REPORT丨2015.05.10
RHYTHM OF FEAR
TEXT & PHOTO:桂伸也
LIQUIDROOM PRESENTS RHYTHEM OF FEAR
2015.3.13 @恵比寿LIQUIDROOM
2015.3.13 @恵比寿LIQUIDROOM

さらにイベント直前にオープニングアクトとして出演が決定したBIG★X PROJECTも、バンドとしてはまだ走り出したばかりだが、個々のメンバーはミュージシャンとして多くのスタジオワークやサポート経験を積んできたベテラン集団でもあり、決して他のバンドに引けをとらない実力を持つバンドだ。今回はこのイベントの模様をレポートしよう。DJの増田勇一によって送り届けられるゴキゲンなロックサウンドが流れる中、フロアは最前列より多くの観衆で満たされていった。
いよいよスタートの時間。不意にAC/DCの「It’s a Long Way to the Top」が鳴り響いた。ロックのスタンダードともいえるその名曲が流れることで、観衆は期待に胸をふくらませた。そんな中、BIG★X PROJECTのメンバーが一人、また一人とステージに登場。そして曲が終わり、Sugarの開口一番「宜しくお願いします!」という力強い声に、歓声と拍手が会場の中で響いた。そしてひと時の静寂から突然バスドラのけたたましい音が。その音に続けて、広大なスケール感を醸し出すオープニングナンバー「夕暮れ」へ。スウィングするリズムの中で、Sugarの少し荒々くも、語りかけるような歌がこのイベントを楽しみに集まったファンを温かい雰囲気に包み込んだ。
今回登場したバンドの持つスタイルを比較すると、彼らのこのストレートなロックサウンドは少し意外にも感じられたが、フロアの観衆は皆そのゆったりしたサウンドに身をゆだねて、心地良さそうな表情を見せていた。ドッシリとしたミネオとヨシロウの織りなすリズムセクションは一見シンプルながら、これこそロックの真骨頂と言わんばかりのリッチなグルーブを生み出す。激しいビートや、フラッシーなテクニックよりも、これがあれば何もいらないと思わせるくらいの存在感が、そこにはあった。やがてSugarのリードで、ボーカルのBobがステージの中央に現れた。
リズムは一転し、力強く8ビートを打ち鳴らす「I can’t belive」へ。BobとSugarが織りなすハーモニーはリズムと相まって、さらに聴くものの気持ちをあおった。また、絶妙に絡みながら時に印象的なハーモニーを奏でるSugarとダイスケのギターが、さらに曲を盛り上げ、このバンドのポテンシャルの高さをアピール。徐々に熱くなるステージの展開に、観衆の視線は釘付けとなった。また、ブルージーなギターに絡みつくように叫ぶBobの歌がさらに気持ちを熱くする「Lether」、そしてラストのシャッフルナンバー「Lunacy」と、たった4曲の短いステージの中で存分に自分たちの持ち味を発揮し、ロックを楽しみに来た観衆の気持ちをグッとステージに引き込んで、イベントのオープニングをしっかりと飾った。
今回登場したバンドの持つスタイルを比較すると、彼らのこのストレートなロックサウンドは少し意外にも感じられたが、フロアの観衆は皆そのゆったりしたサウンドに身をゆだねて、心地良さそうな表情を見せていた。ドッシリとしたミネオとヨシロウの織りなすリズムセクションは一見シンプルながら、これこそロックの真骨頂と言わんばかりのリッチなグルーブを生み出す。激しいビートや、フラッシーなテクニックよりも、これがあれば何もいらないと思わせるくらいの存在感が、そこにはあった。やがてSugarのリードで、ボーカルのBobがステージの中央に現れた。
リズムは一転し、力強く8ビートを打ち鳴らす「I can’t belive」へ。BobとSugarが織りなすハーモニーはリズムと相まって、さらに聴くものの気持ちをあおった。また、絶妙に絡みながら時に印象的なハーモニーを奏でるSugarとダイスケのギターが、さらに曲を盛り上げ、このバンドのポテンシャルの高さをアピール。徐々に熱くなるステージの展開に、観衆の視線は釘付けとなった。また、ブルージーなギターに絡みつくように叫ぶBobの歌がさらに気持ちを熱くする「Lether」、そしてラストのシャッフルナンバー「Lunacy」と、たった4曲の短いステージの中で存分に自分たちの持ち味を発揮し、ロックを楽しみに来た観衆の気持ちをグッとステージに引き込んで、イベントのオープニングをしっかりと飾った。
