REPORT丨2013.03.19
Poppin Records Festival 2013
インディーズレーベルPoppin Recordsから『Poppin Records Festival 2013』の招待状が届いた。Poppin Recordsにゆかりのあるアーティストを4組集めたブッキングライブだ。
Poppin Recordsといえば以前から所属アーティストをこのBEEASTでも取り上げてきた訳だが、今回はそのレーベルのお祭という位置づけだ。出演の4組は、DITA、元Poppin Records所属「R・2」のULA、あの「カブキロックス」の氏神一番、Rie a.k.a. Suzaku。
実はこの日のライブ、氏神一番の『獅子王』レコ発ライブの意味合いも兼ねている、特別なレーベルイベントなのだ。
Poppin Records
http://www.poppin.jp/poppin/
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トップバッターはDITA。普段はクラブ系のハコで歌うことが多いというDITAは、ライブハウスは久しぶりとのことだ。R&B系シンガーDITAと、DJ担当のMIZUHOの2人での出演。DITAはDITA名義で歌う他にBND.comという3人組のダンスユニットを、MIZUHOはShow What’sという昭和歌謡アイドルのものまねユニットを、それぞれやっている。
まずはMIZUHOのDJのみで始まり、後からDITAが登場、ユニットのイントロデュースとして披露した「DIVAS DITA feat.DJ MIZUHO」はラップ調の曲だ。普段のBEEASTならほとんど扱うことのないジャンルなので、取材で伺っているライブだとこの手の曲調は新鮮だ。続いて「TRAP」「STILL」「BE WITH U」とラブソングを中心に披露、DITAの甘く、そしてパワフルな歌声が響く。
変わり種は「I LOVE 0246」。DITAが東日本大震災の被災地の出身であることから作られた曲だ。いつ何が起こるかわからない、そして事が起こってしまった時に自分は何ができるのだろうか、そのことを考えさせるメッセージソングだ。最後の締めくくりはちょっと切ないイメージの「LAST SONG」だ。
M01. DIVAS DITA feat. DJ MIZUHO
M02. TRAP
M03. Still
M04. I LUV 0246
M05. Last Song…
◆DITA 公式サイト
http://www.poppin.jp/dita_web/
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2番手は癒し系POPS、ULA。ヴォーカルULAとピアノ奏者のfraniの2人での出演だ。ULAはかつて「R・2」の名前でPoppin Recordsに所属、現在はPoppin Recordsを離れボイストレーナー、プロデュース業をやっている。今回はPoppin Recordsのお祭ということで、古巣のイベントに参加した。
ジャジーなアレンジのfraniのピアノ伴奏に載せて、Carpentersの「Close to You」のカヴァーをULAが澄んだ声で歌う。まさに癒しのひと時だ。ライブハウスよりもむしろピアノの置いてある瀟洒なバーで、オンザロックの蒸留酒をチビチビやりながら聴きたい。カヴァーはこの他にもStevie Wonderの「Overjoyed」、Eric Claptonの「Change the World」を披露、丁寧な歌い方には心を洗われる。
だがしかし、カヴァー曲とは違い、持ち歌の「影踏み」「プレゼント」を歌った時のULAは凄かった。MCでは「オリジナル曲だと(観客が)知らないからノレないかも知れないけど」と言っていたが、むしろこのオリジナル曲こそ聴くべきだ。カヴァー曲でも確かにULAは上手いし、その歌声に癒される。だが、持ち曲を歌う時のULAは、カヴァー曲の時とは段違いに、全感情をその歌に載せて歌うのだ。その「届ける力/伝える力」は強力で、こちらにグイグイと入ってくるのである。この表現力こそULAの真骨頂なのだろう。
M01. Cloce to you(Carpenters)
M02. 影踏み
M03. Overjoyed(Stevie Wonder)
M04. プレゼント
M05. Change the world(Eric Clapton)
◆ULA 公式ブログ
http://ameblo.jp/jackieula/
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3番手は氏神一番。メジャー経験もある氏神は誰もがその名を知るところだが、さすがに彼のオーラは他の出演者と違って存在感があった。
まずバックバンドのロハス雅樹(Guitar:リーダー)、侍麹之介(Keyboard)、GOSSY(Drums)、武(Bass)の4人でインスト曲「Twin Traction」を演奏。ここで全身ヒョウ柄で首に蛇を巻き、いつもの隈取をした氏神が登場、「I Was Badboy」を披露し、続いて「じゅうろくしち」。この2曲の歌詞は氏神の過去を語る様な内容で、アクトの前半に持って来たのはやはり意味があるのかと感じた。続く「KAKEHASHI」が氏神が関わる発展途上国に学校を作る活動に絡ませて作られた曲であり、前の2曲の過去と、この「KAKEHASHI」の現在との対比となっているのだろう。
続く「SAMURAI」では氏神が歌舞伎の見得らしきパフォーマンスを見せる。ここまでは過去にリリースした曲達である。さすがはステージ慣れした氏神、凛とした姿でハリのある歌声を披露した。バンドメンバーもそれぞれが手だれと見え、安心して演奏を観ていられる。
そしてここからがこの度発売になった、このイベント自体がレコ発の意味を持つアルバム『獅子王』収録の曲だ。
