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TEXT:丈岡はじめ PHOTO:山口聡
秋も深まってきた2009年10月21日(水)、『カブキロックス 演歌シングル 御披露目記念ライブ』が行われた。“和のイメージを取り入れたロック”をコンセプトに長年に渡り独自の活動を続けてきたカブキロックス。今回はデビュー20周年を記念して、なんと演歌のシングルを発売する!とのこと。カブキロックスが奏でる演歌とははたしてどんなものなのだろうか、興味津々で会場の渋谷ラ・ママに向かった。 入場時間になると続々とファンが入場してくる。カブキロックスのファン”和の心”ということで着物姿の方もチラホラ見かける。驚いたのはお子さん連れのファンの多いこと。さすが結成20年のベテランバンド、親子2代のファンということだろうか。みんなこれから始まるライブが待ち遠しい様子だ。 照明が落ち、いよいよライブの始まり。白いロングコート風の衣装に身を包んだ最鋭輝(モトキ)がオープニングアクトとして登場、最前列ファンの掛け声とともに1曲目の「眠る前にブルースを」が始まる。生ギターでの弾き語りながら題名どおりのブルージーな曲。続いて中間髪入れずに「ストライプの伝説」がスタート。ファンが撒いたのかステージ上に舞う紙吹雪がとても美しい。2曲目が終わったところで最鋭輝からファンに赤いバラのプレゼントが。ファンは大喜びだ。MCの後、最後の曲「今夜は僕のものになれ」のダンサブルなイントロが流れ始める。ギターを置き、最鋭輝がステップを踏み始めると客席から歓声が飛ぶ、サビの「イエーイエー」の部分のフリを合わせて大合唱し、ステージは終了。
【セットリスト】
01.眠る前にブルースを しばし休憩のあとはルードなロックンロールバンド、CHEAP STAR(チープスター)の登場だ。メンバーはHOLLY(Vocal)、JC(Guitar)、RICHIE(Bass)、 LAGER (Drums)の4人だが、LAGERが都合により参加できなかった今夜は、井上勇人(Drums)が代打としてCHEAP STARのビートを刻む。ピンクの帽子、ピンクのジャケット、ピンクのパンツと全身ピンクずくめのHOLLYがタバコを燻らせながらゆっくりとマイクの前に立ち、1曲目の「悪魔のナイトクラブ」の演奏が始まった。 腹に響く重いビートが鳴り響く中オープンニングからメンバーも客席とステージを仕切る柵に飛び乗るなどノリノリだ。間髪いれず2曲目の「ミダラなBABY」の切り裂くようなギターリフが始まるとファンは一斉に携帯を取り出し、ステージに向かってシャッターを切る。2曲目が終わるとHOLLYからライブ告知とともに重大な発表があった。残念なことにJCは今夜のライブを最後にバンドから脱退するということだ。
驚きの声を上げるファンに向かってJCがお別れの挨拶をする。少し湿っぽくなった空気を吹き飛ばすように「Fairy Land」「Jelly Beans」と立て続けに激しい演奏が続く。重いビートのドラムから始まる「ロックスターはニセモノ」の後はバンド名と同じ曲名のラストナンバー「Cheap Star」。ファンはサビに合わせて右手を突き出し盛り上がりは最高潮。CHEAP
【CHEAP STAR 公式サイト】
http://cheapstarofficial.web.fc2.com/ 【インフォメーション】
【セットリスト】