◆BIG★X PROJECT
Bob (Vocal)
Sugar (Lead Guitar)
ダイスケ (Side Guitar)
ヨシロウ (Bass)
ミネオ (Drums)
Bob (Vocal)
Sugar (Lead Guitar)
ダイスケ (Side Guitar)
ヨシロウ (Bass)
ミネオ (Drums)
◆公式サイト なし
◆セットリスト
M01. 夕暮れ
M02. I can’t believe
M03. Lether
M04. Lunacy
◆セットリスト
M01. 夕暮れ
M02. I can’t believe
M03. Lether
M04. Lunacy
二番手として登場したのは、HEAD PHONES PRESIDENT。早々とステージへ登場したのは、もちろん後に続くEARTHSHAKER、人間椅子というロックの偉大な先輩たちへの、尊敬の念によるものだろう。その先人たちに胸を借りるように、彼らは全力のステージへ立ち向かった。SEより幕が開くと、ステージ中央には胸の前で両手を合わせ、祈るような姿勢でたたずんでいたAnza。そして意を決したように鳴り響くHiroのギターリフを合図に、けたたましいドラムが打ち鳴らされ、Anzaがステージの開始を告げる叫びを上げた。猛烈な勢いを見せる「A New World」がオープニングナンバーだ。決して臆することなく彼らの音をフロアに叩き付けたHEAD PHONES PRESIDENT。その音に呼応して腕を振り上げ、リズムに合わせて体を揺らした観衆に対して、さらにAnzaは「もっと、もっと!」とまくし立て、攻め続けた。
「今日はこのイベントを最高のものにしましょう。皆さんの熱い魂があれば、最高の一日になるはず」Anzaが観衆に語りかけた。曲は最新アルバム『Disillusion』のオープニングナンバー「The One To Break」から「Too Short」へ。激しいサウンドの中でも切なさを感じさせるAnzaのメロディ、そして気持ちを掻きむしるようなHiroのギターのフィル。様々な思いが交錯するように、旋律がハーモニーを織りなす。それこそが独特な世界観を持つ彼らの真骨頂とも言える。抜群のグルーブに身を浸しながら、さらに自らの気持ちをその複雑な世界観に込めるAnzaを中心に、Hiro、Narumi、Batchが揺れる。その独特な揺れを見せるステージに、フロアの観衆はもはやなすがままというように、リズムに体をゆだねていた。
そしてゆったりとした「Breeze」で緩急をつけた後は、Batchのドラムソロが始まった。彼の師、EARTHSHAKERのKUDOへのオマージュともみられる彼のこのプレーは、観衆の新たな感性のスイッチを入れ、さらにステージを盛り上げた。そして混沌を表現したかのような「Far Away」から、ムーディーな空気の中で、人間の生々しい感情の動きを表現したようにも見える「Folie Duex」へ。Anzaがその表現力を最大限に発揮することで、彼らは単にフロアを圧倒するというよりも、観衆の気持ち自体を支配したようにも見えた。
さらに彼らの代表曲の一つでもあるバラード「Rainy Stars」では、ステージにたたずみ、また別の時にはフロアに向かって語りかけ、茫然とフロアを見つめる観衆の気持ちの中に入り込んだAnza。いよいよ迎えたラストナンバーの「Stand In The World」へ。この日皆でイベントが開催できた謝辞を述べながら、自らの残りのパワーをすべてつぎ込んだ力強いプレーに、観衆はまた大きな歓声を上げ、腕を振り上げて体を揺らした。そしてエンディング、イベントの参加バンド、フロアの観衆の熱烈な思いに感謝の一礼を捧げ、彼らはステージを降りた。
