作品ごとに様々なアーティストの作風、手法を探求、研究することも同人の大きな楽しみ方の一つといえる。
STAGE.2に引き続き、龍5150(uhki)も参加の上、最終幕のSTAGE3がスタート。この枠は月毎のリリースタイトル紹介を通して、メタル初心者の興味を更に引き込むトークをテーマとしたSTAGE。その目的を掘り下げ、今回は「メタル初心者から見たメタルの印象」的な部分を、ざっくばらんな会話から掘り下げ、その可能性について探ってみた。
1)PHOENIX RISING/Fire & Ashes「MMXⅡ」
今回一つ目に取り上げたのは、スペイン発のPHOENIX RISING/Fire & Ashesの新譜。前回の記事内で、ニューリリースにて取り上げた作品だ。疾走感と粋の良さ、そして悶絶メタルKが崇拝する「クサメタル」というイメージに非常に合致し絶賛。IRON CHINOとの音楽性の近さ等、その作風に興味深さを挙げた。
2)WIGELIUS「Reinventions」
影響が強いと感じられるBON JOVI、VAN HALENと同じように自己の名前(Wigelius)がバンド名になっている部分等にも興味をそそられるところだ。サウンド的にはイメージとして“アメリカの80年代”というキーワードを揃って挙げられが、これをプレイしきる演奏技術とセンスは、聴くだけでレベルの高さを実感できる。並のテクニックだけでは、“単なるノスタルジー”と片付けられてしまうであろうところを、見事にメロハー(メロディアス・ハードロック)の作品として確立させているところに、高い評価をつける意味があるところだ。
この文面では概要的な解説に留まるが、トークの中ではイメージに対するそれぞれのパーソナリティの世界観や、音楽的バックグラウンドに言及する箇所等、脱線しながらも興味深い内容が満載だ。興味のある方は、是非会場に足を運びチェックしてみて欲しい。
例えばバックグラウンドを振り返り、メタルに対するイメージの持ち方を探求しても、「全く同じように感じるもの」「人それぞれに違う感じ方をするもの」と様々であり、あくまで自由に感じ取り、楽しむものの一つがメタル、という認識に落ち着くが、自由だからこそこの探求を進めていくことには途方も無い道程が待っており、メタルを楽しむところまで行き着けない人もいるかもしれない。
そんな方には、このイベントの、その本の些細なトークの中にちりばめられたヒントを探しながら、その楽しさを味わってみてもらいたい。今回のももてつNMカフェは、「そもそも同人とは何?」という根本からの探求となったが、それぞれのパーソナリティやゲスト等、メタルを知り尽くしたリスナー、プレイヤーがメタル初心者だった時の話や、同人の道に進むきっかけ、その意義等、同人を知らない音楽ファンにとっては未知の領域に踏み込むにあたり、ワクワクしてくるような話が展開された。今後もルール無用の爆裂トーク満載なひと時、あちこちに宝のように光る、新たな世界を知るポイントを是非探し出してみてもらいたい。
次回の『ももてつNMカフェ』は、ホーム・グラウンドであるRock Bar Malmsteenを飛び出し、9/22に開催されるエフェクターの祭典『EffEXPO』に登場することが決定した!詳細は随時ニュースコーナーにて告知予定。異例の開催、果たしてどのような波乱が起きるのか!?乞うご期待!!
以下もご覧ください。
『【BEEAST】BEEAST presents 『ももてつNMカフェ』Vol.3 出張ももてつスペシャル!!』
http://www.beeast69.com/news/beeastinfo/35575
『【ピックアップ!】「エフェクターの祭典」、EffEXPO開催!!』
http://www.beeast69.com/news/rockinfo/35874
Ecripse
「BLEED AND SCREAM」
発売日:2012/09/12
SPIN-044/2,500円(税込)
2001年、ファーストアルバムリリースによりスウェーデンから登場したメロディック・ハード・ロックバンド、ECLIPSE。ハード・ロック/ヘヴィ・メタルというカテゴライズの中では、多くの人が間違いなく“正統派”と認識するのではないだろうか?近年のエクストリーム系に見られる極端なスピード感とは趣を異にした、ハード・ロックならではのドライヴ感、キャッチーなサウンドは、新たなロック・ファンを増殖させる予感十分!!
Cyntia
「Endless World」
発売日:2012/09/05
BSBR-009/2,800円(税込)
今年4月、センセーショナルなデビューを果たしたガールズ・メタル期待の星、Cyntia。彼女らの、待望の1stアルバムが遂に登場!強力なギターはメタル・ファンにも十分アピールする上で、更にコーラス、ハーモニー、キーボードのインプロヴィゼーション、グルージーなリズム等、聴き応え応えもたっぷり。中でも美しく、且つ力強いSAKI(Vocal)のヴォイスはアピール十分。メタル・ビギナーから玄人肌のファンまで、是非オススメしたい作品だ!!