この日演奏されたのは、メタル調のイントロで始まる短調の「熱い想い ~Shining Sky~」、キャッチーなロックンロール調の「灰とダイヤモンド」、ピアノで始まるバラッド「スノーエンジェル」の3曲だ。スノーエンジェルは、現実か幻か、いたはずのエンジェルが消えてしまうという幻想的でちょっと悲しい歌。もしかしたら氏神の存在そのものか、もしくは氏神が人生をかけて追って来た何か、を表現しているかの様だ。氏神はこの曲の時に缶スプレーの雪をまいたのだが、この雪もすぐに消えてしまう性質のものだったのは、偶然にも「儚さ」「不確実さ」という部分で歌と重なった。
そして最後はお馴染みの「お江戸-O・EDO-」だ。カブキロックスのメジャーデビュー曲であり、沢田研二の「TOKIO」を江戸時代風の歌詞にアレンジした、80年代を生きた人間なら誰でも知っているあの曲である。この曲は誰もが知っているので、会場は沸き立った。氏神はここでも見得の様なパフォーマンスで観客を煽った。氏神はソロでステージに立っても、やはりカブキロックスの氏神一番なのだと、あらためて確認した。
M01. Twin Traction
M02. I Was Badboy
M03. じゅうろくしち
M04. KAKEHASHI
M05. SAMURAI
M06. 熱い想い ~Shining Sky~
M07. 灰とダイヤモンド
M08. スノーエンジェル
M09. お江戸-O・EDO-
◆氏神一番 公式ブログ
http://ameblo.jp/uipro/
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そして真打は、Poppin Recordsの看板娘、Rie a.k.a. Suzakuの登場だ。メジャー経験者の氏神一番をして「トリ」を譲らせる程の重要アーティスト、Poppin Records社長の秘蔵っ子だ。RieといえばこのBEEASTでもとりあげさせていただいており、読者のみなさまもご存知であろう。Rieは6月にニューアルバム発売とのことだが、これのサポートミュージシャンがすごいことになるらしいとの未確認情報も入って来ている。
演奏メンバーはRie a.k.a. Suzaku(Guitar)、Dia(Vocal)、RYO(Gitar)、Nabe(Bass)、そして久々に修行から帰って来たIsamu(Drums)の5人。オープニングのSEが始まり、暗がりに5人が構えている。1曲目は「Mother earth」、のっけから16ビートでぶっ飛ばす。そして続くはノリノリの「Desire」。ここでMCになるのだが、可愛い舌足らずのRieトークは、先ほどまでランディーローズモデルをかき鳴らしていたギタリストとしての姿とのギャップに、思わず拍子抜け!
そしてバラッドで鳴きのギターの「Heaven」、インスト曲でメタル的でありながらメロディーやコード進行に日本のフュージョンを連想させる「Kingdom of the Sun」。ここでRieは7弦ギターにチェンジ、「Dreaming Eyes」を演奏。Rie愛用のギターアンプPEAVEY Triple XXXは低音の再現性において、7弦ギターと相性バッチリだ。
続く「Oblivion」「Last Enemy」「End of the darkness」ではRieとRYO、2人のギタリストのハーモニーもバッチリだ。そしてRieは再びギターをランディローズモデルに持ち替え、最後の曲「Messia」を演奏。RieとRYO、2人のギタリストが背中合わせにハーモニーを弾く姿は、最後の最後で見せ場を作った形だ。
Rie a.k.a. Suzakuは、本人も含めメンバー達も全員上手い上に華がある。金髪でボンテージ姿がステージ映えするDia、サイドギターとして普段控え目に弾きながらもギターのハーモニーでは本来の上手さを披露するイケメンRYO、指弾きで16ビートのヘヴィメタルナンバーを奏でる頼もしいNabe、安心してリズムを任せられる上に恐ろしく手数の多いIsamuが、スーパーギタリストRie a.k.a. Suzakuを支えている。今後もRie a.k.a. Suzaku及びバンドメンバーの活躍が楽しみだ。
M01. Mother earth
M02. Desire
M03. Heaven
M04. Kingdom of the Sun
M05. Dreaming Eyes
M06. Oblivion
M07. Last enemy
M08. End of the darkness
M09. Messiah
http://www.poppin.jp/rie_web/
◆インフォメーション
・2013年03月25日(月)【渋谷】サイクロン
idolock party vol.8
・2013年03月31日(日)【渋谷】マルムスティーン
ブレス オブ ヒーロー 〜You Need A Hero〜(プレ開催)ソロ出演ワンマン
全4組で3時間。長丁場のイベントだったが、演目にバリエーションがあったため、飽きずに楽しめた。こんなにも素晴らしいアーティスト達を抱えたPoppin Recordsには、今後も注目していこうと思う。近いうちに誰かがPoppin Recordsからメジャーアーティストとして羽ばたいていくその成長の過程を、きっと目撃できる日が来るであろう。
◆関連記事
【レポート】(フォトレポ)Rie a.k.a. Suzaku バースデー・ライブ・イベント
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【レポート】(フォトレポ)Legend of Messiah Vol.8「Dreaming Eyes Tour 2012 DVD発売ワンマンライブ」
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