「今日はこのイベントを最高のものにしましょう。皆さんの熱い魂があれば、最高の一日になるはず」Anzaが観衆に語りかけた。曲は最新アルバム『Disillusion』のオープニングナンバー「The One To Break」から「Too Short」へ。激しいサウンドの中でも切なさを感じさせるAnzaのメロディ、そして気持ちを掻きむしるようなHiroのギターのフィル。様々な思いが交錯するように、旋律がハーモニーを織りなす。それこそが独特な世界観を持つ彼らの真骨頂とも言える。抜群のグルーブに身を浸しながら、さらに自らの気持ちをその複雑な世界観に込めるAnzaを中心に、Hiro、Narumi、Batchが揺れる。その独特な揺れを見せるステージに、フロアの観衆はもはやなすがままというように、リズムに体をゆだねていた。
そしてゆったりとした「Breeze」で緩急をつけた後は、Batchのドラムソロが始まった。彼の師、EARTHSHAKERのKUDOへのオマージュともみられる彼のこのプレーは、観衆の新たな感性のスイッチを入れ、さらにステージを盛り上げた。そして混沌を表現したかのような「Far Away」から、ムーディーな空気の中で、人間の生々しい感情の動きを表現したようにも見える「Folie Duex」へ。Anzaがその表現力を最大限に発揮することで、彼らは単にフロアを圧倒するというよりも、観衆の気持ち自体を支配したようにも見えた。
さらに彼らの代表曲の一つでもあるバラード「Rainy Stars」では、ステージにたたずみ、また別の時にはフロアに向かって語りかけ、茫然とフロアを見つめる観衆の気持ちの中に入り込んだAnza。いよいよ迎えたラストナンバーの「Stand In The World」へ。この日皆でイベントが開催できた謝辞を述べながら、自らの残りのパワーをすべてつぎ込んだ力強いプレーに、観衆はまた大きな歓声を上げ、腕を振り上げて体を揺らした。そしてエンディング、イベントの参加バンド、フロアの観衆の熱烈な思いに感謝の一礼を捧げ、彼らはステージを降りた。
◆HEAD PHONES PRESIDENT
Anza (Vocal)
Hiro (Guitar)
Narumi (Bass)
Batch (Drums)
◆公式サイト
http://headphonespresident.com/
Anza (Vocal)
Hiro (Guitar)
Narumi (Bass)
Batch (Drums)
◆公式サイト
http://headphonespresident.com/
◆セットリスト
M01. A New World
M02. The One To Break
M03. Too Short
M04. Breeze
M05. Far Away
M06. Folie a Duex
M07. Rainy Stars
M08. Stand In The World
M01. A New World
M02. The One To Break
M03. Too Short
M04. Breeze
M05. Far Away
M06. Folie a Duex
M07. Rainy Stars
M08. Stand In The World
どこからか鐘の音が会場に流れてきた。やがて人間椅子のアルバム『萬燈籠』の「此岸御詠歌」へと変わり、その独特で奇怪な雰囲気に観衆の気持ちは否が応でも盛り上がり、幕も開いていない中でフロアからは大きな歓声が上がった。そして幕開け。和嶋のギターからフィードバック音が流れ次の瞬間、激しいリフがかき鳴らされた。その流れに乗るように重厚な鈴木のベース、ノブのドラムと、ハーモニーが厚くなっていく。トリオという最小構成の中で最大限の厚みを出す心得のある人間椅子。そのグルーブに観衆は必死で追従していた。ストレートに核心を突くような刺々しい和嶋の声と野生的な鈴木の声、そのボーカルスタイルの対比も人間椅子ならではの聴きどころの一つだ。
