今回の「ロック1年生」では、本連載のタイトル通り、ピカピカの1年生バンドに注目します。バンドを組んで間もない1年生達がどのようなロックライフを過ごしているのかに焦点を当てたいと思います。
「これ、7kgもあるんスよ〜」重たそうにベースをかついで登場したのは、荻原ひかり(以下ひかり)(Bass)さん。小柄な身長ゆえ、ベースがとても大きく感じます。続いて現れたのは米谷優馬(以下米)(Drums)君。スタジオまでの道を案内してくれる彼の背中は頼もしく、4人の中ではお兄さんのような、リーダー的存在です。そして、橋口元美(以下ゆきみ)(Vocal&Guitar)さん、野坂恒太(以下こうた)(Guitar)君も登場。ICE CREAM CRAZY。のメンバーが揃いました。都内の高校の同級生で今年5月に結成されました。現在は秋の文化祭に向けて、週2〜3回学校や地元のスタジオに集まって練習をしています。
バンド結成の経緯を聞くと、最初に出会ったのはゆきみさんとひかりさんで、なんと入学式の日に意気投合し、遊びに行ったのだとか。その時に「同じ部活に入ろう」とポピュラーソング(ポプソン)部に入ることを決めました。一方、同じポプソン部に入ったこうた君と米君も2人でバンドを組もうと話していました。その後、同じクラスで席が近かったゆきみさんが、こうた君と米君に声をかけたのがきっかけで、男女4人のバンドが結成されることとなります。米君のドラムさばきは同学年の中では有名で、バンドを組む前から女の子2名の間でも話題に上っていたそうです。
では、彼らはいつ頃から、どのようなきっかけで音楽に興味を持ち始めたのでしょうか。話を伺いました。
ゆきみ:私は4歳からピアノを始め、今も続けています。母親(40代前半)のいとこがピアノの先生をやっていたこともあり、母親がピアノを習わせたいということで始めました。また、父親も学生時代にバンドを組んでいたこともあり、家の中では一日中音楽がかかりっぱなしという幼少期を過ごしました。その後、歌も歌いたくなって、バンドを組む時にはボーカルを志望しました。
ゆきみ:バンドを組んで一ヶ月後…今年の6月頃から始めました。バンドを組んだ当初は、キーボード&ボーカルでやっていくつもりだったんですが、1番最初に練習した曲がRADWIMPSの「もしも」で、キーボードではなくギターが必要だったのです。ドラムの米に練習しろと言われて始めました。家は元々ギターがあったし、困ったときには教えてくれる父もいたので、すぐに練習を始めることができました。
こうた:僕は中2の時にアコギを手にしたのがきっかけです。母親(46歳)が、「息子が大きくなったらギターをやらせたい」という夢を抱いていて、14歳の誕生日にギターをプレゼントしてくれました。
こうた:実は小学生の頃からギターに興味は持っていて、でもきっかけがなかったのです。だからプレゼントされた時は嬉しくて、すぐ弾き始めました。中学の時は友人と弾き語りをしていましたが、バンドを組んで本格的に始めたのは今年になってからです。
ひかり:私は5歳から小6までピアノを習っていました。そして、中1の時に漫画「NANA」に影響されて、ギターを手にしました。その後、V系(ヴィジュアル系)の音楽にハマり、theGazettEのベースのれいたさんに憧れて中3の終わり頃からベースを始めました。今はベースを弾くことと歌うことの両方に興味を持っています。
ひかり:上達するしないに関係なく、飽きないこと。ベースの低音が好きです。
米 :小6の時にクラス全員で合奏をすることになり、その中でドラムが一番目立っていてカッコいいなと思ったのが、ドラムとの出会いです。その時はオーディションで落ちてしまい、悔しい気持ちを持ったまま中学へ。音楽に関わりたくて吹奏楽部に入りましたが、やりたい音楽と違うなと思い、途中で断念。やっぱりドラムをやりたいという気持ちが強く、中3の時に友達とバンドを組んで本格的にドラムを始めました。
四者四様に、音楽の魅力にどっぷりはまっているようです。そんな彼ら、彼女らは、普段どのような生活をしているのでしょうか。ある日のメンバーの行動を聞いてみました。