TRACEDAWN
「LIZARD DUSK」
発売中
SPIN-042/2,500円(税込)
ヘヴィ・メタルの聖地フィンランドより現れたメロディック・デス・メタルの本命、TRACEDAWNの3枚目の新作が登場。疾走するブラスト・ビートの上を時ににデス・ヴォイスが、またあるときにはメロディックなハーモニーが交差し、曲に広大なスケール感を与えている。“キャッチーさだけでは物足りない”“エクストリームでは重圧過ぎる”とお嘆きのメタル・ファンに、一味違ったおススメ盤の登場だ!
IN THIS MOMENT
「Blood」
SPIN-043/2,500円(税込)
新時代のL.A.“メタル”!?個性的且つ壮絶な世界観を持つIN THIS MOMENT待望のサードアルバム。シンフォニック、デス、メタルコア、バラード等様々な要素を持ちながらも、どれにもあてはあまらないユニークな世界観は前作にも増してパワーアップしている。シャウトからメロディアスなヴォイス迄、変幻自在のマリア(Vocal)のヴォーカルは、一つのスタイルを生み出したといっても過言ではないくらいに、聴くものに猛烈にアピールしてくる。
AS I LAY DYING
「Awakend」
発売日:2012/09/26
HWCY-1319/2,300円(税込)
メタルの祭典ともいえるEXTREME DOJOやLOUD PARKで、日本のメタルファンにもすっかりお馴染みのAS I LAY DYING、その自身6枚目となるアルバムの登場だ。強烈なブラスト・ビートの中に蔓延する音の洪水、そして交差するスクリーモとハーモニーが、聴くものの耳をとらえて離さない。激しさの中から時折姿を見せる切なさのような情感は、彼らならではの持ち味。「メタル・コアはちょっと…」と敬遠気味の方にも、是非一度チェックしてみてもらいたい。
GOROD
「A Perfect Absolution」
発売日:2012/09/12
HWCY-1318/2,300円(税込)
暴虐デス・メタル・サウンドの中に、時に「おや?」と思わせるギミックが満載、聴くものはきっと揃って「やられた!」と痛快な気分になること間違いない。非常に卓越したテクニックを持っている上、全般にヴォーカルに追従するようなハーモニー構成が絶妙。インテリジェントなサウンドを求めながら、且つ激しさを求めるメタル・ファンは是非チェックすべきだ。
NODRAMA
「THE PATIENT」
発売中
HWCY-1317/2,300円(税込)
2005年、スペイン、バスク地方にて結成された、エモーショナルなヘヴィ・メタルグループ、NODRAMAのファーストアルバム。俗に“メロスピ”と呼ばれるサウンドとも異なるアプローチで作られた、超重量級のギターをフィーチャーしたサウンドと、哀愁感溢れるメロディとの融合が見事。エモパンク等にも通じる風味も見られ、若いメタル・ファン層には広くおススメできる作品だ。
ALHAMBLA「SIEGFRIED」
発売中
BTH-049/3,000円(税込)
GALNERYUSのYUHKI(Keyboard)が参加していることで有名なALHAMBLAだが、その果てしなく広がるような世界観を生み出すサウンドは、まさに非の打ち所が無い。曲の端々に聴かれる猛烈なギター、ベース、そして強力なグルーヴを形作るドラム。シンフォニック且つメタルである、両方の要素を持ったヴォーカルも魅力的。単に“メタル”と片付けてしまうことが惜しくなるような秀作だ。
Balflare「Dowpour」
発売日:2012/09/28
BLRC-00056/2,500円(税込)
ジャパニーズ・メロディック・スピード・メタル黎明期のデビューから8年を迎えるベテラングループBalflareの、待望の4th Albumが到着した!初期HELLOWEENを彷彿とさせる、切れ味鋭いリズムとギターのエッジ、そしてシャープなヴォーカルが、完成され尽くした楽曲に見事に乗った秀作。日本のメタルもここまで来た!と思わせる高い完成度を誇った今作、全ての人に是非一度耳にして欲しい。
ACTROID「Crystallized Act」
発売日:2012/09/28
BLRC-00057/2,000円(税込)
2012年に、anna(Vocal)とtakeshi(Guitar)の2人で結成されたメロディック・ロック・ユニット、ACTROIDの、待望のファースト・ミニアルバム。ギターサウンドを強調したワイルドな面とポップでキャッチーな面、そしてダンサブルとも見られるリズムとのバランスが絶妙。玄人肌のメタルファンはもとより、アニソンファンなど多くの他ジャンル音楽ファンの耳にも馴染み易い雰囲気は特筆モノだ。特に、近年のマッシー気味(つぶれ気味)のギターとは異なる、小気味よいサウンドは、メタル・ビギナーにオススメだ。