TEXT：栗林啓　PHOTO：ossie

HEAD PHONES PRESIDENT 25th Anniversary Show
2025.04.12 @Shinjuku WildSide Tokyo

2025年4月12日の新宿WildSide Tokyo。会場を埋め尽くす観客の熱気と期待が渦巻く中、HEAD PHONES PRESIDENTの25th Anniversary Showが幕を開けた。結成25周年という節目を祝うこの夜のライブは、単なるアニバーサリーにとどまらず、これまでの歩みと現在、そして未来へ向けてのメッセージを音で描き出す壮大な物語のようであった。

25年の軌跡と未来を繋ぐ一夜

会場が暗転すると、ステージのバックモニターに開演前にはDJとしても活躍したYUGOによる映像が映し出され、フロア全体を幻想的な世界観が包み込む。先に登場したHIRO、NARUMI、BATCHの三人に続いて、ANZAがセンターへと歩み出る。その瞬間、客席から割れんばかりの歓声が湧き上がった。ライブは初期曲「A-La-Z」で幕を開けた。HIROの重く切り裂くようなギターリフに、NARUMIの地を這うようなベースライン、BATCHのタイトで切れ味鋭いドラム、そしてANZAのスクリームが交錯し、会場は瞬く間にHEAD PHONES PRESIDENTの世界に染まる。続く「escapism」「Light to Die」では、鋭利な音の刃が観客の心を突き刺すかのような迫力があった。序盤から繰り出されるラウドでヘヴィなサウンドに、フロアの熱気は一気に最高潮に達する。

進化し続けるステージと演出

中盤に披露された「Chain」は、長年のファンにとって特別な一曲だ。さらに、久々に演奏された「ill-treat」そして「The moon chases Me」といった名曲が続き、会場は時間軸を超えた音楽の旅へと引き込まれていった。今回の公演で特筆すべきは、YUGOによるVJの存在だ。楽曲ごとに巧みに構成された映像演出は、HEAD PHINES PRESIDENTの音楽が持つ世界観を視覚的に増幅させた。楽曲の重厚さに合わせて映し出される映像は、時に鋭く、時に静かに、観客の感情を揺さぶる。この夜のステージがひとつの総合芸術であったことを強く感じさせた。

未来へ向けた進化

ANZAが衣装チェンジのためにステージを離れた間に行われたインストゥルメンタルセッションは、この日最初のハイライトひとつ。HIROの切り裂くようなギター、NARUMIのグルーヴィーなベース、BATCHの多彩なリズムが絡み合い、観客は音だけで描かれるドラマに魅了された。衣装を変えて戻ってきたANZAが歌い上げた「Change The Game」「Seeds Remain」などの新曲は、初期の衝動的なサウンドを内包しながらも、さらに洗練されたグルーヴと深い表現力を獲得していた。過去の名曲と並べても全く遜色のない、むしろ今こそがHEAD PHONES PRESIDENTの音楽が最も輝いているのではないかと感じさせるほどだ。後半に向かうにつれて、会場はさらにヒートアップ。「To the Air」では、BATCHのドラムソロが披露され、テクニカルかつエモーショナルなパフォーマンスに観客は息を呑む。続く「ALIVE」「The One To Break」「WAKING LIFE」「Until I Die」と代表曲が連発されると、観客のボルテージは頂点に達した。

25年、そしてその先へ

「Stand In The World」の後、ANZAが観客へ深い感謝を伝える。「この25周年のライブで皆さんにお会いできて、皆さんい支えられてここまで来ました。自分たちの体力、熱意が続く限りこのバンドを続けていきたい。」という言葉は、会場にいる全員の胸に深く響いたことだろう。本編ラストを飾った「Burn it all down」では、HIROのギターソロが文字通り火を噴くように炸裂し、ANZAの魂を絞り出すような歌声とともに、記念すべき一夜を締めくくった。HEAD PHONES PRESIDENTがこの25年を駆け抜けてきた軌跡、そしてこれからも進化を続けるという確信が、会場にいた誰しもの胸に刻まれたに違いない。公演の最後には、12月6日、7日に2日連続のスペシャルな主催イベントを行うことが発表され、さらなる未来への期待感が膨らむ。