少しずつ肌寒くなり秋を感じる9月の終わり、代々木駅近くの地下の会場に足を踏み入れると、ライブハウスではあまり見たことがないほど広いバーカウンタースペースが目に入る。
代々木Zher The Zoo。ここで今宵開かれるのは、その名も「Pop Trip」。出演はTHE ORANGES、AM☆PM、LOVE ME DOという顔ぶれ。どんな楽しいポップの世界へ連れて行ってくれるのか期待が高まる。
程よくライトアップされた会場にチラホラと客が入り始めたころ、軽快なSEとともに現れたトップバッターはTHE ORANGES。メンバーはJEFF ORANGE(Vocal & Guitar)、NELO ORANGE(Guitar & Vocal)、ROBIN ORANGE(Bass & Vocal)、MAL ORANGE(Drums & Vocal)。
全員が白のトップスに白のベルボトム、そしてオレンジのスカーフというまるでグループサウンズのようないでたち。さらにJEFF ORANGEやNELO ORANGEのマッシュルームカットのような髪型から、まさに60年代や70年代を彷彿とさせる。統一感のある衣装には、ステージの色を引き締めてくれる効果もあるようだ。
「こんばんは。ORANGESです」と始まった1曲目は、ルックスからの印象を裏切らない明るいポップソング「ティーンエイジ・ポップ」。キャッチーなメロディで、初めて聴いたのに、ついつい口ずさみそうになる。続いて「サンデー・ドライバー」。軽快なサウンドの合間に響く、印象的なギターソロが印象的!
「久しぶりに会った永井ルイさんと対バンです。ルイさんはORANGESが3人時代にアルバム『バルーン』をプロデュースしてもらいました」と、次に出演するAM☆PMの永井ルイとの関係を披露。「トップだから僕らも緊張気味です。初めてのデートみたいな感じで行こうよ」と観客に可愛くアピールしながら3曲目「カメレオンの気持ち」がスタート。ポップな中にも少し切なさが漂う素敵な曲。そして「恋のパワー・愛のパワー」も同様に歌詞が一度聴いたら忘れられないくらい心に響く。
新曲「Dont’Mind」ではうって変わり、激しめの軽快なリズムに観客も楽しく踊っている。「ORANGESは来年で20周年。6枚のアルバムを出していて去年新しいアルバム『ジャンボリー』がでました」とアルバムを紹介したのち、そのタイトル曲である「ジャンボリー」へ。アルバムタイトルになっているだけあってインパクトが強く、音のハモリが面白い曲。
「恋をとめないで」のボーカルやギターのハモリと、メンバーの振り付けに心が弾む。そしてラストはギターソロが印象的な軽快な「ロック・サービス」で最後まで観客を盛り上げる!THE ORANGESは誰もが受け入れやすい聴きやすいメロディと、体にスーッと入ってくる歌詞、そしてキャッチー&ポップなステージで、観る者を引きこませるのが最大の魅力!
M01. ティーンエイジ・ポップ
M02. サンデー・ドライバー
M03. カメレオンの気持ち
M04. 恋のパワー・愛のパワー
M05. Don’t Mind
M06. 恋のダイアリー
M07. ジャンボリー
M08. コーラ
M09. ピンチになったらよんで
M10. いじめたい
M11. 恋をとめないで!
M12. ロック・サービス
◆THE ORANGES 公式サイト
http://www5d.biglobe.ne.jp/~rabbitrc/
◆インフォメーション
・2012年12月23日(日)【下北沢】GARAGE
続いての登場は、永井ルイ率いるAM☆PM。真っ白だったTHE ORANGESとは対照的に、重々しいSEに全員妖しげな真っ黒な装いで登場。メンバーは、永井ルイ(Guitar,Bass & Vocal)、ACKO(Bass,Guitar & Vocal)、TAKAHIROID(Guitar & Vocal)、小畑ポンプ(Drums & Vocal)、葛岡みち(Keyboard & Vocal)、Maruse(Violin & Vocal)。ステージに並ぶ6人は、メンバーが真っ黒のゴシック系で登場しただけで、会場の雰囲気が一変!
SEの途中で唐突に「AMPMのテーマ」がスタート。イントロ、バイオリンの美しくも妖しげな音に永井ルイの美しく伸びる声が重なる。続いて力強い声でACKOが歌い出し、次々と他のメンバーも…。すごい!これこそAM☆PMの最大のウリである、全員が歌うスタイル!観客も一瞬でAM☆PMのオーラに包み込まれる!
「Tonight Goodnight」では、ACKOの張りのある強い澄んだ歌声とMaruseの不思議な独特な声が加わりながら、TAKAHIROID、永井ルイ、葛岡みち、小畑ポンプとパートごとに全員がリードボーカルとして歌う。まるで曲はミュージカルのように、美しいアカペラの出だしから徐々にアップテンポに転調していき1つの曲が次々と変わっていく。この高度な構成は、それを演奏するミュージシャンの力量の凄さを物語っている!