鈴木はMCで「(僕たちは)HEAD PHONES PRESIDENTの1/30も動いていないですね」とジョークを飛ばしたが、ステージに彼ら3人が立っているだけで、目に見える以上の人間椅子という存在が空間を占有した。和やかさすら感じさせる和嶋と鈴木のMC、そして彼らならではのオドロオドロしいうねりを持ったリフとリズム。その対比は程よい緊張感とリラックスの波を交互に観衆に与え、彼らとのシンパシーを伝えていった。和嶋のコールから「なまはげ」、そして彼らの敬愛するBLACK SABBATHへのオマージュ「サバス・スラッシュ・サバス」から「War Pigs」へ。しかしステージから聴こえてくるそのサウンドは、すでにオマージュというレベルを超え、完全に「人間椅子」の音という存在感を醸し出していた。さらにまるで人間の芯を突くようなショッキングでシリアスな歌を、必死の形相で歌い込んだ和嶋と、その姿から目が離せない観衆が、愛情の温度をさらに上げていった。
ステージは後半に入り、躍動的なリフで押しまくる和嶋のギターが光る「宇宙からの色」へ。この日の人間椅子のセットは緩さのない、とにかく押しまくるような圧力が感じられた。容赦なくひっぱたくようなノブのドラムに、かき鳴らされ、うねりを上げるような和嶋のギターと鈴木のベース。人間椅子ならではの独特な雰囲気を持ちながらも、この「RHYTHM OF FEAR」というイベントの趣旨を、彼らなりの解釈で存分に表現したステージがそこに見られた。ステージは大詰めを迎え、ノブの勢いのあるMCより、彼自身が歌う「道程」、そしてラストは「針の山」へ。猛烈なビートによる「針の山」地獄を彷彿とさせる刺々しいサウンドが会場を熱い空気に包んでステージは終了した。
鈴木はMCで「(僕たちは)HEAD PHONES PRESIDENTの1/30も動いていないですね」とジョークを飛ばしたが、ステージに彼ら3人が立っているだけで、目に見える以上の人間椅子という存在が空間を占有した。和やかさすら感じさせる和嶋と鈴木のMC、そして彼らならではのオドロオドロしいうねりを持ったリフとリズム。その対比は程よい緊張感とリラックスの波を交互に観衆に与え、彼らとのシンパシーを伝えていった。和嶋のコールから「なまはげ」、そして彼らの敬愛するBLACK SABBATHへのオマージュ「サバス・スラッシュ・サバス」から「War Pigs」へ。しかしステージから聴こえてくるそのサウンドは、すでにオマージュというレベルを超え、完全に「人間椅子」の音という存在感を醸し出していた。さらにまるで人間の芯を突くようなショッキングでシリアスな歌を、必死の形相で歌い込んだ和嶋と、その姿から目が離せない観衆が、愛情の温度をさらに上げていった。
ステージは後半に入り、躍動的なリフで押しまくる和嶋のギターが光る「宇宙からの色」へ。この日の人間椅子のセットは緩さのない、とにかく押しまくるような圧力が感じられた。容赦なくひっぱたくようなノブのドラムに、かき鳴らされ、うねりを上げるような和嶋のギターと鈴木のベース。人間椅子ならではの独特な雰囲気を持ちながらも、この「RHYTHM OF FEAR」というイベントの趣旨を、彼らなりの解釈で存分に表現したステージがそこに見られた。ステージは大詰めを迎え、ノブの勢いのあるMCより、彼自身が歌う「道程」、そしてラストは「針の山」へ。猛烈なビートによる「針の山」地獄を彷彿とさせる刺々しいサウンドが会場を熱い空気に包んでステージは終了した。
◆セットリスト
M01. 迷信
M02. りんごの泪
M03. なまはげ
M04. サバス・スラッシュ・サバス~War Pigs
M05. 宇宙からの色
M06. 道程
M07. 針の山
M01. 迷信
M02. りんごの泪
M03. なまはげ
M04. サバス・スラッシュ・サバス~War Pigs
M05. 宇宙からの色
M06. 道程
M07. 針の山
いよいよこのイベントのトリ、EARTHSHAKER登場の時が来た。強烈なグルーブを叩き出すSEより4人がステージへ。フロアの最前列では「待ってました!」とばかりに熱くバンドを迎える。オープニングナンバーは「夢の果てを」。MARCYのボーカルによる、ドラマチックなメロディラインを主体とした彼らのサウンドは、時にハードロックという尺度の中でも「ポップ」と表現されることがあるが、ステージでの彼らのプレーからはもちろんそのメロディが際立っている上で、ビート感あふれる、かつ重量感のあるサウンドが展開される。この日登場した個性あふれるメンツの中でも、EARTHSHAKERは彼らならではのリッチなサウンドをフロアに浴びせていた。
