REPORT丨2012.07.03
ROYAL HUNT「20th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2012」2012/6/16 @渋谷O-EAST
80~90年代のメタル・ブームの中でも、筆頭に挙げられるバンドの一つ、ROYAL HUNT。デビューアルバムから20年という長い歳月を迎えながら、未だに日本国内でも多くの根強いファンを持つメロディック・メタルのスーパースターだ。昨年、第2期ヴォーカリストのDC COOPERがバンドに復帰、昨年末にはニュー・アルバムをリリースしまた新たなステップに向け本格始動を始めた。そんなメタル・ファンにはたまらない彼らのメロディアスかつエキサイティングなステージの模様を、今回はレポートしよう。
◆ROYAL HUNT is:
DC COOPER(以下、DC :Vocal)、Andre Andersen(以下、Andre :Keyboards)、Allan Sorensen(以下、Allan :Drums)、Jonas Larsen(以下、Jonas :Guitar)、Andreas Passmark(以下、Andreas :Bass)
暗転された会場の中、赤く照らされたステージ。更に重々しく鳴り響くオーケストレーションのSEが、フロアの観衆を高揚させ、次第に彼らを迎えるための拍手が大きくなる。やがて、登場したメンバーの、Andre、Andreas、Jonas、Allan、美しい3人のコーラス。そして、トラムとキーボードの間に設けられたお立ち台からドラマチックにDCが登場。ニュー・アルバムのトップ・ナンバー「One More Day」で幕を開け、彼の第一声から、ウォーっという大きな歓声がフロアから上がる。初っ端からサビでは観衆がDCと声をコーラスで合わせる。そのコーラスの大きさは、会場を埋めた観衆の殆どが、正真正銘のROYAL HUNTファンだったであろうことを物語っている。そんなフロアの反応にとても満足した表情を見せたDC。そしてフロアをまた一段と鼓舞していった。
続いた「The Mission」では、3人の美しいコーラスが生み出すゴージャスなハーモニー。観衆の掛け声、サビを連呼する声が重なり、更に厚みを増す。赤を基調とした壁の模様に、大きなドラムとキーボードのセットが並べられ、その真ん中にDCが立つお立ち台が設けられている。そして、最後列には3人の美女コーラス。O-EASTのステージが程よく彼らで空間を生め、ステージのアピールを更に強くしている。その中でしっかりと主導を握るDCのヴォイス。伸びやかで美しく、かつ力強いその声は、聴くだけでその実力の程を実感できるほど。これ程に丁寧な歌を聴かせられるアーティストが、今どれだけいることだろう。キーボードの響きと、3人のコーラスが作り出す美しいハーモニー、そしてギター、ベース、ドラムが作り出す重厚でワイルドなリズム、これにDCのアピール性抜群のメロディがしっかりとバンドサウンドを作り上げる。どこかに偏って変に目立っていたり、音が引っ込んでしまうことのない完成されたバランスが、フロアの観衆を陶酔の世界へいざなう。
フロアで見られた興奮の様子は、まるで80年代のメタル・ムーブメント全盛時、そのサウンドの魅力に溺れるもの達をそのまま持ってきたような興奮の模様そのものだった。
常にフロアを意識しているDCのパフォーマンスは、親しみが感じられながらも、プレイではドラマチックに、そしてメロディアスにメロディを聴かせる。そして、Jonasが繰り広げるギターソロは、DCの作り上げるメロディと、それが生み出す高揚感を更に倍増させていく。DCがフロアに身を乗り出せば、フロアはみなそこに向かい腕を振り上げる。分厚いリズムをキープするベースとドラムのコンビネーションは非常に安定感があり、美しさと荒々しさという対極を作り上げるギターとキーボードは、更にサウンドの幅を広げていく。そして、曲に命を吹き込むDCのヴォイス。
5曲目に迎えた「Step By Step」は、そこまでプレイされた楽曲が割とキャッチーかつメタルの王道的な、シリアスな響きだったのと対照的に、ブルージーな雰囲気を醸し出した。そのグルーヴィーな空気にいつまでもサビを連呼し、曲の隅々まで陶酔する観衆。Jimi Hendrixばりに頭の後ろにギターを回して弾くJonas。更に突然のブレイクでおどけるDC。彼のカウントでまた、一段と興奮度が増す。続いた「Wasted Time」では、観衆とのコール&レスポンスを楽しむ。恥ずかしがる様子もなく、そのコールにレスポンスを返す観衆。全ての観衆に目を配り一体になって「もっともっと!ライブを楽しもうぜ!!」と更にあおっていくDC。それに応え更にステージに引き込まれていく観衆。その様子に何かを確信し、不敵な笑いを浮かべるDC。まるで「よし、これで俺達が楽しめるペースだ」と確信したような、満足げな表情だった。ステージはちょうど中盤に差し掛かり、ピアノバッキングのみで歌う「Faraway」、そしてアコースティックタイムになると、キーボードのAndreもギターを手にするなど、趣を変えた雰囲気を見せる。そんな中でもドライブ感抜群、拍手の嵐が飛び、リラックスしながらもグルーヴ感を忘れない部分に、彼らの音楽性の広さと、スキルの高さを感じさせた。
いよいよクライマックス。Jonas、DC、Andreas、そしてコーラス・メンバーが掃け、Andre一人による重厚なハーモニーをキーボードでドラマチックに響かせる。そんな中でも、DCのちょっとコミカルながら、精一杯にフロアを盛り上げようとする姿が、更に観衆の高揚感をあおる。果てしなく広がるようなコーラスは、サビに近づくにつれて、熱気とともに厚みを増す。フロアに向けかかげられた観衆の腕は、まるで樹海に連立する無数の古木のようだ。「Come on!Pick it up,Pick it up!」ピアノの独奏と共にそれをささえる手拍子が会場いっぱいに響く。観衆はDCの放つ、見えないメッセージを確かに受け取り、心を動かされていた。もうどこから流れているのかが本当に分からないほどの重圧なコーラスが会場を包む。そして、エンディング。「Thak you so much!We love you Tokyo!」DCの熱い声と共に、彼らはステージを降りた。
嵐のようなアンコールに応えて登場した、キーボードのAndre。ショルダーキーボードを手に、アクティブな勝負を望んでいる様子だ。そしてDCとコーラス以外のメンバーが、インストを披露。激しいキーボードのイントロから、強力なシャッフルのリズムへ。ギターとキーボードの強力なユニゾンの中、やがてベースがそこに割って入る。ユニークで丁寧なメンバー紹介で、また会場を沸かせるDC。メンバー一人一人に歩み寄り、ちょっかいを出しながら、親愛の情を込めて紹介を続けるDC。その様には、惜しみに拍手と歓声が投げかけられる。そしてラストナンバー。最後のスローダウンで会場に現れたウェーヴは、この日素晴らしいステージを繰り広げてくれた彼らに対する感謝と彼らのステージが終わる名残惜しさを示しているようだった。