ゆきみ:ギターをやるようになってから、お父さんとの会話が増えました。細かいテクニックなど、教えてもらっています。
こうた:バンドを始めたことで、母はとても喜んでくれているようです。ライブを見に行きたいとも言ってくれています。照れくさいので見に来るなとは言っているのですが…
なるほど、ロックが親子の絆を深めているようですね。そんな「ロック1年生」の二人を、親御さんはどのように見ているのでしょうか。こっそりお話をうかがってきました。
娘は中3の時に「バンドがやりたい」と話し、軽音部のある高校を受験しました。夫が学生時代にバンドをやっていたこともあり違和感はありませんでした。4歳からずっとピアノを習っていたのでキーボードをやるのだと思っていましたが、意外にもボーカルを志望し、ギターも弾くことになったので、驚きました。キーボードもギターもボーカルも、様々なことに興味を持っているようですが、それ以上は手を広げすぎず、一つを上手になってくれたらと思います。
娘は、家ではよくバンドの話をしてくれます。また、夫にはギターの指使いや「こうしたら簡単に弾ける」などアドバイスを求めたりしているようです。私自身、学生時代にはピアノや吹奏楽をやっていたので、コンサートなどステージで弾くという充実感、達成感は非常に理解できます。ですから娘にもずっと音楽を続けてほしいと思います。「これを弾いてよ」と言われた時にパッと弾けるのって、嬉しいですよね。娘とは、そうした喜びのある仕事に就けたらね…なんて話しています。音楽にはずっと携わっていってほしいと思います。
こうた君母・模子さん(46歳)
私は小学生のころからピアノと親しんできて、幼稚園でピアノを弾いていたこともあります。楽器が弾けることの楽しさを知っていたので、子どもが、特に男の子が生まれたらギターを弾かせたいと思っていました。息子とはかねてから音楽の話をよくしていて、「古典はビートルズを聴いておかないと」なんて話していましたが、14歳になって私の好きなクラプトンなど洋楽も聴けるようになったので、誕生日にギターをプレゼントしました。実は、息子はほとんど独学でギターを覚えました。私自身もギター経験はあまりなかったので、初めて弦を替える時は親子二人で汗びっしょりになりながら挑戦しました。その後、自分で本を買ってきて練習していました。
息子はギターを始めてから時間の使い方がうまくなったと思います。元々はスポーツ一筋だったのですが、そこに新たな関心事が加わって…高校では今、どちらか一つは選べないと言って、ポプソン部(バンド)とバスケ部とを兼部しています。バンドもバスケットもチームプレーなので、中途半端にはしたくないと奮闘しています。恒太、好きなことが見つかって良かったね。気が済むまで頑張って!!
ひかり:7月に初ライブを校内でやったのですが、その時先輩が「ゆきみの声は他のバンドのボーカルと良い意味で違う」と言ってくれました。
米 :うちのバンドの魅力は、他のバンドよりもグルーブ感がある所だと思っています。
ひかり:音楽はずっと続けていきたいよね。
こうた:将来はエリック・クラプトンになりたい(笑)レコード会社に入ったり…、最終的な目標はフォーク居酒屋みたいなところでギターを演奏する、かっこいいおじさんになりたい。
ゆきみ:私も音楽はどんな形でもいいからずっと続けていきたいです。
米 :バンドとしては、楽しく納得できるパフォーマンスを心がけたいと思います。ライブにたくさん出たいですね!
現在はRADWIMPSの「もしも」や、Whiteberryの「夏祭り」などを中心に練習を続けているそうですが、特に決まったジャンルがあるということもなく、メンバーの好みも様々とのこと。今後いっそう楽曲の幅を広げていくとともに、オリジナルの制作にも期待したいところです。まだまだ高校生活は始まったばかり。学業とも両立して、かけがえのないバンドライフを極めてほしいと思います!

ICE CREAM CRAZY。(略して「愛くれ。」)
http://37.xmbs.jp/icecreamcrazy/
ファーストアヴェニュースタジオ国分寺店
http://www.f-a-studio.com/