このライブに先立ち、2015年3月11日に最新アルバム『BIRD』をリリースしたばかりのEARTHSHAKER。この日はニューアルバムのリリースツアーを前に特別にその新譜の曲をプレーするという、ファンにとってはとてもラッキーなセットを披露。MARCYの「そう、誰もがONE SOLDIER!」というコールから「ONE SOLDIER」、そして「THE BIRD」へ。いずれもミドルテンポのメロディアスなナンバーだ。技量のないバンドであれば、このテンポのハードなサウンドは間延びしてしまうリスクがある難しい曲調だが、SHARAとともにMARCYが奏でる情感豊かな旋律は、大きな支えとなるKAIとKUDOのリズムセクションに乗ることで、聴くものの気持ちに響き、ずっと聴いていたい気持ちにさせていった。そしてEARTHSHAKERのライブでは外せないKUDOのDrums soloへ。彼のテクニカルかつエキサイティングなドラムプレイに観衆は興奮。「もっともっと!」とあおるKUDOにのせられ、さらに大声を上げるほどの盛り上がりとなった。
いよいよラストスパート、イベントのクライマックスを迎える時間に近づいてきた。2013年にデビュー30周年を迎えた彼らだが、ロックに賭けたその熱い気持ちは健在。その思いを込めてリリースしたアルバム『THE EARTHSHAKER』のオープニングナンバー「放熱」へ。「解き放てその誇りを」サビのその詞が、彼らの情熱をタイトルの文字通り会場いっぱいに「放熱」していった。そして彼らの思いが続いていく旨を歌った「走り抜けた夜の数だけ」から、ラストには彼らの代表曲「RADIO MAGIC」へ。「これからずっとみんなの未来に届けるように歌おうぜ!」MARCYが観衆に語りかけた。曲の頭からMARCYとともにフルコーラスでメロディを口ずさんでいた観衆。このイベントで集まったバンドたち、そしてその音を存分に楽しんだ人たち皆の気持ちをさらに深く結び合わせているようであった。そしてエンディング。「ありがとう!」MARCYからの感謝の言葉と共に、4人はステージを降りた。
この日たった7曲のセットの中でも、彼らのこれまでの道のりは凝縮され披露された。「RADIO MAGIC」をはじめとした初期の楽曲から、「THE BIRD」などの新譜まで、そこには年を重ねる中で練り上げられ、磨かれたハーモニーセンスと、彼らがまるで生まれ持っているようにも見える美しいメロディセンスが見事に融合したステージ。そしてその集大成ともいえる曲がアンコールでプレーされた。EARTHSHAKERといえばこの曲、もはや日本ハードロック界のスタンダードといっても過言ではない「MORE」の新アレンジバージョン「MORE 2015」だ。多くの人の心に刻まれた珠玉のメロディに、現代風のリズムやアレンジが随所に加えられ、新たな命を吹きこまれたものとして人々の前に披露された。もはやこの曲は懐メロではない。一つの命を持った生き物のような存在としてロックファンの心の中に生き続ける。そんなアピールを見せながら彼らのステージ、そしてイベントは幕を閉じた。
このライブに先立ち、2015年3月11日に最新アルバム『BIRD』をリリースしたばかりのEARTHSHAKER。この日はニューアルバムのリリースツアーを前に特別にその新譜の曲をプレーするという、ファンにとってはとてもラッキーなセットを披露。MARCYの「そう、誰もがONE SOLDIER!」というコールから「ONE SOLDIER」、そして「THE BIRD」へ。いずれもミドルテンポのメロディアスなナンバーだ。技量のないバンドであれば、このテンポのハードなサウンドは間延びしてしまうリスクがある難しい曲調だが、SHARAとともにMARCYが奏でる情感豊かな旋律は、大きな支えとなるKAIとKUDOのリズムセクションに乗ることで、聴くものの気持ちに響き、ずっと聴いていたい気持ちにさせていった。そしてEARTHSHAKERのライブでは外せないKUDOのDrums soloへ。彼のテクニカルかつエキサイティングなドラムプレイに観衆は興奮。「もっともっと!」とあおるKUDOにのせられ、さらに大声を上げるほどの盛り上がりとなった。