◆ 公式サイト:
オフィシャルサイト
http://www.royalhunt.com/
東京音協 オフィシャルサイト
http://t-onkyo.co.jp/
Avalon Onlineオフィシャルサイト
http://www.marquee.co.jp/avalon/
1.0ne More Day
2.The Mission
3.Flight
4.Hard Rain’s Coming
5.Lies
6.Step By Step
7.Tears Of The Sun
8.Wasted Time
9.Age Gone Wild
10.Guitar Solo
11.Half Past Loneliness
12.Kingdom Dark
13.Angel’s Gone
14.Far Away
【Acoustic Medley】
15.Restless~Makin’A Mess~One By One
16.Show Me How To Live
17.Last Goodbye
Encore
18.Message To God
(All photo by Takumi Nakajima)
もうベテランという域に達したと思われるDCのヴォーカル・パフォーマンス、それこそが今のROYAL HUNTの、最大の魅力ではないだろうか。この日も彼は、最初から最後まで全力投球で最高のヴォイスを聴かせ、フロアとの親密なパフォーマンスで、常にフロアの観衆の心を捉えて離さなかった。この日ライブに駆けつけ、彼に会えたファンは、とても満足な持ちとなったに違いない。彼の一声が上がるたびに、フロアは隅から隅まで大きな歓声が上がり、指の先を、彼に向けてピンと指し示す。その様の壮観さが、その事実を物語っていた。彼らはメロディック・メタルの最高峰に、今尚立ち続けている。それを物語るかのようなライブだった。
1)プログレッシヴ・ロック・フェス2012~真夏の夜の夢~
日付・曜日:2012年8月25日(土) 17:15開演
会場:日比谷野外大音楽堂
席種料金:¥12,000(前売・税込・全席指定)
詳細内容:
出演:
ゴブリン
ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター
バークレイ・ジェームス・ハーヴェスト
2)Dos a tres caidas ! ~コンチェルト・ムーン炎の三番勝負~ 第二弾

会場:SHIBUYA BOXX
席種料金:立見-5000円
詳細内容:
※入場時ドリンク代別途必要。
出演:
<EARTHSHAKER> http://www.earthshaker.jp/
西田昌史(Vocal)、石原慎一郎(Guitar)、甲斐貴之(Bass)、工藤義弘(Drums)
<コンチェルト・ムーン> http://concerto-moon.com/
島 紀史(Guitar)、久世敦史(Vocal)、長田昌之(Drums)、三谷耕作(Bass ※サポート)
3)It bites『TOUR OF THE PAST 2012』

会場:渋谷クラブクアトロ
席種料金:立見-7000円
詳細内容:
※入場時ドリンク代別途必要。
お問合せ:
東京音協 03-5774-3030

「SHOW ME HOW TO LIVE」
MICP-11025/2,700円(税込)