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REPORT2012.03.03

EVANESCENCE 2012/02/09@Zepp Tokyo

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TEXT:chi-chan

幾度かのメンバーチェンジやAmy(Vocal)の休養を経て、昨年10月に約5年ぶりのオリジナル3rdアルバム「EVANESCENCE」を発表したEVANESCENCE。待望の復活作となった今作は、オリジナルメンバーがAmy(Vocal)だけであるにも関わらず、セルフ・タイトルを冠しているところから彼らの意気込みを強く感じることが出来る1枚。内容も、彼らの持ち味であるヘヴィネスとゴシック色をより強く併せ持った、“原点回帰”を感じさせる文字通りの最高傑作だ。そして、全米ビルボードアルバムチャート1位という記録にあるように、世界中がこの復活劇に歓喜しているのは言うまでもない。

そんな3rdアルバム「EVANESCENCE」をひっさげて、5年ぶりに行われた来日ツアー。5年の月日を経て、EVANESCENCEはどう進化したのか? そして、完全復活したAmyEVANESCENCEへの思いとは? 2月9日に行われたZepp Tokyo公演は、それらを知る手がかりが随所に散りばめられた何とも深遠なステージであった。そんな熱い一夜を、ゆっくりと紐解いていこう。

◆EVANESCENCE:
Amy Lee(Vocal,Piano,Keyboard,Harp)
Terry Balsamo(Guitar)
Tim McCord(Bass)
Will Hunt(Drums)
Troy Mclawhorn(Guitar)

Will(Drums)のドラムが鳴り響いたと同時に、メンバーが颯爽と登場。まだかまだかと枯渇していた観客の大きな歓声が轟く中、先行シングル「What You Want」でライブはスタート。怪しげな黒いミニドレスで決めたAmyが攻め立てるように激しく歌う。
「Going Under」では、雷鳴のような照明が光る中、聴く者を怪しげな世界に誘うかのように、今度は伸びやかに歌い上げる。続く「The Other Side」では、バンドロゴを背景にAmyがキーボード演奏を披露。待っていてくれたファンへの感謝を終始忘れず、随所随所で「ありがとう!」と感謝の言葉を口にする。そう、彼女=EVANESCENCEなのだ。5年もの間待ち続けた、自国外のファンに対して心底感激しているからこそ、自然と何度も出てくる言葉なのだ。
 
ハイペースに展開されるライブ、「Weight Of The World」では、会場全体がヘッドバンギングで大揺れ状態。彼らの奏でる激しくも幻想的な世界が会場に満ちあふれる。客席からのAmyコールが響く中、光線が所狭しと放たれて始まったのは「The Change」。切ない思いを込めるように厳かにそして狂おしく歌う。続く「Made Of Stone」でもスタンドマイクに体を預けたり、時には前に乗り出したりと、歌だけでなく全身を躍動させて表し、音源よりも心なしか濃厚に、アルバムの世界観を体現していた。
 
ライブも中盤に差し掛かったところで、ピアノがステージ中央に用意される。奏でられたのは壮大なバラード「Lost In Paradise」。Amyの指から流れる、美しく優しい、しかしもの悲しい旋律が会場を支配する。「Lithium」「Swimming Home」とじっくり聴かせる重厚な曲で観客を小休止モードに導いた後は、EVANESCENCEの王道チューン「Sick」。続く「Oceans」では、Amyが波のような背景を背に、屈んで客席を煽る。その度に起こる熱狂の声が会場に響いていた。
 
そして終盤に差し掛かると、1stアルバムからの曲を2曲披露。「Imaginary」は、今日のLIVEだとこんなにも深く激しい。昔のEVANESCENCEと比較すると、明らかに新しくなっているのがわかるのだ。だが、バンドの芯は変わらないということを、この時を持って証明してくれている。そしてピアノの旋律が聞こえたかと思うと、ラストはやはり「Bring Me To Life」。待ってましたとばかりに拳を振りかざしながら大熱唱する観客にさらに燃え上がったかのようなAmy、それを最大限に盛り立てようと演奏に熱を入れる楽器陣。全員の相乗効果がベストな具合に昇華され、まさに“完全燃焼”といった状態で本編は幕を閉じた。

アンコールは、東日本大震災を想って描いたという「Never Go Back」。激しい曲調ながらも、「頑張れ日本!」というメッセージのこもった演奏に、思わず身を委ねてしまう。星空が瞬いているかのような照明の演出にも、壮大なスケールを感じることができた。ラストは名曲「My Immortal」。Amyのピアノの弾き語りと丁寧な歌声が優しく絡み合ったところに、感情を爆発させるかのような激しいバンド演奏が乗る。そして、Amyが「sing with me」と誘いかけ、観客も歌い一つになる。EVANESCENCE、いやEVANESCENCEと観客、お互いがお互いの“Immortal”になった瞬間だった。
 
1)オープニングでプレイされた「What You Want」PV

 
2)ラストにプレイされた「My Immortal」PV

 

 



最新アルバム「EVANESCENCE」
デラックス・エディション
TOCP-71196/3,200円(税込)
通常版
TOCP-71195/2,500円(税込)

◆ 公式サイト
エヴァネッセンス 日本公式サイト
http://emij.jp/evanescence/

◆セットリスト:
M01. What You Want
M02. Going Under
M03. The Other Side
M04. Weight Of The World
M05. The Change
M06. Made Of Stone

M07. Lost In Paradise
M08. My Heart Is Broken
M09. Lithium
M10. Swimming Home

M11. Sick
M12. Oceans
M13. Call Me When You’re Sober
M14. Imaginary
M15. Bring Me To Life

-encore-
M16. Never Go Back
M17. Your Star
M18. My Immortal

終演後にTwitter上でAmyがつぶやいた「My new favorite of the year!!」(また一つ素晴らしい出来ごとが増えたわ!!)という言葉が印象的だったこの日のライブ。実に5年ぶりの来日となったEVANESCENCEだったが、5年前と明らかに違うのはメンバー構成だけではなかった。ゴシックやハードロックといったバンドカラーはそのままにしつつも、よりヘビーに、より攻撃的になっているのだ。勿論以前がぬるかったわけではないが、数々のハードルやバンドの顔であるAmyの事実上の活動休止は、EVANESCENCEにとっての先の見えない試練だったようだ。しかしながら、それはバンドをさらにたくましく、勇ましいものにしていったのも事実だった。そして、ラストに残された、「どうもありがとう!愛しています!We will See you again soon」というAmyの言葉通り、近いうちにまた来日してその姿を見せてくれることを期待してやまない。