MCで永井ルイは「AM☆PMのセンターはいつも変わるので、ボーカルが誰かわからない面白さがあります」と語る。確かにAM☆PMは”実験的なバンド”とでも言おうか、6人の化学反応が想像以上の相乗効果を生んでいる。続いて「今日はポップロックなナイトだけど、ちょっとプログレッシブな曲をやってもいい?」とACKOが話し、「12時の鐘」」がスタート。葛岡みちの柔らかく透き通るリードボーカルで始まったハードなナンバーは、ドラマティックな物語のよう。何だかおとぎ話の世界に入り込み暗い森の中をさまよっているような感覚に襲われる。Maruseの声が所々柔らかく響き良いアクセントになっている。
続く「Show White Moon&Echo」は前曲の暗い森の中から月の光が照らし出して、希望がみちてくるような曲。バイオリンから楽器が次々に重なり、歌が安定した音のリズムの中を泳ぐように流れていく。アニメのテーマソングである「Big-O Show Must Go On」は、ギターリフから始まるアップテンポなロックナンバー。今までの曲調とはまた一味違う攻めの一曲だ。「空にラクガキ」と続く。楽器だけではなく作詞や作曲、ボーカルと多才にこなせる6人が集まっているから、次に何がくるのか読めない面白さがある。それがAM☆PM!
そしてラストは「Lucky Star」。曲全体としては明るいのに曲中で独特の不思議な雰囲気を醸し出し印象的なラストソング。本当に何が出てくるのかわからないおもちゃ箱のようなバンド。妖しい雰囲気にもドキドキしながら、目が離せないステージを最後まで魅せつけてくれる!
M01. AMPMのテーマ
M02. Tonight Gppdnigt
M03. 12時の鐘
M04. Snow White Moon&Echo
M05. Big-O Show Must Go On
M06. 空にラクガキ
M07. Three Sleep Sweet Dream
M08. Lucky Star
◆AM☆PM 公式サイト
http://glimrock.com/ampm.html
◆インフォメーション
・2013年01月26日(土)【吉祥寺】ROCK JOINT GB
とくべんルイ(永井ルイ)
・2013年02月09日(土)【渋 谷】渋谷公会堂
すかんちツアーファイナル(小畑ポンプ)
この日ラストのバンドは、これぞグラムロック!というきらびやかでカラフルな青木秀樹(カブキロックスの青木秀麻呂)率いるLOVE ME DO。メンバーは灯り(Vocal)、青木秀樹(Guitar)、マーヴェ(Guitar)、リッチーxxx(Bass)、ミッシィ (Drums)の5人のスター!登場と同時にパーティー会場のような華やかな雰囲気になる!
灯りの真っ赤な衣装を筆頭に、足が細くてひときわ目を引く青木秀樹など、五者五様に個性あふれるメンバー。真っ赤なファーをヒラヒラさせた灯りがシャウトし、1曲目「この胸のときめきを」がスタート。ポップでキュートなサウンドと、まるで花束のような雰囲気に、観客の目が輝きを増していく!
LOVE ME DOは、フロントの4人が指で振り付けをしながらスタート。リズミカルで覚えやすくてとても耳に残るメロディだ。妖しげでセクシーな王子様・青木秀樹のギターが美しく鳴り響く。「デカイ、ホソイ、ケバイこの5人の男たちの奏でる愛の歌をご堪能ください。今日は若干お年を召した方々が、ポップな曲をこれでもかとやる集会ですね。」と青木秀樹が語りかけ、客席は大爆笑。
「次の曲はあの伝説のグラムロックバンド、ラブミサイルから「こわれたオモチャ」という曲を」と煽り、会場から黄色い歓声があがる。甘くてキャッチ―、極上のポップなメロディが会場に行きわたる。アップテンポの激しい「ロザリー」をはさんで、「愛の夜間飛行」と「Shinin’ You!」へ。サビにちょっと哀愁が漂うキャッチーさに、どこか懐かしさを感じさせる。
灯りの「最後の曲だぞー!踊れよ、後ろも踊れよ!」とラストソング「眠れぬロマンティック」へ。ノリの良いアップテンポなポップロックに、観客も最高潮の盛り上がりをみせる!興奮冷めやらぬ状態からのアンコール。「今日初めて観る方、 我々の曲は聴いていただけましたか?デカイ、ホソイ、ケバイ。NGワードがあって、キモイ、イタイ、サムイ。これNGワードなので何かに書き込む時は気を付けてくださいね」
長年ロックシーンで活躍し、エンターテイメントを極めた青木秀樹ならではのトークが最高!大爆笑からのアンコール曲は「CRAZY MOON」。軽快で明るいサウンド、マーヴェと青木秀樹のツインギターの音がカッコいい!腰を持っていかれるようなリッチーxxxとミッシィ のリズムに、体が自然と動いてしまう!「Thank you」とメンバーが去った後も拍手は鳴りやまず、名残惜しい気持ちだけが観客の心に残っている。
LOVE ME DOの魅力は、まずインパクトの強いルックスと個性。そして彼らが奏でる甘くてメロディアスなのに、 どこか昭和を感じさせる切なさも兼ね備えたそのノスタルジックなメロディ。初めて聴いてもサビを歌えそうになる、そのキャッチーさ。一度観たら癖になること間違いなし!また行きたいな…と思わせてくれる魅力的なライブパフォーマンスに感動!
M01. この胸のときめきを
M02. LOVE ME DO
M03. こわれたオモチャ
M04. ロザリー
M05. 愛の夜間飛行
M06. Shinin’ You
M07. 眠れぬロマンティック
-encore-
M08. CRAZY MOON
◆LOVE ME DO 公式サイト
http://lovemedo.cc/
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