01.悪魔のナイトクラブ すっかり客席も暖まった中、勇ましい侍姿で登場したのは、宇獅和歌(Vocal)、蘭丸(Guitar)、雪村(Guitar)、源氏蛍(Drums)の4人からなる大蛇(オロチ)だ。登場と同時に若い女性のファンから悲鳴にも似た「キャー」という叫びが上がる。激しい声援の中1曲目「不死鳥」が始まる。絡み合うツインギターと呪文にも似たボーカルを聞いているとなにやら異世界への扉が見えるようだ。 「鬼殺し」「曼荼羅」と曲が進むにつれ、最前列のファンは激しいヘッドバンギングで揺れ始める。曲の合間に挟まれる三味線や琴のメロディが”和”を感じさせる。曲が終わると宇獅和歌が「この場所を清める」と手刀で印を結ぶとまたもや異世界への扉が。大蛇ワールド全開だ。続いて「般若」では和風のメロディーのギターソロの間、宇獅和歌が日本刀を持って鮮やかな立ち回りを見せる。 きらめく照明が日本刀で反射し、幻想的な空間が辺りを支配する。「雨」「天空」と続いて演奏すると客席はますますヒートアップ。最後の曲「櫻」のイントロが琴の音で始まる。曲が進むにつれてテンションは最高潮、キャッチーなメロディーに合わせて扇子を振るファンもいる。大盛り上がりの中メンバーは手を振りながら花道を退場した。
【大蛇 公式サイト】
http://orochi.info/default.htm 【インフォメーション】
【セットリスト】
01. 不死鳥 さて残すは本日のメインイベント、カブキロックスの登場を待つばかりとなった。ふと周りを見回すといつのまにか会場はぎっしりと人で埋め尽くされていた。ここでオープニングアクトを務めた最鋭輝がMCとして紫のタキシードを着て再登場。ますます期待感は高まる。そして最鋭輝の呼びかけに答えてカブキロックスがいつもの白塗りメイクで花道から登場。客席からは一段と大きな歓声が沸き起こる。 メンバーは氏神一番(Vocal)、青木秀麻呂(Guitar)、大槻セイシロー(Guitar)、胡縞武蔵(Bass)、三柴三蔵(Drums)の5人だ。MCとのやりとりでは青木秀麻呂は「演歌の高揚感を出した自信作」と新曲の演歌シングル「大江戸 恋町 華の町」について語っている。また氏神一番は「20年やってきて誰も逮捕者を出していないのがバンドの誇り!」とユーモアたっぷりに言う。さてMCによる曲紹介のあといよいよ「大江戸 恋町 華の町」の演奏が始まった。 やはりカブキロックスが演る演歌だ、普通の演歌とは一味違う。ロックらしいギターと重いベース、その上にポップ感のあるキャッチーなメロディーが乗るまさに「カブキロックスの演歌」とも言える1曲だ。続いてシングルB面の「御免ね お夏」では一転してムード歌謡のような雰囲気が漂いきらめくミラーボールがぴったりマッチしていた。 そしてカブキロックスが一番初めにこの渋谷ラ・ママで演奏した曲だと言う「浮世の夢に」、そしてアニメ「ドラゴンクエスト」の主題歌としても有名な「虹の都」、「千両役者」と演奏は続く。ここまでくると客席の盛り上がりは最高潮。開場前に見かけた子供連れのファンも親子一緒にノリノリだ。間のMCではここで新メンバーの三柴三蔵が紹介された。 氏神一番はここでも「某芸能人の釈放騒動の影響で新曲発表の記者会見が中止された」と客席を笑いに誘う。さてステージもいよいよ佳境に突入。ポップな「Challenger」に続いてラストは大ヒット曲「O・EDO ~お江戸~」。ボルテージはますます上がり、サビの「お江戸」ではフリを合わせて客席も大合唱。一面に舞った紙吹雪とともにステージは終了した。 むろん、このままでは終わらない。客席からはすぐに「アンコール」の声が響く。そして花道からメンバーが再び登場。もう一度新曲「大江戸 恋町 華の町」を演奏、今度はファンもツボを掴んだようで手拍子が起こり、大盛り上がりの中ステージは終了した。演奏後にはCD即売会と購入者との握手会もあり、メンバーとファンは言葉を交わしたり、一緒の写真を撮ったりしながら楽しい雰囲気の中本日のライブは終了となった。
【カブキロックス 公式サイト】
http://www.kabukirocks.tv/ 【インフォメーション】 【演歌シングル】
【セットリスト】
01.大江戸 恋町 華の町 ベテランならではのいい意味で力の抜けた演奏やユーモアたっぷりのMCなど今夜も楽しいステージを見せてくれたカブキロックス。デビュー20周年を向かえ、ますます円熟味を増してきたようだ。そして演歌という新しいフィールドチャレンジし、これまでとは違った魅力を見せてくれた。さて次ぎは何をしてくれるのか、さらにパワーアップしたカブキロックスの今後の展開に注目だ。 |