大人気連載「ロック酒場探訪記」。32回目は、初の海外編として、香港の熱いライブバーをご紹介したいと思います。私は仕事で香港へ時々行っているため、本誌にも香港取材の記事があります。香港は大まかに2つのエリアがあります。昔ながらの香りを持つ、中国本土側の九龍半島エリアと、ビジネス街があり、欧米人が多い香港島エリア。私が普段滞在しているのは、九龍半島側が多いのですが、たまたま香港島での仕事の帰りに、ふらっと寄ったのが、今回ご紹介するThe Wanchです。
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その日の事はよく覚えています。香港がイギリスから中国へ返還された時の記念式典に使われた場所、香港コンベンション&エキシビションセンターへ取材に行った帰りに、一人で軽く飲める場所を探していました。
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最寄駅であるMTR(地下鉄)の湾仔(ワンチャイ)駅付近をネットで調べたところ、The Wanchがヒットしました。駅から数分の距離にあり、生演奏を聴きながら飲めるという事以外に、特に期待もせず行きました。お店に近づくにつれ、生演奏の音が聴こえてきます。そしてお店のオーラにやられてしまいました!すごく居心地の良いスペースだったのです。
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帰国後すぐに、次の香港行きが決まりました。そして私の頭には、The Wanchを記事にしよう!という想いが生まれました。さっそくお店にコンタクト……しようにも、満足なコミュニケーションを取れるほどの語学力を、残念ながら持ち合わせていません。幸いにして香港在住の日本人で、The Wanchに出演をしていた方にご協力を頂く形で、この取材は実現しました。またオーナーへのインタビューでも通訳を務めて頂き、深く感謝いたします。(Special Thanks:Saki Ohara)
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John Prymmer(ジョン プリマ―)
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January 1, 1956(1956年1月1日生まれ)
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Born In America(アメリカ出身)
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2000年に香港に来てから、13年間以上バンドを活動している。日中は電子関係の仕事をフルタイムこなし、夜はThe Wanchのオーナーとして、また自身のバンドのシンガーとして活躍中。
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— とても良いライブバーですね。日本のバンドの出演もありますか? br>
John:あります。沖縄や大阪など、日本のバンドも来てプレイしていますよ。The Wanchは、特にハウスバンドがいるわけではないので、様々なバンドが毎晩プレイしています。 br>
— The Wanchをオープンするキッカケを教えてください。 br>
John:お店自体は、この場所で1987年からやっています。元々は別のオーナーがいたのですが、ここを私はとても気に入ったので、三人の仲間で譲り受けることにしました br>
— The Wanchの店名の由来やコンセプトを教えてください。 br>
John:当初は、ワンチャイフォークスクラブという名前でしたが、フォーク以外にも色々なジャンルの音楽を扱いたいということから、店名を変えたようです。詳しいことはわかりません(笑) br>
— オーナーの音楽的な趣向は、どのような感じですか? br>
John:その日の気分もありますが、ハードロックが好きですね。 br>
— 好きなアーティストを教えてください。 br>
John:RUSH、David Bowie、The Rolling Stones、それから初期のVAN HALENなどが好きです。 br>
— お店のお休みはありますか? br>
John:基本的にないです。12月25日のクリスマスと、1月1日だけが休みです。あとは毎日やっています。 br>
— ご自身のお休みの日は、何をされていますか? br>
John:昼間の仕事が休みの時は、The Wanchの中の仕事、例えばwebなどをやっています(笑)。あまり休みという感覚はないですね。 br>
— お客さんは、常連の方が多いのですか? br>
John:常連の方は多いです。でも、観光客も多いですね。毎晩違うバンドが出ているので、それを楽しみにしてくれていると思います。 br>
— お客さんの中心的な年齢層は、どのくらいですか? br>
John:幅広いジャンルのバンドが出るので、年齢層も幅広いです。でも年齢問わず、音楽を愛している人が集っています。 br>
— 出演バンドはどのようにブッキングされていますか? br>
John:バンドに出演希望日を言ってもらって決めています。日本からのバンドも、言ってもらえれば考慮しますので、気軽に連絡してほしいですね。 br>
— 日本から出演したい場合、どのようにコンタクトすればよいですか? br>
John:Webから連絡もらえれば大丈夫です。 br>
— お店のお薦めメニューを教えてください。 br>
John:ボク自身は(お酒を)まったく飲まないんだけど(笑)。ビールも色々取り揃えていますし、ワインもたくさんあります。冬場は暖かいワインがよく出ますね。 br>
— 日本から行く人のために、アピールを一言お願いします。 br>
John:見どころがたくさんある香港に、ぜひ来てください。そしてThe Wanchに足を運んでもらえたらうれしいです。 br>
日本以外のアジアの夜の街は、欧米的に音楽を楽しむエリアが存在していて、よくハウスバンドがオープンなバーなどで演奏しています。ドアを開けたまま、生演奏の音が外にガンガン出ている様子は、日本では考えられません。日本は少しでも音がもれると、「うるさい!」と苦情が出る繁華街ばかりなので、まさに文化の差と言えます。
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香港島エリアの中心地は金融街があり、そこで働く欧米人相手のお店が複数あります。九龍半島エリアに比べ、仕事帰りに夜遅くまで音楽にひたってお酒を飲める環境が整っているように思います。
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旅行でも仕事でも、音楽好きを自負するのであれば、香港へ行った時はThe Wanchへ足を運んでください。グループでも、一人でも、The Wanchはお薦めできます。香港は、MTRが5分おきに走っていて、たいていの繁華街から、湾仔へはスムーズに行けると思います。中環や尖沙咀の駅からは、たった2駅です。香港でお酒を飲みながら、生演奏の音楽に身をゆだねる。とても贅沢な大人の時間の使い方だと思います。その日にどのようなバンドが出演するのか、出会いとしてそれも一つの楽しみです。素晴らしい夜となることは間違いありません!
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営業:月~金、日祝12:00~/土16:00~
定休:無し
住所:中国香港灣仔謝斐道54號
(54 Jaffe Road, Wanchai, Hong Kong)
TEL:+852 2861 1621
Official Website:http://www.thewanch.hk/
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