いよいよラストスパート、イベントのクライマックスを迎える時間に近づいてきた。2013年にデビュー30周年を迎えた彼らだが、ロックに賭けたその熱い気持ちは健在。その思いを込めてリリースしたアルバム『THE EARTHSHAKER』のオープニングナンバー「放熱」へ。「解き放てその誇りを」サビのその詞が、彼らの情熱をタイトルの文字通り会場いっぱいに「放熱」していった。そして彼らの思いが続いていく旨を歌った「走り抜けた夜の数だけ」から、ラストには彼らの代表曲「RADIO MAGIC」へ。「これからずっとみんなの未来に届けるように歌おうぜ!」MARCYが観衆に語りかけた。曲の頭からMARCYとともにフルコーラスでメロディを口ずさんでいた観衆。このイベントで集まったバンドたち、そしてその音を存分に楽しんだ人たち皆の気持ちをさらに深く結び合わせているようであった。そしてエンディング。「ありがとう!」MARCYからの感謝の言葉と共に、4人はステージを降りた。
この日たった7曲のセットの中でも、彼らのこれまでの道のりは凝縮され披露された。「RADIO MAGIC」をはじめとした初期の楽曲から、「THE BIRD」などの新譜まで、そこには年を重ねる中で練り上げられ、磨かれたハーモニーセンスと、彼らがまるで生まれ持っているようにも見える美しいメロディセンスが見事に融合したステージ。そしてその集大成ともいえる曲がアンコールでプレーされた。EARTHSHAKERといえばこの曲、もはや日本ハードロック界のスタンダードといっても過言ではない「MORE」の新アレンジバージョン「MORE 2015」だ。多くの人の心に刻まれた珠玉のメロディに、現代風のリズムやアレンジが随所に加えられ、新たな命を吹きこまれたものとして人々の前に披露された。もはやこの曲は懐メロではない。一つの命を持った生き物のような存在としてロックファンの心の中に生き続ける。そんなアピールを見せながら彼らのステージ、そしてイベントは幕を閉じた。
◆EARTHSHAKER
西田昌史 (MARCY:Vocal)
石原慎一郎 (SHARA:Guitar)
甲斐貴之 (KAI:Bass)
工藤義弘 (KUDO:Drums)
◆公式サイト
http://www.earthshaker.jp/
西田昌史 (MARCY:Vocal)
石原慎一郎 (SHARA:Guitar)
甲斐貴之 (KAI:Bass)
工藤義弘 (KUDO:Drums)
◆公式サイト
http://www.earthshaker.jp/
◆セットリスト
M01. 夢の果てを
M02. ONE SOLDIER
M03. THE BIRD
M04. Drums solo
M05. 放熱
M06. 走り抜けた夜の数だけ
M07. RADIO MAGIC
Encole
E01. MORE 2015
M01. 夢の果てを
M02. ONE SOLDIER
M03. THE BIRD
M04. Drums solo
M05. 放熱
M06. 走り抜けた夜の数だけ
M07. RADIO MAGIC
Encole
E01. MORE 2015
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HEAD PHONES PRESIDENT、そして人間椅子、EARTHSHAKERそれぞれのファンにとって、ほかのバンドのサウンドにまだ接したことなかった者は、大きな刺激を得て、ロックの新たな魅力を知ったことだろう。対バンイベントであれば当然のこととも思えるが、自らのサウンドに人一倍の信念を持ったバンドであることを自負する彼らの共演であることに、このイベントは大きな意味があった。先輩たちへの尊敬の念を込めながら、堂々とステージを展開したHEAD PHONES PRESIDENT、そして彼らを認めたEARTHSHAKER、人間椅子。さらにオープニングアクトながら確かな演奏力を示したBIG★X PROJECTまで。またロックファンの胸に残るイベントを成し遂げた彼らは、また一つ新たな気持ちで一歩前に踏み出していくことだろう。この日会場に訪れたすべての人の中で起こった化学変化で、生み出される彼らの新しいサウンドに、引き続き注目していきたい。
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